「令和8年6月改定」と一括りにされていますが、医療保険と介護保険で中身の重さがまるで違います。

医療保険側は大きな改定でした。訪問看護管理療養費が再編され、包括型訪問看護療養費・訪問看護医療情報連携加算・訪問看護遠隔診療補助料・訪問看護物価対応料が新設されています。一方の介護保険側は臨時改定で、訪問看護に関する改正は介護職員等処遇改善加算の新設だけ。既存の単位数は令和6年度改定のまま据え置かれました。

この非対称を押さえないまま「6月に何が変わったか」を調べると、片方の情報だけを見て混乱します。

この記事は、医療保険と介護保険の加算を1本にまとめた早見表です。金額に加えて、届出が要るかどうかとその提出先、そして令和9年6月以降に引き上げられる項目も並べました。数値はすべて告示原文にあたっています。

急ぎの方へ

知りたいこと 該当箇所
6月改定で何が変わったのか 1章 改定の非対称
医療保険の金額を見たい 2章 医療保険の早見表
介護保険の単位数を見たい 3章 介護保険の早見表
名前が似ていて紛らわしい 4章 医療と介護の対照
届出はどこに出すのか 5章 届出の要否と提出先
来年また上がると聞いた 6章 令和9年6月以降
算定漏れが起きやすい場所を知りたい 7章 取りこぼしの4パターン
よくある質問を見たい 8章 Q&A

加算名から探す

医療保険 基本療養費緊急訪問看護加算長時間訪問看護加算乳幼児加算特別地域訪問看護加算管理療養費・機能強化型1〜424時間対応体制加算特別管理加算退院時共同指導加算特別管理指導加算退院支援指導加算在宅患者連携指導加算在宅患者緊急時等カンファレンス加算精神科重症患者支援管理連携加算看護・介護職員連携強化加算専門管理加算訪問看護医療DX情報活用加算訪問看護医療情報連携加算包括型訪問看護療養費訪問看護遠隔診療補助料訪問看護物価対応料ターミナルケア療養費遠隔死亡診断補助加算訪問看護情報提供療養費ベースアップ評価料

介護保険 基本報酬介護職員等処遇改善加算緊急時訪問看護加算特別管理加算ターミナルケア加算看護体制強化加算初回加算退院時共同指導加算専門管理加算遠隔死亡診断補助加算口腔連携強化加算長時間訪問看護加算複数名訪問看護加算夜間・早朝加算/深夜加算特別地域訪問看護加算中山間地域等の加算サービス提供体制強化加算准看護師の減算高齢者虐待防止措置未実施減算業務継続計画未策定減算

金額を載せていない項目は記事末の一覧にまとめました。


1. 令和8年6月に変わったのは、ほぼ医療保険側だけ

改定の性格が両保険で違います。

医療保険側は令和8年3月5日の厚生労働省告示第74号(訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件、令和8年6月1日適用)で、訪問看護管理療養費の再編と新設項目の追加が行われました。

  • 訪問看護管理療養費を「月の初日」と「月の2日目以降」に整理し、2日目以降は機能強化型かどうかによる区分をなくして、単一建物居住利用者の人数と訪問日数だけで額が決まる形にした
  • 機能強化型訪問看護管理療養費4を新設
  • 包括型訪問看護療養費を新設
  • 訪問看護医療情報連携加算、訪問看護遠隔診療補助料、訪問看護物価対応料を新設

介護保険側は令和8年3月13日の厚生労働省告示第87号による臨時改定です。訪問看護費についての改正内容を告示原文で確認したところ、「ヌ 介護職員等処遇改善加算」の新設のみでした。基本報酬も既存の加算も、令和6年度改定の単位数のままです。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合する介護職員等の賃金の改善等を実施しているものとして、電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事に対し、老健局長が定める様式による届出を行った指定訪問看護事業所が、利用者に対し、指定訪問看護を行った場合は、イからリまでにより算定した単位数の1000分の18に相当する単位数を所定単位数に加算する。

つまり介護保険側で新しく覚えることは、月の総単位数の1.8%が上乗せされる加算がひとつ増えたという点に尽きます。区分はなく単一で、区分ごとの要件を比べる必要もありません。処遇改善加算の届出と実績報告の実務は訪問看護の処遇改善加算|1.8%の一択・6月開始で扱っています。

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2. 医療保険の加算一覧(早見表)

金額はすべて告示第74号によります。「届出」欄は、地方厚生(支)局長への施設基準の届出が要るかどうかです。

「不要」は「算定要件がない」という意味ではありません。指示書の記載事項、記録、利用者への説明と同意など、算定のための要件は届出の有無とは別に定められています。

2-1. 訪問看護基本療養費

区分 金額 単位 届出
(Ⅰ)イ 保健師・助産師・看護師 週3日目まで 5,550円/週4日目以降 6,550円 1日につき 不要
(Ⅰ)ロ 准看護師 週3日目まで 5,050円/週4日目以降 6,050円 1日につき 不要
(Ⅰ)ハ 専門の研修を受けた看護師 12,850円 利用者1人につき月1回限度 必要
(Ⅰ)ニ 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 5,550円 1日につき 不要
(Ⅱ)同一日に同一建物の複数利用者を訪問 本記事では非掲載 1日につき 不要
(Ⅲ)入院中の外泊時等 8,500円 1回につき 不要

(Ⅱ)は同一日・同一建物の利用者人数で分かれる区分です。同一建物の利用者を訪問しているステーションは必ず関係します。

人数区分は「2人」「3人以上9人以下」「10人以上19人以下」「20人以上49人以下」「50人以上」の5つ。ここで注意したいのは、10人以上の区分から算定の軸が変わることです。2人と3人以上9人以下は「週3日目まで/週4日目以降」で分かれますが、10人以上の3区分は「月20日目まで/月21日目以降」です。週で数えるつもりのまま10人以上の建物を扱うと、数え方そのものを誤ります。

金額は区分数が多いため掲載していません(→載せていない項目)。

基本療養費の注に付く加算のうち、金額が単純なものは次のとおりです。

加算 金額 単位 届出
緊急訪問看護加算 月14日目まで 2,650円/月15日目以降 2,000円 1日につき 不要
長時間訪問看護加算 5,200円 週1日(別に定める者は週3日)限度 不要
乳幼児加算 1,400円/別に定める者 1,800円 1日につき 不要
特別地域訪問看護加算 所定額の100分の50 1日につき 不要

複数名訪問看護加算、難病等複数回訪問加算、夜間・早朝訪問看護加算、深夜訪問看護加算は、同一日の利用者人数で区分が多数に分かれるため掲載していません(→載せていない項目)。緊急訪問看護加算については、介護保険の似た名前の加算との違いを訪問看護の緊急訪問看護加算|医療と介護で違う3つの加算を整理にまとめています。

このうち複数名訪問看護加算については、複数名訪問看護加算|算定要件と令和8年6月の同一建物5区分で区分ごとの金額と人数の数え方を整理しています。

難病等複数回訪問加算についても、全10区分の点数と同一建物の人数の数え方(精神科複数回訪問加算・包括型訪問看護療養費との合算を含む)は難病等複数回訪問加算|全10区分の点数と同一建物の数え方にまとめています。

2-2. 訪問看護管理療養費

月の初日の訪問の場合(月1回)

区分 金額 届出
イ 機能強化型訪問看護管理療養費1 13,760円 必要
ロ 機能強化型訪問看護管理療養費2 10,460円 必要
ハ 機能強化型訪問看護管理療養費3 9,030円 必要
ニ 機能強化型訪問看護管理療養費4 9,030円 必要
ホ イからニまで以外の場合 7,710円 不要

機能強化型の3と4は同額です。読み違いではなく、告示の表でそう定められています。区分が違うのは金額ではなく要件のほうで、3は地域の保険医療機関の看護職員による勤務実績などを、4は連携機関5以上との年3回以上の面会などを求めています。いずれも直近1年間の研修実施や情報提供の実績が要件に入るため、開設初年度には届け出られません。この点は訪問看護の開業|事務とレセプト請求の体制で詳しく扱いました。

開業して最初のレセプトをこれから出す段階なら、翌月10日の締め切りから逆算した訪問看護の初月請求の記事が入口になります。

4区分それぞれの要件、常勤換算が使えるのは1と2だけという人員要件の差、届出の受理タイミングは機能強化型訪問看護管理療養費|4の新設と要件・届出にまとめています。

月の2日目以降の訪問の場合(1日につき)

単一建物居住利用者の人数 月15日目まで 月16日目以降24日目まで 月25日目以降
20人未満 3,010円 3,010円 3,010円
20人以上50人未満 2,510円 2,310円 2,210円
50人以上 2,410円 2,210円 2,010円

20人未満は日数による区分がなく一律3,010円です。

注意したいのは、令和8年6月から「同一建物」の範囲が広がったことです。疑義解釈(その1)の問1で、同一地番の敷地内である場合や、同一地番でなくとも公道に出ずに敷地を行き来できるなど一体的に利用されている敷地である場合が該当すると示されました。一方で、広大な敷地に建物が点在し他者の占有地で隔てられているような場合は含まれません。人数の数え方は医療保険と介護保険で根本的に違うので、訪問看護の同一建物減算|判定と人数の数え方もあわせて参照してください。

訪問看護管理療養費の注に付く加算

加算 金額 単位 届出
24時間対応体制加算 イ(看護業務の負担軽減の取組あり) 6,800円 月1回 必要
24時間対応体制加算 ロ 6,520円 月1回 必要
特別管理加算 2,500円/重症度等の高い状態 5,000円 月1回 必要
退院時共同指導加算 8,000円 退院につき1回(別に定める疾病等の利用者は2回まで) 不要
特別管理指導加算 2,000円 退院時共同指導加算に加算 不要
退院支援指導加算 6,000円/長時間の場合 8,400円 退院日1回 不要
在宅患者連携指導加算 3,000円 月1回 不要
在宅患者緊急時等カンファレンス加算 2,000円 月2回まで 不要
精神科重症患者支援管理連携加算 イ 8,400円 月1回 必要
精神科重症患者支援管理連携加算 ロ 5,800円 月1回 必要
看護・介護職員連携強化加算 2,500円 月1回 不要
専門管理加算 イ・ロ 各2,500円 月1回 必要
訪問看護医療DX情報活用加算 50円 月1回 必要
訪問看護医療情報連携加算(令和8年6月新設) 1,000円 月1回 必要

特別管理加算は医療と介護で対象者の範囲がずれています。詳しくは訪問看護の特別管理加算|令和8年6月改定と医療・介護の違いに。退院支援指導加算の算定日については訪問看護の退院支援指導加算|算定日はいつかで整理しています。

2-3. 令和8年6月に新設された項目

包括型訪問看護療養費(1日につき・届出必要)

高齢者向け住まい等に併設・隣接するステーションが、24時間対応体制のもとで計画的または随時の頻回の訪問看護を行った場合の区分です。

単一建物居住利用者 30分以上60分未満 60分以上90分未満 90分以上 90分以上で厚生労働大臣が定める場合
20人未満 7,010円 11,010円 14,010円 15,510円
20人以上50人未満 6,310円 9,910円 13,730円 15,200円
50人以上 5,960円 9,360円 13,450円 14,890円

区分は訪問時間だけで決まりません。 告示の注により、日中および夜間帯にそれぞれ1回以上の訪問が必要で、1日の実施時間が60分以上の区分は1日あたり3回以上の訪問看護の実施が要件です。疑義解釈(その3)の問1では、日中40分・夜間30分で合計70分・2回という例について、時間だけなら「60分以上90分未満」に見えるものの回数要件を満たさないため、「30分以上60分未満」の区分で算定すると示されています。時間で区分を選ぶと過剰算定になります。

もうひとつ、包括型を届け出た建物では訪問看護基本療養費との使い分けが発生します。同じ疑義解釈で、計画外の緊急対応であっても1日2回以上になれば包括型のみを算定するとされ、疑義解釈(その7)の問2では日中に2回以上訪問したが夜間帯の訪問がない場合は日中1回分の基本療養費を算定すると整理されています。

包括型の対象者判定、届出、レセプトの書き方まで含めた詳細は、包括型訪問看護療養費|算定要件・点数・届出にまとめています。

その他の新設項目

項目 金額 単位 届出
訪問看護遠隔診療補助料 2,650円 月1回限り 必要
訪問看護物価対応料1 月の初日の訪問 60円/月の2日目以降の訪問 20円 利用者1人につき 不要
訪問看護物価対応料2 20円 利用者1人につき 不要

物価対応料1と2は、令和8年6月に新設された項目のなかで届出が不要な唯一の区分です。1日につきの数え方・レセプトの項目74・75・令和9年6月からの倍額は訪問看護物価対応料の算定要件で整理しています。

2-4. ターミナルケア療養費・情報提供療養費

項目 金額 単位 届出
訪問看護ターミナルケア療養費1 25,000円 死亡につき1回 不要
訪問看護ターミナルケア療養費2 10,000円 死亡につき1回 不要
遠隔死亡診断補助加算 1,500円 ターミナルケア療養費に加算 必要
訪問看護情報提供療養費1(市町村等) 1,500円 月1回 不要
訪問看護情報提供療養費2(学校等) 1,500円 入園・入学時等 不要
訪問看護情報提供療養費3(保険医療機関) 1,500円 月1回 不要

ターミナルケア療養費1と2の分かれ目は、特別養護老人ホーム等で看取り介護加算等を算定している利用者かどうかです。死亡日前15日間の数え方や算定できないケースの整理は訪問看護ターミナルケア療養費の記事にまとめています。

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3. 介護保険の加算一覧(早見表・単位数)

単位数は令和6年度改定のまま据え置かれています。「届出」欄は、指定権者(都道府県知事または市町村長)への体制届が要るかどうかです(介護職員等処遇改善加算だけは体制届ではなく処遇改善計画書の届出になります)。

以下は単位数だけを示しています。実際の費用額は、単位数に地域区分ごとの1単位あたり単価を掛けた額です。訪問看護には「看護・介護職員」の区分の単価が適用されます。基本報酬そのものに届出は要りません。

3-1. 基本報酬

区分 20分未満 30分未満 30分以上1時間未満 1時間以上1時間30分未満
指定訪問看護ステーション 314単位 471単位 823単位 1,128単位
病院または診療所 266単位 399単位 574単位 844単位

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問(ステーションの場合)は1回につき294単位、介護予防訪問看護では284単位です。定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と連携する場合は月2,961単位。

3-2. 加算

加算 単位数 単位 届出
介護職員等処遇改善加算(令和8年6月新設) 月の総単位数の1000分の18 1月につき 必要(体制届ではなく処遇改善計画書の届出)
緊急時訪問看護加算(Ⅰ) ステーション 600/病院・診療所 325 1月につき 必要
緊急時訪問看護加算(Ⅱ) ステーション 574/病院・診療所 315 1月につき 必要
特別管理加算(Ⅰ) 500 1月につき 必要
特別管理加算(Ⅱ) 250 1月につき 必要
ターミナルケア加算 2,500 死亡月に1回 必要
看護体制強化加算(Ⅰ) 550 1月につき 必要
看護体制強化加算(Ⅱ) 200 1月につき 必要
初回加算(Ⅰ) 350 1月につき 不要
初回加算(Ⅱ) 300 1月につき 不要
退院時共同指導加算 600 1回につき 不要
専門管理加算 250 1月につき(月1回限度) 必要
遠隔死亡診断補助加算 150 1回につき 必要
口腔連携強化加算 50 1回につき(月1回限度) 必要
長時間訪問看護加算 300 1回につき 不要
複数名訪問看護加算(Ⅰ)看護師等と同時 30分未満 254/30分以上 402 1回につき 不要
複数名訪問看護加算(Ⅱ)看護補助者と同時 30分未満 201/30分以上 317 1回につき 不要
夜間・早朝加算 所定単位数の100分の25 1回につき 不要
深夜加算 所定単位数の100分の50 1回につき 不要
特別地域訪問看護加算 所定単位数の100分の15 1回につき 必要
中山間地域等における小規模事業所加算 所定単位数の100分の10 1回につき 必要
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 所定単位数の100分の5 1回につき 不要
サービス提供体制強化加算(Ⅰ) 6 1回につき 必要
サービス提供体制強化加算(Ⅱ) 3 1回につき 必要

初回加算の(Ⅰ)と(Ⅱ)の分かれ目は訪問看護の初回加算|(Ⅰ)と(Ⅱ)の分かれ目と過去2月の数え方に、介護予防訪問看護ではターミナルケア加算が算定できない点も含めて整理しています。なお介護予防訪問看護の介護職員等処遇改善加算も同じ1000分の18です。看護体制強化加算については、届け出れば始められる加算ではない点に注意してください。前6月間の緊急時訪問看護加算・特別管理加算の算定割合と、前12月間のターミナルケア加算の件数で毎月判定されます。要件の読み方と割合の計算は看護体制強化加算とは|Ⅰ・Ⅱの要件と割合の計算で扱っています。名前の似たサービス提供体制強化加算はこれとは別の加算で、勤続年数7年以上(Ⅰ)・3年以上(Ⅱ)の職員が30%以上いるかで決まります。数え方と届出はサービス提供体制強化加算とは|訪問看護の勤続年数の数え方で整理しました。

3-3. 減算

減算 単位 届出
准看護師が指定訪問看護を行った場合 所定単位数の100分の90 1回につき 不要
高齢者虐待防止措置未実施減算 所定単位数の100分の1 1回につき 必要
業務継続計画未策定減算 所定単位数の100分の1 1回につき 必要

このほか同一建物居住者への提供、理学療法士等の訪問回数、介護予防訪問看護の12月超に係る減算があります(→載せていない項目)。このうち理学療法士等の訪問回数による8単位減算と介護予防の12月超減算は、理学療法士等の8単位減算の記事で判定の2つの入口と訪問回数の数え方を整理しました。同一建物の考え方は訪問看護の同一建物減算|判定と人数の数え方で扱っています。表の下2つ(高齢者虐待防止措置未実施減算・業務継続計画未策定減算)は、体制が整っていないことを理由に利用者全員の所定単位数が1%下がるもので、訪問看護への適用開始日が令和6年6月と令和7年4月に分かれています。要件と届出はBCP未策定減算・虐待防止減算の記事で整理しました。

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4. 医療と介護で名前が似ている加算の対照表

医療と介護で同じような名前の加算が並んでいます。取り違えると請求先ごと誤ります。

名称 どちらの保険か 性格
緊急訪問看護加算 医療 実際に緊急訪問した日に算定
24時間対応体制加算 医療 体制に対して月1回
緊急時訪問看護加算 介護 体制に対して月1回
特別管理加算 医療・介護の両方 対象者の範囲が両保険でずれている
特別管理指導加算 医療 退院時共同指導加算への上乗せ。月額の管理加算ではない
遠隔死亡診断補助加算 医療・介護の両方 医療1,500円/介護150単位
専門管理加算 医療・介護の両方 医療2,500円/介護250単位
退院支援指導加算 医療 退院日の指導に対して算定
退院時共同指導加算 医療・介護の両方 医療8,000円/介護600単位。退院前の共同指導に対して算定
特別地域訪問看護加算(医療)/特別地域加算(介護) 医療・介護の両方 医療は所定額の100分の50、介護は所定単位数の100分の15。率が3倍以上違い、届出も医療は不要・介護は必要
長時間訪問看護加算 医療・介護の両方 医療5,200円(週1日限度)/介護300単位(1回につき)
複数名訪問看護加算 医療・介護の両方 医療は同一日の利用者人数で金額が分かれる/介護は同行者が看護師等か看護補助者かで分かれる
夜間・早朝/深夜の加算 医療・介護の両方 医療は定額の加算、介護は所定単位数に対する率(25%・50%)
ターミナルケア療養費(医療)/ターミナルケア加算(介護) 医療・介護の両方 医療25,000円または10,000円/介護2,500単位。介護予防では算定不可

「緊急訪問看護加算」「24時間対応体制加算」「緊急時訪問看護加算」の3つは特に紛らわしく、1文字違いで保険も性格も変わります。この3すくみは訪問看護の緊急訪問看護加算|医療と介護で違う3つの加算を整理で解きました。

特に危ないのが特別地域の加算です。名称がほぼ同じなのに率が3倍以上違い、届出の要否も逆になっています。

名称の取り違えは、過剰算定だけでなく算定漏れの原因にもなります。「介護では算定できない」と誤解して医療側の算定まで止めてしまうケースが典型です。

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5. 届出はどこに出すのか

早見表の「届出」欄には、実は2つの別々の制度が入っています。

医療保険 介護保険
届出の名称 訪問看護ステーションの基準に係る届出(施設基準) 介護給付費算定に係る体制等に関する届出(体制届)
提出先 地方厚生(支)局長 都道府県知事または市町村長(指定権者)
算定開始日 月末までに受理されれば翌月から。月の最初の開庁日に受理されれば当月1日から 毎月15日以前の届出は翌月から、16日以降は翌々月から

期限の考え方が違います。 医療保険は月末まで、介護保険は15日まで。同じ月に両方を出すつもりで動くと、介護保険側だけ算定開始が1か月後ろにずれます。

介護保険側の根拠は平成12年3月1日老企第36号の第一の1(5)です。

届出に係る加算等(算定される単位数が増えるものに限る。以下同じ。)については、適正な支給限度額管理のため、利用者や居宅介護支援事業者に対する周知期間を確保する観点から、届出が毎月一五日以前になされた場合には翌月から、一六日以降になされた場合には翌々月から、算定を開始するものとすること。

括弧書きのとおり、この15日のルールがかかるのは算定される単位数が増えるものに限られます。減算に関する届出は対象外です。

届出を出していないために算定できていない、という状態は運営指導でも確認の対象になります。二系統の届出をどう管理するかは訪問看護の開業|事務とレセプト請求の体制訪問看護の運営指導対策|通知が来てからの準備と当日の流れに。

届出の棚卸しはできていますか。 二系統の届出は、担当者が変わった時点で管理が切れます。次のどれかに当てはまるなら、算定できるはずの加算が止まっている可能性があります。

  • 直近1年に出した届出の控えが、医療・介護それぞれ一覧になっていない
  • 人員配置が変わったときに体制届を出し直したか、誰も覚えていない
  • 加算の要件を満たした月と、届出を出した月がずれている

ainaruでは請求代行のご相談時に、届出の状況と算定中の加算の突合を行っています。届出と算定の突合について相談する

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6. 令和9年6月以降に上がるもの

今の金額だけを見ていると見落とすのが、この二段階の引き上げです。告示第74号には、令和9年6月以降の額があらかじめ書かれています。

項目 令和8年6月から 令和9年6月以降
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ) 1,050円 2,100円
訪問看護物価対応料1 月の初日 60円/2日目以降 20円 各100分の200(120円/40円)
訪問看護物価対応料2 20円 100分の200(40円)

告示の注にはこう定められています。

1及び2に規定する所定額については、令和9年6月以降は、当該所定額の100分の200に相当する額を算定する。

賃金や事業計画を組むときに効いてくる数字です。なお訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)の各区分の額は掲載していません(→載せていない項目)。

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7. 加算の算定漏れが起きやすい4つの場所

早見表を眺めても、実際に取りこぼすのはいつも決まった場所です。

届出を出していない。 表の「届出」欄が必要になっている項目は、要件を満たしていても届け出なければ1円も算定できません。過去には、無届出のまま24時間対応体制加算や特別管理加算を算定していた事業者が確認され、厚生労働省保険局医療課が事務連絡を出した例があります。

利用者の状態が変わったのに、加算の対象かどうかを見直していない。 特別管理加算のように状態に連動する加算は、判定のタイミングを個人の気づきに任せると状態変化の月から漏れが始まります。

名前が似た加算を取り違えて、算定自体をやめてしまう。 4章のとおりです。

保険の切り替わりを追えていない。 要介護認定を受けていても、別表第七に該当する場合、特別訪問看護指示書が交付されている期間、精神科訪問看護基本療養費を算定する場合は医療保険になります。同じ利用者の同じ月が両保険に分かれることがあります。

どちらの保険になるかは、届いた訪問看護指示書の主たる傷病名と装着・使用医療機器等の欄で決まります。指示書のどこを見るかは訪問看護指示書とは|有効期間6か月・様式16と押印【R8.6】で解説しています。

この切り替わりの判定と、別表第七・別表第八がどの加算をどう開くかの一覧表は、訪問看護の別表7・別表8の記事で条文つきで整理しています。

特別訪問看護指示書のほうは、14日の起算日と、交付の週・14日目の週に残る週3日の限度を特別訪問看護指示書|14日の数え方と月2回・レセプト記載で扱っています。

なお令和8年6月からは、紹介料等の経済上の利益供与による利用者の誘引が人員・運営基準で禁止されました(疑義解釈その8)。加算の話ではありませんが、同じ改定で入った新しい運営上の制限です。

漏れに気づいたときに遡れる期間は医療保険が5年、介護保険が2年で非対称です。手続きも含めて訪問看護の加算算定漏れ|遡及請求の期限は医療5年・介護2年にまとめました。返戻になったときの読み方と再請求の手順は訪問看護のレセプト返戻|原因と再請求の手順に。

取りこぼしは「知らなかったから」ではなく「見る人がいないから」起きます。月次で届出・状態変化・保険区分を突き合わせる工程を外に出すという選択肢があります。訪問看護のレセプト請求代行について見る

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8. よくある質問

Q1. 令和8年6月改定で、介護保険の訪問看護の単位数は変わりましたか。

変わっていません。告示第87号による訪問看護費の改正は介護職員等処遇改善加算の新設のみで、基本報酬も既存の加算も令和6年度改定の単位数のままです。

Q2. 機能強化型訪問看護管理療養費3と4が同じ9,030円なのは誤植ですか。

誤植ではありません。告示第74号の表でどちらも9,030円と定められています。違うのは金額ではなく要件のほうです。

Q3. 令和8年6月に新設された項目で、届出が要らないものはありますか。

訪問看護物価対応料1と2です。新設項目のなかでこの2つだけが届出不要で、包括型訪問看護療養費・訪問看護遠隔診療補助料・訪問看護医療情報連携加算・機能強化型訪問看護管理療養費4はいずれも届出が必要です。

Q4. 医療保険と介護保険の届出を同じ日に出しても大丈夫ですか。

算定開始日がずれます。医療保険は月末までに受理されれば翌月から算定できますが、介護保険は15日以前でなければ翌月からになりません。16日に両方出すと、介護保険側だけ翌々月からの算定です。

Q5. 処遇改善加算の1.8%は、何に対して掛けるのですか。

基本サービス費に各種の加算・減算(処遇改善加算を除く)を加えた、1月あたりの総単位数に対して1000分の18を乗じます。区分はなく単一です。

Q6. 加算の算定漏れは、どのくらいの金額になりますか。

月1回の加算をひとつ落とすだけでも年間では大きくなります。24時間対応体制加算イ(月6,800円)を利用者30人分・1年間取りこぼした場合、約245万円です。届出を出していなかったために算定していなかった、という形の漏れが実務では起きやすく、しかも遡って請求できる期間は医療保険5年・介護保険2年に限られます。

Q7. この早見表に載っていない加算はどう調べればよいですか。

本記事は一次資料で裏が取り切れた項目だけを載せています。表にないものが算定できないという意味ではありません。載せていない項目は記事末の一覧にまとめました。医療保険は厚生労働省告示第74号、介護保険は指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の別表でご確認ください。

この章の出典


9. 加算の取りこぼしを止めるには、一覧より月次の突合

一覧を手元に置いても取りこぼしは減りません。実際に漏れるのは、届出を出した月と要件を満たした月がずれている、状態が変わった利用者の加算を誰も見直していない、保険の振り分けが先月のままになっている、といった管理の隙間です。月に一度、届出の控えと算定実績を並べて見る人がいれば、その多くは止まります。

金額で見ると規模がわかります。24時間対応体制加算イは月6,800円。利用者30人分を1年間取りこぼすと約245万円です。しかも届出を出していなかったことが原因の場合、遡って請求できる期間は医療保険で5年、介護保険で2年に限られます。

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精神科訪問看護の加算・基本療養費(別記事)

精神科訪問看護は点数表が別建てで、一般の訪問看護基本療養費とは同じ日に併算定できません。区分数が多いためこの早見表には含めず、精神科訪問看護基本療養費|令和8年6月改定の区分と算定要件に金額と算定要件をまとめました。次の項目が対象です。

項目 区分の軸 届出
精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅲ)(Ⅳ) 同一建物の人数5段階×日数×職種×訪問時間 必要
精神科複数回訪問加算 1日2回/3回以上×同一建物の人数5段階 必要
複数名精神科訪問看護加算 同行者の職種3種×回数×同一建物の人数5段階 不要
精神科緊急訪問看護加算 月14日目まで/月15日目以降 不要
長時間精神科訪問看護加算 5,200円・週1日(定める者は週3日) 不要

令和8年6月改定でいちばん影響が大きいのは、同一建物の人数が10人以上になると算定の数え方が「週」から「月」に変わる点です。しかもこの人数は、同一日に訪問看護基本療養費・精神科訪問看護基本療養費・包括型訪問看護療養費を算定する利用者を合算して数えます。詳細は精神科訪問看護基本療養費の記事をご覧ください。

あわせて、精神科の利用者に多い自立支援医療(精神通院医療)は、加算ではなく医療保険の自己負担部分にかかる公費です。負担上限月額の管理、上限額管理票の記入、レセプトの公費欄(法別番号21)の書き方は訪問看護の自立支援医療|上限額管理票の記入と公費の優先順位で扱いました。


この記事に金額を載せていない項目

本記事は令和8年3月の告示原文で数値を確認できた項目だけを掲載しています。次の項目は、原本の読み取りが確定できなかったか、区分が多く早見表の形に収まらなかったため金額を載せていません。算定できないという意味ではありません。

項目 保険 載せていない理由 確認先
訪問看護基本療養費(Ⅱ) 医療 5つの人数区分×日数区分で区分数が多い(構造は2-1に記載) 告示第74号
複数名訪問看護加算 医療 同一日の人数で区分が多数 告示第74号
難病等複数回訪問加算 医療 同上 告示第74号
夜間・早朝/深夜訪問看護加算 医療 同上 告示第74号
訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ) 医療 注の読み取りが相互に矛盾 告示第74号
精神科訪問看護基本療養費 医療 本記事の対象外(別記事で扱う予定) 告示第74号
同一建物居住者減算 介護 率は複数資料で一致したが、適用条件の逐語が未取得 算定基準 別表
理学療法士等が1日2回を超える場合の減算 介護 単一資料のみ 算定基準 別表
介護予防訪問看護の12月超の減算 介護 単一資料のみ 算定基準 別表

順次、告示原文にあたって追加していきます。


参考・出典一覧

厚生労働省(医療保険)

厚生労働省(疑義解釈)

厚生労働省(介護保険)

地方厚生局

自治体