最終確認日:令和8年8月5日|反映済みの疑義解釈:その1〜その11(令和8年7月30日発出分まで。訪問看護指示料に触れているのはその1の問36のみ)

訪問看護指示書は、主治医から訪問看護ステーションに交付される文書です。これがなければ訪問看護は始まりません。有効期間は6か月が上限で、令和8年6月から様式が変わりました。

変わったのは医師の欄です。「医師氏名   印」から「医師署名(又は記名押印)」になりました。ここで2つの誤りが起きています。ひとつは変更に気づかず「捺印がないので差し戻してください」と医療機関に連絡してしまうこと。もうひとつは逆方向に振れて「押印は不要になった」と理解してしまうこと。どちらも正確ではありません。なお計画書・報告書の側は、様式ではなく要件そのものが廃止されています。この書き分けは訪問看護計画書・報告書の書き方で整理しました。

この記事では、指示書の役割と5つの種類、様式16の全項目、押印の扱い、有効期間6か月の根拠、交付できる医師の範囲、レセプトの<指示期間>欄までを、告示・通知・様式の原文で確認して整理しました。一次資料で裏が取れなかった点は、そのまま書いています。

先に結論

問い 答え
訪問看護指示書とは何か 主治医が訪問看護ステーションに交付する、訪問看護の実施を指示する文書。医療保険でも介護保険でも必要(→1章
有効期間の上限は 6か月。交付する側の要件と算定する側の要件の両方に書かれています(→3-1
有効期間が空欄で届いたら 不備ではありません。1か月の指示なら記載を要しないと定められています。ただし期間の定めがないわけでもありません(→3-2
押印はどうなったのか 様式から押印欄が消え「医師署名(又は記名押印)」に。自署なら押印不要、印字やゴム印は押印が必要(→2-2
複数の医師から指示書をもらえるか 原則できません。ただし同一医療機関・同一診療科の共同診療なら可(→4-1
老健・介護医療院の医師は 「退所時の場合」に限り交付できます。特別指示書とは扱いが違う(→4-3
レセプトには何を書くか 「情報」欄の<指示期間>に最新の指示書の有効期間。前月分を書く規定はない(→8章
指示書はいくらか 医療機関が算定するC007 訪問看護指示料が300点。月1回が限度(→9-1

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1. 訪問看護指示書とは|書類の役割と5つの種類

1-1. 主治医から訪問看護ステーションへ交付される文書

訪問看護指示書は、主治医が診療に基づいて訪問看護の必要性を認め、患者の同意を得たうえで、その患者が選んだ訪問看護ステーションに交付する文書です。様式は厚生労働省が別紙様式16として定めています。

流れは次のようになります。

  1. 利用者・家族・ケアマネジャー・病院の退院支援部門などから、ステーションに相談が入る
  2. ステーションが主治医に指示書の交付を依頼する
  3. 主治医が診療に基づいて必要性を判断し、指示書を交付する
  4. ステーションが指示書に基づいて訪問看護計画書を作成し、訪問を開始する
  5. 訪問の結果を訪問看護報告書として主治医に提出する

指示書は訪問の根拠であり、同時に請求の根拠でもあります。指示書がなければ訪問看護療養費は算定できず、指示期間の外の日に訪問した分は請求時点で機械に弾かれます(→3-4)。

1-2. 介護保険の訪問看護でも指示書は必要

医療保険と介護保険のどちらで訪問しているかにかかわらず、指示書は必要です。介護保険側は、指定居宅サービス等の人員・設備・運営基準の第69条第2項が定めています。

指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供の開始に際し、主治の医師による指示を文書で受けなければならない。

同条の第1項は、管理者が主治医の指示に基づいて訪問看護が行われるよう管理することを求めています。第4項には、その事業所が医療機関である場合(みなし指定の訪問看護)は、診療記録への記載をもって文書の指示に代えられるという例外があります。

使う様式は同じ別紙様式16です。医療機関が指示書を交付したときに算定する点数(C007 訪問看護指示料)も、医療保険・介護保険で分かれていません。このあとの3-1で見るように6か月の上限は交付する側の要件なので、介護保険で訪問している利用者の指示書も同じ6か月です。

一方、3-1の引用に出てくる「週3日を限度」は訪問看護療養費(医療保険)側の規定で、介護保険の訪問看護には当てはまりません。6か月は共通、週3日は医療保険だけ。取り違えやすいところです。

1-3. 届いた指示書のどこを見れば保険が決まるか

指示書は「訪問看護をしてよい」という許可であると同時に、どちらの保険で請求するかを決める材料でもあります。要介護・要支援の認定を受けている人は原則として介護保険が優先しますが、指示書の記載によっては医療保険に切り替わります。見る場所は3つです。

見る欄 何が決まるか
主たる傷病名(1)〜(3) 別表第七に該当する疾病等なら、要介護認定を受けていても医療保険
装着・使用医療機器等/褥瘡の深さ 別表第八に該当する状態なら、週4日以上・1日複数回の訪問ができる
表題の○と、特別訪問看護指示書が出ているか 特別訪問看護指示書が交付されている期間は医療保険

要介護認定を受けていない人、40歳未満の人、16特定疾病に該当しない40〜64歳の人は、そもそも医療保険です。判定の順序と別表第七・第八の全項目は訪問看護の別表7・別表8|違いと令和8年6月改定の追加項目にまとめました。

ここを取り違えると、指示書の内容が正しくても請求の保険が丸ごと違うことになります。受領時に主たる傷病名と医療機器の欄を見る流れは、6-1のチェックリストに入れてあります。

1-4. 5つの指示書と様式番号

訪問看護に関係する指示書は5つあります。様式番号で整理すると迷いません。

様式 名称 主な用途
別紙様式16 訪問看護指示書 通常の訪問看護。有効期間は6か月を限度
別紙様式16(同じ紙) 在宅患者訪問点滴注射指示書 週3日以上の点滴注射。有効期間は7日以内
別紙様式17 精神科訪問看護指示書 精神科訪問看護基本療養費を算定する場合
別紙様式17の2 精神科特別訪問看護指示書 精神科で一時的に頻回の訪問が必要なとき
別紙様式18 特別訪問看護指示書 一時的に頻回の訪問が必要なとき。14日を限度

在宅患者訪問点滴注射指示書と1枚の紙になっているのは、様式16・様式17の2・様式18の3つです。様式17(精神科訪問看護指示書)だけは併記がありません。1枚の紙にどちらの指示書も刷られているので、表題の注記「※該当する指示書を○で囲むこと」で、どちらとして交付されたのかが決まります。

点滴注射指示書の有効期間は7日以内です。近畿厚生局が令和8年6月1日適用分として公開しているQ&Aに「当該保険医は、在宅患者訪問点滴注射指示書に有効期間(7日以内に限ります。)及び指示内容を記載して指示を行います」とあります。

特別訪問看護指示書は、交付要件・14日の数え方・月2回出せる条件・レセプトの<特別指示期間>まで独立した論点が多いので、特別訪問看護指示書|14日の数え方と月2回・レセプト記載に分けてあります。

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2. 令和8年6月に変わったのは様式|押印欄はどうなったか

2-1. 医師欄の新旧対照

別紙様式16の一番下、医師が記入する欄の見出しが変わりました。

医師の欄の見出し
令和6年版 医師氏名       印
令和8年版 医師署名(又は記名押印)

「印」という記号の枠がなくなり、代わりに「医師署名(又は記名押印)」という見出しが入りました。この変更は様式16だけではありません。別紙様式17(精神科訪問看護指示書)、様式17の2(精神科特別訪問看護指示書)、様式18(特別訪問看護指示書)も、すべて同じ文言です。

2-2. 「押印が不要になった」ではない

取り違えると、医療機関との間で無用なやり取りが発生します。

厚生労働省の改定説明資料は、書類によって書き方を変えています。並べると差が見えます。

訪問看護計画書及び訪問看護報告書について、書面の場合には署名・押印を求めないこととし、様式例から押印欄を削除する。

医師の署名又は記名・押印が必要な訪問看護指示書について、様式の押印欄を削除する様式変更を行う。

計画書・報告書は「署名・押印を求めないこととし」で、要件そのものを外しています。一方の指示書は「医師の署名又は記名・押印が必要な訪問看護指示書について」と、要件が続いていることを前提にしたうえで「様式の押印欄を削除する」と書いている。消えたのは様式の㊞枠だけで、押印の要否のルールはそのまま残っています。

様式の新しい見出しも同じ構造です。「医師署名(又は記名押印)」は、署名と記名押印が並列に置かれています。この定型句の読み方はこうなります。

  • 医師が自分で手書きした署名(自署)がある → 押印は不要
  • 記名だけ → 押印が必要

そして、実務で効くのはここから先です。電子カルテから印刷された医師名、ゴム印、事務職員による代筆は、いずれも「記名」です。押印が要ります。「署名」は医師が手書きしたものだけを指します。電子カルテからの印字で届く指示書がある以上、現場では「記名+押印」が引き続き標準だと考えて差し支えありません。

なお、この読み分けは厚生労働省が「自署なら押印不要」と明示した規定があるわけではなく、説明資料の書き分けと様式の文言から導けるものです。判断に迷う指示書が届いたときは、医療機関に確認するのが確実です。

2-3. 従前の様式も使える

説明資料には但し書きが付いています。

※ 従前の様式も引き続き使用可能。

令和6年版の「医師氏名       印」の様式で届いても、それだけで受け取れないということはありません。医療機関の電子カルテの様式更新は一斉には進まないので、しばらくは新旧が混在します。

2-4. 受け取ったときにどう扱うか

以上をまとめると、届いた指示書の医師欄を見る順序はこうなります。

  1. 医師名が手書きか、印字・ゴム印かを見分ける
  2. 手書きの署名なら、押印の有無は問いません
  3. 印字・ゴム印・代筆なら、押印があるかを確認する
  4. 記名も押印もない、あるいは医師名の欄が空欄 → 医療機関に確認

「捺印がないから不備」と機械的に判断しないこと。そして「もう押印は要らないので」と説明しないこと。この2つを避けられれば、この改定への対応は足ります。

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3. 訪問看護指示書の有効期間|6か月の上限と期限切れの扱い

結論を先に書きます。上限は6か月です。数え方は、様式に医師が記入した終了日が基準になります。そして有効期間が空欄の指示書は、不備ではありません。

3-1. 6か月は「交付する側」と「算定する側」の両方に書かれている

「訪問看護指示書は最長6か月」は広く知られていますが、その根拠がどこにあるかを書いた記事はほとんどありません。実は2か所にあります。

交付する側。医科点数表のC007 訪問看護指示料の留意事項です。

訪問看護指示料は、(略)別紙様式16及び別紙様式17を参考に作成した訪問看護指示書に有効期間(6月以内に限る。)を記載して、当該患者が選定する訪問看護ステーションに対して交付した場合に算定する。

算定する側。訪問看護療養費の留意事項通知、第2の1(1)です。

その主治医(略)から交付を受けた訪問看護指示書及び訪問看護計画書に基づき、訪問看護ステーションの保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下「看護師等」という。)が、当該指示書に記載された有効期間内(6か月を限度とする。以下同じ。)に行った指定訪問看護について、利用者1人につき週3日を限度として算定する。

医療機関が6か月を超える指示書を交付すればC007の算定要件を外れ、ステーションが6か月を超える期間の訪問を請求すれば訪問看護療養費の算定要件を外れる。どちらの側にも歯止めがかかっている構造です。

ここから帰結がひとつ出ます。6か月の上限は交付する側の要件でもあるので、介護保険で訪問している利用者の指示書も同じ6か月です。一方、上の引用にある「週3日を限度」は訪問看護療養費の側の規定なので、こちらは医療保険の訪問だけの話です(週4日以上が算定できる別表第七・別表第八の該当者などの範囲は訪問看護の別表7・別表8|違いと令和8年6月改定の追加項目にまとめました)。

なお、C007の留意事項については、令和8年適用版の原本(保医発0305第6号 別添1)が大容量で該当ページまで到達できませんでした。上の引用は厚生労働省の法令等データベースと、近畿厚生局が公表している個別指導の指摘事項資料の2系統で同文を確認したものです(→開示)。

起算日と満了日の数え方(応当日の前日までか、暦の月で数えるか)を定めた記述は、告示・留意事項通知・記載要領のいずれにも見当たりませんでした(→開示)。様式16が開始日と終了日の両方を医師に書かせる形式なので、記載された終了日が基準になると読めます。

3-2. 有効期間が空欄の指示書は不備ではない

上位に出てくる解説記事のうち、この点に触れているものは確認した範囲で見当たりませんでした。C007の留意事項には、続きがあります。

なお、1か月の指示を行う場合には、訪問看護指示書に有効期間を記載することを要しない。

つまり、1か月だけの指示を出すのであれば、医師は有効期間を書かなくてよい。有効期間の欄が空欄の指示書は、それ自体が不備ではありません。

そして、この規定と対になっているのが、訪問看護療養費請求書等の記載要領の次の一文です。

なお、指示年月日の記載がない場合は、指示書の有効期間を交付後1か月とみなすこと。

医師の側が「1か月なら書かなくてよい」とされ、請求の側が「書かれていなければ1か月とみなす」と受ける。少なくとも、空欄は書き漏れだから医療機関に直してもらう、という扱いは要りません。

ただし、この2つは条件節が揃っていません。C007側は「有効期間を記載しない」場合、記載要領側は「指示年月日の記載がない」場合です。記載要領の「指示年月日」が様式末尾の交付年月日を指すのか、訪問看護指示期間の欄の日付を指すのかは明示されていません(→開示)。「空欄なら自動的に交付日から1か月」と機械的に処理してよい、と明文で保証されているわけではないということです。

実務としては、こう置くのが安全です。

  • 空欄で届いた → 受け取りを拒む・差し戻すという扱いはしない。ただしレセプトの<指示期間>には日付を書く欄がある以上、何を書くかは決めなければならない
  • 1か月で終わる見込みの訪問 → 交付日から1か月として管理し、<指示期間>にもその期間を記載する
  • 1か月を超えて訪問が続く見込みがある → 空欄のまま走らせない。次の依頼の段階で、期間を記入した指示書を出してもらうほうが早くて確実です(→7章
  • 判断に迷う → 医療機関に「この指示書は何月何日までの指示か」を確認し、確認した内容・日付・相手の氏名を記録に残す

危ないのは、空欄を「期間の定めなし」と読んで訪問を続けることです。2か月目から請求が通りません。空欄は不備ではないが、期間の定めがないわけでもない。ここが正しい理解です。

3-3. 呼び名が4つあるが、指しているものは同じ

この論点を読みにくくしているのは、同じものが資料ごとに違う名前で呼ばれていることです。

呼び名 出てくる場所
有効期間 留意事項通知(交付側・算定側の両方)
訪問看護指示期間 様式16の欄の名前
指示有効期間 訪問看護療養費請求書等の記載要領
<指示期間> 訪問看護療養費明細書(レセプト)の「情報」欄

4つとも同じものを指しています。支払基金の事務点検ASPのメッセージは「指示期間」と呼びます。以下、本記事では制度の話は「有効期間」、レセプトの話は「<指示期間>」で統一します。

3-4. 6か月超は支払基金の事務点検ASPが弾く

指示期間の誤りは、請求を送信した時点で機械が拾います。社会保険診療報酬支払基金の「受付・事務点検ASPに係るチェック一覧(訪問看護)」令和8年7月版に、指示期間に関するチェックが3つあります。

項番 コード 画面に出るメッセージ エラーの原因
165 L3943 指示期間又は、特別指示期間の日数が超過しています。 訪問看護指示の指示期間が6か月を超えている/特別訪問看護指示の指示期間が14日を超えている
164 L3942 重複する指示期間または不要な特別訪問看護指示期間が記録されています。もしくは、指示期間と特別指示期間が不一致です。 指示レコードの重複・欠落・不一致(7項目)
162 L3940 療養費の算定年月日が指示期間内の記録ではありません。 指示期間の外の日に行った訪問を請求している

コードの先頭の「L3」が重要度の分類、続く数字が個別のチェック番号です。3000番台のL3エラーは、同じ資料の凡例で「レセプト内でエラーが確認され、要確認となったもの(返戻となる要確認レセプト)」と定義されています。この3つはいずれも「受付不能ASP」欄に●が付いており、ステーション側の修正を必須とするチェックです。

項番164には、令和8年6月からの新しいチェックが加わっています。

(7)指定訪問看護年月が令和8年6月以降の場合、HJ.指示区分”02”及び”04”のHJ.指示期間(自)に指定訪問看護年月の前々月以前の日付が記録された。

特別指示・精神科特別指示の開始日として、請求月の前々月以前の日付を記録するとエラーになる、という内容です。改定前のデータをコピーして作った請求で当たりやすい箇所です。

送信の時点で気づけば、その場で直せば済みます。ASPの結果を毎回確認する習慣があるかどうかで、防げる返戻の数が変わります。返戻が返ってきてからの追い方は訪問看護のレセプト返戻にまとめました。

3-5. 7か月の指示書が届いたら

有効期間が6か月を超えた指示書が届くことがあります。このとき、こちらで勝手に6か月に切って<指示期間>に記載する、という処理はできません。<指示期間>は指示書に記載された期間を書く欄だからです。7か月と記載して請求すればL3943で弾かれます。

対応は、医療機関に指示期間の訂正を依頼することです。訂正が間に合わないうちに月をまたぐ見込みなら、先に医療機関へ連絡しておきます。

3-6. 有効期間が切れたまま訪問してしまったら

有効期間の満了に気づかず訪問した、という事故は起こります。このときどうなるかを定めた明文には、行き当たりませんでした(→開示)。分かっているのは次の2点です。

  • 算定要件は「当該指示書に記載された有効期間内に行った指定訪問看護について」算定するという書き方なので、期間外の訪問はこの要件を満たしません
  • 請求すれば、算定年月日が指示期間の外にあるものとしてL3940で拾われます

遡って有効期間を延ばした指示書を交付してもらえるか、その分をどう扱うかについては明文がないため、管轄の地方厚生局に確認してください。期限管理でこの事故を起こさないことが、結局のところ唯一の対策です。

3-7. 特別訪問看護指示書が出ている期間の数え方

特別訪問看護指示書が交付されている間も、通常の訪問看護指示書は失効しません。2本が並行して走り、レセプトには<指示期間>と<特別指示期間>の両方が記録されます。片方だけを書いたり、特別指示期間が終わったのに記録が残っていたりすると、8-4のL3942に当たります。通常の指示書の満了日は、特別指示が出ている間も別に数え続けてください。特別指示書側の14日の数え方は特別訪問看護指示書|14日の数え方と月2回・レセプト記載にまとめました。

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4. 訪問看護指示書を交付できるのは誰か

4-1. 主治医は1人。ただし例外がある

指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の解釈通知は、主治医の定義とあわせて、はっきり書いています。

主治医とは、利用申込者の選定により加療している保険医療機関の保険医をいい、主治医以外の複数の医師から指示書の交付を受けることはできないものであること。

利用者が内科と整形外科にかかっていて、両方から指示書が届いた。この状態は成り立ちません。どちらか一方に決めます。

ただし、近畿厚生局が令和8年6月1日適用分として公開しているQ&Aに、実務上の例外が示されています。同一の保険医療機関の同一診療科で共同して診療にあたっている複数の医師がいる場合、そのいずれかの医師から交付された指示書であれば差し支えない、というものです。

主治医が休暇中で同じ科の別の医師が書いた。この場合まで「複数の医師から交付を受けた」と扱う必要はありません。線は「別の医療機関の医師」か「同じ医療機関・同じ診療科の医師」かで引かれます。

4-2. 二つ以上の医療機関にかかっているときは「訪問看護が必要な理由の傷病」で決まる

では、本当に二つ以上の保険医療機関を受診している場合はどうするか。同じQ&Aに答えがあります。

複数の傷病を有する利用者が複数の保険医療機関で診療を受けている場合は、指定訪問看護が必要となる主傷病の診療を担う主治医によって交付された訪問看護指示書に基づいて行われた訪問看護について、訪問看護療養費を算定できる、と書かれています。ここでいう「主傷病」は通知の文言で、様式16の「主たる傷病名」の欄とは別の概念です(→5-2)。

判定の基準は「かかっている医療機関の数」でも「診ている期間の長さ」でもありません。その訪問看護が必要になっている理由の傷病を、どの医師が診ているか。これで決まります。

精神疾患のある利用者が他科にもかかっている場合には、もうひとつ答えがあります。精神科の医師が、他科の医師から提供された診療情報を踏まえて精神科訪問看護の必要性を医学的に判断したうえで指示書を交付した場合は算定できる、というものです。

4-3. 老健・介護医療院の医師は「退所時の場合」に限る

特別訪問看護指示書とは扱いが違うので、並べて覚えてください。

算定要件を定めた保発0305第19号 第2の1(1)の主治医の定義は、括弧書きで範囲を限定しています。

その主治医(保険医療機関の保険医又は介護老人保健施設若しくは介護医療院の医師に限る。(ただし、介護老人保健施設又は介護医療院の医師については「退所時の場合」に限る。)以下同じ。)

つまり通常の訪問看護指示書について、老健・介護医療院の医師は退所時の場合に限って交付できます。全面的に締め出されているわけではありません。

一方、特別訪問看護指示書のほうは違います。告示第67号の注6が、主治医から「介護老人保健施設又は介護医療院の医師を除く」と書いており、退所時という例外もありません。

通常の訪問看護指示書 特別訪問看護指示書
保険医療機関の保険医
老健・介護医療院の医師 退所時の場合に限り○ ×(全面除外)

なお4-1で引いた運営基準の解釈通知は、主治医を「保険医療機関の保険医」と定義しています。老健・介護医療院の医師を退所時に限って含めているのは保発0305第19号のほうで、2つの通知は範囲の書き方が揃っていません。訪問看護療養費を算定するかどうかの判断は、算定要件を定めた留意事項通知の側で行います。

同じ「老健の医師」でも、書いてもらえる指示書が違います。詳しい交付要件と14日の数え方は特別訪問看護指示書|14日の数え方と月2回・レセプト記載にまとめました。

4-4. 精神科は精神科標榜医療機関の精神科担当医に限る

精神科訪問看護基本療養費を算定する場合、指示書は精神科訪問看護指示書(別紙様式17)で、交付できる医師の範囲も狭くなります。

それらの者の主治医(精神科を標榜する保険医療機関において精神科を担当する医師に限る。第3において同じ。)から交付を受けた精神科訪問看護指示書及び精神科訪問看護計画書に基づき

精神科を標榜していない医療機関の医師は交付できません。通常の訪問看護指示書とは主治医の範囲が別に定められています。精神科訪問看護基本療養費の区分と算定要件は精神科訪問看護基本療養費|令和8年6月改定の区分と算定要件で扱っています。

日数の限度にもひとつ注意点があります。同じ通知の第3の2(2)は、精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)の日数を「精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)及び訪問看護基本療養費(Ⅰ)(ハを除く。)及び(Ⅱ)(ハを除く。)を算定する日と合わせて週3日(当該利用者の退院日から起算して3月以内(ただし退院日は含まない。)の期間において行われる場合は週5日)を限度とする」と定めています。合算対象に(Ⅲ)が入ることと、退院日から3月以内は週5日という例外があることを落とすと、算定できるはずの日数を取りこぼします。区分ごとの詳細は精神科訪問看護基本療養費|令和8年6月改定の区分と算定要件へ。

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5. 別紙様式16を上から読む|全項目と見方

5-1. 全欄一覧

令和8年版の様式16は、上から次の構成です。届いた紙と突き合わせながら読んでください。

様式16の全欄一覧を開く
位置
表題 訪問看護指示書/在宅患者訪問点滴注射指示書(※該当する指示書を○で囲むこと
期間 訪問看護指示期間( 年 月 日 ~ 年 月 日)
期間 点滴注射指示期間( 年 月 日 ~ 年 月 日)
患者 氏名/生年月日/年齢/住所/電話
傷病名 主たる傷病名(1)(2)(3)+傷病名コード
現在の状況 病状・治療状態
現在の状況 投与中の薬剤の用量・用法(1〜6の6行)
現在の状況 日常生活自立度:寝たきり度(J1・J2・A1・A2・B1・B2・C1・C2)/認知症の状況(Ⅰ・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ・M)
現在の状況 要介護認定の状況(要支援 1・2/要介護 1〜5)
現在の状況 褥瘡の深さ(DESIGN-R2020分類/NPUAP分類
現在の状況 装着・使用医療機器等(1〜13)
指示事項 Ⅰ 療養生活指導上の留意事項
指示事項 Ⅱ 1.理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が行う訪問看護/2.褥瘡の処置等/3.装着・使用医療機器等の操作援助・管理/4.その他
指示事項 在宅患者訪問点滴注射に関する指示(投与薬剤・投与量・投与方法等)
連絡 緊急時の連絡先/不在時の対応法
連絡 特記すべき留意事項
連携 他の訪問看護ステーションへの指示(無・有:指定訪問看護ステーション名)
連携 たんの吸引等実施のための訪問介護事業所への指示(無・有:訪問介護事業所名)
末尾 上記のとおり、指示いたします。/年月日/医療機関名/住所/電話/FAX/医師署名(又は記名押印)/宛先の欄

特記すべき留意事項の欄には、注記が付いています。薬の相互作用・副作用についての留意点、薬物アレルギーの既往、定期巡回・随時対応型訪問介護看護および複合型サービス利用時の留意事項等があれば記載する、という内容です。

5-2. 主たる傷病名は(1)〜(3)、傷病名コード欄つき

主たる傷病名を書く枠は3つあります。傷病名コードを書く欄も併設されています。

3つ書けるということは、複数の傷病名が並ぶ指示書が普通にあるということです。ここで問題になるのが、別表第七に該当するかどうかの判定です。複数の傷病名が並んだときに、どれを「主たる」とするかの順位の付け方を定めた規則は置かれていません(調べた範囲で)。判定が割れそうなときは主治医に確認して記録に残してください。別表第七・別表第八の全項目と判定のしかたは訪問看護の別表7・別表8|違いと令和8年6月改定の追加項目にあります。

なお、4-2で出てきた「主傷病」は、指定訪問看護が必要になっている理由の傷病を指す言葉で、様式のこの欄の(1)に書かれたものと必ず一致するとは限りません。どの医師に指示書を依頼するかを決めるときは、様式の記載順ではなく訪問の目的で考えます。

5-3. Ⅱの1は「リハビリテーション」ではない

留意事項及び指示事項のⅡは、4項目に分かれています。その1番目の項目名は、「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が行う訪問看護」です。

「リハビリテーション」ではありません。訪問看護ステーションからリハビリ職が訪問するものは、制度上あくまで訪問看護の一形態という位置づけで、様式の文言もそれに合わせてあります。医師にこの欄の記入を依頼するとき、「リハビリの欄」と呼ぶと様式上の該当箇所が伝わらないことがあります。

依頼のときに効くのは、名称よりも記載の中身です。この欄が「リハビリ実施」の一言で終わっていると、何を週何回行う指示なのかが読み取れません。1回あたりの時間と週あたりの回数まで書いてもらうと、計画書との突き合わせも運営指導での説明も楽になります。欄の番号(Ⅱの1)で指定して依頼してください。

5-4. 褥瘡の深さはDESIGN-R2020分類とNPUAP分類

褥瘡の深さの欄には、2つの分類が併記されています。日本褥瘡学会のDESIGN-R2020分類と、NPUAP分類です。

旧称の「DESIGN分類」と書かれた古い資料や解説が残っているので、様式や記事の版を見るときの目印になります。真皮を越える褥瘡は特別管理加算の対象であり、特別訪問看護指示書を月2回交付できる条件でもあります。加算側の要件は訪問看護の特別管理加算|令和8年6月改定と医療・介護の違いで扱っています。褥瘡と医療機器の記載は、ほかにどの加算が取れるかの判断材料にもなります。算定できる加算の全体像は訪問看護の加算一覧・早見表|医療と介護/令和8年6月改定対応にまとめました。

5-5. 他のステーション・訪問介護事業所への指示欄

様式の下のほうに、連携先を書く欄が2つあります。

他の訪問看護ステーションへの指示。 「無・有」を選び、有なら指定訪問看護ステーション名を書きます。主治医は1人でも、訪問看護ステーションは複数入ることがある。その構造がこの欄に表れています。

たんの吸引等実施のための訪問介護事業所への指示。 訪問介護事業所の介護職員等がたんの吸引等を行う場合の指示です。ここが「有」になっている指示書を受け取ったら、その事業所との連携が前提になります。

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6. 受け取ったときのチェックリストと、厚生局の指摘

6-1. 受け取ったときの確認項目

届いた指示書を、上から順に見ていきます。

  1. 表題の○ が「訪問看護指示書」に付いているか(点滴注射指示書と兼用の紙です)
  2. 訪問看護指示期間:記入があれば6か月を超えていないか。空欄なら不備ではなく「交付日から1か月」として管理する(→3-2
  3. 主たる傷病名と、装着・使用医療機器等・褥瘡の欄。別表第七・第八の判定に使い、どちらの保険で請求するかがここで決まります(→1-3
  4. 医師の欄:手書きの署名か、印字・ゴム印か。印字・ゴム印なら押印があるか(→2-4
  5. 末尾の交付年月日 が記入されているか
  6. 宛先 が自事業所になっているか
  7. 留意事項及び指示事項 が空欄でないか。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問するなら、Ⅱの1に何をどれだけ行うのかが読み取れる記載があるか(→5-3
  8. 点滴注射指示が「有」なら、点滴注射指示期間(7日以内) と投与薬剤・投与量・投与方法まで書かれているか
  9. 他の訪問看護ステーションへの指示 が「有」なら、連携先を把握しているか

このうち6と7は、次項のとおり厚生局が実際に指摘している箇所です。

6-2. 指導での指摘は4類型に集約される

各地方厚生局が公表している個別指導の指摘事項を並べると、訪問看護指示書に関するものは同じところに集まります。指摘の相手は医療機関ですが、受け取る側にとっては「不備のある指示書の見分け方」の一覧になります。

類型 指摘の内容
指示内容の記載不足 訪問看護指示書の項目欄(留意事項及び指示事項)への記載が不十分である
記載欄の空欄 訪問看護指示書の項目欄(特記すべき留意事項、事業所(宛先))への記載がない
診療録への添付漏れ 訪問看護指示書等の写しを診療録に添付していない
同意の記録なし 指定訪問看護について患者の同意を得たことが明らかではない

いずれも中国四国厚生局・東海北陸厚生局の令和6年度、近畿厚生局の令和2年度・平成27年度の資料に出てくるものです。

受け取った側が空欄のまま受領すれば、そのまま実施の根拠が薄いことになります。とくに「特記すべき留意事項」と「宛先」は、複数の局が名指しで挙げている箇所です。

6-3. ステーション側が残すもの

まず保存期間です。指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(令和8年3月5日厚生労働省令第21号による改正後)の第30条第2項は、次のように定めています。

指定訪問看護事業者は、利用者に対する指定訪問看護の提供に関する次に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。

列挙されているのは訪問看護記録書・訪問看護指示書・訪問看護計画書・訪問看護報告書などです。指示書は2年間の保存義務がある文書です。

介護保険側は、指定居宅サービス等基準が同じく2年としていますが、自治体の条例で5年に上乗せしている例があります。医療保険と介護保険の両方で訪問しているなら、長いほうに合わせて保管しておくのが安全です。条例の有無は自治体の指定基準条例の「記録の整備」の条文で確認できます。

原本かコピーかについては、ステーション側が原本を保管します。診療録に写しを添付するのは医療機関側の義務なので、医療機関に原本を返す必要はありません。

そのうえで、指示の内容が訪問看護計画書と報告書につながっている状態にしておきます。

指示書の指示事項と、計画書に書いた内容と、実際に訪問記録に残っている行為。この3つがずれていないか。運営指導で照合されるのはこの組み合わせです。何を見られるかの全体像は訪問看護の運営指導対策で扱っています。記録側で何を書くかは訪問看護記録書の書き方|Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違いと記入例【R8.6】にまとめました。

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7. 訪問看護指示書の依頼と更新|いつ・どう依頼するか

7-1. 依頼のタイミング

指示書の交付を依頼する場面は、大きく4つです。

場面 いつ動くか
新規に訪問を開始する 初回訪問の前。指示書がなければ訪問を始められません(→7-4
退院直後から開始する 退院前カンファレンスなど、退院が決まった段階で依頼を出す
有効期間が満了する 満了日から逆算して依頼する(下記)
病状が変わって指示内容を変える必要がある その都度

有効期間の更新については、何日前までに依頼せよという規定はありません。実務では、満了月の月初には依頼を出しておく運用にしている事業所が多く見られます。医療機関側の交付の手順(診察日に合わせる、事務が月末にまとめて処理する、郵送で往復する)によって所要日数が変わるためです。

依頼を出す起点を「満了日の何日前」ではなく「満了月の月初」に置くと、月次のルーティンに組み込めて漏れにくくなります。

新規開設の場合

開設して最初の数か月は、依頼先の医療機関も依頼の型も決まっていません。ここで指示書の受領と期限管理の流れを作れるかどうかが、その後の請求業務の重さを決めます。開設時に決めておく事務・請求の体制は訪問看護の開業|事務とレセプト請求の体制・初回入金まで2か月で扱っています。

7-2. 依頼するときに伝える項目

依頼の文面に決まった様式はありません。医療機関側が指示書を書くために必要な情報は、次のとおりです。

  • 利用者の氏名・生年月日
  • 希望する指示期間の開始日と終了日3-2のとおり、1か月なら期間の記載自体が不要です)
  • 交付先のステーション名(様式の宛先の欄に入ります)
  • 訪問の目的と、いま行っている看護の内容
  • 変更してほしい指示事項があればその内容
  • 返送の方法と期限

急ぎのとき(退院が決まった、期間が切れる直前)は、その旨を件名に書きます。医療機関の事務は指示書だけを扱っているわけではないので、緊急性が伝わらないと通常の処理に載ります。

開業直後のステーションでは、初回訪問日と指示期間の前後関係の見落としが初月レセプトの定番のつまずきになっています(訪問看護の初月請求の記事の7章)。

つまずきやすいのは、欄の呼び方です。医師の手元にある様式とこちらが伝えたい場所を一致させると、書き直しが減ります。

伝えたいこと 通じにくい言い方 通じる言い方
リハ職の訪問 リハビリの欄をお願いします Ⅱの1「理学療法士等が行う訪問看護」の欄に、1回◯分・週◯回でお願いします
有効期間 期間を長めにお願いします ◯月◯日から◯月◯日まででお願いします(6か月以内)
医師の欄 印鑑をお願いします ご署名いただければ押印は不要です。印字の場合のみ押印をお願いします
連携先 他社も入ります 「他の訪問看護ステーションへの指示」を有にして、◯◯の名称をご記入ください

7-3. 交付してもらえないとき

依頼したのに指示書が出てこない、という状況には、いくつか原因があります。

  • 主治医が訪問看護の必要性を認めていない。指示書は「主治医が診療に基づき指定訪問看護の必要性を認めた場合」に交付されるものなので、ここが埋まらないと出ません。訪問で何を観察し何を行うのかを具体的に伝え、必要性の判断材料を渡します
  • 依頼先が主治医ではない。4-2のとおり、二つ以上の医療機関にかかっているなら、訪問看護が必要になっている主傷病を診ている医師が依頼先です
  • 医療機関側の事務が滞っている。この場合は督促の問題なので、期限を明示して再依頼します

郵送代は指示書を交付する医療機関の負担です(→9-2)。「送料はそちらで」と言われて負担している運用があるなら、根拠を示して見直せます。

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8. レセプトの<指示期間>欄

8-1. 何を書くか

訪問看護療養費明細書の「情報」欄に、指示書の有効期間を書きます。記載要領の規定です。

当該指定訪問看護に係る主治医の交付した最新の訪問看護指示書又は精神科訪問看護指示書の指示有効期間(訪問看護療養費又は精神科訪問看護療養費)を示す年月日を記載すること

見出しは山括弧付きの<指示期間>。精神科訪問看護指示書の場合は<精神指示期間>です。書くのは「最新の」指示書の有効期間で、期間中に新しい指示書が交付されていれば新しいほうになります。

8-2. 期間の記載がない指示書のとき

同じ規定に続きがあります。

なお、指示年月日の記載がない場合は、指示書の有効期間を交付後1か月とみなすこと。

3-2で見たとおり、これは「1か月の指示なら有効期間を書かなくてよい」というC007側の規定と対になったものです。空欄で届いた指示書は、交付日から1か月として<指示期間>に記載します。そのまま2か月目以降の訪問を請求すると、8-4のL3940で拾われます。

8-3. <特別指示期間>とはルールが違う

対で覚えておくと迷いません。

<指示期間> <特別指示期間>
何を書くか 最新の指示書の有効期間 特別指示の有効期間
期間の記載がないとき 交付後1か月とみなす 規定なし
前月分も書くか 規定なし 書く(請求月にかからない期間は除く)
訪問日欄の記号 なし 「△」

<特別指示期間>には、前月に交付を受けて当月も続いているなら前月の年月日も書く、ただし請求月にかからない指示期間は書かない、という規定があります。通常の<指示期間>に、この規定はありません。記載要領で前月分の扱いを定めているのは<特別指示期間>側だけです。詳しくは特別訪問看護指示書|14日の数え方と月2回・レセプト記載で扱っています。

8-4. 送信時に弾かれる3つ

3-4で挙げた支払基金の事務点検ASPのチェックは、この欄の書き方に直結します。

  • L3943:指示期間が6か月を超えている(特別指示期間が14日を超えている場合も同じコード)
  • L3942:重複する指示期間、不要な特別訪問看護指示期間、または指示期間と特別指示期間の不一致
  • L3940:療養費の算定年月日が指示期間内の記録ではない

L3940は、指示期間の外の日に訪問した分を請求しているという意味です。期間の記載がない指示書を1か月とみなした結果ここに当たる、というのが典型的な流れになります。

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9. 医療機関側の点数と、費用の負担

9-1. C007と3つの加算

指示書を書くと、医療機関側には点数が付きます。医科点数表のC007 訪問看護指示料です。これに3つの加算がぶら下がっています。

項目 点数 内容
C007 訪問看護指示料 300点 訪問看護指示書を交付した場合
特別訪問看護指示加算 100点 特別訪問看護指示書を交付した場合
手順書加算 150点 特定行為研修を修了した看護師に手順書を交付した場合
衛生材料等提供加算 80点 必要な衛生材料等を提供した場合

いずれも令和6年度から据え置きです。令和8年度改定の説明資料にも医科診療行為マスターの変更点にも、訪問看護指示料は改定項目として挙がっていません。なお、告示の医科点数表は該当ページを原本で確認できなかったため、上の点数は複数の点数表で突き合わせたものです(→開示)。

算定の単位にも決まりがあります。指示は主として診療を行う保険医療機関が行うことが原則で、訪問看護指示料は退院時に1回のほか、在宅療養中は1月に1回が限度です。同一月に1人の患者について複数の訪問看護ステーションに指示書を交付しても、算定は1月1回のままです。「2か所分の指示書だから2回算定できるのか」という問い合わせが医療機関から来ることがありますが、答えは1回のままになります。

利用者や家族から「指示書はいくらかかるのか」と聞かれることがあります。300点=3,000円で、これは医療機関の診療報酬です。窓口負担は1割なら300円、3割なら900円。介護保険の区分支給限度基準額は使いません。ステーション側が算定するものではないので、こちらの請求には出てきません。

9-2. 郵送代は交付する医療機関が負担

細かいところですが、実際に問い合わせが起きる論点です。令和8年度の疑義解釈資料(その1)の問36に答えが出ています。

問36 「C007」訪問看護指示料について、訪問看護指示書の郵送代は、訪問看護指示書を交付する医療機関が負担するのか。 (答) そのとおり。

近畿厚生局のQ&Aにも同じ内容があります。指示書を取りに行く費用や送料をステーション側が負担する慣行があるなら、根拠を示して見直せます。

衛生材料も同じ構図です。近畿厚生局のQ&Aは、訪問看護ステーションが使用する衛生材料について、特に規定する場合を除き、当該医療技術に伴い必要不可欠なものとして保険医療機関の診療報酬の中で包括的に評価されていると答えています。ステーションが自費で買い続けるものではないので、指示書のやり取りのタイミングで必要な種類と量を伝えておきます。

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10. よくある質問

Q1. 押印のない指示書が届きました。差し戻すべきですか。

医師の名前が手書き(自署)なら、差し戻す必要はありません。新しい様式の医師欄は「医師署名(又は記名押印)」で、自署なら押印は求められていないと読めます。一方、電子カルテからの印字やゴム印は「記名」にあたるので、押印がなければ確認したほうがよい状態です。

Q2. 令和6年版の様式(「医師氏名   印」)で届きました。

そのまま受け取って構いません。説明資料に「従前の様式も引き続き使用可能」と明記されています。

Q3. 有効期間の欄が空欄の指示書が届きました。書き直してもらうべきですか。

差し戻す必要はありません。C007の留意事項に「1か月の指示を行う場合には、訪問看護指示書に有効期間を記載することを要しない」とあります。ただし期間の定めがないという意味ではなく、1か月で切れます。それを超えて訪問が続く見込みなら、次の依頼のときに期間を記入した指示書を出してもらってください(→3-2)。

Q4. 有効期間を7か月と書いた指示書が届きました。

7か月目の訪問は算定できません。こちらで6か月に切って請求することもできず、7か月と記載して送信すれば支払基金の事務点検ASPがL3943で拾います。医療機関に指示期間の訂正を依頼してください。

Q5. 介護保険の訪問看護でも指示書は必要ですか。

必要です。指定居宅サービス等基準の第69条第2項が「指定訪問看護の提供の開始に際し、主治の医師による指示を文書で受けなければならない」と定めています。様式も6か月の上限も医療保険と同じです。

Q6. 主治医が転院・退職して別の医師に代わりました。指示書はどうなりますか。

主治医が交代したときの取扱いについては、明文の規定に行き当たりませんでした(→開示)。新しい主治医から指示書の交付を受け直すのが実務上の流れですが、期間の途中での切り替え方は管轄の地方厚生局に確認してください。

Q7. 内科と整形外科の両方にかかっています。どちらに指示書を依頼しますか。

その訪問看護が必要になっている主傷病を診ている医師です。複数の傷病で二つ以上の保険医療機関を受診している場合、指定訪問看護が必要となる主傷病の診療を担う主治医が交付した指示書に基づく、と示されています。

Q8. 主治医が不在で、同じ科の別の医師が書いてくれると言っています。

同一の保険医療機関の同一診療科で共同して診療にあたっている医師であれば、そのいずれかの医師から交付された指示書で差し支えありません。別の医療機関の医師とは扱いが違います。

Q9. 老健に入所している方に訪問看護の指示書を書いてもらえますか。

退所時の場合に限って交付できます。入所中は対象外です。なお特別訪問看護指示書のほうは、老健・介護医療院の医師は退所時であっても交付できません。

Q10. 指示書を郵送してもらう送料はどちらが負担しますか。

指示書を交付する保険医療機関です。疑義解釈資料(その1)の問36に明記されています。

Q11. 受け取った指示書は何年保管しますか。

2年間です。指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の第30条第2項が、訪問看護指示書を含む記録を「その完結の日から二年間保存しなければならない」と定めています。介護保険側は自治体の条例で5年に上乗せしている例があるので、両方の保険で訪問しているなら長いほうに合わせてください。

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11. 指示書の管理という仕事について

訪問看護指示書は、利用者ごとに別々の6か月が走ります。そこに特別訪問看護指示書の14日、点滴注射指示書の7日、精神科の指示書が重なる。期間が切れる前に次を依頼し、届いた紙の欄を確認し、レセプトの<指示期間>に最新のものを書く。利用者が50人いれば、動く指示書は年間100通を超えます。

判断が要る場面は、この記事で言えば4章の「誰に依頼するか」と、5-2の別表第七の判定、それに特別訪問看護指示書との期間の重なりの整理です。ここは制度の当てはめが要るので、外に出すなら中身を分かっている相手でないと危ない。

一方で、満了日の管理、依頼の発出、受領時の確認、レセプトの<指示期間>の記載は、手順が決まっている作業です。ここが月末に集中し、事務担当が1人しかいない事業所では属人化します。

この記事を読み終えて、明日からできることは3つです。

  1. 令和8年6月以降に届いた指示書を10通だけ見返す。医師の名前が手書きか、印字・ゴム印かを分類します(→2-4)。印字で押印がないものが混ざっていれば、そこだけ医療機関に確認します
  2. 有効期間の欄が空欄の指示書がないか確認する。あれば差し戻すのではなく、いつまでの指示かを医療機関に確認して記録に残します(→3-2
  3. 満了日の一覧を1枚作る。利用者名・満了日・依頼済みかの3列で足ります。依頼の起点を「満了月の月初」に置き、月次の作業に組み込みます(→7-1

このうち3が回り始めれば、期限切れの事故はほぼ起きなくなります。

株式会社ainaruは、訪問看護のレセプト請求と関連する事務を代行しています。指示書の期限管理と受領時の確認、<指示期間>の記載、返戻が出たときの原因の切り分けまでお引き受けできます。事務の体制が整っていて返戻もほとんど出ていないなら、外に出す必要はありません。月末に請求業務が集中して他が止まる、担当が1人で代わりがいない、というときにご相談ください。

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確認しきれなかった点

一次資料で確定できなかった項目です。算定できない、あるいは交付できないという意味ではありません。

項目 状況 照会がつくまでの運用
訪問看護指示料(C007)と3加算の点数の、告示原本での逐語確認 告示の医科点数表が大容量で該当ページに到達できなかった。9-1の点数(300点・100点・150点・80点)は複数の点数表を突き合わせたもので、令和8年度改定の改定項目にも挙がっていない 記載のとおり運用する。手元で告示を開ける環境があれば「訪問看護指示料」で検索して確認する
C007の留意事項(「有効期間(6月以内に限る。)」「1か月の指示を行う場合には…記載することを要しない」)の令和8年適用版の逐語 原本(保医発0305第6号 別添1)に到達できず、厚生労働省の法令等データベースと近畿厚生局 平成27年度の指導資料の2系統で同文を確認した。令和8年度改定で訪問看護指示料は改定項目に挙がっていない 記事のとおり運用する。原本を開ける環境があれば「訪問看護指示料」で検索して確認する
有効期間6か月の起算日と満了日の数え方(応当日の前日までか、暦月か) 定めが見当たらない。様式16が開始日と終了日を医師に記載させる形式 様式に記載された終了日を基準に管理する。医師に依頼するときも終了日を明示してもらう
記載要領の「指示年月日」が、様式末尾の交付年月日を指すのか指示期間の日付を指すのか 明示した規定が見当たらない。C007側の「有効期間を記載しない場合」と条件節が揃っていないため、「空欄なら自動的に交付日から1か月」と機械的に処理してよいとは言い切れない 1か月を超えて訪問が続く見込みなら、期間を記入した指示書を出してもらう
有効期間中に新しい指示書が交付された場合、前の指示書が失効するか 明文が見当たらない。記載要領は「最新の」指示書の期間を書くとしている レセプトには最新の指示書の期間を書く
有効期間が切れたまま訪問した分の取扱い(遡って指示書を交付できるか) 明文が見当たらない 管轄の地方厚生局へ照会する。期限管理で起こさないことが対策
主治医が変わった場合の取扱い 明文が見当たらない 新しい主治医から交付を受け直す。期間の途中での切り替え方は管轄局へ照会
複数の傷病名が並んだときに、どれを「主たる傷病名」とするか 順位の付け方を定めた規則が見当たらない。別表第七の判定に影響する 主治医に確認して記録に残す
様式16の宛先欄の文言 読み取りが「事業所 殿」と「指定訪問看護ステーション 殿」で割れた 文言によらず、自事業所の名称が入っているかを確認する
疑義解釈に訪問看護指示書を扱った問答があるか その1からその11(令和8年7月30日)まで確認したが、訪問看護指示料に触れているのはその1の問36(郵送代)のみ 今後の号で示される可能性がある

参考・出典一覧

厚生労働省(通知・様式・説明資料・法令)

社会保険診療報酬支払基金

地方厚生局