最終確認日:令和8年8月10日|主な出典:厚生労働省告示第67号(注12)/保発0305第19号/疑義解釈資料その1/厚生労働省告示第103号/介護給付費分科会 第259回 資料3


先に結論

問い 答え
令和8年6月に何が変わったか 同一建物の人数区分が2区分から5区分になりました。対象者の要件は変わっていません(→4章
いくらになったか イは4,500円/4,000円/3,400円/3,000円/2,700円。1〜2人と3〜9人は据え置きです(→4章
人数は何を数えるのか その日に訪問した全員ではありません。複数名訪問看護加算・複数名精神科訪問看護加算・包括型訪問看護療養費を算定する利用者の合計です(→5章
同一建物の範囲 同一敷地内の別棟も入りました。ただし大規模団地のような敷地は除かれます(→6章
週に何回まで算定できるか イ・ロは週1日、ハは週3日、ニは回数制限なし(→7章
介護保険はどうなったか 複数名訪問加算は単位数も要件も変わっていません。ただし訪問看護は令和8年6月から介護職員等処遇改善加算の対象になりました(→8章
明細書のどこに書くか 訪問日欄に「▽」、摘要欄に「区分」10及び23+名称。紙の様式は㉓欄で人数区分ごとに行を分けます(→5-7
他の加算と同じ日に取れるか 禁止規定も許可規定も見当たりません。判断に迷う組み合わせは厚生局に照会してください(→7-4
何を最初にやるべきか 集合住宅ごとに、その日「複数名系を算定した人が何人か」を数える手順を決めることです(→12章

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1. この記事で使う一次資料

制度の記事は、どの資料の何年版を見て書いたかで中身が変わります。

資料 発出・番号 この記事で使う箇所
訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法 平成20年3月5日 厚生労働省告示第67号 訪問看護基本療養費 注12(複数名訪問看護加算の本体)
上記の一部を改正する件 令和8年3月5日 厚生労働省告示第74号 令和8年6月1日からの金額
訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等 平成18年3月6日 厚生労働省告示第103号 第二の五(対象者イ〜ヘ)
上記の一部を改正する件 令和8年3月5日 厚生労働省告示第75号 第二の五が改正されていないことの確認
実施上の留意事項について 令和8年3月5日 保発0305第19号(令和8年4月2日 一部訂正) 第2の2(同一建物居住者)、第2の10(複数名訪問看護加算)
疑義解釈資料(その1) 令和8年3月23日 別添5 訪看-1 問1(同一敷地内の範囲)
疑義解釈資料(その7) 令和8年5月29日 別添4 訪看 問3(包括型を複数棟で届け出た場合の人数の合算)
訪問看護療養費請求書等の記載要領 令和8年3月27日 保医発0327第2号 別添3 訪問日欄・摘要欄・様式第四の二 ㉓欄への記載方法
よくある質問(訪問看護療養費の算定について) 近畿厚生局・令和8年6月1日〜適用分 問43(区分ニに週の上限がないこと)

留意事項通知の番号について、ひとつ補足します。診療報酬の留意事項は「保医発」で出ることが多いのですが、訪問看護療養費の留意事項通知は保険局長通知で「保発」です。令和8年度版は保発0305第19号で、令和8年4月2日付で一部訂正が入っています。訂正前のPDFを保存している場合は差し替えてください。

疑義解釈は令和8年7月30日のその11まで出ています。その1からその11まで確認しましたが、複数名訪問看護加算そのものを扱った問答は1件もありませんでした。同一建物に触れているのはその1の問1と、その7の問3の2件です。

介護保険側は、指定介護予防サービスの算定基準告示(平成18年厚生労働省告示第127号)と、社会保障審議会介護給付費分科会 第259回(令和8年6月29日)資料3を使います。

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2. 複数名訪問看護加算とは|対象者は6つ、同行だけでは算定できません

2-1. どういう加算か

1人の看護師等では訪問看護が難しい利用者に対して、看護職員がもう1人の職員と同時に訪問した場合に、1日につき加算するものです。訪問看護基本療養費の注12に定められています。

要るのは、利用者が対象者に当たること、同意を得ていること、同時に訪問していること。このどれが欠けても算定できません。

2-2. 対象者は6つ

基準告示 第二の五(1)。

一人の保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下「看護師等」という。)による指定訪問看護が困難な利用者であって、次のいずれかに該当するもの イ 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者 ロ 特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者 ハ 特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者 ニ 暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為等が認められる者 ホ 利用者の身体的理由により一人の看護師等による訪問看護が困難と認められる者(訪問看護基本療養費の注12のハに規定する場合に限る。) ヘ その他利用者の状況等から判断して、イからホまでのいずれかに準ずると認められる者(訪問看護基本療養費の注12のハに規定する場合に限る。)

ホとヘには括弧書きが付いています。この2つは注12のハ、つまり看護職員がその他職員と同行する場合にしか使えません。看護師どうしで訪問する場合に「身体的理由で1人では難しいので」という理由は使えない、ということです。 別表第七・別表第八の中身は訪問看護の別表7・別表8|対象疾病と対象者の一覧に、特別訪問看護指示書の交付要件は特別訪問看護指示書|月2回交付できる場合と14日の数え方にまとめました。

この6区分は、令和8年度改定で変わっていません。改正告示第75号は基準告示 第二の一から十一までを「(略)」と表記しています。第二のうち改正されたのは、包括型訪問看護療養費のために新設された十二だけです。(第一や第四には包括型・機能強化型に関する改正が入っています)「対象者が拡大された」という説明を見かけたら、告示第75号の新旧対照表を確認してください。

2-3. 「単に2人で行った」では算定できません

留意事項通知 第2の10(1)。

なお、単に2人の看護師等又は看護補助者が同時に指定訪問看護を行ったことのみをもって算定することはできない。

同行研修、新人の同行訪問、たまたま2人で行った日。これらは対象になりません。対象者要件のイ〜ヘのどれに当たるかを説明できないなら、算定しないのが正解です。

もうひとつ、同時に滞在していたかどうかの要件があります。

看護職員と同行するその他職員は、常に同行の必要はないが、必ず利用者の居宅において両者が同時に滞在する一定の時間が確保された場合に算定できる。

移動は別々でも構いません。ただし居宅の中で2人が重なっている時間が要ります。先に着いた人が処置を終えて帰り、入れ替わりでもう1人が入った、という形は要件を満たしません。

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3. 算定要件と区分イ・ロ・ハ・ニ|職種の組み合わせで決まります

3-1. 4つの区分

対象者の区分(イ〜ヘ)と、加算の区分(イ〜ニ)は別物です。加算の区分を決めるのは「誰と行ったか」で、対象者の区分ではありません。同じ記号が使われているので、ここで混乱が起きます。

加算の区分 誰と同時に訪問したか 対象者の条件
看護職員+他の看護師等(准看護師を除く) イ〜ニのいずれか
看護職員+他の准看護師 イ〜ニのいずれか
看護職員+その他職員(別に厚生労働大臣が定める場合を除く) ニ〜ヘのいずれか
看護職員+その他職員(別に厚生労働大臣が定める場合に限る) イ〜ハのいずれか

「別に厚生労働大臣が定める場合」は、基準告示 第二の五(2)で別表第七・別表第八・特別訪問看護指示書の3つに限定されています。つまり看護補助者と同行したとき、利用者が別表7・別表8・特別指示のいずれかに当たれば、当たらなければです。

3-2. 用語の定義

条文の中で3つの言葉が使い分けられています。

用語 含まれる職種 定めている条文
看護職員 保健師・助産師・看護師・准看護師 留意事項通知 第2の10(1)
看護師等 保健師・助産師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 基準告示 第二の五(1)
その他職員 他の看護師等又は看護補助者 告示 注12(留意事項通知 第2の10(1)にも同じ定義)

准看護師の位置づけが独特です。准看護師は「看護職員」に入るので、主として訪問する側になれます。ただし同行する側が准看護師のときは、区分イではなく単価の低いロになります。

もうひとつ条件があります。

同時に複数の看護師等による指定訪問看護を行う場合は、1人以上は看護職員である場合に算定できる。

理学療法士と作業療法士の2人で訪問しても算定できません。必ず片方は保健師・助産師・看護師・准看護師のいずれかである必要があります。

3-3. 迷いやすい組み合わせ

組み合わせ 区分 補足
看護師+看護師
看護師+理学療法士 理学療法士は「看護師等」に含まれ、准看護師ではないため
准看護師+看護師 主として訪問するのが准看護師でも、同行が看護師ならイ
看護師+准看護師 同行する側が准看護師のとき
看護師+看護補助者(別表7該当)
看護師+看護補助者(別表7〜8非該当・暴力行為あり) 週3日まで
理学療法士+作業療法士 算定不可 看護職員が含まれていない

なお、看護師と理学療法士の同行を区分イとして扱うことを明示した疑義解釈は見つかりませんでした。条文の定義からはイになりますが、判断に迷う場合は地方厚生局に確認してください。

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4. 令和8年6月からの金額|同一建物の人数で5段階

4-1. 改定後の金額

令和8年6月1日から適用されている金額です。単位は円、1日につき加算します。

区分 1人又は2人 3〜9人 10〜19人 20〜49人 50人以上
(看護師等・准看護師を除く/週1日) 4,500 4,000 3,400 3,000 2,700
(准看護師/週1日) 3,800 3,400 2,800 2,500 2,200
(その他職員/週3日) 3,000 2,700 2,100 1,900 1,600
ニ(1) その他職員・1日1回 3,000 2,700 2,100 1,900 1,600
ニ(2) その他職員・1日2回 6,000 5,400 3,800 3,450 3,300
ニ(3) その他職員・1日3回以上 10,000 9,000 5,500 4,800 4,500

4-2. 改定前と比べる

改定前は2区分でした。「1人又は2人」と「3人以上」だけです。

区分 改定前・1人又は2人 改定前・3人以上
4,500 4,000
3,800 3,400
3,000 2,700
ニ(1) 3,000 2,700
ニ(2) 6,000 5,400
ニ(3) 10,000 9,000

改定前の2区分の金額は、そのまま新しい「1人又は2人」「3〜9人」の金額として残っています。新しく足されたのは10人以上の3階層で、そこだけ単価が下がりました。

つまり、同一建物で複数名系を算定している利用者が9人以下なら、収入は1円も変わりません。影響が出るのは、大規模なサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームに集中して訪問しているステーションだけです。

4-3. どれくらい下がるか

区分イ、同一建物で複数名系を算定する利用者が20人の場合。1件あたり4,000円が3,000円になります。週1日が上限なので、1人あたり月4回として月4,000円の減。この建物で複数名を算定している利用者が20人いれば、月8万円、年間で96万円です。

これは「訪問回数を減らせ」という改定ではありません。同一建物への訪問は移動時間が短く、1件あたりの効率が高いという評価に基づく単価調整です。同じ考え方は難病等複数回訪問加算・夜間・早朝訪問看護加算・深夜訪問看護加算にも入りました。そちらには日数の逓減まで付いています。難病等複数回訪問加算(注7)は月20日目まで/月21日目以降、夜間・早朝訪問看護加算(注13)と深夜訪問看護加算(注14)は月15日目まで/月16日目以降です。区切りが加算ごとに違うので、まとめて覚えないでください。そして複数名訪問看護加算に日数の逓減はありません。

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5. 人数の数え方|その日に訪問した全員ではありません

5-1. 同一建物の人数は、何を数えるのですか

その日にその建物で、複数名訪問看護加算・複数名精神科訪問看護加算・包括型訪問看護療養費のいずれかを算定する利用者の人数です(訪問看護基本療養費 注12の柱書)。単独で訪問しただけの利用者と、その建物の入居者の総数は含みません。

一方、訪問看護基本療養費(Ⅱ)そのものの人数区分は「その日に訪問看護基本療養費・精神科訪問看護基本療養費・包括型訪問看護療養費を算定する利用者数の合算」(保発0305第19号 第2の2(1))です。母数が違うので、同じ日・同じ建物でも2つの人数は一致しません。

5-2. 条文で確認する

2つの数え方を、条文で確かめておきます。

ひとつめは、訪問看護基本療養費(Ⅱ)そのものの人数。留意事項通知 第2の2(1)にこうあります。

なお、同一建物居住者に係る人数については、同一日に訪問看護基本療養費を算定する利用者数、精神科訪問看護基本療養費を算定する利用者数及び包括型訪問看護療養費を算定する利用者数を合算した人数とすること。

こちらには、単独訪問の利用者も入ります。単独で訪問しても訪問看護基本療養費は算定するからです。

ふたつめが、複数名訪問看護加算の人数。注12の柱書はこうです。

同一日に、当該加算、区分番号01―2の注8に規定する複数名精神科訪問看護加算又は区分番号04の包括型訪問看護療養費を算定する利用者(同一建物居住者に限る。)の合計人数に応じて

こちらは、複数名系と包括型だけです。複数名訪問看護加算、複数名精神科訪問看護加算、包括型訪問看護療養費。この3つのいずれかを算定する利用者に限られ、その日ふつうに単独訪問しただけの利用者は入りません。

3つめの包括型訪問看護療養費は令和8年度改定で新設されたものです。併設・隣接する高齢者向け住まいの利用者に24時間体制で頻回の訪問看護を行う場合の、1日あたりの療養費です。同じ建物で包括型を算定する人が増えると、他の利用者の複数名訪問看護加算の単価が下がるという連動が起きます。制度の中身は包括型訪問看護療養費|算定要件と届出にまとめました。

5-3. 具体的に数えてみる

40人が入居しているサービス付き高齢者向け住宅に、ある日18人を訪問したとします。そのうち複数名で訪問したのは4人、包括型を算定しているのが3人、残りの11人は単独訪問です。

何を判定するか 数える対象 人数 適用される区分
訪問看護基本療養費(Ⅱ)の人数 その日基本療養費等を算定した18人 18人 10人以上19人以下
複数名訪問看護加算の人数 複数名4人+包括型3人 7人 3人以上9人以下

同じ日の同じ建物で、片方は18人、片方は7人になります。この建物の入居者が40人いることも、判定には関係ありません。

数えるのは予定ではなく実績です。条文は「当該加算……を算定する利用者」なので、当日キャンセルや入院で複数名訪問をやめた人は人数から抜けます。訪問予定表で数えると人数が過大になります。

ここを「建物の入居者数」や「その日訪問した人数」で判定すると、本来4,000円の区分イを3,400円で請求することになります。間違える方向が減額側なので、返戻として返ってきにくい誤りです。気づかないまま毎月取りこぼすことになります。

5-4. 一戸建てに訪問した日はどうなりますか

留意事項通知 第2の10(2)は、人数区分について条件を付けています。

訪問看護基本療養費(Ⅱ)を算定する場合にあっては、同一建物居住者で同一日に、当該加算、複数名精神科訪問看護加算又は包括型訪問看護療養費を算定する利用者の合計人数及び1日当たりの実施回数に応じて算定する。

人数で単価が変わるのは、訪問看護基本療養費(Ⅱ)を算定する場合です。一戸建てへの訪問で(Ⅰ)を算定する日は、人数区分の話になりません。金額は「1人又は2人」の行を使うことになります。

同じ建物に住んでいても、その日そのステーションが訪問したのが1人だけなら同一建物居住者に当たらないので、これも(Ⅰ)です。同一建物居住者かどうかは、建物の属性ではなく、その日そのステーションが同じ建物で複数人を訪問したかどうかで決まります。

なお、(Ⅰ)の日に「1人又は2人」の行を使うことは、留意事項通知が(Ⅱ)の場合に限って人数区分を適用すると書いていること(第2の10(2))からの読みで、正面から明示した条文・疑義解釈は見当たりませんでした。判断に迷う場合は地方厚生局に確認してください。

5-5. 他のステーションの分は数えるのか

同一建物居住者の定義は、告示にこう書かれています。

同一建物居住者(当該者と同一の建物又は同一の敷地内の建物に居住する他の者に対して当該訪問看護ステーションが同一日に指定訪問看護を行う場合の当該者をいう。以下同じ。)

「当該訪問看護ステーションが」とあるので、条文の文言からは自事業所が訪問した分だけを数えると読めます。同じ建物に他のステーションが入っていても、そちらの件数は関係しないという読み方です。

ただし、この点を正面から扱った疑義解釈や通知は見つかりませんでした。同一建物に複数のステーションが入っている場合の運用は、地方厚生局に確認しておくと安全です。

5-6. 同じ利用者でも、日によって区分が変わります

人数は日ごとに数えます。その結果、同じ月・同じ利用者・同じ区分イでも、日によって単価が変わります。

同じサービス付き高齢者向け住宅のAさんについて、区分イを算定した日が月に4日あったとします。8月4日は複数名系を算定した利用者が7人で「3人以上9人以下」の4,000円。8月18日は11人で「10人以上19人以下」の3,400円。1人のレセプトの中に複数の区分が混在します。

月初にまとめて判定することはできません。逆に言えば、月に1回だけ人数を確認して全日に当てはめている場合、その月のどこかは必ず間違っています。

直近の同一建物の人数区分が正しく取れているかは、レセプトと訪問実績を突き合わせれば確認できます。レセプトの点検についてのご相談はこちら

5-7. 数えた人数は、明細書のどこに書くのですか

記載要領(令和8年3月27日 保医発0327第2号 別添3)に、3か所の指示があります。

ひとつめ、「訪問日」欄。

(5) 複数名訪問看護加算又は複数名精神科訪問看護加算を算定した場合は、日付の欄に「▽」を記載すること。

同じ項の(6)で、訪問看護基本療養費(Ⅱ)を算定した日には「▲」を記載することになっています。同じ日に両方付くので、▽と▲が重なる日があります。

ふたつめ、「摘要欄」。電子レセプトはこちらです。

(ア) 同一建物居住者の人数に応じて、「区分」に 10 及び 23、准看護師が同時に行った場合は「区分」に 10 及び 23、その他職員が同行しハを算定する場合は「区分」に 10及び 23、その他職員が同行しニを算定する場合は「区分」に 10 及び 23、「名称」に該当する名称を記載すること。

区分番号は職種にかかわらず「10及び23」で共通です。人数区分を表すのは「名称」のほうです。訪問看護療養費マスターで人数区分ごとに別コードが振られているので、正しい名称を選べば人数区分が伝わる仕組みになっています。人数そのものを数字で書く欄はありません。

みっつめ、紙の様式(様式第四の二)の㉓欄。

なお、同一建物居住者の人数に応じて、「1人又は2人」、「3人以上9人以上」、「10 人以上 19 人以下」、「20 人以上 49 人以下」又は「50 人以上」の行に分けて記載すること。

㉓「複数名訪問看護加算」欄には、同行者の職種(看護師等/理学療法士等/准看護師/その他職員ハ/その他職員ニ)の項があり、そこに人数区分ごとの行を分けて書きます。同じ月に人数区分が変わった利用者は、行を分けて記載することになります。5-6で書いたとおり区分は日ごとに動くので、ここが実際の作業になります。

なお引用した記載要領の原文は「3人以上9人以上」と印刷されています(原文ママ)。告示の区分は「3人以上9人以下」なので、誤植と考えられます。

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6. 同一建物の範囲に「同一敷地内」が入りました

6-1. 何が変わったか

令和8年6月から、同一建物居住者の定義に「同一の敷地内の建物」が加わりました。告示の該当部分です。

同一建物居住者(当該者と同一の建物又は同一の敷地内の建物に居住する他の者に対して当該訪問看護ステーションが同一日に指定訪問看護を行う場合の当該者をいう。以下同じ。)

留意事項通知の側も同じ方向に書き換わっています。

同一建物居住者とは、基本的には、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に掲げる建築物(同一敷地内のものを含む。)に居住する複数の利用者のことをいう

そのうえで、具体例を3つ挙げています。3つめが今回の追加分です。

具体例
養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、マンションなどの集合住宅等に入居又は入所している複数の利用者
短期入所生活介護、小規模多機能型居宅介護(宿泊サービスに限る)、認知症対応型共同生活介護、介護予防短期入所生活介護、介護予防小規模多機能型居宅介護(宿泊サービスに限る)、介護予防認知症対応型共同生活介護などのサービスを同一建物で受けている複数の利用者
ア又はイの集合住宅等の建物が同一敷地内にある場合であって、これらの集合住宅等に居住、入居又は入所している複数の利用者

A棟とB棟に分かれている高齢者住宅、同じ法人の敷地に建つ2棟目のグループホーム。これまで別建物として扱っていたものが、今後は合算対象になります。

6-2. どこまでが「同一敷地内」か

疑義解釈資料(その1)の別添5、訪看-1 問1が正面から答えています。原文です。

問1 同一建物居住者について、同一敷地内が含まれることとなったが、①同一敷地内とはどのような場合が該当するか。②例えば敷地が広大である場合においても、建物が同一敷地内に所在する場合は該当するのか。

(答) ① 同一地番の敷地内である場合や、同一地番ではなくとも公道に出ずに敷地を行き来できる等一体的に利用されている敷地である場合が該当する。② ①に該当する場合であっても、広大な敷地に複数の建物が点在するもの(例えば、UR(独立行政法人都市再生機構)などの大規模団地や、敷地に沿って複数のバス停留所があるような規模の敷地)で、他者が占有する土地によって隔てられており建物と建物の距離が離れている場合は、同一建物の利用者を訪問する場合とは移動時間が明らかに異なるため含まれない。

見るのは、同一地番かどうかと、公道に出ずに行き来できるかどうかです。逆に、大規模団地のように敷地内にバス停が複数あるような規模で、他者の土地で隔てられていて距離が離れているなら含まれません。

6-3. 実務でどう確認するか

地番は、登記事項証明書のほか、施設のパンフレットや契約書の所在地表記で確認できることがあります。ただし建物名が同じでも地番が違う例、地番が同じでも棟が離れている例の両方があるので、訪問先の集合住宅について一度だけ棚卸ししておくのが確実です。

台帳に書くのは、地番・行き来・あいだの土地の3列だけです。地番が同じか。公道に出ずに行き来できるか。あいだに他者の土地が入っていないか。書いたら、以後は台帳を見て判定します。毎月調べ直す性質のものではありません。

介護保険側にも同一建物の考え方はありますが、こちらは加算ではなく減算です(同一敷地内建物等の利用者へのサービス提供で10%減、50人以上で15%減)。仕組みが違うので、訪問看護の同一建物減算|対象と減算率で分けて確認してください。

なお、この定義変更は複数名訪問看護加算だけの話ではありません。訪問看護基本療養費(Ⅱ)、難病等複数回訪問加算、夜間・早朝訪問看護加算、深夜訪問看護加算、精神科訪問看護基本療養費(Ⅲ)にも同じ定義が効きます。1棟増えただけで、複数の項目が同時に動きます。

6-4. 包括型を複数の建物で届け出た場合は合算されます

包括型訪問看護療養費は「利用者が居住する建物を、訪問看護ステーションにつき1か所指定する」のが原則ですが、併設・隣接する建物が複数ある場合は複数指定して届け出ることができます。疑義解釈資料(その7)令和8年5月29日の別添4、問3が答えています。

それぞれの建物における利用者への指定訪問看護を当該訪問看護ステーションが一体的に行うことが可能である場合には、併設又は隣接する(同一の敷地内を含む。)高齢者向け住まい等の建物を複数指定して届出を行うことは可能である。また、包括型訪問看護療養費を算定すると複数の施設を指定して届出を行った場合において、同一建物及び単一建物居住利用者数は、複数の施設を合算した合計の人数となることに留意すること。

複数棟を届け出ると、同一建物の人数は棟をまたいで合算されます。A棟8人・B棟9人で届け出た場合、それぞれ「3人以上9人以下」ではなく、合算した17人で「10人以上19人以下」になります。届出の範囲を広げると、複数名訪問看護加算の単価が下がる方向に効くということです。

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7. 回数制限と併算定|週1日・週3日・制限なし

7-1. 区分ごとに週何日まで算定できますか

注12の柱書のただし書に書かれています。

ただし、イ又はロの場合にあっては週1日を、ハの場合にあっては週3日を限度として算定する。

区分 上限
イ(看護師等・准看護師を除く) 週1日
ロ(准看護師) 週1日
ハ(その他職員・別表7〜8や特別指示に該当しない) 週3日
ニ(その他職員・別表7〜8や特別指示に該当する) 日数の上限なし。1日1回/2回/3回以上で単価が変わる

ニに日数の上限がないことは、近畿厚生局が公表している「よくある質問(訪問看護療養費の算定について)※令和8年6月1日~適用分」の問43が明言しています。

問43 訪問看護基本療養費の注12の「ニ 所定額を算定する指定訪問看護を行う看護職員がその他職員と同時に指定訪問看護を行う場合(別に厚生労働大臣が定める場合に限る。)」は週何日算定することができますか。 (答) 週の算定日数の上限は設けられていません。

留意事項通知 第2の10(1)のア〜エも同じ内容を、対象者側から書いています。

看護師どうしで訪問する場合、週1日しか算定できません。週2回複数名で訪問しても、加算が付くのは1日だけです。これは改定前から変わっていませんが、上限を超えて算定してしまう誤りは起こります。

7-2. 週の数え方

週の数え方は、留意事項通知の第1「通則に関する事項」の4に定められています。

算定回数が「週」単位とされているものについては、日曜日から土曜日までの1週間を単位として算定する。

日曜日から土曜日まで。月をまたぐ週も、この暦週で判定します。

月末が水曜日で、その週の月曜と、翌月の初日である木曜に複数名で訪問した場合、同じ週なので算定できるのは1日だけです。月が変わったから上限がリセットされる、ということはありません。レセプトは月単位で作るので、月をまたぐ週は見落としやすい箇所です。

7-3. ニの回数はどう数えるか

区分ニだけは、日数ではなく1日あたりの回数で単価が変わります。1日1回・2回・3回以上の3段階です。

同じ日に朝と夕方の2回、看護師と看護補助者で訪問したなら、ニ(2)を1回算定します。ニ(2)を2回算定するのではありません。「1日につき、いずれかを所定額に加算する」という条文なので、その日に該当する区分をひとつだけ選びます。

7-4. 他の加算と同じ日に算定できますか

結論から書くと、はっきりしません。禁止する規定も、認める規定も見つからなかったからです。ここは正直に書きます。

難病等複数回訪問加算(注7)、長時間訪問看護加算(注10)、緊急訪問看護加算(注9)、夜間・早朝訪問看護加算(注13)、深夜訪問看護加算(注14)。このいずれについても、複数名訪問看護加算との同日算定を禁じた条文・通知・疑義解釈は見当たりませんでした。令和8年度の疑義解釈はその11(令和8年7月30日)まで出ていますが、複数名訪問看護加算に関する問答は1件もありません。近畿厚生局のよくある質問にも、複数名と他加算の併算定を扱った問はありませんでした。

参考までに、同じ資料には併算定を明言している組み合わせがあります。近畿厚生局の問45は「夜間・早朝訪問看護加算は緊急訪問看護加算と併算定することはできますか」に「できます」と答え、問47は深夜訪問看護加算について同じく「できます」と答えています。個別に問われれば答えが出る構造なので、判断に迷う組み合わせは地方厚生局に照会するのが確実です。

包括型訪問看護療養費(区分番号04)を算定する日については、注8に明文があります。

包括型訪問看護療養費を算定する場合にあっては、同一日に、区分番号01の訪問看護基本療養費、区分番号01―2の精神科訪問看護基本療養費及び区分番号02の訪問看護管理療養費は、別に算定できない。ただし、区分番号01の訪問看護基本療養費(Ⅰ)及び(Ⅱ)のハ、注9に規定する緊急訪問看護加算(略)並びに注11に規定する乳幼児加算、区分番号01―2の精神科訪問看護基本療養費の注6に規定する精神科緊急訪問看護加算(略)並びに区分番号02の訪問看護管理療養費の注2に規定する24時間対応体制加算以外の加算については、この限りではない。

ただし書きの除外列挙に複数名訪問看護加算は入っていません。条文の形だけを見れば「この限りではない」の側に落ちると読めます。一方で注12は「1及び2(いずれもハを除く。)については」と、訪問看護基本療養費への加算として組み立てられており、包括型に加算する根拠を正面から書いた規定は見つかりませんでした。読める、とは書けますが、算定できる、とは書けません。照会してください。

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8. 介護保険の複数名訪問加算|単位数・対象者・回数の違い

8-1. 名前が違います

医療保険は「複数名訪問看護加算」、介護保険は「複数名訪問加算」です。介護保険側に「看護」の2文字は入りません。検索するときも、届出や記録を書くときも、ここを混ぜないでください。

8-2. 介護保険では誰に算定できますか

医療保険は基準告示 第二の五(1)のイ〜ヘという6つの区分でしたが、介護保険は3つです。厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日 厚生労働省告示第94号)の五が、訪問看護費の注6に対応する基準としてこう定めています。

同時に複数の看護師等により指定訪問看護を行うこと又は看護師等が看護補助者と同時に指定訪問看護を行うことについて利用者又はその家族等の同意を得ている場合であって、次のいずれかに該当するとき イ 利用者の身体的理由により一人の看護師等による指定訪問看護が困難と認められる場合 ロ 暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為等が認められる場合 ハ その他利用者の状況等から判断して、イ又はロに準ずると認められる場合

別表第七も別表第八も、特別訪問看護指示書も出てきません。医療保険で「別表7に該当するから複数名」と考えている頭のまま介護保険の利用者を判定すると、算定できるものを落とします。介護保険側で見るのは、身体的な理由か、行動上の理由か、それに準ずるか。この3つだけです。

なお、この告示の五は「指定居宅サービス介護給付費単位数表の訪問看護費の注6の厚生労働大臣が定める基準」と書かれています。介護給付側の複数名訪問加算は訪問看護費の注6です。

8-3. 単位数

介護予防訪問看護費の注5に定められています。訪問看護費(介護給付)も同額です。

区分 同行者 所要時間30分未満 30分以上
複数名訪問加算(Ⅰ) 他の看護師等 254単位/回 402単位/回
複数名訪問加算(Ⅱ) 看護補助者 201単位/回 317単位/回

なお、この「所要時間」が訪問全体の時間を指すのか、同行者が関与した時間を指すのかを明示した現行の一次資料は特定できていません(→確認しきれなかった点)。2人の滞在時間が大きくずれる訪問では、保険者・国保連に確認してください。

医療保険が「1日につき」なのに対し、介護保険は「1回につき」です。同じ日に2回訪問すれば2回算定できます。

複数名訪問加算そのものは、令和8年度も単位数・要件とも変わっていません。同一建物の人数で単位数が変わる仕組みも入っていません。

ただし「介護保険は何も動かなかった」という意味ではありません。令和8年6月1日施行の介護報酬改定で、訪問看護は介護職員等処遇改善加算の対象に新しく加わりました。厚生労働省の資料は「処遇改善加算の対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等に処遇改善加算を新設する」と書いています。見直しではなく新設です。加算率は所定単位数の18/1000(1.8%)の一択で、これまで対象外だった事業所は、届出をしなければ算定できません。医療保険側の処遇改善(訪問看護ベースアップ評価料)とは別の制度です。介護保険側の処遇改善加算の中身は訪問看護の処遇改善加算|要件と計画書・実績報告にまとめました。

8-4. 回数制限はありますか

平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)の問18が、明確に答えています。

問18 看護師等と同時に訪問する者に応じ、複数名訪問加算(Ⅰ)又は複数名訪問加算(Ⅱ)を算定することになるが、算定回数の上限はあるか。 (答) それぞれ要件を満たしており、ケアプランに位置づけられていれば、算定回数の上限はない。

医療保険は週1日・週3日という枠がありますが、介護保険にはありません。その代わり「ケアプランに位置づけられていること」が条件になります。ケアプランに載っていない複数名訪問は算定できません。

同じQ&Aの問17は、(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算についてこう答えています。

(答) それぞれ要件を満たしていれば同一日及び同一月に併算することは可能である。

医療保険側は「1日につき、いずれかを」なので併算できません。ここは逆になっています。

8-5. 看護補助者の扱い

同じQ&Aの問16が、介護保険側の看護補助者について答えています。

(答) 複数名訪問加算(Ⅱ)の看護補助者については、看護師等の指導の下に、看護業務の補助を行う者としており、例えば事務職員等であっても差し支えない。また、当該看護補助者については、指定基準の人員に含まれないことから、従事者の変更届の提出は要しないものであるが、秘密保持や安全等の観点から、事業所において必要な研修等を行うことが重要である。

事務職員でも差し支えない。ただし研修が要る。なお、問16の質問文のほうは、留意事項通知の記述として「資格は問わないが、秘密保持や安全等の観点から、訪問看護事業所に雇用されている必要がある」を引いています。答ではなく問の側にある文言です。この記述自体は留意事項通知に由来するものとして厚生労働省のQ&Aに載っていますが、通知の該当箇所そのものは確認できませんでした(→確認しきれなかった点)。

理学療法士等との同行についても、同じQ&Aの問15が答えています。

(答) 訪問看護ステーションの理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士と看護職員が一緒に訪問看護を行った場合、複数名訪問加算の要件を満たす場合、複数名訪問加算(Ⅰ)の算定が可能である。

8-6. 一覧で比べる

論点 医療保険(複数名訪問看護加算) 介護保険(複数名訪問加算)
対象者の定め方 基準告示 第二の五(1)のイ〜ヘの6区分(別表7・別表8・特別指示を含む) 告示第94号 五の3類型(身体的理由/行動上の理由/準ずる場合)
算定単位 1日につき 1回につき
金額 1,600円〜10,000円(同一建物人数で変動) 201〜402単位(所要時間で変動)
同一建物の人数で変わるか 変わる 変わらない
回数制限 イ・ロ 週1日/ハ 週3日/ニ なし なし(ケアプランに位置づけが必要)
(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算 不可(いずれか1つ) 可能
令和8年度改定での変更 あり(同一建物5区分化) なし(ただし訪問看護が処遇改善加算の対象に新設)

どちらの保険で算定するかは、複数名の判定ではなくその訪問自体が医療保険か介護保険かで決まります。要介護認定を受けていても、別表第七に該当する場合、特別訪問看護指示書が出ている場合、精神科訪問看護基本療養費を算定する場合は医療保険です。

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9. 複数名精神科訪問看護加算との違い

9-1. 別の加算です

精神科訪問看護基本療養費を算定する訪問では、複数名訪問看護加算ではなく複数名精神科訪問看護加算(注8)を使います。同じ日に両方を算定するものではありません。

条文の柱書です。

1及び3(いずれも30分未満の場合を除く。)については、訪問看護ステーションの保健師又は看護師が、当該訪問看護ステーションの他の保健師等、看護補助者又は精神保健福祉士と同時に指定訪問看護を行うことについて、利用者又はその家族等の同意を得て、指定訪問看護を行った場合には、複数名精神科訪問看護加算として…

冒頭の括弧書きが効いています。30分未満の訪問では算定できません。複数名訪問看護加算のほうには、この時間の縛りがありません。

9-2. 4つの違い

論点 複数名訪問看護加算 複数名精神科訪問看護加算
主として訪問する人 看護職員(准看護師を含む 保健師又は看護師(准看護師は不可)
同行できる人 他の看護師等(理学療法士等を含む)・看護補助者 他の保健師等・看護補助者・精神保健福祉士
対象者の要件 基準告示 第二の五(1)のイ〜ヘ 精神科訪問看護指示書に複数名訪問の必要性の記載があること
30分未満の訪問 時間の定めなし 算定できない
回数制限 イ・ロ 週1日/ハ 週3日/ニ なし ハ(看護補助者・精神保健福祉士)のみ週1日

対象者の決まり方が根本的に違います。複数名訪問看護加算は告示で定めた6つの状態に当てはまるかどうかで判定しますが、複数名精神科訪問看護加算は医師の指示書に書いてあるかどうかです。留意事項通知にこうあります。

当該加算は、医師が複数名訪問の必要性があると認め、精神科訪問看護指示書にその旨の記載がある場合に算定する。

指示書に記載がなければ、どれだけ複数名訪問が必要な状態でも算定できません。指示書の交付を受けるときに、この記載の有無を確認してください。精神科訪問看護指示書の様式と記載事項は訪問看護指示書|有効期間と記載事項にまとめました。

9-3. 金額

複数名精神科訪問看護加算も、令和8年6月から同一建物5区分になりました。単位は円、1日につきです。

区分 1人又は2人 3〜9人 10〜19人 20〜49人 50人以上
(保健師・看護師・作業療法士)1日1回 4,500 4,000 3,400 3,000 2,700
イ 1日2回 9,000 8,100 6,880 6,070 5,460
イ 1日3回以上 14,500 13,000 11,050 9,750 8,770
(准看護師)1日1回 3,800 3,400 2,800 2,500 2,200
ロ 1日2回 7,600 6,800 5,600 5,000 4,400
ロ 1日3回以上 12,400 11,200 9,220 8,230 7,240
(看護補助者・精神保健福祉士/週1日) 3,000 2,700 2,100 1,900 1,600

イに作業療法士が入っているのが特徴です。精神科訪問看護では作業療法士が訪問できるため、同行者としても認められています。精神科訪問看護基本療養費そのものの構造は精神科訪問看護基本療養費|Ⅰ・Ⅲ・Ⅳの違いと算定要件を参照してください。

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10. 同意書・記録と、算定できない場面

10-1. 同意は算定要件です

告示の注12にも留意事項通知にも、「利用者又はその家族等の同意を得て」と書かれています。これは配慮ではなく算定要件です。同意がなければ複数名で訪問しても加算は付きません。

同意書の様式は定められていません。複数名訪問の同意について書面を求めた条文も見当たりません。

参考になるのは、指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準についての通知(令和8年3月5日 保発0305第20号)の記述です。ただしこれはサービス提供開始時の重要事項の説明に対する同意についての規定で、複数名訪問の同意を直接定めたものではありません。

当該同意については、利用者及び指定訪問看護事業者双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものであること

様式指定はない。ただし書面が望ましいという考え方は示されている。複数名訪問についてもこれに準じ、重要事項説明書や訪問看護計画書の同意欄とは別に記録を残しておくと、確認を求められたときに説明できます。

そして同意を取るとき、説明しておくべきことが3つあります。

説明すること なぜ要るか
複数名が必要な理由 「2人で伺ってよいですか」だけでは、何に同意したのか後で説明できません
自己負担がいくら増えるか 区分イ4,500円なら、3割負担で1回1,350円、1割でも450円が利用者の明細に載ります。同意の場で伝えていないと、明細を見た時点で揉めます
介護保険の場合は、区分支給限度基準額に算入されること 複数名訪問加算は限度額管理の対象です。限度額に近い利用者では他のサービスを圧迫するので、ケアマネジャーへの事前連絡が要ります

加算への同意は、利用者から見れば支払いが増えることへの同意です。金額を言わない同意は、取れていても弱い。

10-2. 記録に何を残すか

複数名訪問看護加算に固有の記録項目を定めた条文は見つかりませんでした。ただし、算定要件から逆算すると残すべきものは決まります。

残すもの なぜ要るか
1人では困難な理由 対象者要件イ〜ヘのどれに当たるかを説明するため
同行者の氏名と職種 区分イ・ロ・ハ・ニのどれかを決めるため
居宅にいた時間帯(両者分) 「同時に滞在する一定の時間」の要件を満たすため
同意を得た日と方法 算定要件だから

3つめが抜けやすい項目です。訪問開始時刻と終了時刻を2人ぶん書いておかないと、同時に滞在していたことを後から示せません。記録書の様式と書き方は訪問看護記録書の書き方|Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違いと記入例にまとめました。

10-3. 運営指導での指摘

介護保険側になりますが、和歌山県が令和6年度の集団指導資料で、複数名訪問加算についてこう指摘しています。

同時に複数の看護師等により訪問看護を行うことに対する1人で看護を行うことが困難な事情が明確に記載されている書類が見受けられなかった。複数の看護師等による訪問看護を行う場合は、訪問看護計画書にその旨を位置づけ、1人の看護師等による看護が困難である事情を明確に記録すること。

指摘されているのは、算定そのものではなく理由の記録です。訪問看護計画書に位置づけること、困難な事情を明確に記録すること。この2つが求められています。計画書への書き方は訪問看護計画書・報告書|書き方と提出期限を参照してください。

なお、医療保険側の複数名訪問看護加算について、返戻や査定の典型パターンを公表した審査支払機関の資料は見つかりませんでした。支払基金の審査情報提供事例は医科・歯科・薬剤のみを対象としており、訪問看護療養費は含まれていません。

10-4. 算定できない場面

ここまでの条文から、算定できない場面を並べます。

  • 対象者要件イ〜ヘのどれにも当たらない利用者への複数名訪問
  • 同行研修や新人教育のための同行訪問
  • 看護職員が1人も含まれない組み合わせ(理学療法士+作業療法士など)
  • 同意を得ていない場合
  • 居宅内で2人が同時に滞在した時間がない場合
  • 週1日・週3日の上限を超えた日
  • 訪問看護基本療養費(Ⅲ)(外泊時)を算定する日
  • 訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)の「ハ」(専門の研修を受けた看護師による訪問)を算定する日

最後の2つは、注12の柱書が「1及び2(いずれもハを除く。)については」と対象を限定していることから導かれます。

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11. よくある質問

11-1. 令和8年6月から金額はいくら下がりましたか

同一建物で複数名系を算定している利用者が9人以下なら、下がっていません。改定前の2区分の金額が、そのまま新しい「1人又は2人」「3〜9人」として残っています。新設されたのは10人以上の3階層で、区分イなら3,400円・3,000円・2,700円です(→4章)。

11-2. 同一建物の人数は、その日訪問した人数でいいですか

いいえ。複数名訪問看護加算の人数は、その日に複数名訪問看護加算・複数名精神科訪問看護加算・包括型訪問看護療養費を算定する利用者の合計です。ふつうに単独訪問した利用者は数えません。訪問看護基本療養費(Ⅱ)本体の人数(その日に基本療養費等を算定した利用者の合算)とは母数が違うので、同じ日でも人数が一致しないのがふつうです(→5章)。

11-3. 週に2回、看護師2人で訪問しました。2回とも算定できますか

できません。区分イは週1日が上限です。算定できるのはそのうち1日だけになります。看護補助者との同行(区分ハ)なら週3日まで、別表第七・別表第八・特別訪問看護指示書に該当する利用者への看護補助者との同行(区分ニ)なら日数の上限はありません(→7章)。

11-4. 新人の同行訪問は算定できますか

できません。留意事項通知に「単に2人の看護師等又は看護補助者が同時に指定訪問看護を行ったことのみをもって算定することはできない」と明記されています。利用者側の要件、つまり1人では訪問看護が困難な事情が必要です(→2章)。

11-5. 敷地内に別棟があります。合算しなければいけませんか

令和8年6月から、同一敷地内の建物も同一建物に含まれるようになりました。判定の軸は、同一地番かどうかと、公道に出ずに行き来できるかどうかです。ただし大規模団地のように敷地内にバス停が複数あるような規模で、他者の土地に隔てられて距離が離れている場合は含まれません(→6章)。

11-6. 介護保険の利用者にも同じルールが適用されますか

いいえ。介護保険の複数名訪問加算は別の制度で、同一建物の人数で単位数が変わる仕組みはありません。1回につき254単位・402単位((Ⅰ))、201単位・317単位((Ⅱ))で、令和8年度も変わっていません。対象者の定め方も違い、介護保険は身体的理由・行動上の理由・それに準ずる場合の3類型です(→8章)。

11-7. レセプトのどこに書けばいいですか

訪問日欄の日付に「▽」、摘要欄に「区分」10及び23と該当する名称、金額、日数。紙の様式第四の二では㉓「複数名訪問看護加算」欄に、同行者の職種の項ごと・人数区分の行ごとに分けて記載します。人数そのものを数字で書く欄はありません(→5-7)。

11-8. 難病等複数回訪問加算や夜間・早朝訪問看護加算と同じ日に算定できますか

確たることは書けません。禁止する規定も、認める規定も見つかりませんでした。令和8年度の疑義解釈はその11まで出ていますが、複数名訪問看護加算の問答は1件もありません。組み合わせによっては近畿厚生局のよくある質問で個別に答えが出ているものもあるので、迷う場合は地方厚生局に照会してください(→7-4)。

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12. どこから手をつけるか|月次の点検手順

令和8年6月からの変更点は2つに絞れます。同一建物の人数区分が5段階になったこと。同一建物の範囲に同一敷地内の建物が入ったこと。対象者の要件も、区分イ〜ニの決まり方も、週1日・週3日の上限も変わっていません。

そのうえで、事務として整えるべきものは3つです。

1つめ、集合住宅の台帳を作る。訪問している集合住宅について、地番が同じか、公道に出ずに行き来できるか、あいだに他者の土地が入っていないかを1回だけ調べて書き留めます。同一敷地内かどうかの判定はここで固まります。以後は台帳を見るだけです。

2つめ、日ごとに「複数名系を算定した人」を数える手順を決める。建物の入居者数でも、その日訪問した人数でもありません。複数名訪問看護加算・複数名精神科訪問看護加算・包括型訪問看護療養費のいずれかを算定した利用者だけを、建物ごと・日ごとに数えます。

抽出に要るのは、訪問日と、建物を識別するキーと、その日に算定した加算の3項目です。記録ソフトに建物単位の項目がないことが多いので、利用者マスタに建物コードの自由項目を1つ作り、同一敷地内の別棟には同じコードを振ります。1つめで作った台帳が、そのままコード表になります。住所の文字列でまとめようとすると、A棟・B棟の表記ゆれで別建物に割れます。

3つめ、記録に3点セットを入れる。1人では困難な理由、同行者の氏名と職種、両者が居宅にいた時間帯。運営指導で問われるのは金額ではなく、この理由の記録です。

そのうえで、レセプトを出す前に見る項目を決めておきます。

月次で見ること 見落とすと何が起きるか
週1日・週3日の上限を超えていないか(暦週・月またぎを含む) 過剰算定。返戻や過誤の対象になります
建物ごと・日ごとの人数と、レセプトの人数区分が一致しているか 数え方の誤り。減額側に間違えると返ってこないので、自分で見つけるしかありません
訪問看護基本療養費(Ⅰ)を算定した日に、人数区分が「1人又は2人」になっているか (Ⅱ)と(Ⅰ)の判定と人数区分の食い違い
対象者要件イ〜ヘの記録がある利用者だけに算定しているか 運営指導での指摘
同意の記録があるか 算定要件の不備

株式会社ainaruは、訪問看護のレセプト請求と関連する事務を代行しています。同一建物の人数区分の判定、複数名系の算定漏れの点検、返戻の原因調査と再請求をお引き受けできます。加算の全体像を先に把握したい場合は訪問看護の加算一覧・早見表、算定漏れの探し方は訪問看護の加算算定漏れ|見つけ方と月次の点検手順にまとめています。

同じ令和8年6月改定では、多職種がICTに記録した診療情報等を活用して計画的な管理を行った場合の訪問看護医療情報連携加算(1,000円・月1回)も新設されています。同一建物での複数名訪問が多いステーションほど、連携機関との情報共有体制も同時に整っていることが多く、あわせて確認する価値があります。

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確認しきれなかった点

一次資料で確定できなかった項目です。やってはいけない、という意味ではありません。

項目 状況 この記事での扱い
包括型訪問看護療養費を算定する日に複数名訪問看護加算を算定できるか 区分番号04 注8のただし書の除外列挙に複数名訪問看護加算は入っていないが、包括型に加算する根拠を正面から示した規定が見当たらない 条文の読みとして示し、断定していない(→7-4
複数名訪問看護加算と他の加算の同日算定 難病等複数回訪問加算・長時間訪問看護加算・緊急訪問看護加算・夜間早朝・深夜のいずれについても、禁止規定も許可規定も見当たらない。疑義解釈その1〜その11に複数名の問答はゼロ 「はっきりしない」と書き、照会を勧めた(→7-4
同一の利用者に複数のステーションが入っている場合、週1日・週3日は利用者単位か事業所単位か 明示した条文・通知・疑義解釈が見当たらない。訪問看護基本療養費の週3日には「利用者1人につき」「合わせて」という通算の明文があるのに、注12のただし書にはそれがない、という条文上の差だけが確認できた 記事では扱っていない。地方厚生局に確認してください
国保連の令和8年6月改定対応版の請求事務の手引き 千葉県などで令和8年4月版(改定前)は確認できたが、6月改定対応版が見当たらなかった 記載要領の通知そのものを出典にした(→5-7
他のステーションが同一建物で算定している分を人数に含めるか 条文の文言からは自事業所分のみと読めるが、明示した通知・疑義解釈が見当たらない 条文の読み方として示し、確認を勧めた(→5-5
看護師と理学療法士の同行が区分イに当たるか 条文の定義からはイになるが、明示した疑義解釈が見当たらない 条文の読み方として示し、確認を勧めた(→3-3
老企第36号の「複数名訪問加算について」の項番 厚生労働省法令等データベース収録分は平成12年制定時の原文で、該当項が存在しない 項番を書かず、厚生労働大臣が定める基準(告示第94号)と介護報酬改定Q&Aから記載した(→8章
介護保険の「所要時間30分未満/30分以上」が誰の時間を指すか 訪問全体の時間か、同行者が関与した時間かを明示した一次資料を特定できなかった 記事では判定基準を書いていない。保険者・国保連に確認してください(→8-3
訪問看護基本療養費(Ⅰ)の日にどの金額の行を使うか 留意事項通知第2の10(2)の反対解釈で「1人又は2人」と読めるが、明示した条文・疑義解釈が見当たらない 条文の読みであることを明示した(→5-4
看護補助者の「事業所に雇用されている必要がある」の通知上の位置 平成30年度Q&A 問16の質問文が留意事項通知の記述として引用しているが、通知本体の該当箇所を特定できなかった Q&Aの問文にある文言であることを明示した(→8-5
医療保険の複数名訪問看護加算に関する返戻・査定の公表事例 支払基金の審査情報提供事例は医科・歯科・薬剤のみで訪問看護は対象外 「公表資料は見つからなかった」と明記した(→10-3

参考・出典一覧

告示

通知・事務連絡

改定資料

地方厚生局

審査支払・運営指導