「緊急訪問看護加算」を調べていて、資料によって点数が違ったり、月1回と書いてあったり1日ごとと書いてあったりして混乱した、という方は少なくないと思います。
理由はシンプルです。「緊急」の名前がつく加算は、医療保険と介護保険で別々に存在し、しかも数が違うからです。 同じ言葉で3つの別の加算を指しているので、検索結果が噛み合いません。
この記事は、その3つをいったん分けて並べ直します。点数・単位数はすべて令和8年6月1日から適用されている告示の原本にあたって確認しました。章ごとに出典を明記しています。
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| いまの状況 | 進む先 |
|---|---|
| そもそも何がどう違うのか整理したい | 1章 結論 → 2章 早見表 |
| 医療保険の利用者の緊急対応を算定したい | 3章 24時間対応体制加算 → 4章 緊急訪問看護加算 |
| 介護保険の利用者の緊急対応を算定したい | 5章 緊急時訪問看護加算ⅠとⅡ |
| 同じ利用者で保険が切り替わる | 6章 保険の切替 |
| 電話だけで訪問しなかった月の扱い | 7章 訪問しなかった場合 |
| 算定漏れ・過剰算定が不安 | 8章 間違えやすい点 |
1. 結論:「緊急訪問看護加算」は医療保険の加算です
先に結論を書きます。
「緊急訪問看護加算」という名称の加算は、医療保険にしかありません。 実際に緊急の訪問をした日に、1日単位で算定するものです。
介護保険にあるのは「緊急時訪問看護加算」で、1文字違いますがまったく別の性質の加算です。こちらは実際の訪問への加算ではなく、24時間対応できる体制を評価する月1回の加算です。
つまり、こういう対応関係になります。
- 「緊急訪問看護加算」で検索して医療保険の話が出てきた → 正しい。医療保険の加算です
- 同じ言葉で介護保険の月1回の加算が出てきた → それは「緊急時訪問看護加算」で、名前が似ているだけの別物です
さらに医療保険側は、体制への加算と、実際の訪問への加算が別々になっています。整理すると、この領域には次の3つの加算があります。
- 医療保険:24時間対応体制加算 — 24時間対応できる体制への加算。月1回
- 医療保険:緊急訪問看護加算 — 実際に緊急訪問した日への加算。1日ごと
- 介護保険:緊急時訪問看護加算 — 24時間対応できる体制への加算。月1回。ⅠとⅡがある
介護保険には「実際の緊急訪問そのものへの加算」がありません。 緊急で訪問した分は、通常の訪問看護費として算定します。ここが医療保険との一番大きな違いです。次章の早見表で並べて見てください。
この章の出典
- 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(令和8年厚生労働省告示第74号)令和8年6月1日適用
- 厚生労働省「指定居宅サービス介護給付費単位数の算定構造」(令和8年6月改定箇所)
2. 3つの加算を分ける早見表
同じ月の緊急対応でも、どの保険で請求しているかで使う加算が変わります。まず全体像です。
| 医療保険 | 介護保険 | |
|---|---|---|
| 体制への加算 | 24時間対応体制加算 (月1回) |
緊急時訪問看護加算(Ⅰ・Ⅱ) (月1回) |
| 実際の緊急訪問への加算 | 緊急訪問看護加算 (1日ごと) |
なし(通常の訪問看護費で算定) |
| 金額の単位 | 円 | 単位 |
医療保険は体制と実訪問の2階建て、介護保険は体制の1階建て、と覚えると混乱しません。
令和8年6月1日時点の金額を並べます。すべて告示の原本で確認したものです。
| 加算 | 区分 | 金額 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| 【医療】24時間対応体制加算 | イ 負担軽減の取組あり | 6,800円 | 月1回 |
| ロ イ以外 | 6,520円 | 月1回 | |
| 【医療】緊急訪問看護加算 | イ 月14日目まで | 2,650円 | 1日につき |
| ロ 月15日目以降 | 2,000円 | 1日につき | |
| 【介護】緊急時訪問看護加算 | Ⅰ(ステーション) | 600単位 | 1月につき |
| Ⅱ(ステーション) | 574単位 | 1月につき | |
| Ⅰ(病院・診療所) | 325単位 | 1月につき | |
| Ⅱ(病院・診療所) | 315単位 | 1月につき |
以降の章で1つずつ見ていきます。
この章の出典
- 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(令和8年厚生労働省告示第74号)令和8年6月1日適用
- 厚生労働省「指定居宅サービス介護給付費単位数の算定構造」(令和8年6月改定箇所)
3. 【医療保険】24時間対応体制加算
医療保険で、24時間いつでも連絡を受けて緊急訪問できる体制を整えているステーションが算定する、体制への加算です。実際に緊急訪問したかどうかにかかわらず、体制があれば月1回算定します。
令和8年6月1日時点の点数は次のとおりです。
| 区分 | 金額 |
|---|---|
| イ 24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組を行っている場合 | 6,800円 |
| ロ イ以外の場合 | 6,520円 |
イとロの差は「看護業務の負担軽減の取組」の有無です。 24時間対応は、担当者に大きな負担がかかります。その負担を軽減する取組を行っている場合に、高いほうのイを算定できる、という構造です。どのような取組が該当するかは施設基準に定めがありますので、届出の前に確認してください。
この加算は地方厚生局への届出が必要です。届出先や様式、受理日のルールは24時間対応体制加算の記事で詳しく整理しています。
なお、機能強化型訪問看護管理療養費は1から4のすべての区分で、この24時間対応体制加算を届け出ていることが施設基準に組み込まれています。上位区分に限った話ではありません。逆にいえば、24時間対応体制加算の届出が外れれば機能強化型の要件も同時に崩れます。4区分の要件と届出は機能強化型訪問看護管理療養費|4の新設と要件・届出にまとめています。
管理療養費の区分と並んで、新規利用の立ち上げ時に確認したいのが初回加算です。介護保険側の(Ⅰ)(Ⅱ)の分かれ目は初回加算の記事にまとめています。
この章の出典
- 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(令和8年厚生労働省告示第74号)令和8年6月1日適用
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」令和8年3月10日版
4. 【医療保険】緊急訪問看護加算
こちらが、名称のとおりの「緊急訪問看護加算」です。前章の体制加算とは別で、実際に緊急訪問した日ごとに算定します。
告示は算定できる場面をこう定めています。
利用者又はその家族等の求めに応じて、その主治医(診療所又は……在宅療養支援病院……の保険医に限る。)の指示に基づき、訪問看護ステーションの看護師等が緊急に指定訪問看護を実施した場合
ポイントは3つです。利用者・家族の求めに応じたものであること、主治医の指示に基づくこと、そして実際に訪問したこと。 電話で相談を受けただけでは算定できません(7章)。
点数は、その月の何日目の緊急訪問かで2区分に分かれます。
| 区分 | 金額 | 算定単位 |
|---|---|---|
| イ 月14日目まで | 2,650円 | 1日につき |
| ロ 月15日目以降 | 2,000円 | 1日につき |
月の後半になると単価が下がるという設計です。同じ月に何度も緊急訪問が発生するケースでは、15日目以降の分の単価が変わる点を請求時に確認してください。
この章の出典
5. 【介護保険】緊急時訪問看護加算ⅠとⅡ
介護保険側です。名前は「緊急時訪問看護加算」で、こちらは体制への月1回の加算です。
利用者・家族から電話等で連絡を受けて常時対応できる体制を確保し、計画にない緊急の訪問にも応じられるようにしていることを評価するものです。実際の緊急訪問そのものへの加算ではありません。 緊急で訪問した分は、通常どおり訪問看護費として算定します(7章)。
令和8年6月1日時点の単位数です。
| 区分 | 指定訪問看護ステーション | 病院・診療所 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| 緊急時訪問看護加算(Ⅰ) | 600単位 | 325単位 | 1月につき |
| 緊急時訪問看護加算(Ⅱ) | 574単位 | 315単位 | 1月につき |
5-1. ⅠとⅡの違い
令和6年度の介護報酬改定で、それまで1本だったこの加算がⅠとⅡに分かれました。
社会保障審議会介護給付費分科会の資料によれば、両者はこう整理されています。
- Ⅰ — 電話等で常時対応できる体制に加えて、緊急時訪問における看護業務の負担軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備が行われていること
- Ⅱ — 常時対応できる体制のみ(Ⅰの業務管理体制の整備までは求めない)
早朝・夜間・深夜に対応するかどうかでⅠとⅡが分かれるのではありません。 常時対応の体制はどちらも前提で、差は「担当者の負担を軽くする業務管理の体制まで整えているか」です。ここは医療保険の24時間対応体制加算のイ・ロ(負担軽減の取組の有無)と発想が似ています。具体的な要件は大臣基準告示・老企第36号にあたって確認してください。
夜間・休日対応の負担が特定の看護師に偏りやすい構造と、その対策の全体像は「訪問看護の人手不足対策|採用の前にできる3つのこと」で整理しています。
5-2. 24時間連絡体制の中身
老企第36号は、連絡体制について次のように定めています。
24時間連絡できる体制としては、当該訪問看護事業所以外の事業所又は従事者を経由するような連絡相談体制をとることや、訪問看護事業所以外の者が所有する電話を連絡先とすることは認められない。
まず押さえるべきはこの点です。連絡先の電話や連絡相談の経路を、事業所の外部に丸ごと預ける形は認められません。 体制の責任は当該訪問看護事業所が負う、という考え方です。
そのうえで、令和6年度の介護報酬改定で、連絡相談への対応者の範囲が見直されました。 従来は連絡相談を担当するのは保健師・看護師が原則とされていましたが、改定後は、看護師等以外の職員が電話等による連絡・相談に対応することも一定の条件のもとで認められています。社会保障審議会介護給付費分科会の資料では、その条件として、看護師等以外の職員が対応する際のマニュアルが整備されていること、および対応した内容を保健師又は看護師へ報告することが挙げられています。
要件の逐語は大臣基準告示・老企第36号の最新版にあたって確認してください。運用を組む際は、この「マニュアル整備」と「保健師・看護師への報告」の2点が体制の要件に含まれる点に注意します。
なお加算は、その月の第1回目の介護保険の訪問看護を行った日の所定単位数に加算します。月1回の加算です。
この加算には、もうひとつ役割があります。介護保険の看護体制強化加算は、前6月間の実利用者のうち緊急時訪問看護加算を算定した人の割合が50%以上であることを要件のひとつにしています。 つまり、この加算をどれだけの利用者に算定してきたかが、そのまま別の加算の可否を左右します。割合の数え方は看護体制強化加算の記事で扱っています。
この章の出典
- 厚生労働省「指定居宅サービス介護給付費単位数の算定構造」(令和8年6月改定箇所)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第36号)
- 社会保障審議会介護給付費分科会 資料「訪問看護」
6. 同じ利用者でも、保険が切り替わると加算も切り替わります
訪問看護は、原則として同じ期間は医療保険か介護保険のどちらか一方で行われ、介護保険が優先します。要介護・要支援の認定を受けている利用者は、通常は介護保険の訪問看護です。
ただし、次のような場合は医療保険の訪問看護に切り替わります。
- 特掲診療料の施設基準等の別表第七に掲げる疾病等(末期の悪性腫瘍を含む)に該当する場合
- 急性増悪等で主治医が特別訪問看護指示書を交付した期間
- 精神科訪問看護基本療養費が算定される場合
この医療保険への切り替わりの3類型(別表第七該当・特別訪問看護指示書・精神科訪問看護指示書)は、退院支援指導加算が医療保険で算定できる条件とも重なります。あわせて確認しておくと判断が早くなります。
3類型のうち別表第七の全20項目と、別表第八との違い(どちらが回数の壁を外し、どちらが加算を開くか)は、訪問看護の別表7・別表8の記事にまとめています。
なお精神科訪問看護の緊急訪問には、この記事で扱う緊急訪問看護加算ではなく精神科緊急訪問看護加算が適用されます。同一建物の人数区分がない代わりに月14日目までと月15日目以降で単価が変わるという、別の逓減構造を持っています。金額と算定要件は精神科訪問看護基本療養費の記事で整理しました。
開設したばかりの事業所では、この振り分けを最初の請求までに決めておく必要があります。開業時の届出と保険の振り分けについては訪問看護の開業と事務・請求体制の記事で扱っています。
3つの加算の金額と、ほかの加算との位置関係は訪問看護の加算一覧・早見表で一覧にしています。
緊急対応の加算も、その月にどちらの保険で算定しているかに連動します。
- 医療保険で算定している月の緊急対応 → 24時間対応体制加算(体制)+緊急訪問看護加算(実訪問)
- 介護保険で算定している月の緊急対応 → 緊急時訪問看護加算(体制)+通常の訪問看護費(実訪問)
とくに注意したいのが特別訪問看護指示書です。この指示書が出ている期間は医療保険に切り替わります。介護保険の緊急時訪問看護加算を算定しているつもりで、実は医療保険の期間だった、という取り違えが起こりえます。特別指示書を受け取った時点で保険区分の切替を記録に残しておくと、月末の請求で気づけます。
保険の取り違えは返戻の原因にもなります。返戻になったときの読み方と再請求の手順は「訪問看護のレセプト返戻|原因と再請求の手順・エラーコード早見表」にまとめています。
この章の出典
- 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(保発0305第19号)令和8年6月1日適用
- 厚生労働省「訪問看護のしくみ(医療保険と介護保険の適用関係)」
7. 電話だけで訪問しなかった月は、どうなるか
ここは体制加算と実訪問の違いがそのまま効いてくる部分です。
体制加算(医療の24時間対応体制加算・介護の緊急時訪問看護加算)は、体制そのものへの評価です。その月に緊急の連絡を受けて電話で対応し、結果として訪問には至らなかった場合でも、体制の要件を満たしていれば月1回の体制加算は算定できます。
一方、実際の訪問への評価は、訪問しなければ発生しません。 医療保険の緊急訪問看護加算は「緊急に指定訪問看護を実施した場合」の加算なので、電話対応のみでは算定できません。介護保険側も、実際に訪問しなければ訪問看護費そのものが発生しません。
整理するとこうなります。
| その月にあったこと | 体制加算(月1回) | 実訪問への算定 |
|---|---|---|
| 緊急の電話を受け、電話対応のみ | 算定できる(体制要件を満たす場合) | なし |
| 緊急の電話を受け、実際に訪問した | 算定できる | 医療は緊急訪問看護加算/介護は訪問看護費 |
| その月に緊急の連絡がなかった | 算定できる(体制要件を満たす場合) | なし |
「今月は緊急訪問がなかったから体制加算は取れない」と考えるのは誤りです。 体制加算は緊急訪問の実績ではなく、体制を評価するものです。逆に、体制加算を算定したからといって、実際の緊急訪問の分まで含まれるわけでもありません。2つは別々に考えてください。
なお、この表はその月に通常の訪問看護の提供がある場合の整理です。介護の緊急時訪問看護加算は、その月の第1回目の訪問を行った日の所定単位数に加算するものなので(5章)、その月に訪問看護の提供が一度もなければ、加算を付ける算定の土台がありません。体制加算だけを単独で算定することはできない点に注意してください。
この章の出典
- 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(令和8年厚生労働省告示第74号)令和8年6月1日適用
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第36号)
8. 算定漏れ・過剰算定になりやすい点
この領域で実際に起きやすい間違いを挙げます。
① 名称の取り違え。 医療保険の「緊急訪問看護加算」(実訪問・1日ごと)と、介護保険の「緊急時訪問看護加算」(体制・月1回)を混同する。1文字違いで性質が正反対なので、社内では「医療の緊急訪問看護加算」「介護の緊急時訪問看護加算」のように保険種別を冠して呼ぶと安全です。
② 月1回の体制加算を、訪問のたびに算定してしまう。 24時間対応体制加算も緊急時訪問看護加算も、いずれも月1回です。緊急訪問が月に何度あっても、体制加算は1回だけです。
③ 保険区分の取り違え。 特別訪問看護指示書の期間中は医療保険に切り替わるのに、介護保険の緊急時訪問看護加算を算定してしまう(6章)。
④ 体制加算だけで満足してしまう。 医療保険では、実際に緊急訪問した日には緊急訪問看護加算を別に算定できます。体制加算を取っているから実訪問分も含まれている、と誤解すると算定漏れになります。なお、算定漏れに後から気づいた場合に遡って請求できる期間と手順は「訪問看護の加算算定漏れ|遡及請求の期限は医療5年・介護2年」で整理しています。
⑤ 電話対応のみを実訪問として算定してしまう。 実訪問への加算は訪問が前提です(7章)。
特別管理加算やターミナルケア加算との併算定の可否など、他の加算との組み合わせには細かい規定があります。併算定の可否は告示・留意事項通知の原本で確認してください。 なお特別管理加算は、医療保険の施設基準に24時間対応体制加算を算定できる体制が組み込まれているうえ、医療と介護で対象者の範囲が一致していない加算です。「訪問看護の特別管理加算|令和8年6月改定と医療・介護の違い」で整理しています。
これらは「起きたら直す」で回すと毎月繰り返します。加算の算定は、体制の届出、月次の請求チェック、保険区分の管理といった複数の工程がかみ合って初めて正しく回ります。
請求業務や加算の算定・チェックを外部に任せるという選択肢について、対応できる範囲や進め方をご案内しています。
この章の出典
- 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(令和8年厚生労働省告示第74号)令和8年6月1日適用
- 厚生労働省「指定居宅サービス介護給付費単位数の算定構造」(令和8年6月改定箇所)
9. よくある質問
Q. 「緊急訪問看護加算」と「緊急時訪問看護加算」は同じものですか?
違います。「緊急訪問看護加算」は医療保険の加算で、実際に緊急訪問した日ごとに算定します。「緊急時訪問看護加算」は介護保険の加算で、24時間対応できる体制への月1回の加算です。名前は1文字違いですが性質が別です。
Q. 介護保険に「緊急訪問看護加算」はありますか?
ありません。介護保険にあるのは体制への加算である「緊急時訪問看護加算」で、実際の緊急訪問は通常の訪問看護費として算定します。
Q. 24時間対応体制加算と緊急訪問看護加算は両方取れますか?(医療保険)
取れます。24時間対応体制加算は体制への月1回の加算、緊急訪問看護加算は実際に緊急訪問した日ごとの加算で、別の加算です。
Q. 緊急時訪問看護加算のⅠとⅡはどう違いますか?(介護保険)
どちらも常時対応できる体制が前提です。Ⅰはそれに加えて緊急時訪問の業務負担軽減に資する業務管理等の体制を整えている場合で、Ⅱは常時対応の体制のみです。早朝・夜間・深夜に対応するかどうかで分かれるわけではありません。
Q. 緊急の電話を受けたが訪問しなかった月は、体制加算を算定できますか?
体制の要件を満たしていれば算定できます。体制加算は緊急訪問の実績ではなく、体制を評価する加算です。ただし実際の訪問への加算(医療の緊急訪問看護加算・介護の訪問看護費)は、訪問しなければ算定できません。
Q. 緊急訪問看護加算は月に何回でも算定できますか?(医療保険)
実際に緊急訪問した日ごとに算定します。ただし月14日目までと15日目以降で単価が変わります(2,650円/2,000円)。
Q. 24時間対応体制加算のイとロの違いは?(医療保険)
24時間対応における看護業務の負担軽減の取組を行っている場合がイ(6,800円)、それ以外がロ(6,520円)です。
この章の出典
- 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」(令和8年厚生労働省告示第74号)令和8年6月1日適用
- 厚生労働省「指定居宅サービス介護給付費単位数の算定構造」(令和8年6月改定箇所)
- 社会保障審議会介護給付費分科会 資料「訪問看護」
10. まとめ
要点を整理します。
「緊急訪問看護加算」は医療保険の加算です。 実際に緊急訪問した日ごとに算定します(月14日目まで2,650円/15日目以降2,000円)。
介護保険にあるのは「緊急時訪問看護加算」で、別物です。 24時間対応の体制への月1回の加算(ステーションⅠ600単位/Ⅱ574単位)で、実際の緊急訪問は通常の訪問看護費で算定します。
医療保険は体制と実訪問の2階建てです。 24時間対応体制加算(体制・月1回・6,800円/6,520円)と緊急訪問看護加算(実訪問・1日ごと)を、別々に算定します。
この24時間対応体制加算と緊急訪問看護加算を1つの包括評価にまとめたのが包括型訪問看護療養費です。対象者・点数・届出は包括型訪問看護療養費|算定要件・点数・届出で整理しています。
介護保険は体制の1階建てです。 緊急時訪問看護加算だけが加算で、実訪問の分は訪問看護費に含めて考えます。
体制加算は、緊急訪問がなかった月でも算定できます。 逆に、体制加算を取っても実訪問の分が自動的に含まれるわけではありません。
保険が切り替わると加算も切り替わります。 特別訪問看護指示書の期間は医療保険です。取り違えると返戻の原因になります。
この加算群は、名前が似ているうえに、医療と介護で建て方が違い、月1回の体制加算と実訪問の加算が入り混じります。担当者の記憶で毎月さばくには、間違いが起きやすい構造です。 体制の届出、保険区分の管理、月次の請求チェックを仕組みで受け止めるのが、算定漏れと過剰算定の両方を防ぐ近道になります。
なお、令和8年6月には介護職員等処遇改善加算が訪問看護にも新設されました。こちらの要件と手続きは「訪問看護の処遇改善加算|1.8%の一択・6月開始・出す書類と期限」で整理しています。
ご利用にあたって
本記事は2026年7月時点で公開されている厚生労働省の告示・通知、および社会保障審議会の資料にあたって作成しています。そのうえで、次の3点にご留意ください。
制度は改定されます。 点数・単位数・要件は診療報酬・介護報酬の改定で変わります。本記事の金額は令和8年6月1日適用の告示に基づきますが、その後の改定で変わることがあります。本記事の内容が最新である保証はありません。
記載に誤りが含まれている可能性があります。 告示原本にあたって確認していますが、条文や資料の読み取りを誤っている箇所があるかもしれません。点数・単位数・算定要件は原本でご確認ください。とくに他の加算との併算定の可否は、告示・留意事項通知の原本でご確認ください。
算定の可否は、最終的にご自身で確認し、判断に迷う場合は提出先にご照会ください。 窓口は次のとおりです。
| 確認したいこと | 窓口 |
|---|---|
| 医療保険(訪問看護療養費)の算定・届出 | 地方厚生局 |
| 介護保険(介護給付費)の算定・届出 | 都道府県・市町村(指定権者)、国民健康保険団体連合会 |
| 医療保険と介護保険の適用関係 | 主治医・地方厚生局 |
照会した内容と回答は記録に残しておくことをおすすめします。後の実地指導で、そう判断した根拠を説明できます。
照会記録を含め、加算算定の根拠は運営指導でも確認されます。当日までの準備は運営指導対策の記事で解説しています。
参考・出典一覧
厚生労働省|医療保険(訪問看護療養費)
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(令和8年厚生労働省告示第74号/令和8年6月1日適用)
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(保発0305第19号/令和8年6月1日適用)
- 令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】(令和8年3月10日版)