最終確認日:令和8年8月5日|反映済みの疑義解釈:その3〜その10の包括型関連の全問答(令和8年7月17日発出分まで。その2の2問は所在のみ確認 →記事末の開示)
令和8年6月1日から、包括型訪問看護療養費が新設されました。サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームに併設・隣接する訪問看護ステーションが、その建物の重症な利用者に24時間体制で頻回に訪問する場合の、1日あたりの包括評価です。
告示の本文だけを読んでも運用は決まりません。改定の発出から令和8年7月17日までに、包括型に触れる疑義解釈が8号分(その2・3・5・6・7・8・9・10)出ていて、算定区分の決め方も夜間の人員配置の数え方も、そこで初めて確定しました。この記事はその3以降の7号の問答をすべて反映しています(その2の2問は所在まで確認。→確認しきれなかった点)。
告示・届出基準・記載要領・疑義解釈を一次資料で確認して、対象判定から届出、レセプトの書き方までを1本に整理しました。一次資料で裏が取れなかった点は、そのまま書いています。
先に結論
| 問い | 答え |
|---|---|
| 何が新しいのか | 区分番号04として新設。1日あたりの包括評価で、訪問看護管理療養費が中に含まれる(→1章) |
| どこが対象か | サ高住・有料老人ホーム等に併設または隣接するステーション。同一敷地内を含む(→2-1) |
| 誰が対象か | 別表第七・別表第八・特別訪問看護指示書のいずれか(→2-2) |
| いくらか | 訪問時間4区分×単一建物居住利用者3区分の12区分、5,960円〜15,510円(→3-1) |
| 最大の落とし穴 | 合計60分以上の日は1日3回以上の訪問が必要。時間が足りていても回数で区分が落ちる(→4-1) |
| いつから算定できるか | 月末までに受理されれば翌月から。実績がなくても計画の提出で届出できる(→7-4) |
| 夜間帯の人員は | 90分以上の区分(ハ・ニ)の利用者が1人でもいれば常時1名以上。イ・ロの利用者は人数に数えない(→5章) |
| 届出は | 別紙様式12、受理番号「訪看36」(→7-2) |
| レセプトは | 特記事項に「11 包括型」+当月の実際の人数、訪問日欄は「●」。記録書Ⅲ(参考様式5)を1日ごとに作成(→8章) |
| 消える収入は | 管理療養費・24時間対応体制加算・緊急訪問看護加算。特別管理加算は残る(→9-2) |
この3つを満たさないと、そもそも対象になりません
1. 建物 サ高住・有料老人ホーム等に併設または隣接しているか(同一敷地内を含む) → いいえなら対象外です。以降は読まなくて構いません
2. 利用者 別表第七・別表第八・特別訪問看護指示書のいずれかに該当する利用者がいるか → いいえなら対象外。該当しない利用者には従来どおり基本療養費等を算定します(→2-4)
3. 体制 夜間帯(18時〜翌8時)に看護職員を常時1名以上置けるか → ここで大半が決まります。しかもこの1名は、包括型の利用者が1人でも必要です(→5章)
3つとも当てはまった方へ。 次に見るのは金額と期限です。増収か減収かの比べ方は6章、届出から逆算したスケジュールは7-4、毎日の算定で落とす箇所は4章にあります。
1. 包括型訪問看護療養費とは|1日あたりの包括評価
1-1. 区分番号04は、空いていた番地に入った
訪問看護療養費の算定方法(平成20年厚生労働省告示第67号。以下「算定告示」)の別表は、区分番号01から08までで構成されています。このうち04は長らく「(削除)」だった空き番地で、令和8年6月の改正でそこに包括型訪問看護療養費が入りました。
つまり包括型は、既存の療養費に付く加算ではなく、基本療養費と同じ階層に並ぶ独立した区分です。「加算だから上乗せされる」という理解で入ると、次に説明する包括の範囲を読み違えます。
1-2. 管理療養費が中に含まれている
包括型の性格を決めているのは、算定告示の注8です。同一日に訪問看護基本療養費・精神科訪問看護基本療養費・訪問看護管理療養費を別に算定できないと明記されています(全文は3-2)。
留意事項通知(令和8年3月5日 保発0305第19号)の第1の1も、費用の額を2つの系統に分けて定義していて、同じ構造が読み取れます。
指定訪問看護の費用の額は、訪問看護基本療養費又は精神科訪問看護基本療養費の額に、訪問看護管理療養費、訪問看護情報提供療養費、訪問看護ターミナルケア療養費、訪問看護遠隔診療補助料、訪問看護ベースアップ評価料及び訪問看護物価対応料の額を加えた額並びに包括型訪問看護療養費の額に、訪問看護情報提供療養費、訪問看護ターミナルケア療養費、訪問看護遠隔診療補助料、訪問看護ベースアップ評価料及び訪問看護物価対応料の額を加えた額の合計金額とすること。
前半(従来の系統)には訪問看護管理療養費が入っていますが、後半(包括型の系統)には入っていません。包括型は管理療養費を含んだ包括評価です。単価が高く見えても、比較の相手は「基本療養費+管理療養費+その日に付いていた加算」であることを最初に押さえてください(→6章)。
1-3. 施行日と、今から届け出るなら何月から
施行は令和8年6月1日です。6月1日から算定するための届出受付は令和8年5月7日から始まっていました。
今から届け出る場合は通常のルールに戻り、各月の月末までに受理されたものは翌月から算定できます(月の最初の開庁日に受理された場合はその月の1日から)。実績要件については新規開設のステーション向けの取扱いがあります(→7-4)。
この章の出典
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(法令等データベース)
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第74号)
- 訪問看護療養費算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保発0305第19号)
- 訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第9号)
2. うちのステーションは対象になるか|3ステップ判定
2-1. Step1 建物要件|サ高住・有料老人ホーム等に併設または隣接
基準告示(平成18年厚生労働省告示第103号)の第一の七(1)は、対象となるステーションをこう定めています。
高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第七条第一項の登録を受けた同法第五条第一項に規定するサービス付き高齢者向け住宅又は老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第二十九条第一項に規定する有料老人ホーム等の集合住宅等(以下「高齢者向け住まい等」という。)に併設又は隣接する訪問看護ステーションであること。
条文が名指ししているのはサービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームで、届出様式(別紙様式12)の施設種別のチェック欄も「サービス付き高齢者向け住宅/有料老人ホーム/その他」の3択です。認知症対応型共同生活介護(グループホーム)などが「等の集合住宅等」に含まれるかは、確認した範囲では明文の定めが見当たりませんでした(→確認しきれなかった点)。自ステーションの併設先がサ高住でも有料老人ホームでもない場合は、届出前に厚生局へ確認してください。
「併設又は隣接」の範囲については、疑義解釈で同一の敷地内を含むことが示されています。ただし距離や構造による数値基準は見当たりません。
建物は1か所ずつ指定します。届出時に建物を指定し、その建物を単位として体制を組む建てつけです。ただし、併設・隣接する建物が複数ある場合について疑義解釈(その7 問3)が緩和を示しており、体制や距離等を鑑みて一体的に指定訪問看護を行うことが可能であれば、複数の建物を指定して届け出ることができます。
その場合の人数の数え方も、同じ問3の答の末尾に明記されています。
包括型訪問看護療養費を算定すると複数の施設を指定して届出を行った場合において、同一建物及び単一建物居住利用者数は、複数の施設を合算した合計の人数となることに留意すること。
複数の建物を届け出ると、人数区分は建物ごとではなく合算で判定します。 2棟で計25人なら「20人以上50人未満」の区分です。棟を分けて届け出れば単価の高い区分を維持できる、という読み方はできません。
なお、届出ができるのは主たる事業所が併設・隣接している場合で、サテライトだけが併設している形では届け出られません(届出基準11の(4))。
2-2. Step2 利用者要件|別表第七・別表第八・特別訪問看護指示書
基準告示 第二の十二が、包括型の対象者を定めています。
十二 包括型訪問看護療養費の注1、注5及び注6に規定する厚生労働大臣が定める者 次のいずれかに該当する者 (1) 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者 (2) 特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者 (3) 特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者
3つ目の特別訪問看護指示書については、交付要件と14日の数え方を特別訪問看護指示書|14日の数え方と月2回・レセプト記載で扱っています。包括型を算定する利用者の報告書には「特記すべき事項」欄への記載が要ります。欄ごとの書き方は訪問看護計画書・報告書の書き方にまとめました。
週4日以上の訪問ができる人と同じ枠組みです。別表第七の全20項目・別表第八の全5号と、その判定のしかたは別表第七・別表第八の記事に整理してあります。包括型の対象判定は、実質的にこの記事の判定作業そのものです。別表第八に該当する利用者は特別管理加算の対象者でもあるので、あわせて確認してください。
ひとつ注意があります。(3)の特別訪問看護指示書の有効期間は、診療の日から14日以内です。特別訪問看護指示書だけで対象になっている利用者は、その期間を過ぎると包括型の対象から外れます。月の前半だけ包括型、後半は従来算定、という月が生じます。別表第七・第八に該当する利用者と、特別訪問看護指示書で該当している利用者は、台帳の上で分けて管理してください。なお、特別訪問看護指示書を月2回交付できる気管カニューレ使用者と真皮を越える褥瘡の利用者は、いずれも別表第八の該当者なので、(2)の側で継続的に対象になります。
2-3. Step3 体制要件|夜間帯に看護職員を置けるか
3つ目が、届出の可否を実際に決める要件です。夜間帯(午後6時から午前8時まで)の対応を行う看護職員を常時1名以上置く必要があります。しかも、その日に日中と夜間帯の両方へ最低1回ずつ訪問しなければ算定できません(→4-2)。
配置基準の人数に数えるのは90分以上の区分(ハ・ニ)の利用者だけですが、その利用者が1人いれば常時1名が必要です。またイ・ロだけの場合でも、注3により毎日夜間帯への訪問が要り、施設基準は建物単位の24時間体制を求めています。夜間の体制コストは早い段階から満額に近くかかり、対象者が増えるほど1人あたりのコストが下がる構造です。立ち上げ初期がいちばん不利になります。
夜間の体制を新たに作れるかどうかで、届出の可否が事実上決まります。数え方と勤務形態の論点は5章で単独に扱います。
2-4. 対象外だった利用者は、従来どおりの算定
包括型を届け出た建物の中に、別表第七にも第八にも該当せず特別訪問看護指示書もない利用者がいる場合、その人は算定告示の注6により従来どおりの算定になります。
注6 包括型訪問看護療養費を算定すると届出を行った建物に居住する、別に厚生労働大臣が定める者に該当しない利用者に対して、指定訪問看護を行った場合は、区分番号01から区分番号03まで及び区分番号05から区分番号08までのうち算定要件を満たすものを算定する。
同じ建物の中で、包括型の人と出来高の人が混在する形になります。届出基準も、届け出た建物に居住していない利用者へ包括型を算定しない訪問看護を行うことは差し支えないとしています。
この章の出典
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(法令等データベース)
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第75号)
- 疑義解釈資料の送付について(その7)(令和8年5月29日事務連絡)
- 訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第9号)
- 九州厚生局 別紙様式12(包括型訪問看護療養費に係る届出書)
3. 点数と12区分|1日あたりいくらか
3-1. 12区分の一覧
包括型は訪問時間4区分 × 単一建物居住利用者の人数3区分=12区分です。単位は点ではなく円で、1日につき算定します。
| 単一建物居住利用者 | イ 30分以上60分未満 | ロ 60分以上90分未満 | ハ 90分以上 | ニ 90分以上(別に定める場合) |
|---|---|---|---|---|
| 1 20人未満 | 7,010円 | 11,010円 | 14,010円 | 15,510円 |
| 2 20人以上50人未満 | 6,310円 | 9,910円 | 13,730円 | 15,200円 |
| 3 50人以上 | 5,960円 | 9,360円 | 13,450円 | 14,890円 |
人数区分の刻みは制度ごとに違います。ここは覚え違いが起きやすいので対照させます。
| 制度 | 人数区分の刻み |
|---|---|
| 包括型訪問看護療養費 | 20人未満/20人以上50人未満/50人以上(3区分) |
| 訪問看護管理療養費(月の2日目以降) | 20人未満/20人以上50人未満/50人以上(包括型と同じ) |
| 訪問看護基本療養費(Ⅱ) | 2人/3〜9人/10〜19人/20〜49人/50人以上(5区分) |
包括型と管理療養費は同じ刻み、基本療養費(Ⅱ)だけが違う。 これだけ押さえておけば、6章の比較で表を引き違えることがなくなります。
3-1-1. 「ニ」は個人ではなくステーション全体で決まる
12区分のうち最高額の「ニ」は、その利用者の訪問時間では決まりません。基準告示 第四の三が、こう定めています。
第二の十二に規定する厚生労働大臣が定める者に、訪問看護ステーションが緊急時において即時に適切な指定訪問看護が実施できる体制があり、かつ、当該訪問看護ステーションが指定訪問看護を実施し、包括型訪問看護療養費を算定する利用者全員における訪問看護の実施時間の一日当たりの平均が百二十分以上である場合
条件は2つです。緊急時に即時に適切な訪問看護が実施できる体制があることと、包括型を算定する利用者全員の訪問看護実施時間の1日当たりの平均が120分以上であること。後者は個々の利用者ではなくステーション全体の平均なので、「この人は120分訪問したからニ」という判定にはなりません。平均が120分に届かなければ、90分以上の利用者は全員「ハ」です。
「ニ」に該当するかどうかは、9-3の緊急訪問看護加算の扱いにも効いてきます。
3-2. 算定の条件は注に書いてある
包括型の運用ルールは、算定告示の注1から注8に集約されています。
注1 包括型訪問看護療養費については、別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た訪問看護ステーションの看護師等が、包括型訪問看護療養費を算定する建物として届出を行った建物に居住する、別に厚生労働大臣が定める者に対して、当該利用者の同意を得て、その主治医から交付を受けた訪問看護指示書及び訪問看護計画書に基づき、24時間の対応体制で、計画的又は随時の対応による頻回の指定訪問看護を行った場合に、利用者1人につき、1日当たりの訪問時間及び単一建物居住利用者の人数に従い、いずれかを算定する。
注2 訪問看護時間は、1日に行った複数回の指定訪問看護において実際に看護を提供した時間を合算して算出する。
注3 算定に当たっては、日中及び夜間帯(午後6時から午前8時までをいう。)に少なくともそれぞれ1回ずつの指定訪問看護を行う必要があること。また、指定訪問看護の実施時間が1日当たり60分以上である場合には、1日当たり3回以上の訪問看護を実施すること。
注4 指定訪問看護の実施においては、1日に1回以上、看護職員(准看護師を除く。)によるものが含まれること。
注5 包括型訪問看護療養費を算定すると届出を行った建物に居住する、別に厚生労働大臣が定める者に該当する利用者に対して、1日に2回以上の指定訪問看護を行った場合は、包括型訪問看護療養費に限り算定する。
注7 訪問看護計画書及び訪問看護記録書は電子的方法によって記録すること。また、実施した指定訪問看護の内容及び実施時間を訪問看護記録書に記載すること。
注8 包括型訪問看護療養費を算定する場合にあっては、同一日に、区分番号01の訪問看護基本療養費、区分番号01―2の精神科訪問看護基本療養費及び区分番号02の訪問看護管理療養費は、別に算定できない。ただし、区分番号01の訪問看護基本療養費(Ⅰ)及び(Ⅱ)のハ、注9に規定する緊急訪問看護加算(包括型訪問看護療養費の1のニ、2のニ及び3のニに規定する別に厚生労働大臣が定める場合を除く。)並びに注11に規定する乳幼児加算、区分番号01―2の精神科訪問看護基本療養費の注6に規定する精神科緊急訪問看護加算(包括型訪問看護療養費の1のニ、2のニ及び3のニに規定する別に厚生労働大臣が定める場合を除く。)並びに区分番号02の訪問看護管理療養費の注2に規定する24時間対応体制加算以外の加算については、この限りではない。
(注6は2-4に、注8の効き方は9章に分けて書いています。ただし書きに列挙されていない加算の扱いは専門管理加算の記事でも触れました。)
実務で効くのは注2から注4です。時間は1日分を合算して区分を決め(注2)、日中と夜間帯にそれぞれ1回以上かつ60分以上なら1日3回以上という回数の条件があり(注3)、1日1回以上は准看護師以外の看護職員(保健師・助産師・看護師)が入る必要があります(注4)。この3つを外すと区分が落ちるか、算定そのものができません(→4章)。
注5も重要です。対象者に1日2回以上訪問した場合は包括型に限り算定するとされているので、包括型を届け出た建物の対象者について「今日は出来高のほうが高いから基本療養費で」という選び方はできません。
3-3. 単一建物居住利用者の数え方|月単位で、管理療養費か包括型を算定する人
区分を決める「単一建物居住利用者」の定義は、留意事項通知の第5の1(1)にあります。
ここでいう単一建物居住利用者の人数とは、当該利用者が居住する建物(同一敷地内のものを含む。)に居住する者のうち、同月において当該訪問看護ステーションが訪問看護管理療養費又は包括型訪問看護療養費を算定する者の人数をいう。
押さえるべき点が3つあります。同一敷地内の建物を含むこと。同月においてという月単位の数え方であること。そして数える対象が訪問看護管理療養費または包括型訪問看護療養費を算定する者であることです。包括型の利用者だけではなく、同じ建物で管理療養費を算定している利用者も足します。
紛らわしいのですが、同じ通知の第2の2(1)にある「同一建物居住者」は別の概念です。こちらは訪問看護基本療養費(Ⅱ)の人数区分などを決めるためのもので、「同一日に基本療養費・精神科基本療養費・包括型を算定する利用者を合算した人数」とされています。母集団も期間(同一日か同月か)も違います。 包括型の区分を決めるときは第5の1(1)、基本療養費(Ⅱ)の区分を決めるときは第2の2(1)、と使い分けてください。
さらに複数名訪問看護加算の人数は、この第2の2(1)ともまた別の数え方をします。3つの数え方の違いは複数名訪問看護加算|算定要件と令和8年6月の同一建物5区分の5章に整理しました。
複数の建物を届け出ている場合は、建物を合算した合計の人数で判定します(→2-1)。なお、介護保険にも同一建物居住者に関する減算がありますが、これは人数の数え方も減算のしかたも別の制度です(→同一建物減算の記事)。
この章の出典
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第74号)
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(法令等データベース)
- 訪問看護療養費算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保発0305第19号)
- 厚生労働省「訪問看護療養費マスター変更点」(令和8年3月6日)
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(法令等データベース・第四の三)
4. 算定区分の落とし穴|時間が足りていても回数で落ちる
包括型でいちばん事故が起きるのはここです。訪問時間だけを見て区分を決めると、実際より高い区分で請求してしまいます。
4-1. 60分以上なら1日3回以上|疑義解釈その3が示した具体例
注3の後段、「1日当たり60分以上である場合には、1日当たり3回以上」という条件の効き方を、疑義解釈が具体例で示しています。逐語で引きます。
問1 包括型訪問看護療養費を算定すると届出を行っている高齢者住まい等に居住する別表第7に規定する疾病等に該当する利用者への訪問看護において、例えば、日中の時間帯に訪問看護計画に基づいて訪問看護を40分行い訪問看護基本療養費(Ⅱ)等を算定する予定だったが、その後、夜間帯に緊急の対応が必要となり訪問看護を30分実施し、当該日の訪問看護の回数は2回、訪問看護時間は70分となった。 ① 包括型訪問看護療養費の算定告示に「1日に2回以上の指定訪問看護を行った場合は、包括型訪問看護療養費に限り算定する」と規定されているが、計画による訪問看護でない場合であっても、包括型訪問看護療養費を算定するということでよいか。 ② この例では、訪問看護時間は1日あたり70分となり「ロ 訪問看護時間が60分以上90分未満」に該当するが、訪問看護の回数は1日あたり2回のため、「ロ 訪問看護時間が60分以上90分未満」の算定要件である1日当たり3回以上の訪問看護の実施を満たしていない。包括型訪問看護療養費を算定する場合、算定する区分如何。
(答)① そのとおり。 ② 「イ 訪問看護時間が30分以上60分未満」の区分を算定する。
この答えには2つの内容が入っています。
ひとつは①で、計画外の緊急対応でも、結果として1日2回以上になれば包括型になるということ。「計画にない訪問だから出来高で」とはなりません。
もうひとつが②で、こちらが本題です。この日の訪問時間は合計70分あり、時間だけ見れば「ロ」(20人未満なら11,010円)に届いています。しかし回数が2回で、ロの要件である1日3回以上を満たしていないため「イ」(7,010円)に落ちます。 差額は1日4,000円です。
時間で区分を選び、回数で確認する。 この順番を機械的な手順にしないと、月末のレセプト点検では拾えません。訪問記録から1日ごとに「合計時間」と「回数」の両方を出す必要があります。
4-2. 夜間帯に行かなかった日は、包括型を算定できない
注3の前段、日中と夜間帯にそれぞれ1回以上という条件についても疑義解釈が出ています(その7 問2)。日中に1日2回以上訪問したが夜間帯には訪問していない場合、包括型は算定できず、訪問看護基本療養費の算定要件を満たす場合に日中の1回分の訪問看護基本療養費を算定するとされています。
日中に2回行っていても、基本療養費は1回分です。夜間帯に行かなかった日は、収入が大きく下がります。 包括型は「夜間に行ける体制があること」を前提に設計されていて、その前提が崩れた日の手当ては用意されていません。
4-3. 18時をまたぐ訪問は、どちらか一方に数える
夜間帯は午後6時からなので、その前後にまたがる訪問が必ず出ます。疑義解釈その6 問1がこれを扱っています。
問1 包括型訪問看護療養費における訪問看護の実施時間について、訪問看護の開始時刻と終了時刻が午後6時をまたぐ場合には、日中と夜間帯のどちらの訪問看護の回数に計上するか。 答1 原則として、訪問看護の実施が夜間帯を含む場合は、夜間帯の訪問看護の回数に計上するが、当該訪問看護の実施時間の多くが日中の時間帯である場合に、夜間帯ではなく日中の回数に計上することは差し支えない。
原則は夜間帯に計上し、日中の時間が大半を占める訪問なら日中に計上してもよい、ということです。問いの立て方が「どちらの回数に計上するか」である以上、同じ1回を日中と夜間帯の両方に数えることはできません。 17時40分から18時20分までの訪問1回で日中と夜間帯の要件を両方満たす、という組み方は成立しないと考えてください。
4-4. 計画より長くなっても短くなっても、実績で算定する
同じく疑義解釈その6が、計画と実績の関係を2問で整理しています。訪問看護計画では「1日当たりの訪問看護時間及び内容」を定めておく必要があり、日ごとの訪問時刻まで定める必要はありません(問2)。そして計画より訪問時間が多くなった場合も少なくなった場合も、「実際に訪問看護を提供した時間に応じた区分により算定する」とされています(問3)。
計画は区分を固定しません。区分は毎日、実績で決まります。ここが記録書Ⅲを1日ごとに作る義務(→8-3)と直結します。
4-5. 准看護師だけの日も算定できない
注4により、1日1回以上は准看護師を除く看護職員(保健師・助産師・看護師)による訪問が含まれている必要があります。回数と時間の条件を満たしていても、その日の訪問がすべて准看護師だった場合は要件を満たしません。シフトを組む段階で見る条件です。
4-6. 「イ」の30分にも届かない日がある
見落とされがちですが、いちばん下の区分「イ」も30分以上が要件です。併設のサ高住では5分から10分の状態確認の訪問が普通に発生します。5分×3回では合計15分で、どの区分にも当てはまりません。包括型は下限も意外に高いという点を、訪問の組み方を決める段階で織り込んでください。
なお、注2の「実際に看護を提供した時間」が滞在時間を指すのか処置時間を指すのか、そして合計30分に満たなかった日の取扱い(注5との関係で基本療養費に戻れるのか)は、いずれも定めを確認できませんでした(→確認しきれなかった点)。
4-7. その日の判断は、その日にしかできない
区分は実績で決まります(→4-4)。ということは、月末のレセプト点検では手遅れだということです。2回目の訪問が終わった時点で合計が65分だったとして、3回目に行けば「ロ」、行かなければ「イ」。20人未満の建物なら、その日の4,000円が2回目終了時点の判断で決まります。
そこで、次の3つを決めておいてください。
- 誰が見るか。 利用者ごとのその日の累計時間と回数を、2回目の訪問記録が上がった時点で確認する担当を決める
- どこで見るか。 使っている記録ソフトで「利用者×日」の累計時間と回数が画面で見られるか。見られないなら、その日のうちに手で拾う運用にする(→8-5)
- 行かない日は確定させる。 3回目が入らないと決まった時点で「イで確定」と記録に残す
ひとつ釘を刺しておきます。回数は計画で決めるものであって、点数で決めるものではありません。 中医協の資料は、訪問看護ステーションの看護師等が「利用者の個別の状況を踏まえずに一律に訪問看護の日数等を定めるといったこと」は認められないとし、訪問看護が「漫然かつ画一的」にならないよう求めています(令和7年3月12日 中医協総会 総-12「訪問看護ステーションの指導監査について」)。併設集合住宅への頻回訪問は算定状況そのものが中医協の議題になっている領域で、包括型はそこに高単価の包括評価を置く制度です。算定を始めた時点で見られる前提で運用を組んでください。
この章の出典
- 疑義解釈資料の送付について(その3)(令和8年4月20日事務連絡)別添5
- 疑義解釈資料の送付について(その6)(令和8年5月22日事務連絡)
- 疑義解釈資料の送付について(その7)(令和8年5月29日事務連絡)
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第74号)
- 中医協総会(令和7年3月12日)総-12「訪問看護ステーションの指導監査について」
5. 夜間帯の人員配置|数えるのは「ハ」「ニ」の利用者だけ
5-1. 常時1名以上、31人以上で2名以上
基準告示 第一の七(4)が、夜間帯の看護職員数を定めています。
包括型訪問看護療養費の1のハ又はニ、2のハ又はニ及び3のハ又はニを算定する利用者に対しては、当該訪問看護ステーションにおいて、夜間帯(午後六時から午前八時までをいう。)の対応を行う看護職員の数は、常時一名以上(ただし、当該訪問看護ステーションにおいて当該利用者の数の合計が三十一以上八十以下の場合は二以上、八十一以上の場合は五十又はその端数を増すごとに一を加えて得た数以上)、当該建物において、計画的な指定訪問看護を実施している又は随時の指定訪問看護に対応できる状況で勤務していること。
人数は次のようになります。
| 対象となる利用者数 | 夜間帯の看護職員 |
|---|---|
| 1人以上30人以下 | 常時1名以上 |
| 31人以上80人以下 | 2名以上 |
| 81人以上 | 50またはその端数を増すごとに1を加えて得た数以上 |
81人以上の場合の具体的な人数は、条文の文言から一意には読み取れません。該当する規模になる場合は厚生局に確認してください。
5-1-1. 「常時1名」は1人雇えば済む話ではない
夜間帯は18時から翌8時までの14時間です。これを365日切らさず1名置くと、月におよそ420時間。常勤1人を月160時間として常勤換算2.6人分にあたります。休憩・有給・年末年始・急な欠勤を織り込めば、実質3人規模の頭数が必要です。条文の「常時一名以上」という表現から受ける印象より、はるかに重い要件です。
さらに、この職員は当該建物において計画的な訪問看護を実施しているか、随時の訪問看護に対応できる状況で勤務している必要があります(基準告示 第一の七(4))。届出基準では、建物内の包括型を算定しない他の利用者への訪問看護に従事することは差し支えない一方、建物外の利用者への訪問看護の実施等との兼務はできないとされています(届出基準11。細かな逐語は原典で照合してください→確認しきれなかった点)。
ここから2つの帰結が出ます。ひとつは、従来のオンコール当番と兼ねられないこと。併設ステーションが建物外の利用者も抱えているなら、夜間の対応体制が「建物内の専任」と「建物外のオンコール」の2系統必要になります。もうひとつは、この体制コストがハ・ニの利用者1人目から満額かかること。対象者が増えるほど1人あたりの負担は下がるので、立ち上げ期がいちばん重くなります。
そして最大の分岐がここです。条文は「勤務していること」と書いていますが、これが事業所内・建物内での待機を指すのか、自宅でのオンコール待機で足りるのかは、明文の定めを確認できませんでした(→確認しきれなかった点)。オンコールで足りるなら既存スタッフの当番で回せますが、待機が必要なら、延べ約420時間に時間単価2,400円を置くだけで月100万円前後の人件費になります(単価は自事業所の数字に置き換えてください)。届出の可否と収支の両方をひっくり返す論点なので、対象判定の次にやる作業として厚生局へ確認してください。
5-2. 「当該利用者」は包括型の全員ではない
ここが最も誤解されやすい点です。この基準の「当該利用者」は、包括型を算定する利用者の全員ではありません。基準告示 第一の七(4)は、その前段で対象をこう限定しています。
包括型訪問看護療養費の1のハ又はニ、2のハ又はニ及び3のハ又はニを算定する利用者に対しては
「ハ」と「ニ」、つまり訪問時間が90分以上の区分を算定する利用者だけを数えます。「イ」(30分以上60分未満)や「ロ」(60分以上90分未満)の利用者は、この人数に入りません。
包括型の利用者を全員数えて31人を超えたから2名必要だ、と判断すると、必要のない人員を配置することになります。逆に、90分以上の重い利用者が増えれば、包括型の総利用者数が変わらなくても配置基準が上がります。日々の訪問時間の実績が、そのまま人員配置基準を動かす構造です。
5-3. 判定は「その日の訪問看護計画」で行う
では、人数が日によって変動する場合はどう判定するのか。疑義解釈その5がこの点を扱っています。午後6時の時点で30名だったが夜間帯の間に31名になった場合について、「訪問看護計画において夜間帯の訪問が予定されている利用者を含む利用者の数に応じた看護職員の数」と判断するとされています。当日の訪問看護計画に基づき、夜間帯に要件を満たす利用者が31名以上と予定されていた場合は2名以上が必要です。緊急の事情で利用者数が増えたときは、必要な訪問看護の実施体制の確保に留意することとされています。
つまりシフトを組む時点の計画で判定する、というのが答えです。実績が計画を上回った場合に直ちに基準違反になるわけではありませんが、体制の確保には留意を求められています。
この章の出典
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第75号)
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(法令等データベース)
- 疑義解釈資料の送付について(その5)(令和8年5月8日事務連絡)
- 訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第9号)
6. 取るべきか|比べ方と、計算の手順
「包括型を算定すると増収になるのか」。検討している管理者が最初に知りたいのはここだと思います。結論から言うと、前提の置き方で変わるので一般的な答えはありません。 ここでは断定する代わりに、自ステーションの数字で計算できる手順を示します。
6-1. 比べる相手は「基本療養費(Ⅱ)+複数回訪問加算+管理療養費」
包括型は管理療養費を含んだ包括評価です(→1-2)。従来の算定と比べるときの式はこうなります。
包括型の1日あたりの額 と 訪問看護基本療養費(Ⅱ)+難病等複数回訪問加算+訪問看護管理療養費(その日の分)
ここで間違えやすいのが1行目です。訪問看護基本療養費(Ⅱ)は「1日につき」の算定なので、1日3回訪問しても3回分は立ちません。 1日に2回・3回以上訪問したことを評価するのは、区分番号01の注7「難病等複数回訪問加算」です。包括型の対象者(別表第七・第八・特別訪問看護指示書の該当者)は、この加算の対象者とちょうど重なります。従来側の比較で複数回訪問加算を落とすと、包括型が実際より有利に見えます。
さらに、日単位の式には表れないものが月単位で消えます。24時間対応体制加算(月1回・6,800円または6,520円)です。これは管理療養費への加算で、注8が名指しで「別に算定できない」側に入れています(→9-2)。
6-2. 計算に使う数字(すべて告示の額)
訪問看護基本療養費(Ⅱ) 保健師・助産師・看護師の場合(1日につき)
| 単一建物居住利用者 | 週3日目まで | 週4日目以降 |
|---|---|---|
| 同一日に2人 | 5,550円 | 6,550円 |
| 同一日に3〜9人 | 2,780円 | 3,280円 |
| 同一日に10〜19人 | 2,760円(月20日目まで)/2,660円(月21日目以降) | — |
| 同一日に20〜49人 | 2,710円(月20日目まで)/2,610円(月21日目以降) | — |
| 同一日に50人以上 | 2,610円(月20日目まで)/2,510円(月21日目以降) | — |
難病等複数回訪問加算(1日につき。人数は、同一日にこの加算・精神科複数回訪問加算・包括型を算定する同一建物居住者の合計)
| 人数 | 1日2回 | 1日3回以上 |
|---|---|---|
| 1人または2人 | 4,500円 | 8,000円 |
| 3〜9人 | 4,000円 | 7,200円(月20日目まで)/6,900円(月21日目以降) |
| 10〜19人 | 3,700円 | 6,300円(月20日目まで)/5,200円(月21日目以降) |
| 20〜49人 | 3,500円 | 4,800円(月20日目まで)/3,500円(月21日目以降) |
| 50人以上 | 3,300円 | 4,100円(月20日目まで)/3,000円(月21日目以降) |
訪問看護管理療養費
| 場面 | 額 |
|---|---|
| 月の初日(機能強化型以外) | 7,710円 |
| 月の初日(機能強化型1/2/3/4) | 13,760円/10,460円/9,030円/9,030円 |
| 月の2日目以降・20人未満 | 3,010円 |
| 月の2日目以降・20人以上50人未満 | 2,510円(月15日目まで)/2,310円(月16〜24日目)/2,210円(月25日目以降) |
| 月の2日目以降・50人以上 | 2,410円(月15日目まで)/2,210円(月16〜24日目)/2,010円(月25日目以降) |
24時間対応体制加算(月1回) 看護業務の負担軽減の取組を実施している場合 6,800円/その他の場合 6,520円
機能強化型の各区分の要件と加算全体の一覧は訪問看護の加算一覧にあります。
機能強化型1〜4の要件と届出だけを詳しく見る場合は機能強化型訪問看護管理療養費|4の新設と要件・届出をご覧ください。
同じ訪問看護管理療養費の加算として、令和8年6月に訪問看護医療情報連携加算(1,000円・月1回)も新設されました。多職種がICTに記録した診療情報等を活用して計画的な管理を行った場合の加算で、届出は別紙様式9です。
6-3. 計算例|前提を明示して比べる
前提を必ず先に書き出してください。 ①その建物の単一建物居住利用者は何人か、②1日に何回訪問するか、③1日の合計訪問時間は何分か(日中・夜間帯の内訳も。夜間帯ゼロの日は包括型自体が立ちません→4-2)、④週何日訪問するか、⑤月の何日目か。この5つで金額が決まります。
もうひとつ、下の例では計算を単純にするため、同一日の同一建物居住者数(基本療養費(Ⅱ)と難病等複数回訪問加算の人数区分)も前提の人数と同じと仮定しています。3-3のとおり、この2つは本来は別の数え方です。実際の同一日の人数が少なければ従来側の単価は上がるので、自ステーションの数字で必ず引き直してください。
例A:単一建物居住利用者15人/1日3回/合計95分/月の10日目
包括型は、人数区分が「1 20人未満」、時間区分が90分以上で「ハ」。1日あたり14,010円です。
従来の側は、基本療養費(Ⅱ)が10〜19人・月20日目までで2,760円(1日1回分)。難病等複数回訪問加算が1日3回以上・10〜19人・月20日目までで6,300円。管理療養費は月の2日目以降・20人未満で3,010円。合計12,070円。
この前提では包括型のほうが1日1,940円多くなります。
例B:単一建物居住利用者60人/1日2回/合計50分/月の20日目
包括型は、人数区分が「3 50人以上」、時間区分が30分以上60分未満で「イ」。1日あたり5,960円です。
従来の側は、基本療養費(Ⅱ)が50人以上・月20日目までで2,610円。難病等複数回訪問加算が1日2回・50人以上で3,300円。管理療養費は月の2日目以降・50人以上・月16〜24日目で2,210円。合計8,120円。
この前提では従来の側が1日2,160円多くなります。
同じ制度でも、人数区分と回数・時間の組み合わせで向きが逆になります。 短時間で回数の少ない訪問が中心の建物では、包括型にすると下がります。しかも4-1のとおり、合計時間が60分を超えていても回数が3回に届かなければ「イ」に落ちるので、実績が計画どおりに積み上がらない月ほど包括型は不利になります。
6-4. 1日の比較を月額に直す
上の計算はあくまで1日分の骨格です。決裁に載せるのは月額なので、次の手順で組み直してください。
手順1|1日ごとの表を作る。 直近3か月の訪問実績から、利用者ごとに「日付/訪問回数/合計時間/日中・夜間の別/訪問職種」の5列を並べます。行は1日1行、31行です。この5列は、包括型を算定する場合に記録書Ⅲへ記入する項目(→8-3)とほぼ同じなので、算定を始めたあとはこの表がそのまま日次の記録になります。記録書Ⅲの様式の欄と、記録書Ⅱとの関係は訪問看護記録書の書き方|Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違いと記入例【R8.6】にまとめました。
手順2|日ごとに両方の額を入れる。 包括型の列には3-1の12区分から、従来の列には6-2の3つの表から拾います。夜間帯に訪問できなかった日は包括型が算定できないので、その日は従来側の基本療養費1回分だけになります(→4-2)。
手順3|月単位でしか動かないものを足し引きする。
| 項目 | 包括型を算定すると |
|---|---|
| 訪問看護管理療養費(月の初日・機能強化型なら最大13,760円) | 包括型を算定した日は立たない。月の初日をどちらで取るかで月額が変わる |
| 24時間対応体制加算(月1回・6,800円/6,520円) | 算定できない(注8で名指し) |
| 緊急訪問看護加算 | ほぼ算定できない(→9-3)。現在の月間算定件数を数えて、消える前提で引く |
| 特別管理加算 | 算定できる(→9-2) |
手順4|費用側を必ず入れる。 夜間帯(18時〜翌8時)は14時間です。これを毎日1名で埋めると月およそ420時間、常勤1人160時間として常勤換算2.6人分。休憩・有給・急な欠勤を織り込めば実質3人規模の頭数が要ります。収入の比較で有利でも、この人件費で逆転することがあります。 具体的な単価は事業所ごとに違うので、上の延べ時間に自事業所の時間単価を掛けて式に入れてください(→5章)。
手順5|利用者の自己負担の変化も見る。 包括型は1日あたりの額が大きいので、1割負担なら1日1,400円前後、3割負担なら1日4,200円前後になる区分もあります。従来より負担が増える利用者が出るなら、届出より先に本人・家族への説明が必要です(→2-2の同意の話に戻ります)。
直近3か月の訪問実績を1日単位に並べ直す作業と、そこからの試算・レセプトの点検を外に出したい場合は、ainaruの介護BPOサービスでお手伝いできます。
この章の出典
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(法令等データベース)
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第74号)
- 訪問看護療養費算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保発0305第19号)
7. 施設基準と届出|別紙様式12・受理番号「訪看36」
7-1. 施設基準の全体像
基準告示 第一の七は、包括型の基準を(1)から(9)まで並べています。
| 号 | 内容 |
|---|---|
| (1) | 高齢者向け住まい等に併設または隣接する訪問看護ステーションであること |
| (2) | 届出時に建物を指定し、その建物を単位として24時間体制で計画的または随時の訪問看護を行う体制 |
| (3) | 看護職員等について、包括型を算定する利用者および単一建物に居住する他の利用者に必要な配置 |
| (4) | 夜間帯の看護職員の配置(→5章) |
| (5) | 医療安全管理および衛生管理に関する組織的な取組 |
| (6) | 地域の保険医療機関または訪問看護ステーションとの連携(合同の研修・事例検討会等) |
| (7) | 厚生労働大臣が実施する調査に適切に参加していること |
| (8) | 指定訪問看護に係る記録を電子的に行っていること |
| (9) | 看護職員の負担の軽減および処遇の改善に資する体制 |
細目は届出基準(保医発0305第9号 別添)の「11 包括型訪問看護療養費」に置かれています。地域連携の要件(10)はア・イ・ウの3つです。
ア 地域の保険医療機関や訪問看護ステーションとの平時からの連携を推進するために、当該訪問看護ステーションに地域の保険医療機関や訪問看護ステーションとの連携を担当する責任者を配置すること。 イ 直近1年間に、地域の保険医療機関や訪問看護ステーションと合同で実施する研修や事例検討会等を2回以上実施していること。 ウ 直近1年間に、地域の保険医療機関や訪問看護ステーションに対して、当該訪問看護ステーションが実施する訪問看護に関する情報提供を行った実績があること。
実績(イ・ウ)に目が行きがちですが、アの「連携を担当する責任者の配置」は届出時点で決めておく体制要件です。誰を充てるかを先に決めてください。
この連携先について疑義解釈その7 問1が限定をかけていて、開設者が同一の医療機関やステーションとの連携だけでは足りず、「特別の関係にない」地域の医療機関または他のステーションとの連携が含まれている必要があります。同一法人内で研修を回して実績にする形は認められません。
7-2. 届出の様式と受理番号
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 様式 | 別紙様式12(包括型訪問看護療養費に係る届出書) |
| 受理番号 | 訪看36 |
| 主な記載事項 | 指定する建物の所在地・名称、施設の種別、24時間体制(連絡相談担当者数・連絡先電話番号・業務負担軽減の取組)、夜間帯の対応を行う看護職員の状況、医療安全管理・衛生管理の取組、地域連携、負担軽減・処遇改善の体制 |
整理番号は厚生局によって異なります(近畿は3-14、九州は3-16)。様式は各厚生局のサイトからダウンロードできます。
取組状況等を明らかにした書類は、様式の注記により提出ではなく事業所で保管し、照会に速やかに回答できるようにしておく扱いです。夜間帯の対応を行う看護職員の勤務状況を明らかにした書類も保管対象になります。
7-3. 届出のタイミングと経過措置
届出は各月の月末までに受理されたものは翌月から算定できます(月の最初の開庁日に受理された場合はその月の1日から)。
地域連携の実績要件(届出基準11の(10))には経過措置があります。届出手続の通知の「第4 経過措置等」に、「別添『届出基準』の11の(10)に掲げる基準については、令和9年5月31日までの間に限り、(10)の基準に該当するものとみなす」と定められています。
つまり、合同研修や情報提供の実績がまだ無いステーションでも、令和9年5月31日までは届け出られます。 逆に言えば、その日までに実績を積んでおく必要があります。
7-3-1. 届出日から逆算する
新規開設のステーションが計画で届け出る場合(→7-4)、期限は届出日を起点に動きます。提出日を0日として整理するとこうなります。
| 時点 | やること | 未達なら |
|---|---|---|
| 0日 | 別紙様式12を提出(月末までの受理で翌月から算定) | — |
| +1か月以内 | 安全管理の体制確保のための職員研修を少なくとも1回実施。負担軽減の取組は1か月分の勤務予定どおり遂行されていること | 取り下げ |
| +3か月以内 | 地域の保険医療機関等と合同の研修・事例検討会等を実施(同一法人内だけでは不可)。安全管理研修も届出時の計画どおり遂行 | 取り下げ |
| 令和9年5月31日 | (10)の経過措置の期限 | 基準を満たす必要あり |
研修の日程を押さえてから届出日を決めるのが順番です。届出を出してから研修先を探すと、1か月の期限に間に合いません。
7-4. 新規開設のステーションには救済の取扱いがある
開設したばかりで実績がないステーション向けに、疑義解釈が2度にわたって取扱いを示しています。
その9(令和8年6月26日) — 看護職員等の負担軽減(届出基準11の(6)のカ)については届出後1か月分の勤務予定等により、地域連携(同(10))については届出後3か月以内の合同研修等の予定により、基準を満たすことが見込まれる具体的な計画を示すことで対応できるとされています。ただし、それぞれ届出後1か月・3か月の時点で計画が遂行されず基準を満たさない場合は、速やかに取り下げることとされています。
その10(令和8年7月17日) — 安全管理の体制確保のための職員研修(同(9)のエ)についても、届出後3か月以内の研修の予定を示すことで基準を満たすものとして取り扱われます。ただし届出後1か月以内に当該研修を少なくとも1回実施している必要があり、3か月時点で未達なら同じく取り下げです。
「実績がないから届出できない」と諦めていた場合は、計画を示して届け出る道があります。ただし計画が実行されなければ取り下げという条件つきなので、届出日から逆算した研修・連携のスケジュールを先に決めてから出すことになります。開設時の届出全般については開業後の事務・請求体制の記事で扱っています。
7-5. やめるとき・基準を満たせなくなったとき
新しい制度に踏み込む前に、出口を確認しておいてください。ただし、ここは定めを確認できていない部分が多く残ります。
確認できたのは、新規開設で計画を示して届け出た場合に、期限までに計画が遂行されず基準を満たさないときは速やかに取り下げる、という7-4の取扱いだけです。自主的にやめる場合の届出、いつから従来算定に戻るのか、一度やめてから再度届け出るときの制限、そして夜勤者の退職などで月の途中に基準を満たせなくなった月のレセプトをどう扱うのかは、いずれも確認できませんでした(→確認しきれなかった点)。
夜間帯の人員は看護職員1名の退職で基準割れが起こりうる要件です(→5-1-1)。割れたときの扱いが分からないまま踏み込むかどうかは、届出前に厚生局へ確認しておく価値があります。
7-6. 併設先との調整は、届出と同時に始める
制度の話ではありませんが、実際に立ち上げで詰まるのはここです。包括型は併設先の建物を単位として体制を組むので、施設側との調整なしには成立しません。
夜間に呼ばれる基準を先に決める。 随時の対応は包括型に含まれています(→9-3)。裏返すと、施設の夜勤者が看護師を呼ぶことに追加のコストがかからない構造です。誰がどんな状態のときに連絡するのか、書面で握っておかないと、夜勤の看護職員が施設職員の便利屋になります。
役割分担を文書にする。 「毎晩看護師が来るなら夜勤の介護職を減らせる」と施設側が考えることもあれば、逆に「うちの職員の業務に看護が入ってくる」という抵抗が出ることもあります。どちらに転んでも、事前に分担を決めておかないと現場が混乱します。
体制コストの分担を交渉する。 包括型を算定すれば、施設側は入居募集で24時間の看護体制を訴求できるようになります。夜間体制のコストを施設側と分け合う交渉の材料になる、というのは管理者にとっての実利です。同一法人なら法人内の予算配分の話になります。
待機場所と鍵と端末を決める。 夜間の看護職員がどこにいるのか、施設内に場所を借りるのか、記録端末をどうするのか。地味ですが必ず詰まります。
なお、併設先が同一法人であること自体は届出を妨げませんが、7-1のとおり地域連携の実績を同一法人内で作ることはできません。
この章の出典
- 訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第9号)
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第75号)
- 疑義解釈資料の送付について(その7)(令和8年5月29日事務連絡)
- 疑義解釈資料の送付について(その9)(令和8年6月26日事務連絡)
- 疑義解釈資料の送付について(その10)(令和8年7月17日事務連絡)
- 近畿厚生局 令和8年度 訪問看護ステーションの基準に係る届出様式
- 九州厚生局 別紙様式12(包括型訪問看護療養費に係る届出書)
8. レセプトと記録|「11 包括型」「●」「記録書Ⅲ」
毎月手を動かすのはこの部分です。
8-1. 専用の明細書は作られていない
包括型のために新しい明細書様式が新設されたわけではありません。既存の訪問看護療養費明細書の中で処理します。 変わるのは記載の中身です。
8-2. 特記事項は「11 包括型」+当月の実際の人数
記載要領(令和8年3月27日 保医発0327第2号 別添3)は、特記事項欄についてこう定めています。
包括型訪問看護療養費を算定した場合は、「11 包括型」を記載し、当該月における実際の単一建物居住利用者の人数を併せて記載すること。
コード「11」だけでは足りません。「当該月における実際の単一建物居住利用者の人数」を併記します。人数は算定区分の根拠そのもの(20人未満/20人以上50人未満/50人以上)なので、審査側はこの数字と区分の整合を見ることになります。3-3のとおり、この人数は同じ建物で訪問看護管理療養費を算定する利用者と合算した月単位の人数で、複数の建物を届け出ている場合は建物も合算します(→2-1)。
訪問日欄の記載も変わります。
包括型訪問看護療養費を算定する場合は、「●」を記載すること。
従来の記号と使い分ける点に注意してください。同じ建物で包括型の利用者と出来高の利用者が混在する以上(→2-4)、明細書ごとに記号が変わります。
電子レセプトでは、包括型のための新しいレコードは設けられていません。訪問看護療養費マスターのコード(560000110〜560001210の12件が12区分に対応)を既存のレコードで記録する構成です。返戻・再請求の流れそのものはレセプト返戻の記事にまとめています。
8-3. 訪問看護記録書Ⅲを1日ごとに作成する
包括型には専用の記録様式が新設されました。訪問看護計画書等の記載要領(令和8年3月27日 保医発0327第10号)が参考様式5「訪問看護記録書Ⅲ」を定めています。
包括型訪問看護療養費を算定する利用者においては、「記録書Ⅲ」を1日ごとに作成すること
記録書Ⅲには、包括型を算定する日ごとに、訪問年月日、訪問時間(実際の指定訪問看護の開始時刻及び終了時刻)、訪問職種、病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリテーションの内容等を記入します。
記録すべき項目を見ると、算定区分を決めるために必要な情報がそのまま並んでいます。開始時刻と終了時刻があれば合計時間が出て、訪問の記録が並べば回数が出て、訪問職種があれば准看護師以外が入っているかが分かる。記録書Ⅲは、4章の条件を毎日確認するための帳票でもあります。
実務では2つ決めておく必要があります。ひとつは、訪問ごとに書いている記録書Ⅱとの関係です。記録書Ⅲが記録書Ⅱを兼ねるのか、両方作るのかを定めた記述は確認できませんでした(→確認しきれなかった点)。「1日ごとにまとめる」を「訪問ごとの記録は不要」と読むと監査で指摘されうるので、厚生局に確認するまでは両方残すのが安全です。
もうひとつは、誰がいつ締めるかです。夜間帯は翌朝8時までなので、その日の記録書Ⅲは当日中には確定しません。深夜の訪問が入れば確定は翌朝以降になります。さらに、0時をまたいだ訪問の時間をどちらの日に計上するかという論点があり、疑義解釈(その2)に翌日にわたる訪問看護時間の計上と、同一の部屋に居住する複数の利用者へ連続して訪問した場合の時間の取扱いに関する問答が存在することまでは確認できています(原文の逐語は未到達。→確認しきれなかった点)。日付またぎの計上ルールを決めてから運用を組んでください。日次で締める帳票が1つ増えるということなので、翌朝の担当者が前日分を確定させるといった運用を先に決めておかないと、記録書Ⅲは確実に溜まります。
この記録が抜けている日は、区分の根拠を後から再現できません。 レセプト作成の前に、記録書Ⅲから1日ごとの「合計時間・回数・職種」を拾う手順を決めておくのが安全です。
8-4. 記録の電子化が要件になっている
基準告示 第一の七(8)は、指定訪問看護に係る記録を電子的に行っていることを基準にしています。届出基準でも訪問看護計画書および訪問看護記録書を電子的方法により記録し保存することとされています。
紙の記録で運用しているステーションは、包括型の届出そのものができません。記録書Ⅲを1日ごとに作る負荷と合わせて、システム面の準備が届出の前提になります。
8-5. 導入前に、記録ソフトのベンダーへ確認すること
包括型は令和8年6月の新設なので、記録・レセプトのシステムが対応しているかどうかが、実質的な導入のボトルネックになります。届出を検討する段階で、次の項目をベンダーに確認してください。
- 同一利用者に1日3件以上の訪問記録を登録できるか
- 訪問の開始時刻・終了時刻が必須入力になっているか(任意項目だと空欄運用になり、区分の根拠が残りません)
- 利用者×日で合計時間と回数を集計した一覧が出せるか(出せないと4-7の当日判断も月次の点検も手作業になります)
- 記録書Ⅲ(参考様式5)の様式に対応しているか
- レセプトで特記事項「11 包括型」・訪問日欄「●」を出力できるか。訪問看護療養費マスターの新コード(560000110〜560001210)に対応済みか
8-6. レセプトに回数は出ない
包括型の算定要件には回数(日中・夜間帯に各1回以上、60分以上なら1日3回以上)が含まれていますが、訪問日欄は1日1つの「●」なので、レセプトの表面に回数は出ません。 つまり回数要件を満たしていることは、記録書Ⅲの側で担保する形になります。記録が要件の証明そのものだと考えて運用を組んでください。
なお、月の途中で包括型と従来算定が混在した月(特別訪問看護指示書の期間が切れた月など。→2-2)の明細書の書き方については、確認できた範囲では定めが見当たりませんでした(→確認しきれなかった点)。公費併用の場合の記載は自立支援医療の記事で扱っている考え方が土台になります。
レセプトの記載と記録の突合を外部に出したい場合は、ainaruの介護BPOサービスにご相談ください。記録書Ⅲからの区分判定とレセプトの整合確認は、毎月定型で回せる作業です。
この章の出典
9. 何が包括され、何が別に算定できるか
9-1. 包括型を算定する日は、管理療養費を算定しない
1-2のとおり、包括型は訪問看護管理療養費を含んだ評価です。包括型を算定した日について管理療養費は立ちません。
同じステーションで、包括型を算定せずに基本療養費等と管理療養費を算定する場合の扱いも留意事項通知に定めがあります。
包括型訪問看護療養費を算定すると届出を行った訪問看護ステーションにおいて、包括型訪問看護療養費を算定せずに訪問看護基本療養費等及び訪問看護管理療養費を算定する場合については、注2のイを算定すること。
9-2. 消えるものと、残るもの
注8のただし書きは、算定できないものを限定列挙しています。「以下に挙げるもの以外の加算については、この限りではない」という書き方なので、列挙されていない加算は算定できるという構造です。整理するとこうなります。
| 項目 | 包括型を算定する日 | 根拠 |
|---|---|---|
| 訪問看護基本療養費・精神科訪問看護基本療養費 | 算定できない | 注8本文 |
| 訪問看護管理療養費 | 算定できない | 注8本文 |
| 24時間対応体制加算 | 算定できない | 注8で名指し |
| 緊急訪問看護加算・精神科緊急訪問看護加算 | 算定できない(「ニ」の場合を除く) | 注8で名指し(→9-3) |
| 乳幼児加算 | 算定できない | 注8で名指し |
| 特別管理加算 | 算定できる | 注8の列挙に含まれない |
| 訪問看護情報提供療養費・訪問看護ターミナルケア療養費・訪問看護遠隔診療補助料・訪問看護ベースアップ評価料・訪問看護物価対応料 | 算定できる | 留意事項通知 第1の1 |
特別管理加算が残るというのは、金額の大きい話です。別表第八第一号の該当者なら月5,000円、第二号以下でも月2,500円。包括型の対象者は別表第八該当者と重なるので、該当する利用者が複数いれば月額で効いてきます。
特別管理加算も24時間対応体制加算も、どちらも訪問看護管理療養費への加算です。管理療養費そのものが算定できない日に、その加算だけが残るのは奇妙に見えるかもしれません。しかし注8がわざわざ24時間対応体制加算だけを名指しで除外している以上、名指しされていない特別管理加算は残る、と読むのが条文の構造に沿った理解です。管理療養費への加算が一律に落ちるなら、24時間対応体制加算を名指しする必要がありません。
加算の全体像と各項目の要件は訪問看護の加算一覧に、特別管理加算の算定要件は特別管理加算の記事にあります。
9-3. 緊急訪問看護加算は、ほぼ算定できない
まず告示です。注8が緊急訪問看護加算・精神科緊急訪問看護加算を名指しで「別に算定できない」側に置き、例外を「1のニ、2のニ及び3のニに規定する別に厚生労働大臣が定める場合」に限っています。つまり「イ」「ロ」「ハ」を算定する日は告示レベルで算定できず、算定の余地があるのは3-1-1の「ニ」に該当する場合だけです。
そのうえで、疑義解釈その8 問4が運用をさらに絞り込んでいます。
問4 包括型訪問看護療養費を算定する利用者において、緊急訪問看護加算及び精神科緊急訪問看護加算を算定できるのはどのような場合か。 (答)緊急訪問看護加算及び精神科緊急訪問看護加算は、算定告示及び算定留意事項通知の規定に基づき、利用者又はその家族等の緊急の求めに応じるだけでなく、主治医の指示により当該加算の算定要件を満たす緊急の指定訪問看護を行った場合に算定できることに留意すること。また、包括型訪問看護療養費は、計画的な指定訪問看護だけではなく、随時の対応による指定訪問看護も含む評価であることから、日々の心身の状態の変動や利用者の求めに対応する指定訪問看護については、包括型訪問看護療養費に含めて評価されている。このため、包括型訪問看護療養費を算定する利用者における緊急訪問看護加算及び精神科緊急訪問看護加算の算定は、特に予見が困難で重篤な症状の出現等のため、緊急に主治医の明示の指示により通常とは著しく異なる対応を必要とした場合に限られるものであり、同日に多数の利用者に算定したり、同一の利用者に連日算定したりすることは想定されない。
「随時の対応」は包括型の中に入っている、ということです。したがって、状態の変動や利用者の求めに応じた訪問は、それが夜間であっても緊急訪問看護加算の対象になりません。算定できるのは特に予見が困難で重篤な症状の出現等のため、主治医の明示の指示により通常とは著しく異なる対応を必要とした場合に限られます。
さらに答は、同日に多数の利用者に算定したり、同一の利用者に連日算定したりすることは想定されないと踏み込んでいます。これは事実上、算定パターンそのものへの牽制です。従来どおりの感覚で緊急訪問看護加算を付け続けると、指導の対象になり得ます。緊急訪問看護加算の本来の算定要件は緊急訪問看護加算の記事で扱っています。
6-4の月額の見積もりでも、この点は効きます。現在その建物で緊急訪問看護加算を月に何件算定しているかを数えて、包括型に移るとその大半が消える前提で計算してください。
この章の出典
- 訪問看護療養費算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保発0305第19号)
- 疑義解釈資料の送付について(その8)(令和8年6月17日事務連絡)
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(法令等データベース)
10. よくある質問
Q1. 併設・隣接はどこまで認められますか
疑義解釈で「同一の敷地内を含む」ことは示されていますが、距離や構造による数値基準は見当たりませんでした。判断に迷う配置なら厚生局に確認してください。
Q2. 併設する建物が2棟あります。両方を届け出られますか
できます。疑義解釈その7 問3が、複数の建物がある場合でもステーションが一体的に指定訪問看護を行うことが可能であれば、複数の建物を指定して届け出ることは可能としています。ただし同じ問3が、その場合の同一建物・単一建物居住利用者数は複数の施設を合算した合計の人数になると明記しています(→2-1)。
Q3. サービス付き高齢者向け住宅でも有料老人ホームでもない建物は対象ですか
条文は「有料老人ホーム等の集合住宅等」としており、届出様式にも「その他」の欄がありますが、どの類型が含まれるかを明示した定めは確認できませんでした。厚生局への確認が必要です(→確認しきれなかった点)。
Q4. 計画になかった緊急の訪問で2回目になった日は、出来高で算定できますか
できません。疑義解釈その3 問1①が「そのとおり」として、計画による訪問看護でない場合でも、1日2回以上になれば包括型を算定するとしています。
Q5. 1日70分訪問したのに「イ」になるのはなぜですか
「ロ」(60分以上90分未満)には1日3回以上という回数の要件があるためです。回数が2回なら「イ」になります(→4-1)。
Q6. 夜間帯に訪問できなかった日はどうなりますか
その日は包括型を算定できません。訪問看護基本療養費の算定要件を満たす場合に、日中の1回分の基本療養費を算定することになります(→4-2)。
Q7. 記録書Ⅲは紙で作ってもよいですか
施設基準が記録の電子化を求めているため、紙のみの運用は基準を満たしません(→8-4)。
Q8. 月の途中で包括型を始めた場合、その月の扱いはどうなりますか
月の途中で開始・終了した場合の扱いを定めた記述は、確認できた範囲では見当たりませんでした(→確認しきれなかった点)。届出の受理日と算定開始日の関係(月末までの受理で翌月から)は示されているので、そこを起点に保険者・審査支払機関へ確認してください。
Q9. 夜間帯の職員は、自宅でのオンコール待機でもよいですか
明文の定めを確認できませんでした。条文は「勤務していること」と書いており、建物外の利用者への訪問との兼務も禁じられています。届出の可否と人件費を大きく左右する論点なので、厚生局への事前確認を強くおすすめします(→5-1-1)。
Q10. 特別訪問看護指示書で対象になっている人は、ずっと包括型ですか
特別訪問看護指示書の期間は交付の日から14日間が限度です。その期間を過ぎると、別表第七・別表第八に該当しない限り包括型の対象から外れます(→2-2)。
Q11. 利用者の自己負担は増えますか
区分によっては増えます。包括型は1日あたりの額が大きいので、1割負担でも1日1,400円前後になる区分があります。届出より先に、本人・家族への説明が必要になるケースがあります。 算定告示の注1も「当該利用者の同意を得て」と定めています。
この章の出典
- 疑義解釈資料の送付について(その3)(令和8年4月20日事務連絡)別添5
- 疑義解釈資料の送付について(その7)(令和8年5月29日事務連絡)
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(法令等データベース)
11. まとめ|届出前と、毎日・毎月の確認項目
包括型は、届出の可否を決める作業と、算定してから毎日回す作業の2つに分かれます。担当も頻度も違うので、リストを分けます。
届出を検討する段階(管理者・経営層)
| # | 確認すること | 参照 |
|---|---|---|
| 1 | 併設・隣接の要件を満たすか。建物の類型は確認したか | 2-1 |
| 2 | 別表第七・別表第八・特別訪問看護指示書に該当する利用者が何人いるか | 2-2 |
| 3 | 夜間帯に看護職員を常時1名以上置けるか。オンコールで足りるかを厚生局に確認したか | 5-1-1 |
| 4 | 直近3か月の訪問実績を1日単位に並べ、月額で比較したか。難病等複数回訪問加算・24時間対応体制加算を式に入れたか | 6-4 |
| 5 | 緊急訪問看護加算の現在の算定件数を、消える前提で見込んだか | 9-3 |
| 6 | 記録ソフトが包括型に対応しているかベンダーに確認したか | 8-5 |
| 7 | 地域連携の責任者を決めたか。実績(合同研修等2回以上・情報提供)はあるか。同一法人内だけでは足りない | 7-1 |
| 8 | 併設先と、夜間の連絡基準・役割分担を決めたか | 7-6 |
| 9 | 自己負担が増える利用者への説明と同意の段取りを決めたか | 6-4 |
算定を始めてから(訪問する人・事務)
| # | 確認すること | 参照 |
|---|---|---|
| 10 | その日、日中と夜間帯にそれぞれ1回以上訪問したか | 4-2 |
| 11 | 合計時間が60分以上の日は、回数が3回以上あるか。2回目終了時点で確認する担当を決めたか | 4-7 |
| 12 | その日の訪問に、准看護師以外の看護職員が1回以上入っているか | 4-5 |
| 13 | 合計時間が30分に届かない日はないか | 4-6 |
| 14 | 記録書Ⅲを1日ごとに作成し、前日分を締める担当を決めたか | 8-3 |
| 15 | 特記事項に「11 包括型」+当月の実際の人数、訪問日欄に「●」を記載したか | 8-2 |
この制度は、告示の本文だけでは運用が決まらないという性質を持っています。算定区分の決め方も夜間の人員の数え方も、施行後に出た疑義解釈で初めて確定しました。今後も追加される可能性が高いので、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定のページを定期的に見ることをおすすめします。
株式会社ainaruは、訪問看護ステーションのレセプト・加算算定を代行する介護BPOサービスを提供しています。包括型については、直近の訪問実績から算定した場合の見込みを出すところと、記録書Ⅲとレセプトの整合を毎月点検するところをお手伝いできます。サービス案内をご覧ください。
この記事で確認しきれなかった点
正確さを担保するため、一次資料で確認できなかった点を開示します。
- 留意事項通知(保発0305第19号)に、包括型訪問看護療養費の独立した節があるかどうか。 この通知のPDFは機械的な抽出が第5章の途中で毎回打ち切られ、それ以降に到達できていません。分割版や地方厚生局のミラーも探しましたが見つかりませんでした。「包括型の節が無い」と断定はできません。 この記事で引用した包括型に関する記述(第1の1、第2の2(1)、第5の2(9))は到達できた範囲のものです。
- 月の途中で包括型を開始・終了した場合の扱い。 定めを確認できませんでした。上記の未到達部分にある可能性があります。
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)等が「有料老人ホーム等の集合住宅等」に含まれるか。 明文の定めが見当たりません。届出様式の施設種別は「サービス付き高齢者向け住宅/有料老人ホーム/その他」の3択です。
- 疑義解釈(その2)の訪問看護療養費関係の問答の逐語。 日本看護協会の疑義解釈一覧により、翌日にわたる訪問看護時間の計上と、同一の部屋に居住する利用者への訪問看護時間の計上に関する問答がその2に存在することは確認できましたが、厚生労働省のPDFは機械抽出が医科部分で打ち切られ、訪問看護の別添に到達できていません。0時またぎの計上は包括型の夜間帯(翌朝8時まで)では日常的に起きるため、原文の確認を最優先の宿題とします。
- 併設・隣接の距離・構造による判定基準。 「同一の敷地内を含む」以外の基準は見当たりませんでした。
- 夜間帯の看護職員の勤務形態。 条文は「勤務していること」としていますが、事業所内・建物内での待機を要するのか、自宅でのオンコール待機で足りるのかを定めた記述は見当たりません。届出の可否と人件費を左右する最大の論点です。
- 81人以上の場合の夜間帯の必要人数。 「五十又はその端数を増すごとに一を加えて得た数以上」という条文から一意には読み取れません。
- 注2の「実際に看護を提供した時間」の範囲。 滞在時間か処置時間かを定めた記述は見当たりません。合計30分に満たなかった日の取扱い(注5との関係で基本療養費に戻れるのか)も同様です。
- 月内に訪問看護管理療養費の算定日が1日もない月の、特別管理加算のレセプト記載方法。 特別管理加算が算定できること自体は注8から読めますが(→9-2)、管理療養費の加算をどの欄で立てるかの記載例は確認できていません。
- 訪問看護記録書Ⅲと記録書Ⅱの関係。 記録書Ⅲが記録書Ⅱを兼ねるのか、両方作成するのかを定めた記述は見当たりません。
- 月の途中で包括型と従来算定が混在した月の明細書の記載。 特記事項に書く人数は「当該月における実際の単一建物居住利用者の人数」とされていますが、月内で人数が変動した場合の考え方は見当たりません。
- 包括型をやめる場合の手続きと、月の途中で施設基準を満たせなくなった場合のレセプトの扱い。 新規開設で計画が未達の場合の取り下げ以外に、定めを確認できませんでした。
- 届出基準11の各号の逐語。 機械抽出を経ているため、細かい表記は原典(保医発0305第9号)で照合してください。
参考・出典一覧
厚生労働省(告示・法令等データベース)
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成20年厚生労働省告示第67号)
- 同・一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第74号)
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18年厚生労働省告示第103号)
- 同・一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第75号)
厚生労働省(通知・事務連絡・資料)
- 訪問看護療養費算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保発0305第19号)
- 訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第9号)
- 訪問看護療養費請求書等の記載要領(令和8年3月27日 保医発0327第2号 別添3)
- 訪問看護計画書等の記載要領等について(令和8年3月27日 保医発0327第10号)
- 令和8年度診療報酬改定について(通知一覧)
- 令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】
- 訪問看護療養費マスター変更点(令和8年3月6日)
疑義解釈資料(令和8年度)
- その2(令和8年4月1日)※訪問看護の別添は逐語未到達
- その3(令和8年4月20日)別添5
- その5(令和8年5月8日)
- その6(令和8年5月22日)
- その7(令和8年5月29日)
- その8(令和8年6月17日)
- その9(令和8年6月26日)
- その10(令和8年7月17日)
地方厚生局・審査支払機関
- 近畿厚生局 令和8年度 訪問看護ステーションの基準に係る届出様式
- 関東信越厚生局 令和8年度 訪問看護療養費に係る届出
- 九州厚生局 別紙様式12(包括型訪問看護療養費に係る届出書)
- 社会保険診療報酬支払基金「オンラインによる請求に係る記録条件仕様(訪問看護用)令和8年6月版」
その他