最終確認日:令和8年8月7日|根拠通知:保医発0327第10号(令和8年3月27日・令和8年6月1日適用)/老企第55号(平成12年3月30日)

令和8年6月1日から適用されている記載要領には、参考様式5として「訪問看護記録書Ⅲ」があります。包括型訪問看護療養費を算定する利用者について、1日ごとに作るものです。記録書はⅠとⅡの2種類、と覚えていると足りません。

そしてもうひとつ。記録書は、計画書・報告書と様式の縛りが違います。計画書・報告書は「別紙様式1及び2を標準として作成する」ですが、記録書は「参考様式1から5までに準じて作成する」。自ステーションの様式で構いません。

この記事では、3つの記録書の使い分け、欄ごとの記載要領と記入例、誰が書けるのか、医療保険と介護保険で必須項目が違うこと、保存が2年か5年かを、通知と条文の原文で確認して整理しました。一次資料で裏が取れなかった点は、そのまま書いています。

先に結論

問い 答え
令和8年6月版に何があるのか 参考様式5「訪問看護記録書Ⅲ」があります(→2章
記録書Ⅲは誰の分を作るのか 包括型訪問看護療養費を算定する利用者。1日ごとに1枚です(→7章
准看護師は記録書を書けるか 書けます。除外されているのは計画書・報告書です(→3章
様式は自作してよいか 「準じて」なので構いません。記録書Ⅲには代替の条件が明記されています(→1-27-3
医療と介護で書くことは同じか 違います。医療保険は訪問時間と訪問職種が要ります(→6章
何年保存するのか 医療保険は2年。介護保険は条例で5年の自治体があります(→10章

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1. 訪問看護記録書とは|計画書・報告書と何が違うのか

1-1. 内部の記録か、外に出す文書か

訪問看護ステーションが利用者ごとに作る書類は、性格で2つに分かれます。

記録書Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ 計画書・報告書
何のための書類か 事業所の内部記録 主治医への提出が義務(省令80号第16条第4項/省令37号第69条第3項)
様式の拘束力 参考様式1〜5に準じて作成 別紙様式1・2を標準として作成
作成主体の限定 なし(→3章 看護師等(准看護師を除く
利用者への交付 規定なし 介護保険は交付が義務

計画書・報告書の書き方は訪問看護計画書・報告書の書き方|記入例・様式・押印【R8.6】にまとめました。この記事は内部の記録に絞ります。

なお、記録書自体は事業所内部の記録ですが、その内容を医師・薬剤師・ケアマネジャーなど他職種とICTで共有し、計画的な管理に活かした場合は訪問看護医療情報連携加算(1,000円・月1回)の対象になります。

1-2. 「標準として」と「準じて」|様式の自由度が違う

記載要領の言葉づかいが、2種類の書類で分けられています。まず計画書・報告書。

訪問看護計画書(以下「計画書」という。)及び訪問看護報告書(以下「報告書」という。)は、別紙様式1及び2を標準として作成するものであること。

次に記録書。

訪問看護記録書(以下「記録書」という。)は、2の(3)に示すところに従い、各訪問看護ステーションにおいて、参考様式1から5までに準じて、利用者毎に作成すること。

「標準として」より「準じて」のほうが緩い。外に出す文書は様式が固く、内部の記録は事業所に委ねられている、という構造です。記録ソフトから出てくる帳票が国の様式と一字一句同じでなくても、記載事項が満たされていれば問題になりません。

ただし「準じて」は「何も要らない」ではありません。記載事項は記載要領が指定しています(→4章以降)。記録書Ⅲにいたっては、別様式で代える条件まで通知に書かれています(→7-3)。

1-3. 根拠通知は医療保険と介護保険で別

同じ「訪問看護記録書」でも、根拠は別系統です。

医療保険 介護保険
記載要領の通知 保医発0327第10号(令和8年3月27日/令和8年6月1日適用) 老企第55号(平成12年3月30日)
様式 参考様式1〜5 定めなし(本文で記載事項のみ指定)
記録書Ⅲ あり 規定なし
保存の条文 省令80号第30条第2項(記録書が第1号に列挙 省令37号第73条の2(記録書の列挙なし。→10章

介護保険側は、そもそも様式が示されていません。老企第55号は記載事項を本文で指定するだけです。医療保険の参考様式を両保険で使い回している事業所が多いのは、この非対称が理由です。

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2. 【令和8年6月】記録書はⅢが増えて3種類になった

2-1. 参考様式1〜5の対応

令和8年6月1日から適用されている保医発0327第10号に綴じ込まれている参考様式です。

様式 名称 誰の分を・いつ作るか
参考様式1 訪問看護記録書Ⅰ 全利用者・初回訪問時等に1枚
参考様式2 訪問看護記録書Ⅱ 全利用者・訪問ごと
参考様式3 精神科訪問看護記録書Ⅰ 精神科訪問看護の利用者・初回(→9章
参考様式4 精神科訪問看護記録書Ⅱ 精神科訪問看護の利用者・訪問ごと(→9章
参考様式5 訪問看護記録書Ⅲ 包括型訪問看護療養費を算定する利用者・1日ごと

様式は、記載要領の通知(保医発0327第10号)の後半に綴じ込まれています。前半が本文、後半が別紙様式1〜4(計画書・報告書)、その後ろが参考様式1〜5(記録書)という並びです。様式だけを単体で探しても見つかりません。通知のPDFを開いて後ろから見てください。

介護保険には様式がありません。老企第55号は記載事項を本文で指定するだけなので、医療保険の参考様式を流用するか、自ステーションで作ることになります(→1-2)。

2-2. 令和6年版の記載要領は失効している

保医発0327第10号は令和8年3月27日に発出され、令和8年6月1日から適用されています。前版(令和6年3月27日 保医発0327第6号)は、通知本文で令和8年5月31日限り廃止と明記されました。

令和6年版を見て運用している場合は、すでに失効した通知を見ていることになります。記録ソフトの帳票マスタが更新されているかもあわせて確認してください。

2-3. 記録書Ⅲが要るのは誰か

記載要領の指定はこうです。

利用者ごとに、初回訪問時等に把握した利用者の基本的な情報、主治医に係る情報などを記入する記録書(以下「記録書Ⅰ」という。)及び訪問毎に記入する記録書(以下「記録書Ⅱ」という。)を作成すること。なお、包括型訪問看護療養費を算定する利用者においては、「記録書Ⅲ」を1日ごとに作成すること。

条件は包括型訪問看護療養費を算定していることだけです。算定していないステーションには関係がありません。包括型は令和8年6月に新設された区分番号で、届出をした建物に居住している利用者が対象です。要件は包括型訪問看護療養費|算定要件・点数・届出にまとめました。

「1日ごと」であって「訪問ごと」ではありません。同じ日に2回訪問しても、記録書Ⅲは1日1枚です。様式に「合計訪問時間(分/日)」の欄があるのは、1日分を集計するためです(→7章)。

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3. 記録書を書けるのは誰か|准看護師は書ける

3-1. 除外は「この条において」しか及ばない

計画書・報告書の作成主体は法令で限定されています。医療保険側は省令80号第17条第1項です。

看護師等(准看護師を除く。以下この条において同じ。)は、(略)訪問看護計画書を作成しなければならない。

介護保険側の省令37号第70条第1項も、まったく同じ括弧書きを持っています。

効くのは「以下この条において同じ」の範囲です。第17条は全4項、第70条は全7項で、いずれも規定しているのは計画書と報告書だけ。条文中に「訪問看護記録書」は出てきません。准看護師の除外は、記録書には及びません。

念のため、記録書の作成主体を定めた条文があるかを両省令で探しましたが、見当たりませんでした(→開示)。記載要領も「利用者ごとに(略)作成すること」と書くだけで、書く人を特定していません。老企第55号も「各訪問看護ステーションにおいて、利用者毎に作成すること」と、事業所の義務として書いています。

「うちは准看護師がいるから記録も書けない」という運用にする根拠は、条文にはありません。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士についても同じです。

3-2. 介護保険の省令には「訪問看護記録書」の語がない

さらに踏み込むと、介護保険側はもっと徹底しています。省令37号の全文(本則349条)を検索したところ、「訪問看護記録書」という語は1回も出てきません。記録書は通知(老企第55号)の側にしか登場しない書類です。

医療保険側の省令80号は違います。「訪問看護記録書」が1回だけ出てきて、それは第30条第2項第1号、保存対象の列挙です(→10章)。

3-3. 管理者に課されている記録がある

作成主体の定めがない一方で、管理者側には名指しの記録義務があります。

また、訪問看護ステーションの管理者又は包括型訪問看護療養費を算定する日の指定訪問看護に対する責任者は、氏名と訪問看護計画書の確認や見直しを行った場合はその旨を訪問看護記録書に記録すること。

計画書を確認・見直しした事実を、記録書に残す。計画書側ではなく記録書側に書くという指定なので、見落としやすいところです。参考様式5に「記録責任者」の欄があるのはこのためです。

記載要領はもうひとつ、評価についても記録書を名指ししています。

指定訪問看護の提供に当たっては、目標達成の程度及びその効果等について評価を行うとともに、評価に関する内容を訪問看護記録書に記録すること。

事務にどこまで任せられるかの線引きは訪問看護の書類作成代行|頼めるもの・頼めないもので扱っています。

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4. 訪問看護記録書Ⅰの書き方|欄ごとの記載要領と記入例

記録書Ⅰは、初回訪問時等に把握した基本情報をまとめる1枚です。原則として利用者1人に1枚。記載事項は医療保険と介護保険で並びが違います。

医療保険(保医発0327第10号) 介護保険(老企第55号)
初回訪問年月日、訪問職種、主たる傷病名、現病歴、既往歴、療養状況、介護状況、訪問看護の依頼目的、緊急時の主治医・家族等の連絡先、指定居宅介護支援事業所等の連絡先、その他関係機関との連絡事項等 訪問看護の依頼目的、初回訪問年月日、主たる傷病名、既往歴、現病歴、療養状況、介護状況、緊急時の主治医・家族等連絡先、指定居宅介護支援事業所の連絡先、その他関係機関との連絡事項等

違いは2つです。医療保険側には訪問職種が入っていること、そして連絡先が「指定居宅介護支援事業所等」と広いこと。

そして、記載要領の列挙にない欄が様式には入っています。参考様式1は2枚組です。

1枚目 利用者氏名/生年月日/年齢/住所/電話番号/看護師等氏名/訪問職種/初回訪問年月日/主たる傷病名/現病歴/家族構成・続柄・職業生活歴主な介護者住環境/既往歴/療養状況/介護状況/要介護認定の状況/ADLの状況(移動・食事・排泄・入浴・着替・整容)/日常生活自立度・寝たきり度・認知症の状況/訪問看護の依頼目的
2枚目 指定居宅介護支援事業所・特定相談支援事業所・障害児相談支援事業所の連絡先/保健・福祉サービス等の利用状況/関係機関/主治医等/緊急時の主治医・家族等の連絡先

太字にした4つ(家族構成・生活歴・主な介護者・住環境)と、ADLの状況・日常生活自立度は、記載要領の列挙には出てきません。記載要領が「等」で締めているぶんを、様式が具体化している形です。様式に欄がある以上は埋める前提と考えてください。

障害福祉のサービスを併用している利用者では、2枚目の特定相談支援事業所・障害児相談支援事業所の欄が空欄のままになりやすいところです。

記入例(作例):

記入例
訪問看護の依頼目的 インスリン自己注射の手技確認と血糖コントロールの評価。褥瘡処置の継続
主たる傷病名 2型糖尿病、慢性心不全、仙骨部褥瘡(DESIGN-R2020 d2-e1s3i0g0n0)
現病歴 令和8年5月に心不全増悪で入院。6月20日退院、同月22日から訪問開始
療養状況 屋内は伝い歩きで自立。屋外は車椅子。入浴は一部介助
介護状況 主介護者は同居の長女(就労のため日中独居)。訪問介護 週3回を併用

記録書Ⅰは「初回に1枚作って終わり」ではありません。主たる傷病名が増えた、主治医が変わった、介護状況が変わった。基本情報が変われば、そのつど更新します。更新した日が分かるようにしておくと、後で計画書の見直し時期と突き合わせられます(→訪問看護計画書・報告書の書き方)。

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5. 訪問看護記録書Ⅱの書き方|欄ごとの記載要領と記入例

訪問のたびに書く記録です。参考様式2に印字されている欄は、利用者氏名/看護師等氏名/訪問職種/実際の訪問日時/利用者の状態(病状)/バイタルサイン/実施した看護・リハビリテーションの内容/その他/備考/次回の訪問予定日。

看護師等氏名と訪問職種の欄は、様式の上部にあります。記録ソフトの帳票でここが入力者IDだけになっていると、誰がどの職種で入ったかが紙の上で追えません。

医療保険の記載要領は、次の事項を指定しています。

記録書Ⅱには、訪問年月日、訪問時間(実際の指定訪問看護の開始時刻及び終了時刻)訪問職種、病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリテーションの内容等(略)の必要な事項を記入すること。

5-1. 実際の訪問日時

様式の欄は「実際の訪問日時 年 月 日( ) 時 分〜 時 分」です。「実際の」が2度出てきます。予定の時間ではなく、その日に本当に入って出た時刻を書く欄です。この項目が医療保険と介護保険で扱いが分かれるところなので、6章で別に扱います。

5-2. 利用者の状態(病状)

記入例(作例):「訪問時、表情良好。呼吸苦の訴えなし。下腿浮腫は前回より軽減、圧痕2mm程度。体重59.8kg(前回比−0.4kg)。仙骨部褥瘡は滲出液減少、発赤範囲縮小」

その日に見たことを書く欄です。前回から変わっていないことを毎回コピーしていると、本当に変化した回が埋もれます。

5-3. 実施した看護・リハビリテーションの内容

記入例(作例):「バイタル測定。仙骨部褥瘡を生理食塩水で洗浄しポリウレタンフィルム貼付。インスリン単位数を本人と読み合わせ、手技を確認。服薬カレンダーの残薬を確認し、朝分の飲み忘れが2日分あったため長女へ申し送り」

計画書の支援内容に対応させて書きます。運営指導では計画書と記録が突き合わされるので、計画にない内容ばかりが並んでいたり、計画した内容が記録に出てこなかったりすると説明が要ります(→11章)。

5-4. 月1回だけの訪問なら、記録書Ⅱの複写を報告書にできる

見落とされやすい規定です。記載要領の報告書に関する事項に、こう書かれています。

継続して指定訪問看護を提供している者のうち、当該月に1回しか指定訪問看護を実施しなかった場合には、(3)の①の記録書Ⅱの複写を報告書として差し支えないこと。

条件は「継続して提供している者」で「その月の実施が1回だけ」。この2つを満たせば、報告書を別に作らず記録書Ⅱの複写で足ります。月1回の訪問が続いている利用者を抱えているなら、事務量が変わります。

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6. 医療保険と介護保険で書くべきことが違う

6-1. 医療保険は訪問時間と訪問職種が要る

医療保険の記載要領は、記録書Ⅱの記載事項に訪問時間(実際の指定訪問看護の開始時刻及び終了時刻)と訪問職種を明記しています。参考様式2の欄も「実際の訪問日時 (略) 時 分〜 時 分」です。分単位で開始と終了の両方を書くという指定になります。

6-2. 介護保険の記録書には、その明記がない

介護保険側の老企第55号は、記録書Ⅱの記載事項をこう書いています。

また、記録書Ⅱには、訪問年月日、病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリテーション内容等必要な事項を記入すること。

訪問時間も訪問職種も入っていません。

ただし「介護保険なら時刻を書かなくてよい」という結論にはなりません。別の条文から要求されます。省令37号第19条第2項(訪問看護には第74条で準用)が、提供した具体的なサービスの内容等の記録を義務づけています。東京都の令和7年度の集団指導資料も、サービス提供の記録についてこう書いています。

サービス提供日、時間、具体的な提供内容を記載すること。 実際のサービス提供時間を記載すること。 利用者の心身の状況等の理由により、実際の訪問看護の時間・内容が訪問看護計画と相違した場合、その理由を記載すること。

要求が乗る場所が違うだけで、時間の記載は介護保険でも求められます。3行目の「相違した場合はその理由を」は、記録書Ⅱの備考欄が生きる場面です。

6-3. 実務でどう決めるか

医療保険と介護保険で様式を分けている事業所はほとんどありません。1つの様式で両方を回すなら、厳しいほうに合わせます。

項目 医療保険 介護保険 1様式で回すなら
訪問年月日 必須 必須 書く
訪問時間(開始・終了時刻) 記録書の記載事項として明記 記録書には明記なし(サービス提供の記録として要求) 書く
訪問職種 明記 明記なし 書く
病状・バイタルサイン 必須 必須 書く
実施した看護・リハの内容 必須 必須 書く

医療保険の基準に寄せておけば、どちらでも足ります。逆に介護保険の記載事項だけで様式を作ると、医療保険の利用者で記載漏れになります。

6-4. 月の途中で保険が切り替わった月の記録

老企第55号には、この場面についての指定があります。

訪問看護計画書等は、利用者毎に作成し保管する。なお、途中で介護保険の給付ではなく、医療保険給付対象となる訪問看護を受けた場合は、それが明確になるように罫線で囲む等を行うこと。

介護保険で訪問していた利用者に特別訪問看護指示書が出て、14日間だけ医療保険に移る。この期間の訪問を記録の上で区切って分かるようにしておく、という指定です。罫線で囲むのは例示なので、色を変える、別葉にするなど、区切りが分かればかまいません。

同じ月の中で保険が変わった記録は、後からレセプトと突き合わせるときにいちばん間違えるところです。14日の数え方は特別訪問看護指示書|14日の数え方と月2回・レセプト記載、どちらの保険になるかの判定は訪問看護の別表7・別表8で扱っています。

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7. 訪問看護記録書Ⅲの書き方|包括型を算定する日の記録

7-1. 様式の欄

参考様式5の欄は、利用者氏名/訪問年月日/訪問時間(時刻)/訪問時間(分)/看護師等氏名/訪問職種/利用者の状態(病状)、実施した看護・リハビリテーションの内容/その他/合計訪問時間(分/日)/次回の訪問予定日/記録責任者です。

記載事項の指定はこうです。

記録書Ⅲには、包括型訪問看護療養費を算定する日ごとに、訪問年月日、訪問時間(実際の指定訪問看護の開始時刻及び終了時刻)、訪問職種、病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリテーションの内容等の必要な事項を記入すること。

そして様式側に、時間の書き方の注記が2本あります。

※「訪問時間(時刻)」は訪問看護の実際の開始時刻と終了時刻を記入し、「訪問時間(分)」は訪問看護に要した時間(分)を記入すること。 ※「合計訪問時間」は訪問日における「訪問時間(分)」の合計を記入すること。

時刻と分を両方書きます。同じ日に複数回訪問したら、行を分けて書き、最後に分を合計する。1日の総訪問時間が出る作りです。

7-2. 記録書Ⅱとの二重作成になるのか

記載要領は、記録書Ⅰ・Ⅱの作成を全利用者について定めたうえで、「なお、包括型訪問看護療養費を算定する利用者においては、『記録書Ⅲ』を1日ごとに作成すること」と続けています。記録書Ⅱの代わりにⅢを作る、とは書かれていません。

ただし記録書Ⅲには、次の7-3のとおり別様式で代えられる規定があります。記録書Ⅱに5項目が揃っていれば、それをもって記録書Ⅲに代えるという読み方はできます。このあたりを明示した疑義解釈には行き当たっていないので(→開示)、包括型を算定するなら、記録書Ⅱと記録書Ⅲの運用をどちらの形にするかを決めて、決めた内容を記録に残しておくのが安全です。

7-3. 別の様式で代えられる条件

参考様式5の3本目の注記です。

訪問時間、訪問職種、看護師等氏名、利用者の状態、実施した看護・リハビリテーションの内容がわかる様式を別に作成している場合は、この様式に代えても差し支えないこと。

代替の条件は5項目です。訪問時間・訪問職種・看護師等氏名・利用者の状態・実施した看護の内容。ひとつでも欠けると、この注記には乗れません。とくに看護師等氏名は、記録ソフトによっては入力者IDだけで氏名が帳票に出ないことがあります。出力した現物で確認してください。

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8. SOAPを記録書Ⅱの様式にどう落とすか

8-1. 記録書ⅡにはS・O・A・Pの欄がない

先に事実から。SOAPで書けという定めは、記載要領にも老企第55号にもありません。両通知の全文に「SOAP」の語は出てきません。SOAPは病院の看護記録で広く使われている書き方で、訪問看護に持ち込むかどうかは事業所の選択です。

そのうえで、持ち込むときに詰まるのが様式です。参考様式2の記載欄は「利用者の状態(病状)」「バイタルサイン」「実施した看護・リハビリテーションの内容」「その他」「備考」。S・O・A・Pの4欄がありません。病院の様式をそのまま思い浮かべると、どこに何を書くのか分からなくなります。

8-2. 欄への割り当て

記載要領が各欄に求めているものと、SOAPの4要素を対応させると、こうなります。

SOAP 中身 記録書Ⅱのどの欄に書くか
S(主観的情報) 利用者・家族の訴え 利用者の状態(病状)
O(客観的情報) 観察所見・測定値 利用者の状態(病状)/バイタルサイン
A(アセスメント) 情報の解釈と判断 実施した看護・リハビリテーションの内容(実施した理由として)
P(計画) 次回に向けた対応 実施した看護・リハビリテーションの内容/備考/次回の訪問予定日

S・Oは「利用者の状態」欄、A・Pは「実施した看護」欄に寄せる。これが様式に沿った落とし方です。アセスメントを独立した欄に書けないので、「なぜその看護をしたか」の形で実施内容に埋め込むのが実務的です。

8-3. 記載例

心不全の利用者の訪問を、SOAPで整理してから欄に落とした例です(作例)。

内容
S 「夜、横になると少し苦しい。枕を2つにしている」
O 体重60.2kg(前回比+0.6kg)、下腿浮腫 圧痕3mm、SpO2 95%、血圧138/82、起坐呼吸なし
A 体重増加と浮腫の悪化。夜間の起坐傾向あり。うっ血の初期と判断
P 塩分と水分量を本人・長女と再確認。主治医へ体重推移を報告。次回訪問で体重と浮腫を再評価

これを様式に落とすと、次のようになります。

記入例
利用者の状態(病状) 「夜、横になると少し苦しい。枕を2つにしている」との訴え。体重60.2kg(前回比+0.6kg)、下腿浮腫 圧痕3mm、起坐呼吸なし
バイタルサイン 体温36.4℃/脈拍78・整/呼吸18/血圧138-82/SpO2 95%
実施した看護・リハビリテーションの内容 体重増加と浮腫の増悪からうっ血の初期と判断し、塩分・水分量を本人と長女に再確認。体重推移を主治医へ電話報告
備考 次回訪問時に体重・浮腫を再評価。増悪時は連絡するよう長女へ説明

判断を「実施した看護」欄の文頭に置くと、なぜその看護をしたかが1文で読めます。運営指導や主治医への報告で説明しやすくなるのは、この形です。

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9. 精神科の参考様式3・4はどこが違うか

精神疾患を有する利用者を対象に指定訪問看護を行う場合は、参考様式3(精神科訪問看護記録書Ⅰ)・参考様式4(精神科訪問看護記録書Ⅱ)を使います。

参考様式3には、一般の記録書Ⅰにない欄が7つあります。病識/作業等の状況/対人関係/生活のリズム/部屋の整頓/金銭管理/服薬状況です。生活の細部と金銭管理まで初回に把握する作りになっています。

訪問職種の選択肢も違い、「保健師・看護師・准看護師」と「作業療法士」に限られます。理学療法士と言語聴覚士が入りません。参考様式4も同じ選択肢です。

参考様式4は、記載欄そのものが入れ替わります。

一般(参考様式2) 精神科(参考様式4)
状態の欄 利用者の状態(病状)/バイタルサイン 食生活、清潔、排泄、睡眠、生活リズム、部屋の整頓等精神状態服薬等の状況作業、対人関係について
実施内容 実施した看護・リハビリテーションの内容 実施した看護内容
GAF あり(※月の初日の指定訪問看護時に記載)
訪問先 自宅/障害福祉サービスを行う施設/福祉ホーム

記載要領のGAFの指定は明確です。

精神科訪問看護に係る記録書Ⅱにおいては、月の初日の指定訪問看護時には、GAF尺度により判定した値を記入すること。

その月に最初に訪問した日に判定して、その日の記録書Ⅱに書く。月末にまとめて記録を仕上げる運用だと、この要件を満たせません。GAFは報告書側にも記載が要り、精神科訪問看護基本療養費の算定にも関わります(→精神科訪問看護基本療養費|令和8年6月改定の区分と算定要件)。

訪問先の欄も見落とされます。自宅以外に、障害福祉サービスを行う施設と福祉ホームが選択肢にあります。訪問した場所が算定に影響する場面があるので、空欄のまま運用しないでください。

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10. 記録の保存期間|2年か5年か、記録書は対象か

10-1. 医療保険は記録書が名指しで2年

省令80号第30条第2項です。

指定訪問看護事業者は、利用者に対する指定訪問看護の提供に関する次に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。(略) 一 訪問看護記録書/二 訪問看護指示書/三 訪問看護計画書/四 訪問看護報告書(略)

訪問看護記録書が第1号です。医療保険側は、記録書が保存対象として名指しされています。

10-2. 介護保険の省令には記録書が列挙されていない

介護保険側は省令37号第73条の2です。条番号が「第73条」ではなく「第73条の2」なので、引くときに注意してください。

指定訪問看護事業者は、利用者に対する指定訪問看護の提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。 一 (略)主治の医師による指示の文書/二 訪問看護計画書/三 訪問看護報告書/四 次条において準用する第十九条第二項の規定による提供した具体的なサービスの内容等の記録/五 身体的拘束等の(略)記録/六 市町村への通知に係る記録/七 苦情の内容等の記録/八 事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

「訪問看護記録書」は入っていません。3-2のとおり、省令37号の全文にこの語は1回も出てきません。介護保険では、記録書は第4号の「提供した具体的なサービスの内容等の記録」に当たる扱いになります。

10-3. その第4号が、条例で5年になっている自治体がある

ここが実務に効きます。介護保険の記録の保存期間は、指定権者が条例で上乗せできます。確認できた範囲での状況です。

団体 年数 どの記録が対象か
横浜市 5年(一部) 「提供した具体的な指定訪問看護の内容等の記録」だけが5年。計画書・報告書・指示書は2年
名古屋市 5年(一部) 「サービスの提供記録」だけが5年(市の独自基準と明記)。他は2年
川崎市 5年 8項目すべて
大阪府 5年 8項目すべて。起算点が「提供した日」から(完結の日からではない)
東京都 2年 上乗せなし

横浜市と名古屋市は、上乗せの対象がまさに「サービス提供の記録」です。つまり計画書・報告書は2年のままなのに、記録書は5年という並びになります。「計画書と一緒に2年で処分」という運用をしていると、この2市では足りません。

名古屋市は独自基準の理由も書いています。

*条例の施行期日時点(平成25年4月1日)において、既に完結している記録には適用されません。 =サービスの提供記録とは?=介護報酬を請求するにあたり、その請求内容を挙証する資料を指します。

請求の根拠だから長く持て、という考え方です。記録書は請求の裏づけになる書類なので、この理屈は他団体にも当てはまりうると考えておいたほうが安全です。自事業所の指定権者の条例で「記録の整備」の条を開いて、何号が何年かを確認してください。

10-4. 電子で保存する場合

介護保険側は老企第55号に明文があります。

なお、訪問看護記録書は電子媒体を活用しても差し支えないこと。

ただし「電子でよい」と「何でもよい」は別です。電子で保存するときは見読性・真正性・保存性の3つが要ります。これはe-文書法の施行通知(平成17年3月31日 医政発第0331009号ほか)が定めているもので、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は、それを前提に安全管理の措置を示す資料です。このガイドラインは、対象に訪問看護ステーションを明記しています。

医療機関等とは、病院、一般診療所、歯科診療所、助産所、薬局、訪問看護ステーション、介護事業者、医療情報連携ネットワーク運営事業者等を想定する。

ガイドラインは真正性をこう言い換えています。

真正性とは、正当な権限で作成された記録に対し、虚偽入力、書換え、消去及び混同が防止されており、かつ、第三者から見て作成の責任の所在が明確であることを指す。

誰がいつ書いて、いつ直したかが後から分かる状態にしておくということです。なおガイドラインは令和8年6月に第7.0版が出ています。第6.0版で運用を組んだままなら、版を確認してください。

なお、記録を訂正する方法(二重線を引く、訂正印を押すなど)を定めた国の通知は確認できませんでした(→開示)。記載要領・老企第55号の全文に「訂正」「二重線」「訂正印」はありません。自治体の運営の手引きにも見当たりませんでした。定めがないので、真正性の確保という考え方から自事業所でルールを決めて文書にしておくのが実務的な着地です。

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11. 運営指導で記録のどこを見られるか|事務をどこまで外に出せるか

11-1. 確認文書の名前は「訪問看護記録書」ではない

意外なところから始めます。厚生労働省の「介護保険施設等運営指導マニュアル」の別添「確認文書・確認項目一覧」を訪問看護の該当ページまで見ましたが、「訪問看護記録書」という語は出てきません。確認文書として挙がっているのは「サービス提供記録」です。

○ サービス提供記録に提供した具体的サービス内容等が記録されているか ◆ 居宅サービス計画 ◆ サービス提供記録

東京都の指導検査基準(令和8年6月1日適用)も同じで、確認項目は「サービスの提供の記録」の名前で立っています。

指定訪問看護事業者は、指定訪問看護を提供した際には、提供したサービスの具体的な内容等を記録するとともに、利用者からの申出があった場合は、文書の交付その他適切な方法により、当該事項に係る情報を当該利用者に提供しているか。

介護保険の運営指導では、記録書は「サービス提供記録」として見られます。10-2の保存の条文と同じ構造です。書類の名前で探すと当日に出てこないので、自事業所のどの帳票がこれに当たるかを先に決めておいてください。

11-2. 記録書が名指しされる場面もある

一方で、加算の要件として記録書が名指しされることがあります。東京都の指導検査基準は、緊急時訪問看護加算の連絡相談体制についてこう書いています。

看護師等以外の職員は、電話等により連絡及び相談を受けた際に、保健師又は看護師へ報告すること。報告を受けた保健師又は看護師は、当該報告内容等を訪問看護記録書に記録すること。

夜間の電話を事務職員が受けた場合、その報告を看護師が記録書に残す。加算の要件が記録書の記載に紐づいている形です(→訪問看護の緊急訪問看護加算)。

11-3. 見られるのは1枚ではなく突合

記録単体の出来ではなく、他の書類と合っているかが見られます。

  • 指示書 ↔︎ 記録書Ⅱ:指示にない内容を提供していないか
  • 計画書 ↔︎ 記録書Ⅱ:計画した支援内容が実際に行われているか
  • 記録書Ⅱ ↔︎ 報告書:訪問日と内容が一致しているか
  • 記録書Ⅱ ↔︎ レセプト:訪問日数・時間区分・加算が合っているか。ここがずれると運営指導の前に返戻で戻ってきます(→訪問看護のレセプト返戻

計画と実際がずれた日は、6-2の東京都の指示のとおり理由まで書く。ここが空欄だと、突合したときに説明の材料がありません。運営指導全体の段取りは訪問看護の運営指導対策にまとめました。

11-4. 記録の事務をどこまで外に出せるか

記録は電子化が進んでいる領域です。日本看護協会の調査(令和5年3月)では、看護記録システム・ソフトの導入が75.5%、事業所外でのスマートフォン・タブレットを用いた記録・報告が62.8%でした。一方で利用者との契約・事務手続きにおける電子署名の導入は1.8%にとどまります。記録そのものは電子化したが、その周りの事務は紙のままという姿が見えます。

工程に分けると、性格の違うものが混ざっています。

工程 中身 誰がやるか
観察と判断 状態の把握、アセスメント、実施内容の決定 訪問した看護師等。外に出せません
転記・整形 記録書Ⅰの更新、記録書Ⅲの日次集計、様式への反映 事務でも可
突合 指示書・計画書・報告書・レセプトとの照合 事務でも可
保管 保存年限の管理、電子と紙の所在管理 事務でも可

外に出せないのは1行目だけです。そして月末に事務を止めるのは2行目から4行目。記録書Ⅲが加わったぶん、包括型を算定するステーションでは日次の集計が増えました。線引きは訪問看護の書類作成代行|頼めるもの・頼めないもので詳しく扱っています。委託先の種類ごとの守備範囲と、雇用と外注のコストの比べ方は、訪問看護の事務外注|外注できる範囲とコスト比較・選び方で整理しました。

株式会社ainaruは、訪問看護のレセプト請求と関連する事務を代行しています。記録については、記録書からの集約と様式への反映、指示書・計画書・報告書・レセプトとの突合、保存年限の管理をお引き受けできます。観察と判断は貴事業所の看護師が行い、その前後をこちらが受けるという形です。

代行を頼まなくても、今日できることが3つあります。包括型を算定しているなら記録書Ⅲの帳票が出力できるかを確認する(→7章)。記録書Ⅱに実際の開始時刻と終了時刻、訪問職種が入っているかを1枚出力して見る(→6章)。そして自分の指定権者の条例で、記録の保存が何年かを確認する(→10-3)。

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確認しきれなかった点

一次資料で確定できなかった項目です。やってはいけない、という意味ではありません。

項目 状況 照会がつくまでの運用
記録を訂正する方法(二重線・訂正印など)を定めた国の通知 保医発0327第10号・老企第55号の全文に「訂正」「二重線」「訂正印」は0件。名古屋市・兵庫県・横浜市の運営の手引きにも記載なし 電子記録の真正性の考え方(改変・消去の有無が確認でき、作成の責任の所在が明らか)に沿って、自事業所でルールを決めて文書にする
記録書の作成主体を定めた条文 省令80号・省令37号のいずれにも見当たらない。准看護師を除外する文言がないことは確認済み 准看護師も記録書は書ける。ただし計画書・報告書は書けない(→3章
記録書Ⅱと記録書Ⅲを両方作るのか 記載要領は記録書Ⅲを「なお書き」で追加しており、Ⅱに代えるとは書いていない。明示した疑義解釈にも行き当たらなかった 参考様式5の代替の注記(5項目)を満たす形にして、決めた運用を記録に残す(→7-2
参考様式5が令和8年6月版で新設されたものか 現行通知に存在することは確認したが、令和6年版(保医発0327第6号)の参考様式を原本で確認していない 現行通知に沿って運用する

参考・出典一覧

厚生労働省(通知・様式・法令)

自治体

職能団体