最終確認日:令和8年8月10日|主な出典:厚生労働省告示第67号(区分番号01 注7)/告示第103号(第二の一)/保発0305第19号/保医発0327第2号 別添3
難病等複数回訪問加算とは、週4日以上の訪問看護を必要とする別表第七・別表第八該当の利用者、または特別訪問看護指示書の交付を受けた利用者に、1日に2回または3回以上の訪問看護を行った場合に算定できる医療保険の加算です。令和8年6月から同一建物の人数区分が5つに細分化され、1日3回以上には月の算定日数による逓減も入りました。届出は要りません。
先に結論
| 問い | 答え |
|---|---|
| いくらか | 1日2回で4,500円〜3,300円、1日3回以上で8,000円〜3,000円。同一建物の人数で5区分(→3章) |
| 何が変わったのか | 令和8年6月に人数が2区分→5区分、1日3回以上に月の算定日数による逓減が追加されました(→5章) |
| 同一建物の人数は誰を数えるのか | この加算に加えて、精神科複数回訪問加算と包括型訪問看護療養費を算定する利用者も合算します(→6章) |
| 「月21日目以降」は暦の21日か | 違います。その月に加算を算定した累計日数で判定します(→7章) |
| 2時間空けないと算定できないのか | そうとは限りません。合算されるのは2時間未満かつ20分以上30分未満の訪問で、緊急時は除かれます(→8章) |
| 包括型を算定している日は | この加算は算定できません(→9章) |
| 届出は要るか | 要りません。ただし精神科複数回訪問加算のほうは届出が必要です(→10章) |
| レセプトのどこに書くか | 訪問日欄に1日2回なら◎、3回以上なら◇。摘要欄は区分「10及び19」(→11章) |
30秒判定|次の3つが揃えば算定できます。
- 利用者が、週4日以上の訪問看護を必要とする状態で別表第七・別表第八のいずれかに該当する、または特別訪問看護指示書の交付を受けている(→4章)
- その日に2回以上の訪問看護を行った(2時間ルールで合算され1回扱いになる場合を除きます →8章)
- その日に包括型訪問看護療養費(令和8年6月新設の1日包括払い。届け出ていないステーションには関係ありません)を算定していない(→9章)
場面から探す場合は、こちらから。
- 点数がいくらか知りたい → 3章 全10区分の点数表
- 戸建て・アパートで対象者が1人だけ → 区分は「1人又は2人」で、月の日数による逓減もありません(→3-2)
- 自分の建物が何人区分になるか分からない → 6章 人数を数える手順
- 21日目の判定が分からない → 7章
- 訪問の間隔をどれだけ空けるべきか → 8章 2時間ルール
- 包括型を届け出た → 9章
- レセプトの書き方 → 11章
- 短く答えだけ知りたい → 12章 よくある質問
1. この記事で使う一次資料
制度の記事は、どの資料の何年版を見て書いたかで中身が変わります。この記事で使う一次資料は次のとおりです。
| 資料 | 発出・番号 | この記事で使う箇所 |
|---|---|---|
| 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法 | 平成20年3月5日 厚生労働省告示第67号(令和8年3月5日 告示第74号で改正) | 区分番号01 注7(本体)・注6(特別訪問看護指示書)・区分番号04 注5(包括型) |
| 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等 | 平成18年3月6日 厚生労働省告示第103号(令和8年3月5日 告示第75号で改正) | 第二の一(対象者) |
| 実施上の留意事項について | 令和8年3月5日 保発0305第19号 | 第2の5(2)(20日目の判定)・第2の2(4)(2時間)・第4の2(訪問時間) |
| 訪問看護療養費請求書等の記載要領 | 令和8年3月27日 保医発0327第2号 別添3 | 訪問日欄・摘要欄 |
| 疑義解釈資料の送付について(その1) | 令和8年3月23日事務連絡 | 問1(同一敷地内の範囲) |
| 疑義解釈資料の送付について(その3) | 令和8年4月20日事務連絡 | 包括型と1日2回以上の関係 |
先に断っておくことがあります。この加算そのものを扱った疑義解釈は、その1からその11までを通して見当たりません。関連するのは、その1の同一敷地内の範囲と、その3・その8の包括型についての問答です。細部の解釈は各厚生局への照会になります。
もうひとつ。ネット上に出回っている点数には、桁の違う誤りが混ざっています。この記事の点数はすべて告示の現行条文で確認しました(→3-3)。
この章の出典
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(現行条文)
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(現行条文)
- 令和8年3月5日 保発0305第19号
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
2. 難病等複数回訪問加算とは
2-1. 1日に何回訪問したかで金額が変わる
医療保険の訪問看護は、1日1回が基本です。この加算は、その例外として1日に2回以上訪問した日を評価します。区分は2つだけで、1日に2回の場合と、1日に3回以上の場合です。4回でも5回でも「3回以上」の区分で、それ以上は増えません。
条文は加算を「1日につき、いずれかを所定額に加算する」という形で書いています。1日に1つの区分だけです。
2-2. 加算が付く療養費と、付かない療養費
条文は「1及び2(いずれもハを除く。)については」と限定しています。1が訪問看護基本療養費(Ⅰ)、2が(Ⅱ)です。
ハは除かれます。ハは、悪性腫瘍の利用者に対する緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師による訪問(届出をした訪問看護ステーションによるもの)です。専門の研修を受けた看護師が訪問した日には、この加算は付きません。
外泊時の訪問看護基本療養費(Ⅲ)も、条文の「1及び2」に含まれないため対象外です。
2-3. 届出は要らない
この加算に施設基準の届出はありません。要件を満たせばその日から算定できます。似た名前の精神科複数回訪問加算のほうは届出が必要で、ここが非対称になっています(→10章)。
この章の出典
3. 全10区分の点数表
告示はこの加算を、1日2回のイ(人数で5区分)と1日3回以上のロ(人数で5区分)の計10区分で定めています。ロの各区分には月の算定日数によって2つの金額があります。以降、この記事でもイ・ロと呼びます。
なお、表の行を選ぶ「合計人数」は建物の利用者全員ではありません。数え方は6章へ。
3-1. 1日に2回の場合(イ)
| 同一建物内の合計人数 | 金額 |
|---|---|
| 1人又は2人 | 4,500円 |
| 3人以上9人以下 | 4,000円 |
| 10人以上19人以下 | 3,700円 |
| 20人以上49人以下 | 3,500円 |
| 50人以上 | 3,300円 |
3-2. 1日に3回以上の場合(ロ)
こちらは人数の5区分に加えて、月の算定日数による2区分が入ります(判定の仕方は→7章)。
| 同一建物内の合計人数 | 月20日目まで | 月21日目以降 |
|---|---|---|
| 1人又は2人 | 8,000円 | 8,000円(日数の区別なし) |
| 3人以上9人以下 | 7,200円 | 6,900円 |
| 10人以上19人以下 | 6,300円 | 5,200円 |
| 20人以上49人以下 | 4,800円 | 3,500円 |
| 50人以上 | 4,100円 | 3,000円 |
1人又は2人の区分だけ、日数による逓減がありません。戸建てや、同じ建物に対象者が1〜2人しかいない場合は、月に何日算定しても8,000円のままです。逓減が効くのは3人以上の建物からです。
3-3. 出回っている誤った点数について
この加算の点数を扱った解説のなかには、1日に2回・20人以上49人以下の区分を13,500円と記載しているものがあります。告示の金額は3,500円で、桁がひとつ違います。
もうひとつ、改定後の金額を掲載せず、区分の枠だけを示している解説もあります。読者としては自分の建物がいくらになるのかが分からないままになります。
上の2つの表は、告示の現行条文から直接取ったものです。請求に使う前には、自局の様式や請求ソフトの設定と突き合わせてください。
この章の出典
4. 算定要件|対象者の2つのルート
4-1. 条文は「又は」で結んでいる
注7の対象者は、条文でこう書かれています。
注1に規定する別に厚生労働大臣が定める疾病等の利用者又は注6に規定する特別訪問看護指示書の交付を受けた利用者に対して
「又は」です。どちらか一方に当たれば対象になります。この点は後述します(→4-4)。
4-2. ルートA|別表第七・別表第八
「別に厚生労働大臣が定める疾病等の利用者」の中身は、基準告示の第二の一に定められています。
週三日を超えて訪問看護を行う必要がある利用者であって、次のいずれかに該当するもの (1) 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者 (2) 特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者
読み落としやすいのは冒頭の「週三日を超えて訪問看護を行う必要がある利用者であって」という限定です。別表第七や別表第八に該当するだけでなく、週4日以上の訪問が必要な状態であることが前提になっています。
別表第七は末期の悪性腫瘍や筋萎縮性側索硬化症など、別表第八は気管カニューレの使用や真皮を越える褥瘡などが並ぶ表です。それぞれの中身と判定の仕方は訪問看護の別表7・別表8にまとめています。令和8年6月から別表第八に在宅難治性皮膚疾患処置指導管理が追加されているので、以前に作った対象者リストがあるなら見直してください。
要介護認定を受けている利用者についても、ここで一度立ち止まってください。この加算は医療保険の加算なので、前提として訪問看護そのものが医療保険で行われている必要があります。要介護者でも、別表第七に該当する場合と特別訪問看護指示書の期間中は訪問看護が医療保険に切り替わるため、この加算の検討対象になります。一方、別表第八への該当だけでは医療保険には切り替わりません。要介護で別表第八のみ該当の利用者は介護保険の訪問看護のままなので、この加算は発生しません。切り替わりの類型は訪問看護の別表7・別表8で整理しています。
4-3. ルートB|特別訪問看護指示書
もうひとつは、急性増悪などで主治医から特別訪問看護指示書の交付を受けた利用者です。指示があった日から起算して14日が限度で、交付は原則として月1回。気管カニューレを使用している状態にある者と、真皮を越える褥瘡の状態にある者については月2回まで交付できます。指示書そのものの扱いは特別訪問看護指示書にまとめています。
4-4. 特別訪問看護指示書だけで算定できるか|条文は「又は」
ここは解説によって答えが分かれている論点です。別表第七・別表第八に該当しない利用者について、特別訪問看護指示書の交付だけを根拠にこの加算を算定できるか、という問いです。
条文は「又は」で結んでいます。別表第七・第八に該当する利用者「又は」特別訪問看護指示書の交付を受けた利用者、という書き方です。どちらか一方で足りる読み方になります。
ただし、この点を正面から扱った疑義解釈は見つかっていません。特別訪問看護指示書は急性増悪時に週4日以上の訪問を可能にする仕組みなので、条文の構造としても両ルートが並列であることに無理はありませんが、断定は避けます。判断に迷う事例があれば、地方厚生局に照会してください。
この章の出典
5. 令和8年6月改定で変わった4点
令和8年6月の改定は、同一建物に集中して訪問するかたちの評価を見直すものでした。適用は令和8年6月1日です。5月サービス分(6月請求)までは改定前の2区分、6月サービス分(7月請求)から新しい5区分で請求します。この加算に効いた変更は4つです。
ひとつめは人数区分の細分化です。改定前は「1人又は2人」と「3人以上」の2区分でした。それが5区分になり、10人・20人・50人という境目が加わりました。改定前に3人以上の区分(1日2回で4,000円、3回以上で7,200円)で請求していた建物のうち、10人を超えるところは金額が下がります。
ふたつめは、1日3回以上への日数逓減の追加です。月20日目までと21日目以降で金額が変わる仕組みが入りました(→7章)。改定前にはなかった考え方です。
みっつめは、同一建物の範囲の拡大です。条文の同一建物居住者の定義に「同一の敷地内の建物」が入りました。これまで別棟だから別扱いとしていたケースが、同一建物として数えられることがあります(→6-1)。
よっつめは訪問時間です。療養費を算定するに適切な時間として30分以上を標準とし、少なくとも20分を下回らないこととされ、あわせて2時間未満の間隔で行う短時間の訪問を合算する取扱いが入りました(→8章)。
同一建物の人数区分が細分化されたのはこの加算だけではありません。訪問看護基本療養費(Ⅱ)や複数名訪問看護加算も同じ構造で見直されています。複数名の側は複数名訪問看護加算、同一建物の減算の考え方は訪問看護の同一建物減算にまとめています。
この章の出典
6. 同一建物の人数を数える手順
金額が5区分になったことで、人数を1人数え違えると金額が変わる場面が出てきました。ここがこの加算のいちばん難しいところです。
先に対象外の読者を帰します。同じ建物に自ステーションの算定者が他にいない戸建てなどでは、この章の作業は発生しません。区分は常に「1人又は2人」です。
6-1. まず「同一建物」の範囲を決める
条文の同一建物居住者は、その利用者と同一の建物又は同一の敷地内の建物に居住する他の者に対して、同じ訪問看護ステーションが同一日に訪問看護を行う場合の、その利用者を指します。
「同一の敷地内の建物」が令和8年6月から入ったため、敷地の見方が問題になります。疑義解釈その1の問1が範囲を示しています。
同一地番の敷地内である場合や、同一地番ではなくとも公道に出ずに敷地を行き来できる等一体的に利用されている敷地である場合が該当する。
一方で、広い敷地に建物が点在する場合は別扱いです。同じ問答は、大規模団地のように他者が占有する土地によって隔てられており建物と建物の距離が離れている場合は、同一建物の利用者を訪問する場合とは移動時間が明らかに異なるため含まれない、としています。
判断の軸は「移動時間が同一建物内の移動と同じように短いか」です。図面や地図で敷地の形を確認し、公道に出ずに行き来できるかを見てください。この「同一の建物・同一の敷地」の考え方は、訪問看護管理療養費の減算側でも同じ論点になります。減算の側は訪問看護の同一建物減算で扱っています。
6-2. 次に「誰を数えるか」を決める
ここが取り違えの多いところです。母数は、その建物に住んでいる利用者の全員ではありません。
先に範囲をひとつ確定させます。数えるのは自ステーションの利用者だけという読み方になります。条文の同一建物居住者の定義(→6-1)が「当該訪問看護ステーションが同一日に指定訪問看護を行う場合」と、自ステーションの訪問に限った書き方をしているためです。同じ建物に他のステーションの利用者が何人いても、この定義には入りません。
条文は、当該加算、精神科複数回訪問加算、包括型訪問看護療養費を算定する利用者(同一建物居住者に限る)の合計人数に応じて区分を選ぶ、と書いています。数えるのは次の3つです。
| 数えるもの | 補足 |
|---|---|
| 難病等複数回訪問加算を算定する利用者 | この加算そのもの |
| 精神科複数回訪問加算を算定する利用者 | 別の加算だが合算する |
| 包括型訪問看護療養費を算定する利用者 | その日この加算は算定できないが、人数には入る |
包括型の利用者を数から外してしまうと、区分がひとつ軽いほうにずれます。包括型を算定する日はこの加算を算定できません(→9章)。算定できないのだから数えなくてよい、と読みたくなりますが、条文は合計人数に含めています。
逆に、その日に訪問していない利用者や、基本療養費のみで1日1回の訪問しかしていない利用者は数えません。条文が数えているのは、あくまでこの3つのいずれかをその日に算定する利用者だからです。ひとつ注意があります。包括型は1日単位の包括評価なので、訪問が1回の日でも包括型を算定していれば人数に入ります。判定の軸は訪問回数ではなく「その日に3つのいずれかを算定するか」です。
6-3. 数える手順
実務の順番にすると、こうなります。
建物を確定する。同一の敷地内の建物を含めた範囲を決めます(→6-1)。
その日の算定者を並べる。その建物で、その日に難病等複数回訪問加算・精神科複数回訪問加算・包括型訪問看護療養費のいずれかを算定する利用者を書き出します。
人数を数えて区分を選ぶ。1〜2人、3〜9人、10〜19人、20〜49人、50人以上のどれに当たるかを見ます。
訪問回数で行を選ぶ。その利用者が1日2回だったのか3回以上だったのかで、イかロかが決まります。同じ建物でも、Aさんは2回でBさんは3回、ということが起こります。人数区分は建物単位、回数区分は利用者単位です。
なお、人数は日ごとに動きます。月の途中で入居者が増えたり、その日たまたま訪問しない利用者がいたりすれば、同じ建物でも日によって区分が変わります。建物ごとに一覧を作り、日単位で数えられる形にしておくのが現実的です。
6-4. 数えてみる
ひとつのサービス付き高齢者向け住宅を例に置きます。その日の状況が次のとおりだったとします。
| 利用者 | その日の訪問 | その日の算定 |
|---|---|---|
| Aさん | 3回 | 難病等複数回訪問加算 |
| Bさん | 2回 | 難病等複数回訪問加算 |
| Cさん | 2回 | 精神科複数回訪問加算 |
| Dさん | 2回 | 包括型訪問看護療養費 |
| Eさん | 1回 | 訪問看護基本療養費のみ |
| Fさん | 訪問なし | — |
合計人数は4人です。A・B・C・Dを数えます。Cは別の加算ですが合算し、Dは包括型でこの加算を算定できませんが人数には入ります。Eは複数回ではないので入らず、Fはその日訪問していないので入りません。
4人なので区分は「3人以上9人以下」。そのうえで回数を見ると、Aさんはロ(1日3回以上)で7,200円(その月の算定日数が21日目以降に入っていれば6,900円 →7章)、Bさんはイ(1日2回)で4,000円になります。Cさんは精神科複数回訪問加算の側で同じ人数区分を使い、Dさんは包括型を算定します。
この例ではDさんを数から外しても3人で区分は変わりませんが、境目の建物では実害が出ます。同じ建物でその日の算定者が10人(うち包括型2人)だったとします。包括型の2人を外すと8人で「3人以上9人以下」、正しくは10人で「10人以上19人以下」。1日2回の利用者1人あたり4,000円と3,700円で300円の差が、その建物のその日の算定者全員に発生します。過大請求の方向にずれるので、外す癖をつけないことが大事です。
この章の出典
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法 区分番号01 注3・注7
- 疑義解釈資料の送付について(その1)(令和8年3月23日事務連絡)問1
- 令和8年3月5日 保発0305第19号 第2の5(2)
7. 「月21日目以降」は暦の21日ではない
1日3回以上の区分には、月20日目までと月21日目以降の別があります(→3-2)。この20日・21日が何を指すのかを、留意事項通知が定めています。
1日に3回以上の指定訪問看護を実施する場合で同一建物居住者の合計人数が3人以上の場合における「月20日目まで」と「月21日目以降」の区分については、算定する日における、月の初日以降に当該加算、精神科複数回訪問加算又は包括型訪問看護療養費のいずれかを算定した日数に応じて、該当する区分を算定する。
暦の20日・21日ではありません。その月の初日以降に、当該加算・精神科複数回訪問加算・包括型訪問看護療養費のいずれかを算定した日数を数えて、21日目に入ったかどうかを判定します。
たとえば月の前半に何日か訪問がなく、算定した日が積み上がっていなければ、暦の25日でもまだ「20日目まで」の区分ということが起こります。逆に月の初めから毎日算定していれば、暦の21日で21日目に到達します。
数える対象が人数の合算と同じ3つであることにも注意してください。包括型を算定した日も、この日数に入ります。
日数が動くのは3人以上の建物だけです。1人又は2人の区分には日数の別がなく、8,000円のまま変わりません(→3-2)。
暦日で判定すると、月末に近い日の金額を高いほうで請求してしまうことになります。請求ソフトの設定がどちらで動いているかは、改定後の初回請求の前に確認しておく価値があります。
この章の出典
8. 「2時間ルール」の正確な条件
8-1. 通知の原文
1日に複数回訪問するとき、訪問と訪問の間隔をどれだけ空けるべきかが問題になります。留意事項通知にはこう書かれています。
前回提供した指定訪問看護の終了から2時間未満の間隔で、提供時間が20分以上30分未満の指定訪問看護を実施する場合(緊急に指定訪問看護を行う場合を除く。)は、それぞれの時間を合算して1回の指定訪問看護の実施として取り扱うこと
条件は3つ重なっています。前回の終了から2時間未満であること。提供時間が20分以上30分未満であること。緊急の訪問ではないこと。この3つがすべて揃ったときに、2回の訪問が合算されて1回として扱われます。
合算されると、この加算の回数にも効きます。通知が「1回の指定訪問看護の実施として取り扱う」としている以上、「1日に2回」「3回以上」の回数も合算後の回数で見る読み方になります。2回の訪問が合算されれば加算自体が立たず、3回のうち2回が合算されれば「3回以上」ではなく「2回」の区分になります。加算の回数判定への影響を明示した資料は見つかっていないため、境目の事例は厚生局に照会してください。
8-2. よくある読み違え
この規定を「2時間空けないと複数回として算定できない」と要約している解説があります。条件のうち2つが落ちています。
提供時間が30分以上なら、間隔が2時間未満でも合算されません。合算の対象は20分以上30分未満の訪問です。午前に40分、その1時間後に35分という訪問は、いずれも30分以上なので、この規定では合算されない読み方になります。
緊急の訪問も除かれます。通知が括弧書きで明示しています。計画外の緊急対応で短時間の訪問が続いた場合まで合算するものではありません。
逆方向の誤りもあります。改定前の情報として「医療保険にはこうした時間の規定がない」と書かれた解説が残っていますが、この取扱いは令和8年6月から入ったものです。
8-3. 20分を下回る訪問
訪問時間そのものについては、留意事項通知の第2の2(4)アが、療養費を算定するに適切な時間の指定訪問看護として「30分以上を標準とし」「少なくとも20分を下回らないこと」と定めています。訪問時間の一般的な取扱いを定める第4の2のほうは、1回の訪問につき訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)は30分から1時間30分程度を標準とし、標準の実施時間を下回る訪問が同一日に同一の利用者に複数回、または複数の利用者に行われるなど、頻繁に行われている場合には、指定訪問看護を実施したとは認められないとしています。
短時間の訪問を積み重ねて回数を作るかたちは、この記述に照らして苦しくなります。なお、この「20分を下回らないこと」がどの療養費まで及ぶかについては、通知の書きぶりから範囲を確定できませんでした(→確認しきれなかった点)。
この章の出典
9. 包括型訪問看護療養費との関係
令和8年6月に新設された包括型訪問看護療養費(区分番号04)は、高齢者向け住まい等に併設・隣接するステーションが24時間体制で頻回の訪問看護を行う場合の、1日あたりの包括評価です。
包括型を算定する日には、難病等複数回訪問加算を算定できません。区分04の注5が「1日に2回以上の指定訪問看護を行った場合は、包括型訪問看護療養費に限り算定する」と定めているためです。
この点について、疑義解釈その3が踏み込んだ回答をしています。日中に40分の計画的な訪問を行い、夜間に緊急で30分の訪問が必要になって1日2回・70分になった場合について、計画による訪問看護でなくても包括型訪問看護療養費を算定するのか、という問いです。答えは「そのとおり」でした。計画外の緊急対応で1日2回になった場合も、包括型の届出をしている建物では包括型になります。
一方で、6章で見たとおり、包括型を算定する利用者は同一建物の人数には数えます(→6-2)。算定できないことと数えないことは別です。
包括型の区分や届出の要件は包括型訪問看護療養費にまとめています。包括型を届け出た建物では、この加算の運用そのものが変わるので、届出の前後で請求の組み立てを見直してください。
この章の出典
10. 精神科複数回訪問加算との違い
名前がよく似た加算に、精神科訪問看護基本療養費の側の精神科複数回訪問加算があります。金額の表は完全に同じで、人数5区分も日数の逓減も一致します。違うのは対象者と届出です。
| 難病等複数回訪問加算 | 精神科複数回訪問加算 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 区分番号01 注7 | 区分番号01-2 注11 |
| 付く療養費 | 訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)(ハを除く) | 精神科訪問看護基本療養費 |
| 対象者 | 別表第七・別表第八/特別訪問看護指示書の交付を受けた者 | 精神科在宅患者支援管理料を算定する利用者 |
| 届出 | 不要 | 必要(地方厚生局長等へ) |
| 金額 | 5区分+日数逓減 | 同じ |
届出の有無が非対称である点は押さえておいてください。難病等の側は届出なしで算定できますが、精神科の側は届出をしていないと算定できません。
同一利用者について同じ日に両方の加算が立つ場面は、通常想定されません。この加算は訪問看護基本療養費に、精神科複数回訪問加算は精神科訪問看護基本療養費に付くもので、同じ日の訪問はどちらか一方の療養費で算定するのが通常だからです。ただし同一日の併算定を明文で禁じた規定は、この記事の調査では特定できていません。
ただし人数を数えるときには合算します(→6-2)。同じ建物にAさん(難病等)とBさん(精神科)がいれば、2人として数えます。精神科訪問看護の側の基本療養費の建付けは精神科訪問看護基本療養費にまとめています。
この章の出典
11. レセプトの書き方
11-1. 訪問日欄の記号
記載要領は、訪問日欄に付ける記号を定めています。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| ○ | 訪問看護基本療養費・精神科訪問看護基本療養費を算定する場合 |
| ● | 包括型訪問看護療養費を算定する場合 |
| ◎ | 1日に2回訪問を行った場合 |
| ◇ | 1日に3回以上訪問を行った場合 |
複数回訪問した日は、○ではなく◎または◇になります。回数の区分と記号が対応しているので、◎の付いた日数と摘要欄に書く日数は一致するはずです。ここが食い違うと、突合されたときに説明が要ります。
11-2. 摘要欄
難病等複数回訪問加算を算定する場合は、同一建物居住者の人数と訪問日数に応じて、次のように書きます。
- 「区分」に 10及び19
- 「名称」に該当する名称
- 「金額(円)」に該当する金額
- 「日数(日)」に当該月において複数回訪問した日数
精神科複数回訪問加算の場合は、区分が 30及び42 になります。
注意が要るのは、月の途中で金額が変わる場合です。1日3回以上で3人以上の建物なら、20日目までと21日目以降で金額が変わります(→7章)。同じ月に2つの金額が発生するので、名称ごとに行を分けて、それぞれの日数を書くことになります。人数区分が月の途中で動いた場合も同じ月に複数の金額が発生しますが、その場合の行の分け方を明示した記載例は確認できていません(→確認しきれなかった点)。
11-3. 心身の状態欄
心身の状態欄には、別表第七・別表第八に該当するかどうかを「1 別表7」「2 別表8」「3 無」から選んで記載します。あわせて、該当する疾病等のコードを記載します。該当するものが複数あれば、そのすべてを書きます。
対象者の要件(→4章)と、この欄の記載が食い違っていると、加算の根拠が示せません。別表のいずれにも該当せず特別訪問看護指示書もない状態で加算だけが立っていれば、そのまま指摘の材料になります。
なお、この加算について返戻や査定の公式な事例集は見つかりませんでした。件数の統計も、確認できた範囲では公表されていません。上に挙げた注意点は、条文と記載要領から導けるものです。返戻になった場合の対応の流れは訪問看護のレセプト返戻にまとめています。
この章の出典
12. よくある質問
12-1. 1日に4回訪問したら金額は増えますか
増えません。区分は「1日に2回」と「1日に3回以上」の2つだけで、4回でも5回でも3回以上の区分です(→2-1)。
12-2. 届出は要りますか
要りません。ただし精神科複数回訪問加算のほうは届出が必要です(→10章)。
12-3. 1回目が看護師、2回目が理学療法士でも算定できますか
条文は訪問する職種で区別していません。ただし理学療法士等による訪問は訪問看護基本療養費の枠組みのなかで扱いが決まっているため、その日の算定がどの区分になるかを先に確認してください。この組み合わせを直接扱った疑義解釈は見つかっていません。
12-4. 緊急訪問看護加算と同じ日に算定できますか
条文にも留意事項通知にも、両者の併算定を制限する明文は見当たりませんでした。ただし制限が無いことをこの記事で確定はしていません(→確認しきれなかった点)。長時間訪問看護加算・複数名訪問看護加算についても同じ状況です。緊急訪問看護加算そのものの要件は訪問看護の緊急訪問看護加算にまとめています。
12-5. 同じ建物でも人によって金額が違うのはなぜですか
人数区分は建物単位、回数区分は利用者単位だからです(→6-3)。同じ建物でも、その日2回訪問した利用者はイ、3回訪問した利用者はロになります。
12-6. 介護保険でも算定できますか
この加算は医療保険の訪問看護療養費の項目で、介護保険に同じ名称の加算は見当たりません。ただし要介護の利用者でも、別表第七該当や特別訪問看護指示書の期間中は訪問看護そのものが医療保険になるため、この加算の対象になり得ます(→4-2)。
12-7. 包括型を届け出ました。この加算はもう使えませんか
包括型を算定する日は算定できません。区分04の注5が、1日2回以上の訪問を行った場合は包括型に限り算定するとしているためです。届出の対象になっていない建物・利用者については従来どおりです(→9章)。
この章の出典
13. どこから手をつけるか
届出が要らない加算なので、着手の順番は請求の精度をどう作るかに集約されます。
まず、建物ごとの一覧を作ります。同一の敷地内の建物を含めた範囲を決めたうえで(→6-1)、その建物にいる対象者を並べます。難病等・精神科・包括型の3つを同じ表に載せておかないと、人数を数えるときに包括型の利用者が抜け落ちます。
次に、日単位で数えられる形にします。人数は日ごとに動きます。月末にまとめて数えるやり方では、その日に訪問しなかった利用者を含めてしまう誤りが起こります。
そのうえで、請求ソフトの設定を確認します。確認したいのは2つです。同一建物の人数区分が5区分で判定されているか。そして、月20日目・21日目の判定が暦日ではなく算定日数で動いているか(→7章)。
最後に、改定後の初回請求は目視で突き合わせます。訪問日欄の◎◇の数と、摘要欄の日数が合っているかを見ます(→11-1)。
加算の全体像は訪問看護の加算一覧・早見表、取りこぼしの探し方は訪問看護の加算算定漏れにまとめています。
株式会社ainaruは、訪問看護のレセプト請求と関連する事務を代行しています。この加算については、建物別の対象者一覧の作成と、人数区分・算定日数の月次点検をお引き受けできます。
確認しきれなかった点
一次資料で確定できなかった項目です。算定できない、という意味ではありません。
| 項目 | 状況 | この記事での扱い |
|---|---|---|
| 緊急訪問看護加算・長時間訪問看護加算・複数名訪問看護加算との併算定可否 | 条文にも留意事項通知にも明文の制限が見当たらない。明示的に認めた資料もない | 「明文の制限は見当たらない」以上のことは書いていない(→12-4) |
| 特別訪問看護指示書だけを根拠に算定できるか | 条文は「又は」で結んでおり、一方で足りる読み方になる。ただし正面から扱った疑義解釈がない | 条文の構造を示したうえで、断定は避けた(→4-4) |
| 訪問看護基本療養費(Ⅰ)で算定する場合の人数区分 | 留意事項通知が人数区分の適用に触れているのは(Ⅱ)の場合のみ | 記載していない |
| 「20分を下回らないこと」の適用範囲 | 通知の書きぶりから、どの療養費まで及ぶかを確定できなかった | 範囲を確定できなかったことを明記した(→8-3) |
| 訪問日欄のその他の記号 | ○●◎◇以外の記号(専門管理・特別指示・長時間・複数名等)の割当ては原文で確認していない | ○●◎◇のみ記載した(→11-1) |
| 返戻・査定の事例、算定件数の統計 | 公式の事例集・統計は確認できた範囲では見当たらない | 条文と記載要領から導ける注意点にとどめた(→11-3) |
| 1回目と2回目で訪問する職種が異なる場合 | 直接扱った疑義解釈が見当たらない | 確認を勧める記載にとどめた(→12-3) |
| 2時間ルールで合算された場合の加算の回数判定 | 「1回として取り扱う」の帰結として自然だが、加算の回数への影響を明示した資料が見当たらない | 読み方を示したうえで、境目の事例は照会を勧めた(→8-1) |
| 摘要欄の「名称」の正式な表記・人数区分が月の途中で動いた場合の行の分け方 | 記載要領の名称一覧を原文で確認できていない | 記載例を載せず、日数逓減の場合の行分けのみ記載した(→11-2) |
| 難病等と精神科の同一日併算定を禁じる明文 | 通常想定されない場面だが、明文の規定を特定できていない | 「通常想定されない」にとどめた(→10章) |
参考・出典一覧
告示
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成20年3月5日 厚生労働省告示第67号)現行条文
- 同 一部改正(令和8年3月5日 厚生労働省告示第74号)
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18年3月6日 厚生労働省告示第103号)現行条文
- 同 一部改正(令和8年3月5日 厚生労働省告示第75号)
通知
- 令和8年3月5日 保発0305第19号「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」
- 令和8年3月27日 保医発0327第2号 別添3「訪問看護療養費請求書等の記載要領」
疑義解釈
改定資料