最終確認日:令和8年8月6日|根拠通知:保医発0327第10号(令和8年3月27日・令和8年6月1日適用)/老企第55号(平成12年3月30日)

令和8年6月1日から、医療保険の訪問看護計画書・訪問看護報告書の様式に、押印欄がなくなりました。令和6年版の別紙様式1〜4は最下部が「管理者氏名 印」でしたが、令和8年版は「印」の字がありません。

一方、介護保険の様式(老企第55号 別紙様式1)には「管理者氏名 印」が残っています。同じステーションが、利用者によって扱いの違う様式を使うことになります。

この記事では、様式の変更、欄ごとの記載要領と記入例、説明・同意・交付の義務が医療保険と介護保険で違うこと、提出の期限、運営指導で実際に指摘されていることを、告示・通知・様式の原文で確認して整理しました。一次資料で裏が取れなかった点は、そのまま書いています。

先に結論

問い 答え
令和8年6月に何が変わったのか 医療保険の様式から押印欄が消えました(別紙様式1〜4すべて)(→2章
介護保険の様式も変わったのか 変わっていません。「管理者氏名 印」が残っています(→3章
利用者の同意と交付は必要か 介護保険は義務、医療保険には規定がありません(→4章
いつまでに主治医に出すのか 「定期的に」としか定められていません。月1回は慣行です(→5章
新しい様式はどこにあるのか 記載要領の通知(保医発0327第10号)の後半に綴じ込まれています(→2-2
計画書は毎月作り直すのか 見直しがなければ前月の内容のままで構いません。ただし評価の欄は毎月埋まります(→5-5
訪問日の記号は 医療保険と介護保険で別体系です。同じ「○」が別の意味(→8章

場面から探す場合は、こちらから。


1. 計画書と報告書は1組で動く|役割・作る人・根拠

1-1. 計画書は事前、報告書は事後

計画書はこれから行う訪問看護の目標と内容、報告書は実際に行った訪問の日と内容を主治医に報告する文書です。主治医から交付された訪問看護指示書に基づいて計画書を作り、訪問のたびに記録書Ⅱを書き、その月の実績を報告書にまとめて主治医に提出する。指示書が訪問の根拠なら、計画書は訪問の設計図、報告書はその実施報告です。

1-2. 作るのは看護師等(准看護師を除く)

作成主体は法令で決まっています。医療保険側は指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の第17条第1項です。

看護師等(准看護師を除く。以下この条において同じ。)は、利用者の希望、主治の医師の指示及び心身の状況等を踏まえて、療養上の目標、当該目標を達成するための具体的な指定訪問看護の内容等を記載した訪問看護計画書を作成しなければならない。

介護保険側の指定居宅サービス等基準 第70条第1項も、まったく同じ括弧書きを持っています。

第1項 看護師等(准看護師を除く。以下この条において同じ。)は、(略)訪問看護計画書を作成しなければならない。

この「以下この条において同じ」が効きます。報告書の作成を定めているのは医療保険が第17条第3項、介護保険が第70条第5項ですが、いずれも同じ条の中なので、准看護師の除外は報告書にも及びます。准看護師も、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士も、計画書・報告書の作成主体ではありません。

理学療法士等が訪問している場合でも、作るのは看護師等です。医療保険側の運営基準通知(保発0305第20号)は、こう定めています。

理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士(以下「理学療法士等」という。)が訪問看護を提供している利用者については、訪問看護計画書及び訪問看護報告書は理学療法士等が提供する内容についても一体的に含むものとし、看護職員(准看護師を除く。)と理学療法士等が連携し作成すること。

医療保険では計画書も報告書も一体的に含みます。介護保険は報告書に別添を付ける扱いで、こちらは7-6で扱います。

医療保険(省令80号) 介護保険(省令37号)
計画書の作成 第17条第1項 第70条第1項
ケアプランとの整合 規定なし 第70条第2項
説明 第17条第2項 第70条第3項
同意 規定なし 第70条第3項
交付 規定なし 第70条第4項
報告書の作成 第17条第3項 第70条第5項
管理者の指導・管理 第17条第4項 第70条第6項
主治医への提出 第16条第4項 第69条第3項

どこまでを事務に任せられるかは、この作成主体の規定で線が引かれます。詳しくは訪問看護の書類作成代行|頼めるもの・頼めないもので扱っています。

なお、その事業所が医療機関である場合(みなし指定)は、指示・計画書・報告書のやり取りを診療記録への記載で代えられます(介護保険は第69条第4項、第70条第7項で準用)。

1-3. 記録書との違い|外に出す文書か、内部の記録か

計画書・報告書・記録書はまとめて語られますが、制度上の性格が違います。

書類 様式の拘束力 主治医への提出
訪問看護計画書・訪問看護報告書 別紙様式1・2を「標準として作成する」 義務
訪問看護記録書Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ 参考様式1〜5に準じて作成 なし

記載要領の言葉づかいが違います。計画書・報告書は「標準として作成するものであること」、記録書は「参考様式1から5までに準じて、利用者毎に作成すること」。外に出す文書は様式が固く、内部の記録は緩いという構造です。

記録書Ⅰは初回に作る基礎情報、記録書Ⅱは訪問のたびに書く記録です。記載事項は医療保険と介護保険で違います。

医療保険(保医発0327第10号) 介護保険(老企第55号)
記録書Ⅰ 初回訪問年月日、訪問職種、主たる傷病名、現病歴、既往歴、療養状況、介護状況、訪問看護の依頼目的、緊急時の主治医・家族等の連絡先、指定居宅介護支援事業所等の連絡先、その他関係機関との連絡事項等 訪問看護の依頼目的、初回訪問年月日、主たる傷病名、既往歴、現病歴、療養状況、介護状況、緊急時の主治医・家族等連絡先、指定居宅介護支援事業所の連絡先、その他関係機関との連絡事項等
記録書Ⅱ 訪問年月日、訪問時間(実際の開始時刻及び終了時刻)訪問職種、病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリテーションの内容等 訪問年月日、病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリテーション内容等
記録書Ⅲ あり(参考様式5。包括型訪問看護療養費を算定する日ごとに作成) 規定なし

医療保険の記録書Ⅱには、訪問時間と訪問職種の記載が要ります。開始時刻と終了時刻まで指定されているので、時刻を書いていない記録は記載要領を満たしません。記録書の書き方は訪問看護記録書の書き方|Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違いと記入例【R8.6】にまとめました。

報告書は記録書Ⅱの集約として書くと考えると、月末の作業が楽になります。

1-4. 根拠になる通知は医療保険と介護保険で別

同じ「訪問看護計画書」という名前でも、医療保険と介護保険では根拠通知も様式も別系統です。

医療保険 介護保険
根拠省令 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年厚生省令第80号)第16条・第17条 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第69条・第70条
記載要領の通知 保医発0327第10号(令和8年3月27日/令和8年6月1日適用) 老企第55号(平成12年3月30日)
様式 別紙様式1〜4 別紙様式1・2
押印欄 令和8年6月から削除(→2章 残っている(→3章
保存期間 2年(省令第30条第2項) 2年(老企第55号「訪問看護計画書等は二年間保存のこと」)

医療保険側の記載要領は令和8年3月27日に改正され、前版(令和6年3月27日 保医発0327第6号)は通知本文で「令和8年5月31日限り廃止する」と明記されています。令和6年版の記載要領を見て運用している場合は、すでに失効した通知を見ていることになります。

保存期間の根拠は省令第30条第2項で、「その完結の日から二年間保存しなければならない」記録として訪問看護記録書・訪問看護指示書・訪問看護計画書・訪問看護報告書などが列挙されています。介護保険側は条例で上乗せしている自治体があります。確認できた範囲で、横浜市・名古屋市・川崎市・大阪府は5年、東京都は2年でした。指定権者の条例の「記録の整備」を見て、長いほうに合わせてください。

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2. 【令和8年6月】医療保険の様式から押印欄が消えた

2-1. 様式の新旧対照

様式の最下部
令和6年版(保医発0327第6号) 年月日/事業所名/管理者氏名 印
令和8年版(保医発0327第10号) 年月日/事業所名/管理者氏名

令和6年版は別紙様式1(計画書)・2(報告書)・3(精神科計画書)・4(精神科報告書)のすべてに「管理者氏名 印」がありましたが、令和8年版は4つとも「印」がありません。

2-2. 令和8年6月版の様式はどこにあるか

新しい様式は、記載要領の通知(保医発0327第10号)の後半に別紙様式として綴じ込まれています。通知本文とセットのPDFなので、様式だけを探しても見つかりません。

使う場面 様式 所在
医療保険・一般 別紙様式1(計画書)・別紙様式2(報告書) 保医発0327第10号
医療保険・精神科 別紙様式3(計画書)・別紙様式4(報告書) 同上(→9章
介護保険 別紙様式1(計画書)・別紙様式2(報告書) 老企第55号(押印欄あり。→3章
介護保険・リハ職が訪問した月 報告書の別添 定型の様式はありません(→7-6

差し替えるときは、記録ソフトから出力している帳票のマスタが更新されているかを確認してください。ベンダーの案内が「令和8年6月請求分から反映」としか書かれていない場合、請求データは更新されても帳票の様式は事業所側で差し替える設計になっていることがあります。案内文を読むより、現物を1枚出力して最下部を見るほうが早くて確実です。

2-3. 厚生労働省の説明資料はこう書いている

令和8年度診療報酬改定の説明資料に、根拠があります。

訪問看護計画書及び訪問看護報告書について、書面の場合には署名・押印を求めないこととし、様式例から押印欄を削除する。

「署名・押印を求めないこととし」——要件そのものを外したという書き方です。押印欄の削除は、その結果として様式を直したものにすぎません。

同じ資料の同じ箇所に、訪問看護指示書についての記述が並んでいます。

医師の署名又は記名・押印が必要な訪問看護指示書について、様式の押印欄を削除する様式変更を行う。

こちらは「署名又は記名・押印が必要な訪問看護指示書について」と、要件が続いていることを前提にしたうえで様式の枠だけを消す構造です。

計画書・報告書は要件ごと廃止、指示書は様式だけ。同じ改定の同じ趣旨(医療機関等における事務等の簡素化・効率化)でありながら、この2つは扱いが違います。指示書側の詳しい読み分けは訪問看護指示書とは|有効期間6か月・様式16と押印【R8.6】の2章にまとめました。

2-4. 「従前の様式も使える」という但し書きは、こちらには付いていない

説明資料には「※ 従前の様式も引き続き使用可能。」という但し書きがあります。ただしこれは訪問看護指示書についての記述に付いているもので、計画書・報告書の側には付いていません。

さらに、記載要領の通知(保医発0327第10号)の本文にも、従前の様式の使用を認める経過措置の記述は見当たりませんでした。

とはいえ、押印の要件そのものが外れている以上、旧様式の「印」欄を空欄のまま使っても要件を欠くことにはなりません。押印欄が残った紙を使い続けると、現場が「押さなければいけないのか」と迷います。実務上の問題はそちらなので、新様式に差し替えてください。

令和8年6月より前に作成した計画書を、6月以降に主治医へ提出してよいかを明示した資料には行き当たりませんでした(→開示)。

2-5. 上位の解説記事は、まだ「捺印が必要」と書いている

この改定は、まだ業界に行き渡っていません。2026年8月時点で「訪問看護計画書 書き方」の上位に出てくる解説記事を確認したところ、令和8年6月改定に対応しているものは見当たりませんでした。更新日が2026年5月・7月と表示されていながら本文は「2024年度改定時の情報をもとに執筆しています」というものが複数あり、そのうち何本かは「管理者の捺印が必要」と書いています。古いだけでなく、いまは誤りになった指示を出している状態です。

自事業所のマニュアルや新人向けの手順書が、こうした記事を参照して作られていないかを一度見てください。

2-6. 押印がなくなったら、電子で送っていいのか

押印欄が消えたことで、次に問題になるのが提出の方法です。電子的な方法は認められています。医療保険側の運営基準通知に明文があります。

訪問看護計画書及び訪問看護報告書を書面又は電子的な方法により主治医に提出しなければならない

ただし電子の場合には条件が付きます。同じ通知は、厚生労働省の定める準拠性監査基準を満たす保健医療福祉分野PKI認証局の発行する電子証明書を用いた電子署名など、電子署名の方式を具体的に挙げています。東京都の集団指導テキストは、これを次のように言い換えています。

書面における署名又は記名・押印に代わり、厚生労働省の定める準拠性監査基準を満たす保健医療福祉分野の公開鍵基盤(HPKI)による電子署名を施すこと

押印がなくなったことと、何でも電子で送ってよいことは別です。押印は要件そのものが外れましたが、電子提出には署名の要件が乗ります。PDFにしてメールで送るだけ、という運用にする前に条件を満たせるかを確認してください。あわせて、電子で送っても提出した控えを2年間出せる状態にしておく必要があります(→1-4)。提出方法と保存方法は別の話です。

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3. 押印は医療保険と介護保険で扱いが分かれた

3-1. 介護保険の様式には「印」が残っている

令和8年度改定は診療報酬の改定なので、介護報酬の側では計画書・報告書の様式に手が入っていません。介護保険の訪問看護計画書(老企第55号 別紙様式1)の最下部は、「事業所名/管理者氏名 印」のままです。

医療保険側だけが押印欄を失い、「署名・押印を求めない」という明示もそちらにしかありません。同じステーションが、医療保険で訪問している利用者には押印欄のない様式を、介護保険で訪問している利用者には押印欄のある様式を使うことになります。

3-2. ただし「印」の欄があることと、押印が義務であることは別

様式に「印」の欄があることは、押印を義務づける規定があることを意味しません。

省令37号・省令80号のどちらにも、「押印」「記名」「署名」「印」の字が1つもありません。e-Govの法令データで全条文を検索して確認しました(省令37号は本則349条、省令80号は55条)。押印の慣行は様式に欄があることだけを根拠にしていて、条文の裏づけはありません。

したがって実務上の扱いは、次のようになります。

  • 医療保険:押印欄がなく、「署名・押印を求めない」と要件そのものが外れている。押しません。旧様式を使い続けている場合も、「印」欄は空欄のままで要件を欠きません
  • 介護保険:様式に欄はあるが、押印を義務づけた条文は見当たらない。欄がある以上は押す運用を続けるのが安全

「安全」という書き方をしているのは、根拠が「ない」ことに寄りかかった運用だからです。介護保険側の指定権者は都道府県・市町村なので、判断が分かれる余地があります。

実務で迷う場面への答えを3つだけ。押すのは様式の欄のとおり管理者個人の印(事業所の角印ではありません)。管理者が不在で押せないときは、押印待ちで提出を遅らせるより決めた締めを守るほうが優先です(押印は提出の要件ではありません)。過去分の押し忘れが見つかったら、遡らず気づいた日付で押して記録に残す——遡ると作成日と押印日が食い違います。

押印をやめる運用にするなら、指定権者の介護保険担当課に確認し、回答をもらった日・担当課・回答内容を記録に残してから変えてください。そして「うちは押す/押さない」と事業所単位で決めることはできません。利用者ごとに、どちらの保険で訪問しているかで分かれます。

3-3. 介護保険の様式は作成者欄が2つある

押印以外にも、医療保険版と介護保険版には違いがあります。

介護保険の別紙様式1には作成者①・作成者②の欄があり、①の職種は「看護師・保健師」、②の職種は「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士」と印字されています。理学療法士等が訪問している場合に、誰が関与したかが様式の上で見えるようになっています。

一方、医療保険の別紙様式1には訪問予定の職種という欄があります(→6-6)。同じことを扱っていますが、欄の作りが違います。

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4. 説明・同意・交付|医療保険と介護保険で義務が違う

4-1. 医療保険の条文に「同意」「交付」の語はない

計画書を作ったあと、利用者にどこまでのことをする義務があるのか。ここも保険で分かれます。医療保険側の省令第17条は、全部で4項しかありません。

第2項 看護師等は、作成した訪問看護計画書の主要な事項について、利用者又はその家族に説明しなければならない。

この条には「同意」も「交付」も出てきません。義務として書かれているのは説明だけです。

介護保険側の省令第70条は違います。

第3項 (略)その主要な事項について利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得なければならない。 第4項 (略)訪問看護計画書を利用者に交付しなければならない。

説明・同意・交付の3つが揃って義務です。さらに第2項には「既に居宅サービス計画等が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って訪問看護計画書を作成しなければならない」という、ケアプランとの整合を求める規定もあります。

条番号は1-2の対応表にまとめてあります。

4-2. 利用者の署名をもらう義務はどちらにもない

署名を求める条文は、医療保険側にも介護保険側にも見当たりませんでした。介護保険側にあるのは「同意を得なければならない」という規定だけで、同意をどう取るか(署名か、口頭か、記録に残すか)の方式は定められていません。

つまり署名は、法令上の義務ではなく、同意を得たことを残すための実務上の選択です。ただし記録は要ります。東京都の令和7年度の集団指導資料は、指摘への対応としてこう書いています。

計画書の同意を事前に利用者(家族)から取得したことがわかる記録を残してください。

求められているのは署名という様式ではなく、事前に取得したことが分かる記録です。署名でも、同意を得た日と相手を記録に残す方法でも構いません。

4-3. 順序が問われる|「サービス提供開始以前に」

東京都福祉局の集団指導資料の指導のポイントに、時系列を名指しした記述があります。令和5年度版から令和7年度版まで、この一文は変わっていません。

看護師等は訪問看護計画書を作成の上、サービス提供開始以前に利用者に説明し同意を得たうえで交付すること

訪問を始めてから計画書を作った、同意日が初回訪問日より後になっている。これが典型的な指摘の形です。計画書が存在するかどうかではなく、いつ作られ、いつ同意を得たかが見られます。

理学療法士等が訪問する場合については、さらに踏み込んだ記述があります。

理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士による指定訪問看護については、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させるものであること等を説明した上で利用者の同意を得なければならず、また、当該訪問看護計画書を利用者に交付しなければならない。

リハビリ職の訪問が「看護の代わり」であることまで説明したうえでの同意、という求め方です。

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5. いつ・誰に出すのか|「定期的に」しか定めがない

5-1. 提出義務は「作成」の条ではなく「主治の医師との関係」の条にある

提出義務は、作成を定めた条文(医療保険=第17条、介護保険=第70条)には書かれていません。その1つ前の条にあります。医療保険は省令第16条(主治の医師との関係)第4項です。

指定訪問看護事業者は、主治の医師に次条第一項に規定する訪問看護計画書及び訪問看護報告書を提出し、指定訪問看護の提供に当たって主治の医師との密接な連携を図らなければならない。

介護保険側も同じ構造で、省令第69条第3項が同じ文言を持っています。

5-2. 期限は定められていない

実務でいちばん問い合わせが多く、上位の解説記事がいちばんバラバラなところです。

介護保険側(老企第55号)は、この一文だけです。

主治医と連携を図り、適切な指定訪問看護を提供するため定期的に訪問看護計画書及び訪問看護報告書を主治医に提出しなければならないこと。

医療保険側(保発0305第20号)は2か所にあり、文言も少し違います。

指定訪問看護事業者は、主治医との連携を図り、適切な指定訪問看護を提供するため、定期的に訪問看護計画書及び訪問看護報告書を書面又は電子的な方法により主治医に提出しなければならないこと。〔(14)④〕

指定訪問看護事業者は、主治医との連携を図り、適切な指定訪問看護を提供するため、訪問看護計画書及び訪問看護報告書を定期的に主治医に提出しなければならないこと。〔(15)⑦〕

「1か月に1回」「翌月◯日まで」といった頻度や期限を定めた記述は、どこにもありません。医療保険側にだけ「書面又は電子的な方法により」が入っているのが違いで、その条件は2-6で扱いました。

解説記事は「遅くとも翌月10日を目処に」「月末に作成し月初までに提出」「翌月7〜10日までには送付」「提出期限はありません」と割れていますが、割れているのは当然で、全部が各社の推奨だからです。

5-3. では実務でどう決めるか

期限がないからといって、決めなくてよいわけではありません。決め方の材料は3つあります。指示書の有効期間(6か月。計画書の見直しをここに合わせると書類の期限が1本にまとまります)、レセプトの締め(翌月10日。報告書の作成は同じ月次データを見る作業なので、請求業務と同じ週に置くと二度手間が減ります)、そして主治医側の都合(診察日に合わせたい、月末にまとめて処理している、郵送で往復するなど医療機関ごとに違います)。

「毎月◯日までに全員分を出す」と自事業所で決めて、それを守る。これが「定期的に」を満たす形です。期限が法定されていないぶん、決めた運用を記録に残しておくほうが、運営指導では説明しやすくなります。

5-4. ケアマネジャーには出すのか

要介護(訪問看護)と要支援(介護予防訪問看護)で答えが違います。

要介護の場合、計画書・報告書をケアマネジャーに提出する義務を定めた規定は見当たりませんでした(→開示)。ただし省令第70条第2項が「既に居宅サービス計画等が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って訪問看護計画書を作成しなければならない」と定めているので、ケアプランを見ずに計画書は作れません。

要支援の場合は明文の義務があります。指定介護予防サービス等基準(平成18年厚生労働省令第35号)第76条第13号です。

看護師等は、モニタリングの結果も踏まえつつ、訪問日、提供した看護内容等を記載した介護予防訪問看護報告書を作成し、当該報告書の内容について、当該指定介護予防支援事業者に報告するとともに、当該報告書について主治の医師に定期的に提出しなければならない。

報告書の「内容」は地域包括支援センター等(指定介護予防支援事業者)へ報告し、報告書「そのもの」は主治医へ提出するという二段構えです。同条第12号は、計画に定めた提供期間が終了するまでに少なくとも1回のモニタリングも義務づけています。要支援の利用者を持っているなら、この号は落とせません。

5-5. 計画書はいつ作り直すのか|「毎月出す」と「毎月作り直す」は別

混同されやすいところです。主治医への提出は毎月行うのが慣行ですが、計画書の中身を毎月作り直す義務はありません。

見直しが必要になるのは、次の場面です。

場面 見直す理由
訪問看護指示書が更新された 計画書は指示書に基づいて作るもの。指示内容が変われば計画も変わります
ケアプランが変更された/指示書が更新された 省令第70条第2項が「当該計画の内容に沿って」作成を義務づけています。東京都の指摘事例に「居宅サービス計画、医師の指示書と相違している」が挙がっています(→10-1
医療保険と介護保険が切り替わった/特別訪問看護指示書が交付された 様式そのものが変わる/14日間の訪問内容が計画から外れます
利用者の状態が変わった 目標が達成された、または達成できないことが分かった場合を含みます

見直しがなかった月は、前月の内容のまま提出して構いません。ただし6-1のとおり作成年月日と見直し年月日は別の欄なので、見直していない月に見直し日だけを更新しないでください。見直した記録がないのに日付だけ動いているのが、運営指導でいちばん説明しにくい形です。

逆に、評価の欄は毎月埋まります(→6-3)。計画は変えなくても、その計画に対して何が起きたかは毎月変わるからです。運営基準通知も、説明義務の中身として「その実施状況や評価についても説明を行う必要があること」と定めています。

なお、特別訪問看護指示書が交付された月の報告書には、追加の指定があります。

特別訪問看護指示書に基づく訪問看護を行った場合については、病状及び心身の状態等の変化等頻回な訪問看護を行う必要性とそれに対して提供した看護内容、サービス提供結果等を記載すること。

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6. 訪問看護計画書の書き方|欄ごとの記載要領と記入例

以下は医療保険の別紙様式1(保医発0327第10号)の欄です。引用のブロックが記載要領の原文、その下が記入例です。記入例は本記事の作例で、通知に載っているものではありません。

介護保険の別紙様式1(老企第55号)を使っている場合は、欄の対応がずれます。書く中身は共通ですが、欄の名前と数が違います。

医療保険 別紙様式1 介護保険 別紙様式1
療養上の課題・支援内容/評価 問題点・解決策/評価(欄名が違うだけで、求められているものは同じ)
訪問予定の職種 (なし)
(なし) 作成者①・作成者②(①=看護師・保健師/②=理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)
事業所名/管理者氏名 事業所名/管理者氏名 (→3章

目標・衛生材料等・備考の欄は共通です。

医療保険側の「療養上の課題・支援内容」は、令和6年度改定で「問題点・解決策」から変わった欄です。令和2年版の記載要領は「指定訪問看護を行う上での問題点及び解決策並びに評価を具体的に記入すること」でした。介護保険側は旧来の欄名のままです。

6-1. 利用者の基本情報・年月日

利用者氏名・生年月日・要介護認定の状況・住所の欄は「必要な事項を記入すること」とだけ定められています。日付の欄には指定があります。

計画書の作成年月日及び計画の見直しを行った年月日を記入すること

作成日と見直し日は別々に書くという指定です。1つの日付だけで運用していると、計画をいつ見直したのかが書類から追えません。運営指導で「計画書の内容が不十分」と言われる形のひとつが、何か月も同じ内容のまま日付だけが動いている状態です。

6-2. 看護・リハビリテーションの目標

主治医の指示書及び訪問による利用者の療養状況を踏まえて看護及びリハビリテーションの目標を設定し、記入すること

起点は2つです。主治医の指示書と、訪問して見た療養状況。指示書だけを写しても、訪問で見たことだけを書いても、この欄の要件からは外れます。

記入例(作例):「血糖値が安定し、低血糖症状を起こすことなく在宅生活を継続できる」「膀胱留置カテーテルを安全に管理し、尿路感染を起こさない」。達成できたかどうかが後で判定できる書き方にしておくと、次の6-3の評価が書けます。

6-3. 療養上の課題・支援内容及び評価

看護及びリハビリテーションの目標を踏まえ、指定訪問看護を行う上での療養上の課題及び支援内容並びに評価を具体的に記入すること

「目標を踏まえ」とあるので、6-2の目標と課題がつながっている必要があります。目標が血糖の安定なのに課題が転倒予防だけ、という状態は要件を満たしません。

記載要領が求めているのは「具体的に」の一語ですが、判定は課題と支援内容が対応しているかで決まります。

療養上の課題 支援内容
これだと説明できない 糖尿病がある 血糖測定、内服確認、状態観察
これなら説明できる インスリン自己注射の手技が不確実で、単位数の間違いが起きている 訪問時に手技を確認し、単位数の読み上げを一緒に行う

上は病名を書いただけで課題になっておらず、支援内容も誰にでも当てはまる項目が並んでいて、この利用者に固有の理由がありません。中医協の資料が「漫然かつ画一的」と呼んでいるのが、この状態です(→10-3)。

記入例(作例):

療養上の課題 支援内容 評価
インスリン自己注射の手技が不確実で、単位数の間違いが起きている 訪問時に手技を確認し、単位数の読み上げを一緒に行う 単位数の間違いは訪問開始後2か月間なし

評価の欄が空欄のまま何か月も続いている計画書は、説明が難しくなります。令和8年6月1日適用の東京都の指導検査基準が、検査項目として「その実施状況や評価についても説明を行っているか」を挙げているからです。前回の計画に対して何が起きたかを書く欄なので、初回以外は必ず埋まります。

直近3か月分の計画書を並べて、評価の欄だけを見返してください。空欄か、前月と同じ文言が続いていたら、そこが指摘の候補です。点検の観点は10章にまとめました。

6-4. 衛生材料等が必要な処置

「有無」に○を付け、必要な場合は処置の内容・衛生材料等・必要量を書きます。必要量の書き方には明確な指定があります。

「必要量」については1ヶ月間に必要となる量を記入すること

1回あたりでも、1週間あたりでもありません。1か月間の量です。

記入例(作例):仙骨部褥瘡の処置/生理食塩水20mL・ガーゼ・ポリウレタンフィルム/生理食塩水600mL・ガーゼ60枚・フィルム12枚(週3回交換で1か月分)。

衛生材料は、特に規定する場合を除き保険医療機関の診療報酬の中で包括的に評価されているものです。ステーションが自費で買い続けるものではないので、必要量を計画書に書いて医療機関に伝えます(→訪問看護指示書とはの9章)。

6-5. 備考

利用者に対する訪問の計画、特別な管理を要する内容、他の保健、医療又は福祉サービスの利用状況、その他留意すべき事項等を記入すること

「特別な管理を要する内容」は、特別管理加算の対象になる状態と重なります。備考欄に書いた内容が、そのまま加算の算定根拠を説明する材料になります。加算側の要件は訪問看護の特別管理加算、算定できる加算の全体像は訪問看護の加算一覧・早見表にまとめています。

記入例(作例):「週2回訪問(火・金)。在宅酸素療法中(2L/分・労作時3L/分)。訪問介護 週3回、通所リハビリ 週1回を併用」

6-6. 訪問予定の職種(医療保険のみ)

訪問予定の職種及びその訪問日について、利用者に分かるように記載すること

記載要領には例も示されています。「4・11・18・25日:理学療法士又は作業療法士」といった形です。実際とずれた場合の扱いも書かれています。

利用者の状態や提供するサービスの状況等によって、訪問予定の職種と、実際に訪問を行う職種とが異なっても差し支えないが、利用者への十分な説明に努めること。

予定と実績がずれること自体は許容されていて、求められているのは説明です。この欄には省略の規定もあります。

なお、看護職員のみによる訪問の場合には、当該欄の記載をしなくても差し支えない

理学療法士等が入っていない利用者では、この欄は空欄で構いません。

なお、理学療法士等が訪問する場合に1回あたりの時間や週あたりの回数の記載を必須とした明文は見当たりませんでした(→開示)。ただし後の突合を考えると、時間と回数まで書いておくほうが説明しやすくなります。

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7. 訪問看護報告書の書き方|欄ごとの記載要領と記入例

別紙様式2(訪問看護報告書)の欄です。訪問日の記号については8章で別に扱います。

7-1. 病状の経過

利用者の病状、日常生活動作(ADL)の状況等について記入すること

病名や処置だけでなく、ADLの状況を書くよう明示されています。ここが「バイタルの数値だけ」で終わっている報告書は、記載要領の求めるところを満たしていません。

記入例(作例):「血圧130〜145/70〜85で経過。下旬に食思不振があったが3日で回復。歩行は屋内伝い歩きで自立、入浴は一部介助のまま変化なし」

その月にあったことだけを書くのがこの欄です。前月から変わっていないことを毎月書き写していると、変化が起きたときに埋もれます。

7-2. 看護・リハビリテーションの内容

実施した指定訪問看護の内容について具体的に記入すること

計画書の支援内容に対して、実際に何をしたかを書きます。計画書と報告書が対応していないと、運営指導で突合されたときに説明できません。

記入例(作例):「仙骨部褥瘡の洗浄とフィルム交換を毎回実施。インスリン自己注射の手技確認と単位数の読み合わせ。服薬カレンダーの確認と残薬チェック」

7-3. 家庭での介護の状況

利用者の家族等の介護の実施状況、健康状態、療養環境等について必要に応じて記入すること

見る対象が利用者ではなく家族である欄です。介護者の健康状態まで含まれています。

記入例(作例):「主介護者は同居の長女。日中は就労のため独居。長女に腰痛の訴えがあり、福祉用具の追加をケアマネジャーへ相談中」

7-4. 衛生材料等の使用量および使用状況

指定訪問看護における処置に使用した衛生材料等の名称、使用及び交換頻度、1ヶ月間における使用量を記入すること

名称・頻度・1か月の使用量の3点セットです。計画書の6-4で「必要量」を書き、報告書で「使用量」を返す。この2つが対になっているので、次の月の必要量を医療機関と調整できます。

記入例(作例):「生理食塩水20mL 週3回交換・月12本/ガーゼ 週3回交換・月36枚/フィルム 週3回交換・月12枚。滲出液が減り、次月から交換頻度を下げる予定」

7-5. 特記すべき事項

前記の②から⑧までの各欄の事項以外に主治医に報告する必要のある事項を記入すること

他の欄に入らない報告事項の受け皿です。記載要領には追加の指定もあります。頻回に訪問看護を行った場合は提供した訪問看護の内容についても記入すること、そして包括型訪問看護療養費を算定するとして訪問看護ステーションが届出を行った建物に居住している利用者である場合はその旨を記載すること、という2点です。包括型の要件は包括型訪問看護療養費|算定要件・点数・届出にまとめました。

記入例(作例):「◯月◯日、38.5℃の発熱と尿混濁があり主治医へ電話報告。抗菌薬処方となり、翌日から3日間の臨時訪問を実施した」

7-6. 介護保険でリハ職が訪問した月は「別添」を付ける

ここが医療保険と分かれます。1-2のとおり、医療保険は計画書も報告書も理学療法士等の内容を一体的に含みます。別添はありません。職種の区別は訪問日欄の◇で示します(→8-1)。

一方、介護保険で理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問した月は、報告書に別添を付けます。根拠は東京都福祉局の指導のポイントで、「理学療法士等が提供した指定訪問看護の内容とその結果等を記載した文書を添付すること」と明記されています(→10-2)。老企第55号の本文には別添を定めた記述が見当たらないので、定型の様式はありません。内容と結果が分かる文書であれば形式は問われません。

計画書 報告書
医療保険 一体的に記載 一体的に記載(別添なし。◇で職種を示す)
介護保険 一体的に記載 別添を添付

計画書は両方とも一体、報告書だけが分かれます。混同しやすいので、リハ職が入っている利用者の保険区分を月初に確認しておくと事故が減ります。

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8. 訪問看護報告書の訪問日|記号(○・◇・△・◎・□)は保険で別体系

8-1. 医療保険の報告書は記号が5つある

報告書の訪問日欄には、日付を囲む記号のルールがあります。医療保険側は5つです。

保健師、助産師、看護師又は准看護師による訪問日を、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問日をで囲むこと。特別訪問看護指示書に基づく訪問看護を実施した日をで囲むこと。1日に2回以上訪問した日をで、長時間訪問看護加算を算定した日をで囲むこと。

○と◇が職種、△が特別訪問看護指示書、◎が1日2回以上、□が長時間訪問看護加算。職種を示す記号と、算定に関わる記号が同じ欄に混在しています。

精神科の別紙様式4は、さらに1つ増えて6つです。

保健師、看護師又は准看護師による訪問日を、作業療法士による訪問日をで囲むこと。精神科特別訪問看護指示書に基づく訪問看護を実施した日をで囲むこと。1日に2回以上訪問した日をで、長時間精神科訪問看護加算を算定した日をで囲むこと。30分未満の訪問看護を実施した日に印をつけること。

一般様式との違いが3つあります。○に助産師が入らないこと、◇が作業療法士だけであること、そして30分未満の訪問に✔が要ることです。精神科訪問看護基本療養費には30分未満の区分があるので、この✔は算定と直結します(→精神科訪問看護基本療養費|令和8年6月改定の区分と算定要件)。

8-2. 介護保険は3つ。しかも「○」の意味が違う

介護保険側(老企第55号)は3つです。

訪問看護を行った日にを印すこと。なお、急性増悪等により特別訪問看護指示書の交付を受けて訪問した日には、緊急時訪問を行った日は×印とすること。

記号 医療保険の報告書(別紙様式2) 介護保険の報告書
保健師・助産師・看護師・准看護師の訪問日 訪問看護を行った日(職種を問わない)
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の訪問日
特別訪問看護指示書に基づく訪問日 特別訪問看護指示書に基づく訪問日
1日に2回以上訪問した日
長時間訪問看護加算を算定した日
× 緊急時訪問を行った日

取り違えやすいのは○と、記号の数そのものです。

  • ○の意味が違う。医療保険では看護職に限った記号ですが、介護保険では職種を問わず訪問した日を示します。医療保険の様式で理学療法士の訪問日に○を付けると、看護職が訪問したことになります
  • ◇・◎・□は医療保険だけ、×は介護保険だけ。介護保険側にはリハビリ職を分ける記号も複数回訪問・長時間の記号もなく、医療保険側に緊急時訪問の記号はありません
  • △だけは意味が同じ(特別訪問看護指示書に基づく訪問)です。14日の数え方は特別訪問看護指示書にまとめました

8-3. 記録ソフトの様式が保険を見分けているか

記録ソフトから出力している場合は、その利用者が医療保険か介護保険かで様式が切り替わっているかを一度確認してください。片方の様式で両方を出していると記号の意味が合わなくなります。とくに◎(1日2回以上)と□(長時間訪問看護加算)は算定に関わる記号なので、空欄のまま請求すると報告書と請求内容が食い違います。保険の判定は指示書の主たる傷病名と医療機器の欄で決まります(→訪問看護の別表7・別表8)。

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9. 精神科の別紙様式3・4はどこが違うか

精神疾患を有する利用者を対象とする場合は、別紙様式3(精神科訪問看護計画書)・別紙様式4(精神科訪問看護報告書)を標準として作成します。一般の様式1・2ではありません。

記載要領は様式ごとではなく「報告書に関する事項」として様式2・4をまとめて書いており、精神科の指定は各欄の中に「精神科訪問看護報告書においては、」という書き分けで入っています。固有の指定は3つでした。

記載要領
訪問日 記号が6つ(○・◇・△・◎・□・✔)。○に助産師が入らず、◇は作業療法士のみ(→8-1
家族等との関係 精神科訪問看護報告書においては、当該報告書中「家族等との関係」欄には、利用者と当該利用者の家族、友人等との対人関係について記入すること」
GAF 精神科訪問看護報告書においては、月の初日の指定訪問看護時におけるGAF尺度により判定した値及び判定した年月日を記入すること」

一般様式で「家庭での介護の状況」だった欄が、精神科版では「家族等との関係」という名前になり、書く内容も介護の実施状況ではなく対人関係になります。見ている対象が違います。

そしてGAFの指定が実務に効きます。「月の初日の指定訪問看護時」——その月に最初に訪問した日に判定し、値と判定日を書く。月末にまとめて報告書を作る運用にしていると、この要件を満たせません。GAF尺度は精神科訪問看護基本療養費の算定に関わるので、報告書が算定要件の一部になっていると考えたほうが安全です。区分と算定要件は精神科訪問看護基本療養費|令和8年6月改定の区分と算定要件で扱っています。

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10. 運営指導で実際に指摘されていること

10-1. 指摘事例は令和7年度版で入れ替わっている

東京都福祉局が公表している集団指導資料の、計画書・報告書に関する指摘事例です。この3つが、令和7年度版で書き換わりました。

令和5年度版 令和7年度版
訪問看護計画書を作成せずに訪問看護を行っている 訪問看護計画書を事前に交付せずに訪問看護を行った
(該当なし) 訪問看護計画への利用者の同意が確認できない
訪問看護計画書が、居宅サービス計画の内容と相違している 訪問看護計画書が居宅サービス計画、医師の指示書と相違している
訪問看護計画書の内容が不十分である (削除)

「作成したか」から「事前に交付したか」へ、「内容が不十分」から「同意が確認できるか」へ移りました。計画書が存在するかどうかはもう論点ではなく、いつ交付したか・同意をどう残したかが見られています。ケアプランとの相違に医師の指示書が加わったのも新しい点です。

令和7年度版は、指摘ごとに対応も書いています。

事前に利用者へ説明し、同意を得てからサービス提供を行ってください。 計画書の同意を事前に利用者(家族)から取得したことがわかる記録を残してください。 計画書を作成する際は、最新の居宅サービス計画、医師の指示内容が反映されているか確認してください。

この3行が、いま点検すべき項目です。同意の記録(→4-2)、交付の時期(→4-3)、指示書とケアプランの反映(→5-5)。

なお、消えた「内容が不十分」も要件が消えたわけではありません。令和8年6月1日適用の指導検査基準は、検査項目として「その実施状況や評価についても説明を行っているか」を挙げています(→6-3)。

10-2. 指導のポイントに書かれていること

令和7年度版のポイントは、令和5年度版の2行を1行に統合したうえで、踏み込みが強くなっています。

訪問看護計画書の作成、利用者等への説明、交付、及び訪問看護報告書の作成は看護師(准看護師を除く)が行うこと。作成にあたっては主治医の指示書、居宅サービス計画書の内容、有効期間に注意すること。

令和5年度版は「計画書の作成、利用者の等への説明と同意、計画書の交付は看護師が行うこと」(「利用者の等への」は原資料の表記)でした。新しい版は「准看護師を除く」を明示し、報告書の作成も看護師の業務として書き加え、有効期間の対象を居宅サービス計画書だけでなく主治医の指示書にも広げています。

看護師等は訪問看護計画書を作成の上、サービス提供開始以前に利用者に説明し同意を得たうえで交付すること。 訪問看護報告書には、訪問日、看護内容などの記載を徹底すること。

理学療法士等が訪問している場合は、集団指導テキストのほうに報告書側の指定があります。

訪問看護計画書には、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が提供するものも含め訪問看護の内容を一体的に記載するとともに、訪問看護報告書には訪問日や主な内容を記載することに加え、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が提供した指定訪問看護の内容とその結果等を記載した文書を添付すること。

計画書は一体、報告書は別添という書き分けが、この一文に両方入っています(→7-6)。

10-3. 「漫然かつ画一的」が指導の言葉になっている

中央社会保険医療協議会に提出された資料(令和7年3月12日 総-12)に、指導における考え方が引かれています。引かれているのは令和6年10月22日付けの保険局医療課事務連絡「指定訪問看護の提供に関する取扱方針について」で、次の2つはその事務連絡がさらに基準通知から参考として引いたものです。

漫然かつ画一的なものにならないよう、主治医との密接な連携のもとに看護目標及び訪問看護計画に沿って行うこととしたものであること

目標達成の度合いやその効果等について評価を行うとともに、訪問看護計画の修正を行い、改善を図る等に努めなければならないもの

そして事務連絡自身が、認められない例を2つ名指ししています。

訪問看護ステーションの看護師等が利用者の個別の状況を踏まえずに一律に訪問看護の日数等を定めるといったことや、利用者の居宅への訪問に直接携わっていない指定訪問看護事業者の開設者等が訪問看護の日数等を定めるといったことは認められないこと

テンプレートを使い回した計画書と、管理部門が訪問回数を決める運用が、はっきり否定されています。

なお同じ資料によれば、地方厚生局および都道府県による訪問看護ステーションへの個別指導は令和5年度で20件(平成30年度17件、令和2年度7件)と、全国2万か所(令和8年4月1日現在の稼働数20,051/全国訪問看護事業協会調べ)に対しては稀な部類です。ただし介護保険の運営指導は指定権者が定期に行うもので、こちらは順番が回ってきます。上に挙げた3つの指摘事例は、その運営指導で挙がっているものです。

10-4. 見られるのは1枚ではなく組み合わせ

指摘の形を並べると、計画書1枚の出来を見ているわけではないことが分かります。見られているのは組み合わせです。

  • 指示書 ↔︎ 計画書:指示事項が計画に反映されているか
  • ケアプラン ↔︎ 計画書:内容が相違していないか、有効期間が合っているか
  • 計画書 ↔︎ 記録書Ⅱ:計画した支援内容が実際に行われているか
  • 記録書Ⅱ ↔︎ 報告書:訪問日と内容が一致しているか
  • 報告書 ↔︎ レセプト:訪問日数と請求が合っているか。ここがずれると、運営指導の前に返戻で戻ってきます(→訪問看護のレセプト返戻

運営指導全体の段取りと当日の流れは訪問看護の運営指導対策にまとめました。

指示書・計画書・記録書Ⅱ・報告書・レセプトの5点を、利用者1人分から外から点検することもできます。

書類の突合の点検についてのご相談はこちら

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11. 計画書・報告書の事務をどこまで外に出せるか

毎月の作業を工程に分けると、性格の違う4つが混ざっていることが分かります。

工程 中身 誰がやるか
判断 目標の設定、課題の抽出、評価 看護師等(准看護師を除く)。外に出せません
清書・入力 様式への転記、体裁の統一、記録書からの集約 事務でも可
提出・管理 主治医への送付、送付済みかの管理、督促 事務でも可
保管 2年間の保存、突合できる状態の維持 事務でも可

外に出せないのは1行目だけです。そして、月末に集中して事務を止めるのは2行目から4行目です。

計画書・報告書は利用者ごとに毎月動き、そこに指示書の更新(6か月)と特別訪問看護指示書(14日)が重なります。利用者が50人いれば、月に100枚の書類が動く。判断が要る部分と、手順が決まっている部分を分けられるかどうかで、月末の重さが変わります。線引きは訪問看護の書類作成代行|頼めるもの・頼めないもので詳しく扱っています。委託先の選び方や、事務職を雇う場合とのコスト比較まで含めた検討は、訪問看護の事務外注|外注できる範囲とコスト比較・選び方にまとめました。

株式会社ainaruは、訪問看護のレセプト請求と関連する事務を代行しています。計画書・報告書については、記録書からの集約と様式への入力、提出の管理、指示書の期限との突き合わせをお引き受けできます。判断の部分は貴事業所の看護師が行い、その前後をこちらが受けるという形です。

代行を頼まなくてもできることが3つあります。使っている様式に「印」の欄が残っていないか(残っていれば令和6年版のままです。→2-1)、評価の欄が直近3か月分埋まっているか(→6-3)、そして提出の締めを自事業所で決めて文書にすること(法定の期限はないので、決めた運用があること自体が説明になります。→5-3)。

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確認しきれなかった点

一次資料で確定できなかった項目です。やってはいけない、という意味ではありません。

項目 状況 照会がつくまでの運用
要介護の訪問看護で、計画書・報告書をケアマネジャーに提供する義務があるか 義務規定が見当たらない。要支援(介護予防訪問看護)には省令35号 第76条第13号に明文の報告義務がある(→5-4 ケアプランとの整合が義務(省令第70条第2項)なので、情報のやり取りは前提として行う
令和8年6月より前に作成した計画書を、6月以降に主治医へ提出してよいか 疑義解釈(その1・その4)にも該当する問答がなく、通知本文にも経過措置がない 押印の要件自体が外れているため旧様式でも要件は欠かない

参考・出典一覧

厚生労働省(通知・様式・法令)

中央社会保険医療協議会

自治体・団体