別表第七(厚生労働大臣が定める疾病等)と別表第八(厚生労働大臣が定める状態等)は、「どちらも医療保険の訪問看護を手厚くする条件」とひとまとめに説明されることがあります。しかし告示を読むと、この2つは役割が違います。

別表第七は回数の壁を外し、別表第八は単価を上げる。 そして、別表の該当だけを見たとき、要介護認定を受けている利用者が医療保険の訪問看護になるのは別表第七だけで、90分を超える訪問に長時間訪問看護加算が付くのは別表第八だけです(特別訪問看護指示書など、別表以外のルートは本文で扱います)。別表第七と別表第八は、並列の対概念ではありません。

この記事では、基準告示の条文を号ごとにたどって、どの効果がどちらの別表で開くのかを一覧にしました。令和8年6月1日から別表第八に追加された在宅難治性皮膚疾患処置指導管理と、その特別管理加算上の扱いも扱います。一次資料で裏が取れなかった点は、そのまま書いています。

先に結論

問い 答え
別表第七と第八は何が違うか 第七は疾病名のリストで、回数の壁を外し、要介護でも医療保険にする。第八は状態・医療管理のリストで、加算の単価を上げる(→1章
週4日以上の訪問ができるのは どちらでも可。特別訪問看護指示書でも可(→1章
長時間訪問看護加算(5,200円)は 別表の中では第八だけ。第七は対象外。特別訪問看護指示書等の別ルートあり(→6章
特別管理加算は 第八該当で2,500円。第八の第一号なら5,000円(→6章
要介護の利用者が医療保険になるのは 別表第七だけ。 第八では移らない(→5章
令和8年6月に何が変わったか 第八の第二号に在宅難治性皮膚疾患処置指導管理が追加。C114を現に算定していることが要件(→2章
指定難病の受給者証があれば第七か 限らない。受給者証を根拠に保険を切り替える運用は誤り(→8章
レセプトへの書き方は 「心身の状態」欄に「1 別表7」「2 別表8」「3 無」と、該当する全てのコード(→9章

この利用者はどちらに該当するか|3ステップ

1. 訪問看護指示書の主たる傷病名が、別表第七の20項目にあるか  ある → 別表第七に該当します。パーキンソン病だけは重症度の条件つきです(→3章

判定の材料になる主たる傷病名・装着している医療機器・褥瘡の深さは、いずれも訪問看護指示書(別紙様式16)の欄です。届いた指示書のどこを見れば保険が決まるかは訪問看護指示書とは|有効期間6か月・様式16と押印【R8.6】で解説しています。

2. 医療機関が在宅療養指導管理料や在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定しているか。気管カニューレ・留置カテーテル・人工肛門・真皮を越える褥瘡の状態にあるか  該当する → 別表第八の5つの号のどれかを確認します。何号かで特別管理加算の金額が変わります(→4章

3. 両方に該当するか  両方該当はあり得ます。レセプトには該当する全ての疾病等を記載します(→9章


1. 別表7と別表8の違い|どの効果がどちらで開くか

1-1. 正式には「特掲診療料の施設基準等」の別表

別表第七・別表第八の本体は、特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)の別表です。訪問看護の告示・通知は、この2つを次の呼び方で参照しています。

  • 別表第七:厚生労働大臣が定める疾病等のリスト(20項目)
  • 別表第八:厚生労働大臣が定める状態等のリスト(5つの号)

レセプトの記載要領では「別表7」「別表8」という算用数字の表記が使われます。この記事では原則「別表第七」「別表第八」と書き、引用と表は原文の表記のままにします。

この別表を、訪問看護の各規定がどう参照しているかを定めているのが、訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等(平成18年厚生労働省告示第103号。以下「基準告示」)です。基準告示の第二は、加算や特例ごとに「誰が対象か」を号で列挙しています。この号を横断して並べると、次の一覧になります。

なお別表第七・別表第八は、利用者ごとの算定要件だけでなく、ステーション側の施設基準にも使われます。機能強化型訪問看護管理療養費3は該当者が月10人以上、4は月3人以上という実績要件です。詳しくは機能強化型訪問看護管理療養費|4の新設と要件・届出で扱っています。

1-2. 効果一覧表|基準告示の号を横断する

前提をひとつ。医療保険の訪問看護基本療養費は、原則として週3日までしか算定できません。留意事項通知が「疾病等の利用者については、週4日以上算定でき」と特例の形で書いているのは、この原則の裏返しです。表の1行目が外しているのは、この壁です。

現場の判定は、実際には「別表第七か、別表第八か、特別訪問看護指示書(現場の通称で「特指示」)か」の三択で回っています。そこで特指示の列も並べました。

特指示そのものの14日の数え方(交付の週と14日目の週には週3日の限度が残ります)とレセプトの書き方は、特別訪問看護指示書|14日の数え方と月2回・レセプト記載にまとめています。

開く効果 根拠(基準告示) 別表第七 別表第八 特別訪問看護指示書
週4日以上の訪問(基本療養費) 第二の一
難病等複数回訪問加算(1日2回・3回以上) 第二の一
入院中の一時外泊時の訪問 第二の二
長時間訪問看護加算(90分超・5,200円) 第二の三 ×
乳幼児加算(高いほうの区分) 第二の四 ×
複数名訪問看護加算 第二の五
特別管理加算 2,500円 第二の六 × ×
特別管理加算 5,000円 第二の七 × 第一号のみ ×
退院支援指導加算 第二の八
訪問看護情報提供療養費1・2 第二の十・十一 ×
包括型訪問看護療養費(令和8年新設) 第二の十二
複数の訪問看護ステーションの利用(2か所目) 留意事項通知※
要介護・要支援でも医療保険で算定 第四の一 ×

※複数ステーションの行だけは基準告示ではなく、留意事項通知と近畿厚生局FAQが根拠です。基準告示第二の九は別表を参照しないため表から省いています。「―」は、特別訪問看護指示書そのものは対象に明記されていないものの、「退院日の訪問看護が必要であると認められた者」のような包括的な区分から個別に該当し得る規定です。包括型訪問看護療養費は令和8年に新設された、高齢者向け住まい等に併設・隣接するステーション向けの包括払いの区分です。

包括型の対象者判定(別表第七・別表第八のいずれかに該当)、12区分の点数、夜間帯の人員配置の数え方は、包括型訪問看護療養費|算定要件・点数・届出で条文つきに整理しています。

×は「その別表・指示書だけでは開かない」という意味です。別のルートがあること自体は、この表の×を打ち消しません。

表の上半分を見ると、週4日以上・複数回訪問・外泊・複数名といった訪問の回数や体制の壁を外す規定は、第七と第八の両方に開いています。この2つを合わせたグループを、留意事項通知は「基準告示第2の1に規定する疾病等の利用者」と呼び、週4日以上の算定を認めています。基準告示第二の一は、その内訳を(1)別表第七・(2)別表第八と号立てしており、5章に出てくる「第2の1の(1)」はこの(1)、つまり別表第七のことです。

このうち複数名訪問看護加算については、基準告示第二の五が別表第七・別表第八・特別訪問看護指示書に加えてさらに3つの対象者を定めており、どれに当たるかで加算の区分も変わります。複数名訪問看護加算|算定要件と令和8年6月の同一建物5区分にまとめました。

分かれるのは下半分です。長時間訪問看護加算と特別管理加算という単価側の規定は別表第八だけに開き、保険の振り分けという入口の規定は別表第七だけに開きます。この非対称が、2つの別表の役割の違いです。

1-3. なぜこの形になっているか

別表第七は疾病名のリストです。末期の悪性腫瘍やALSのように、診断名の時点で継続的な訪問の必要が明らかな疾病を挙げて、回数制限と保険の入口を開けています。

別表第八は状態・医療管理のリストです。気管カニューレや在宅酸素のように、疾病名を問わず医療的な管理の手間が重い状態を挙げて、1回あたりの手間に対応する加算を開けています。人工呼吸器の使用者が別表第七に、在宅人工呼吸指導管理が別表第八に、それぞれ載っているのは重複ではなく、担っている役割が違うからです。

加算ごとの金額と要件は訪問看護の加算一覧にまとめてあります。この記事は「どの加算がどちらの別表を見ているか」という判定の側を扱います。

この章の出典


2. 令和8年6月改定|別表第八に在宅難治性皮膚疾患処置指導管理が追加された

2-1. 何が変わったか

令和8年厚生労働省告示第71号により、特掲診療料の施設基準等の別表第八が改正され、令和8年6月1日から、第二号に「在宅難治性皮膚疾患処置指導管理」が追加されました。厚生労働省の改定説明資料は、改正後の第二号をこう示しています。

在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理、在宅肺高血圧症患者指導管理又は在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている状態にある者

改定の趣旨は、重症の難治性皮膚疾患を持つ利用者への訪問看護の充実を図る観点から、訪問看護基本療養費等を週4日以上算定できる対象に加える、というものです(改定説明資料)。なお、医科点数表のC114在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料そのものは以前から存在する管理料で、令和8年に新しくなったのは「その状態が別表第八に入った」という点です。

2-2. 効果は「週4日以上」だけではない

別表第八に入ったということは、1章の効果一覧表の「別表第八 ○」の行がすべて有効になったということです。主な影響は3つです。

  1. 週4日以上の訪問・難病等複数回訪問加算・複数名訪問看護加算など、基準告示第2の1・第2の5の効果
  2. 長時間訪問看護加算(基準告示第2の3)
  3. 特別管理加算 2,500円(基準告示第2の6)

改定の告知では週4日以上の解禁が前面に出ていますが、請求実務への影響がいちばん確実に出るのは3つ目です。該当する利用者がいれば、毎月2,500円の特別管理加算が新たに算定できることになります(特別管理加算の届出をしているステーションの場合。→6-2)。

2-3. 「新設だから高いほう」ではない|2,500円側に入った

特別管理加算の5,000円は、別表第八の第一号に該当する場合だけです(基準告示第二の七。→6章)。在宅難治性皮膚疾患処置指導管理は第二号に追加されたので、金額は2,500円です。第一号と第二号の区別を外して覚えていると、ここで金額を誤ります。号の全文と区分は4章にまとめました。

2-4. 判定基準は皮膚の状態ではなく、C114の算定

誰が該当するのかは、令和8年度の疑義解釈で明確に示されています。

問5 特掲診療料の施設基準等(平成20年厚生労働省告示第63号)の別表第8に新たに規定された在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている状態にある者とは、どのような者が該当するか。 答5 現に医科点数表区分番号「C114」在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料を算定している利用者が該当するものであり、当該管理料を算定せずに単に難治性の皮膚病変を有する利用者は該当しない。

皮膚病変の重さで判定するのではありません。主治医の医療機関がC114を現に算定しているかどうかが基準です。表皮水疱症などの難治性皮膚疾患の利用者がいても、医療機関側が管理料を算定していなければ別表第八には該当しません。指示書の傷病名だけでは判定できないので、医療機関側の算定状況の確認が要ります。在宅酸素や在宅中心静脈栄養など、他の「指導管理を受けている状態」も同じ構造です。

なお、C114の算定対象になるのは表皮水疱症などの限られた疾患です。全利用者の台帳を洗い直す前に、皮膚科・形成外科と連携している利用者がいるかどうかから当たるのが早道です。医療機関への確認の具体的な導線(誰に・どの書類で聞き・どう記録するか)は4-5にまとめました。

この章の出典


3. 別表第七の全20項目|疾病名のリスト

3-1. 20項目の一覧とレセプトコード

別表第七、いわゆる「厚生労働大臣が定める疾病等」の全項目です。左のコードは、訪問看護療養費明細書の「心身の状態」欄に記載する番号です(→9章)。

コード 疾病等
01 末期の悪性腫瘍
02 多発性硬化症
03 重症筋無力症
04 スモン
05 筋萎縮性側索硬化症
06 脊髄小脳変性症
07 ハンチントン病
08 進行性筋ジストロフィー症
09 パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病。パーキンソン病はホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る
10 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)
11 プリオン病
12 亜急性硬化性全脳炎
13 ライソゾーム病
14 副腎白質ジストロフィー
15 脊髄性筋萎縮症
16 球脊髄性筋萎縮症
17 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
18 後天性免疫不全症候群
19 頸髄損傷
20 人工呼吸器を使用している状態の者

令和8年6月改定で、別表第七の項目に変更はありません。変わったのは別表第八の側です(→2章)。

3-2. パーキンソン病だけ条件がつく

20項目のうち、疾病名に重症度の条件がついているのはパーキンソン病だけです。ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上、かつ生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度という2つの条件を同時に満たす必要があります。診断名がパーキンソン病であること自体は該当を意味しません。

この重症度を実務のどの書類で確認するかを定めた通知は、確認した範囲では見当たりませんでした(→確認しきれなかった点)。訪問看護指示書の傷病名欄に重症度まで書かれていないときは、主治医に確認して記録に残すのが確実です。

また、19の頸髄損傷と20の人工呼吸器使用状態は疾病名ではありません。「別表第七=難病のリスト」と覚えていると、この2つを落とします。

3-3. 病名の読み替え|疑義解釈で認められているもの

リストにない病名でも、疑義解釈で該当が認められているものがあります。

問4 主たる傷病名が「視神経脊髄炎」の利用者は、特掲診療料の施設基準等の別表第7に掲げる別に厚生労働大臣の定める疾病等の「多発性硬化症」に該当すると考えてよいか。また、主たる傷病名が「多巣性運動ニューロパチー」の利用者は、「慢性炎症性脱髄性多発神経炎」に該当すると考えてよいか。 答4 いずれもそのとおり。

視神経脊髄炎は多発性硬化症として、多巣性運動ニューロパチーは慢性炎症性脱髄性多発神経炎として、それぞれ別表第七に該当します。指示書の傷病名がリストの文言と一致しないときに、機械的に「非該当」と判定しないための重要なQ&Aです。

3-4. 判定の入口は指示書の傷病名欄|「末期」と人工呼吸器の落とし穴

別表第七の判定材料は訪問看護指示書の傷病名欄です。現行の様式(別紙様式16。令和8年6月改定で押印欄が削除され、医師の欄は「医師署名(又は記名押印)」になりました)では、主たる傷病名の枠は(1)〜(3)の3つで、傷病名コード欄が併設されています。複数の傷病名が並んだときにどれを「主たる」とするかを定めた規則は、確認した範囲では見当たりません。判定が割れそうなときは主治医に確認して記録に残してください。

つまずきやすいのがコード01の「末期の悪性腫瘍」です。指示書の傷病名が「肺がん」とだけ書かれて届くことがありますが、別表第七に該当するのは「末期の」悪性腫瘍です。ところが、「末期」かどうかの判定基準や、指示書の傷病名欄に「末期」と書くことを義務づけた資料は確認できませんでした(→確認しきれなかった点)。傷病名だけで判断が付かない指示書が届いたら、主治医に末期に当たるかを確認し、確認の記録を残すのが確実です。

もうひとつがコード20の「人工呼吸器を使用している状態」の範囲です。疑義解釈で線が引かれています。

問3 「疑義解釈資料の送付について(その1)(平成26年3月31日付事務連絡)」問10において、SASに対するASVやCPAPは、別表7の「人工呼吸器」には含まれないと整理されたが、慢性心不全の患者の場合は、「人工呼吸器」に含まれるのか。 答3 「在宅人工呼吸指導管理料」、「人工呼吸器加算の2」を算定している場合は、別表7に掲げる疾病等の者の「人工呼吸器」に含まれることとする。

睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP・ASVは、別表第七の「人工呼吸器」に含まれません。 CPAPの利用者をコード20で立てて医療保険に切り替えると、保険の振り分けごと誤ります(CPAPは別表第八第二号の在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、つまり特別管理加算2,500円側の話です)。一方、慢性心不全でASVを使っていて在宅人工呼吸指導管理料等が算定されている場合は含まれます。ここでも判定の鍵は医療機関側の算定です。

この章の出典


4. 別表第八の全5号|状態のリストは「号」で覚える

4-1. 5つの号の全文(令和8年6月1日適用)

別表第八「厚生労働大臣が定める状態等」は、次の5つの号です。近畿厚生局が公開している令和8年6月1日適用分の一覧から引きます(法令等データベース収録の現行条文でも同一の文言を確認済みです)。

1 在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理又は在宅強心剤持続投与指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者 2 在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理、在宅肺高血圧症患者指導管理又は在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている状態にある者 3 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者 4 真皮を越える褥瘡の状態にある者 5 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者

4-2. 号の区分を外すと金額を誤る

別表第八を「気管カニューレ、留置カテーテル、在宅酸素……」と一続きのリストにばらして覚える方法には、実務上の穴があります。特別管理加算の金額は「第一号か、それ以外か」で決まるからです(→6章)。

ざっくり言うと 特別管理加算
第一号 麻薬・化学療法・強心剤の注射、気管切開の管理、気管カニューレ、留置カテーテル 5,000円
第二号 在宅療養指導管理(腹膜灌流・血液透析・酸素・中心静脈栄養・経管栄養・自己導尿・人工呼吸・持続陽圧呼吸・疼痛管理・肺高血圧症・難治性皮膚疾患 2,500円
第三号 人工肛門・人工膀胱 2,500円
第四号 真皮を越える褥瘡 2,500円
第五号 在宅患者訪問点滴注射管理指導料の算定 2,500円

在宅酸素も在宅中心静脈栄養も人工肛門も褥瘡も、すべて第二号以下です。5,000円になるのは第一号の6項目だけ。どの号に該当するかは、レセプトのコード(→9章)にもそのまま対応します。

4-3. 判定の細部|褥瘡の深さと点滴の「算定している者」

第四号の褥瘡には、深さの基準があります。留意事項通知は対象を「真皮を越える褥瘡の状態にある利用者(診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第一(以下「医科点数表」という。)の区分番号C013に掲げる在宅患者訪問褥瘡管理指導料を算定する場合にあっては真皮までの状態の利用者)」と定めています。原則は真皮を越える深さが必要で、C013を算定している場合に限り、真皮までの状態でも該当します。

現場の褥瘡評価はDESIGN-R2020で記録されているはずなので、条文用語との橋渡しをしておきます。介護保険側は老企第36号が「『真皮を越える褥瘡の状態』とは、NPUAP分類Ⅲ度若しくはⅣ度又はDESIGN分類(日本褥瘡学会によるもの)D3、D4若しくはD5に該当する状態をいう」と明文で定義しています。医療保険側の令和8年版留意事項通知には分類名での定義は置かれていません(第5の3(2)は基準告示第2の6・7を参照するだけの規定です。分類名の基準は、年版を特定できない過年度の厚生局掲載の通知抜粋に記載があります。→確認しきれなかった点)。ただ、訪問看護指示書の「褥瘡の深さ」欄はDESIGN-R2020のD3・D4・D5とNPUAP分類Ⅲ度・Ⅳ度だけを選択肢にしており、判定の線は同じです。d1・d2(真皮まで)は、C013の特例を除き該当しません。 また、褥瘡で特別管理加算を算定する場合は「定期的(1週間に1回以上)に褥瘡の状態の観察・アセスメント・評価(褥瘡の深さ、滲出液、大きさ、炎症・感染、肉芽組織、壊死組織、ポケット)を行い、褥瘡の発生部位及び実施したケアについて訪問看護記録書に記録すること」が求められます(留意事項通知 第5の3(3))。

第五号は「在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者」です。点滴が必要な状態、ではなく、医療機関がこの指導料を算定しているという事実が要件です。第五号で特別管理加算を算定する場合は、指示書による点滴注射が終了した日などに主治医へ速やかに連絡し、訪問看護記録書に在宅患者訪問点滴注射指示書を添付して実施内容を記録します(留意事項通知 第5の3(4))。この指導料は週単位で算定されるため、月をまたぐケースが構造的に発生します(→Q8)。第二号の指導管理も同じで、判定の材料は利用者の見た目の状態ではなく、医療機関側の算定状況にあります。この構造が介護保険の特別管理加算と食い違う点は7章で扱います。

4-4. 「留置カテーテル」の範囲|5,000円と2,500円を分ける判定

第一号の「留置カテーテル」は、膀胱留置カテーテルに限る規定ではありません。平成24年の疑義解釈が2つのことを示しています。

ひとつは範囲です。「ドレーンは、留置カテーテルに含まれる」とされ、経皮経肝胆管(PTCD)ドレナージチューブのような留置されているドレーンチューブも、計画的な管理を行っていれば対象です(処置等のため短時間・一時的に挿入されたものを除く)。

もうひとつは、挿入されているだけでは足りないことです。「単に留置カテーテルが挿入されている状態だけでは算定できない」とされ、排液の性状・量などの観察、薬剤の注入、水分バランスの計測等の計画的な管理が前提です。輸液用ポートが挿入されていても、在宅で一度も薬剤の注入を行っていない場合は「計画的な管理を行っているとは想定しがたいため算定できない」と明示されています。

胃ろうカテーテルや腎ろうを名指しで扱った公式の疑義解釈は確認できませんでした。第一号か第二号かは特別管理加算の5,000円と2,500円の分かれ目に直結するので、迷うケースは審査支払機関に照会し、回答を記録に残してください。

4-5. 判定材料はどこにあるか|指示書で分かるもの・医療機関に確認が要るもの

別表第八の判定材料は2層に分かれます。

層1:指示書で一次判定できるもの。 訪問看護指示書(別紙様式16)には「装着・使用医療機器等」のチェック欄があり、酸素療法・中心静脈栄養・経管栄養(経鼻・胃ろう)・留置カテーテル(部位の記入つき)・人工呼吸器(陽圧式・陰圧式)・気管カニューレ(サイズつき)・人工肛門・人工膀胱などが並びます。褥瘡の深さ欄(DESIGN-R2020)もあります。新規受入時と指示書更新時に、この欄と9章のコード表を突き合わせるのが一次判定です。

層2:医療機関の算定事実の確認が要るもの。 C114(コード57)と在宅患者訪問点滴注射管理指導料(コード60)は算定の事実そのものが要件で、各指導管理の「受けている状態」も厳密には医療機関側の算定で決まります。ここは指示書だけでは確定しません。現実的な導線は、①指示書の交付依頼文書に該当する在宅療養指導管理料の確認欄を設けて返送してもらう、②退院カンファレンスや地域連携室の場で聞く、③診療情報提供書・退院時サマリの記載を見る、の順です。外部からの電話だけで医事課から回答を得るのは難しいことがあるので、指示書のやり取りという既存の書面の往復に載せるのが確実です。確認した日付・相手・内容は記録に残します。

この章の出典


5. 要介護でも医療保険になるのは別表第七だけ|いちばん誤解の実害が大きい話

5-1. 原則は「要介護者には算定しない」

訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成20年厚生労働省告示第67号。以下「算定告示」)の通則2は、こう定めています。

前号の規定により算定する指定訪問看護の費用の額は、別に厚生労働大臣が定める場合を除き、介護保険法(平成9年法律第123号)第62条に規定する要介護被保険者等については、算定しないものとする。

要介護・要支援の認定を受けている利用者の訪問看護は、原則として介護保険です。医療保険で算定できるのは「別に厚生労働大臣が定める場合」だけ。その中身が基準告示の第四の一です。

5-2. 例外の3類型に、別表第八は入っていない

先に結論を言い切ります。在宅酸素でも人工肛門でも、要介護認定があれば訪問看護は介護保険です。 根拠は次の条文です。

第四 指定訪問看護に係る厚生労働大臣が定める場合 一 要介護被保険者等である利用者について指定訪問看護の費用に要する額を算定できる場合 (1) 特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を行う場合 (2) 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者に対する指定訪問看護を行う場合 (3) 精神科訪問看護基本療養費が算定される指定訪問看護を行う場合

3類型のどこにも別表第八はありません。医療保険と介護保険の給付調整を定めた通知(令和8年3月27日 保医発0327第4号・老老発0327第2号)も、要介護者に訪問看護療養費を算定できる場合として「基準告示第2の1の(1)に規定する疾病等の利用者」と、別表第七の側だけを指しています。

なお、給付調整通知はこの3類型に「入院中(外泊日を含む。)に退院に向けた指定訪問看護を行う場合」を加えた形で整理しています(外泊時・退院支援の療養費に対応する部分)。また、(3)の精神科の類型には認知症の患者を除く限定がついています。

つまり、気管カニューレでも、在宅酸素でも、人工肛門でも、真皮を越える褥瘡でも、要介護認定を受けていれば訪問看護は介護保険です。別表第八は医療保険の中で単価を上げるリストであって、保険をまたぐ力はありません。

5-3. なぜ混同が起きるか|第四の「二」には別表第八が出てくる

紛らわしいことに、同じ基準告示の第四の(入院中の一時外泊時に基本療養費を算定できる場合など)には、別表第七と並んで別表第八が登場します。「第四に別表第八が書いてある」こと自体は事実なので、条文を流し読みすると「要介護でも医療保険になる場合」に混ざって見えます。要介護者の振り分けを定めているのは第四の、そこに第八はない。この1字の違いが、保険者違いの返戻と、逆方向の介護レセプトの過誤を分けます。

判定を誤った場合、医療保険側に出したレセプトは返戻で戻ってきますが、本来医療保険で出すべき第七該当者を介護保険で請求し続けた場合は、誰も指摘してくれません。3類型の(3)、精神科の側の判定は指示書と算定要件の話になるので、精神科訪問看護基本療養費の記事に譲ります。

切り替えが決まったら、動くのはレセプトだけではありません。①レセプト(医療保険で新規に請求し、介護側は過誤・取下げの手続き)、②ケアマネジャーへの連絡(給付管理から訪問看護が外れ、区分支給限度額の使い方が変わる)、③利用者・家族への説明(自己負担の計算が変わる)。過誤調整の手順そのものは本記事では扱いませんが、ケアマネジャーへの連絡を落とすと、請求より先に現場が混乱します。

この章の出典


6. 別表の中で第八だけが開く加算|長時間訪問看護加算と特別管理加算

6-1. 長時間訪問看護加算(5,200円)に別表第七は入っていない

90分を超える訪問に付く長時間訪問看護加算(5,200円)の対象は、基準告示第二の三(1)で3つに限定されています。

  1. 厚生労働大臣が定める長時間の訪問を要する者 長時間の訪問看護を要する利用者であって、次のいずれかに該当するもの イ 十五歳未満の超重症児又は準超重症児 ロ 特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者 ハ 特別訪問看護指示書又は精神科特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者

別表第七はここに入っていません。 ALSで週5日訪問している利用者でも、パーキンソン病のステージが進んだ利用者でも、別表第七の該当だけでは90分超の訪問に加算は付きません。付くのは、気管カニューレや在宅人工呼吸などで別表第八に同時該当している場合か、特別訪問看護指示書が出ている期間です。

算定できる頻度は週1日まで。ただし基準告示第二の三(2)に定める者(15歳未満の超重症児・準超重症児、または15歳未満の小児で別表第八に掲げる者)は週3日まで算定できます。

「別表第七に該当していれば何でも手厚くなる」という理解でこの加算を算定すると、査定の対象になります。逆に、別表第八に該当しているのに「難病ではないから」と算定を見送っているケースは、そのまま算定漏れです。

6-2. 特別管理加算|2,500円と5,000円の分かれ目は「第一号か」

特別管理加算の根拠は算定告示の訪問看護管理療養費 注3です。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た訪問看護ステーションが、指定訪問看護に関し特別な管理を必要とする利用者(別に厚生労働大臣が定める状態等にある利用者に限る。以下この注において同じ。)に対して、(略)計画的な管理を行った場合には、特別管理加算として、月1回に限り、2,500円を所定額に加算する。ただし、特別な管理を必要とする利用者のうち重症度等の高いものとして別に厚生労働大臣が定める状態等にある利用者については、5,000円を所定額に加算する。

この「別に厚生労働大臣が定める状態等」を指しているのが、基準告示の第二の六と第二の七です。

六 訪問看護管理療養費の注3本文に規定する厚生労働大臣が定める状態等にある利用者 特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者

七 訪問看護管理療養費の注3ただし書に規定する厚生労働大臣が定める状態等にある利用者 特掲診療料の施設基準等別表第八第一号に掲げる者

2,500円の対象は別表第八の全体、5,000円の対象は第一号だけ。 別表第七はどちらにも入っていません。また、注3の冒頭にあるとおり、この加算は地方厚生局長等への届出をしたステーションだけが算定できます。

なお、退院時共同指導加算にも、別表第八に該当する利用者について上乗せする特別管理指導加算があります(留意事項通知 第5の4(2))。ここでも参照されているのは第八であって第七ではありません。医療保険の特別管理加算の算定要件と記録の残し方は特別管理加算の記事で詳しく扱っています。

該当する利用者がいるのに特別管理加算を算定していない、あるいは第一号該当者を2,500円で算定している。この2つは、レセプトを見れば機械的に見つかる種類の漏れです。指示書の傷病名と医療機関の指導管理料、レセプトの3点を突き合わせれば判定できるので、月次のチェックに組み込む価値があります。 加算算定の点検を外部に出したい場合は、ainaruの介護BPOサービスで直近レセプトからの確認ができます。

この章の出典


7. 介護保険の特別管理加算(Ⅰ)(Ⅱ)とはリストがずれる|両保険をまたぐ事務の落とし穴

7-1. 介護保険側は別表第八を参照していない

介護保険の訪問看護にも特別管理加算があります。特別管理加算(Ⅰ)が500単位/月、(Ⅱ)が250単位/月。対象の状態は、医療保険のように別表第八を参照するのではなく、介護報酬側の告示(平成27年厚生労働省告示第94号)第六号が独自に列挙しています。

次のいずれかに該当する状態 イ 診療報酬の算定方法(平成二十年厚生労働省告示第五十九号)別表第一医科診療報酬点数表(以下「医科診療報酬点数表」という。)に掲げる在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理、在宅強心剤持続投与指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態 ロ 医科診療報酬点数表に掲げる在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態 ハ 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態 ニ 真皮を越える褥瘡の状態 ホ 点滴注射を週三日以上行う必要があると認められる状態

同告示第七号が、(Ⅰ)をイ、(Ⅱ)をロ・ハ・ニ・ホに割り当てています。構造は医療保険とよく似ています。イ=第一号、ロ=第二号、ハ=第三号、ニ=第四号、ホ=第五号。似ているからこそ、差分に気づきにくい。

7-2. 差分は3か所|人工呼吸・難治性皮膚疾患・点滴の書きぶり

医療保険の別表第八と、介護保険の告示94号第六号を突き合わせると、次の差が出ます。

論点 医療保険(別表第八) 介護保険(告示94号 第六号)
高いほうの区分 第一号のみ 5,000円 イのみ (Ⅰ)500単位
在宅人工呼吸指導管理 第二号にある ロにない
在宅難治性皮膚疾患処置指導管理 第二号にある(令和8年6月追加) ロにない(令和8年6月時点の現行条文)
点滴 「在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者」(第五号) 「点滴注射を週三日以上行う必要があると認められる状態」(ホ)
加算の付き方 訪問看護管理療養費に月1回 月の第1回目の訪問日の所定単位数に加算
届出 届出が算定の要件 届出は算定要件ではない(後述)

在宅人工呼吸指導管理が介護側のロにないのは、条文の構造から見れば整合的です。人工呼吸器を使用している利用者は別表第七の20に該当し、5章の3類型で医療保険に移るため、介護保険の加算リストに置く必要がないという建てつけです。ただし実務では「医療の別表第八の暗記」をそのまま介護のレセプトに持ち込んだ瞬間に、この構造は事故に変わります。

在宅難治性皮膚疾患処置指導管理も同じです。令和8年6月に追加されたのは医療保険の別表第八だけで、介護保険の告示94号第六号ロの現行条文には入っていません。C114を算定している要介護の利用者(別表第七に該当せず介護保険で訪問しているケース)について、介護の特別管理加算(Ⅱ)を「医療で加算対象になったから」と算定する根拠は、現行条文からは出てきません。

点滴は要件の質が違います。医療保険は指導料を「算定している」という事実、介護保険は「週3日以上行う必要があると認められる状態」という判断です。医療の感覚で「指導料が算定されていないから対象外」と判定すると、介護側の算定漏れになります。介護の感覚で医療側を判定すれば、同じ取り違えが逆向きに起きます。

7-3. 届出と算定タイミングも別物

医療保険の特別管理加算は届出が要件ですが(→6-2)、介護保険側について老企第36号はこう定めています。

特別管理加算については、届出が加算の算定要件ではないが、利用者や居宅介護支援事業所が訪問看護事業所を選定する上で必要な情報として届け出させること。

算定のタイミングも、医療保険は訪問看護管理療養費への月1回の加算、介護保険は「当該月の第一回目の介護保険の給付対象となる訪問看護を行った日の所定単位数に加算する」(老企第36号)です。医療と介護の両方の利用者を抱えるステーションでは、同じ「特別管理加算」という名前の加算が、対象リストも、金額の分かれ目も、届出の位置づけも、付く場所も違うことになります。名前が同じものほど、判定表は分けて持つ必要があります。

この章の出典


8. 16特定疾病・指定難病とのズレ|3つのリストは目的が違う

8-1. 3つのリストの役割

別表第七と混同されやすいリストが2つあります。

リスト 根拠 何を決めるか
別表第七(20項目) 特掲診療料の施設基準等 医療保険の訪問看護の回数特例と、要介護者の保険の振り分け
16特定疾病 介護保険法施行令第二条 40〜64歳(第2号被保険者)が介護保険の要介護認定を受けられるか
指定難病(令和8年4月時点で348疾病) 難病法に基づく告示 医療費助成(特定医療費)の対象か

役割が違うので、載っている疾病も一致しません。16特定疾病(介護保険法施行令第二条)は次のとおりです。★は別表第七と重なる項目です。

  • ★がん(医師が回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
  • 関節リウマチ
  • ★筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • ★進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  • ★脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • ★多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

別表第七と突き合わせると、両方に載っているのは★の5項目だけです。関節リウマチや脳血管疾患は16特定疾病にあって別表第七になく、多発性硬化症や重症筋無力症は別表第七にあって16特定疾病にありません。

8-2. パーキンソン病は3つのリストで扱いが三者三様

同じ「パーキンソン病」でも、リストによって条件が違います。

  • 16特定疾病:重症度の限定なし
  • 別表第七:ホーエン・ヤール ステージ3以上、かつ生活機能障害度Ⅱ度またはⅢ度に限る
  • 指定難病:パーキンソン病は告示番号6として指定されている(医療費助成の可否は別制度の認定による)

この差から、たとえば「50歳のパーキンソン病で、要介護認定は受けられるが、ステージ2なので医療保険の訪問看護にはならない」という組み合わせが成立します。介護認定が下りたことは、別表第七の該当を意味しません。

8-3. 受給者証を根拠に保険を切り替えてはいけない

指定難病は令和8年4月時点で348疾病、別表第七は20項目。数が違うだけでなく、ズレは双方向です。

  • 別表第七にあるが、指定難病ではないもの:末期の悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態
  • 指定難病だが、別表第七にないもの:潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデス、後縦靱帯骨化症 など多数

特定医療費(指定難病)の受給者証を持っている利用者を、それだけを根拠に医療保険の訪問看護へ切り替える運用は誤りです。判定はあくまで、指示書の主たる傷病名が別表第七の20項目(と疑義解釈の読み替え)に当たるかどうかで行います。受給者証は医療費助成という公費の話であって、保険の振り分けの話ではありません。公費併用レセプトの書き方は自立支援医療の記事にあります。

この章の出典


9. レセプトの書き方|「心身の状態」欄とコード

9-1. 記載要領の定め

訪問看護療養費明細書の「心身の状態」欄について、記載要領(令和8年3月27日 保医発0327第2号 別添3)は次のように定めています。

「訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等」(平成18年厚生労働省告示第103号)第2の1に規定する疾病等の有無について、「1 別表7」、「2 別表8」又は「3 無」の該当するものを記載すること。また、利用者の状態等が別表7、別表8又は同告示第2の3の(2)に規定する超重症児若しくは準超重症児に該当する者は、その利用者が該当する全ての疾病等について、次の表に掲げる該当するコード及び疾病、状態等を「該当する疾病等」として記載すること。

ポイントは2つです。該当の有無は毎月・全利用者について記載すること(非該当なら「3 無」)。そして該当者は、該当する全ての疾病等をコードで列挙することです。別表第七と別表第八の両方に該当する利用者は、両方のコードを書きます。

9-2. コードの体系

印刷して指差し確認に使えるよう、別表第八は1コード1行で載せます(名称は略記です。正式には「〜を受けている状態にある者」等)。

コード 疾病・状態等 特別管理加算
01〜20 別表第七の20項目(→3章の表の番号がそのまま使えます) 対象外
41 在宅麻薬等注射指導管理 第一号 5,000円
42 在宅腫瘍化学療法注射指導管理 第一号 5,000円
43 在宅強心剤持続投与指導管理 第一号 5,000円
44 在宅気管切開患者指導管理 第一号 5,000円
45 気管カニューレ 第一号 5,000円
46 留置カテーテル(→4-4 第一号 5,000円
47 在宅自己腹膜灌流指導管理 第二号 2,500円
48 在宅血液透析指導管理 第二号 2,500円
49 在宅酸素療法指導管理 第二号 2,500円
50 在宅中心静脈栄養法指導管理 第二号 2,500円
51 在宅成分栄養経管栄養法指導管理 第二号 2,500円
52 在宅自己導尿指導管理 第二号 2,500円
53 在宅人工呼吸指導管理 第二号 2,500円
54 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理 第二号 2,500円
55 在宅自己疼痛管理指導管理 第二号 2,500円
56 在宅肺高血圧症患者指導管理 第二号 2,500円
57 在宅難治性皮膚疾患処置指導管理(令和8年6月追加) 第二号 2,500円
58 人工肛門・人工膀胱 第三号 2,500円
59 真皮を越える褥瘡 第四号 2,500円
60 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定 第五号 2,500円
91・92 超重症児・準超重症児(別表ではなく基準告示第2の3(2)等の区分)

コード帯が号の区分とそのまま対応しているので、コードを見れば特別管理加算の金額判定まで機械的にできます(金額の算定には届出と計画的な管理が前提です。→6-2)。電子レセプトでは「JS」(心身の状態レコード)に、疾病等の有無コードと該当する疾病等を記録します。記録条件仕様上のコードは「041」「057」のような3桁表記です(支払基金の記録条件仕様 令和8年6月版)。なお、心身の状態欄にはコードのほかに利用者の心身の状態そのものの記載も必要です。この記事で扱っているのはコード部分だけです。

9-3. 指示書・計画書には専用欄がない

訪問看護計画書・報告書の記載要領(令和8年3月27日 保医発0327第10号)には、確認した範囲で、別表第七・第八の該当を書く欄や記載義務の定めが見当たりません(指示書の様式の欄構成は未確認です。→確認しきれなかった点)。制度上、該当の明示が確実に求められるのはレセプトの「心身の状態」欄です。計画書・報告書の欄ごとの記載要領と記入例は訪問看護計画書・報告書の書き方にまとめました。

つまり、別表の判定は書式が担保してくれず、レセプトを作る人の判断に委ねられているということです。判定の材料は、指示書の主たる傷病名(第七。→3-4)と、指示書の機器欄+医療機関の算定状況(第八。→4-5)に分かれます。月初の請求前に誰がどの資料で判定するかを決めておかないと、担当者の交代で判定基準ごと失われます。なお、別表該当で週4日以上に増やすときの計画書・報告書への落とし込み方(訪問頻度や訪問日欄の書き方)は、本記事では扱いません。レセプト業務の分担設計は開業後の事務・請求体制の記事で扱っています。判定と記載の点検を外部化したい場合は、ainaruの介護BPOサービスにご相談ください。

なお、心身の状態欄のほかに「特記事項」欄にも別表該当者に関わる記載があります。基準告示第2の1に規定する疾病等の利用者等が、他の1つの訪問看護ステーションから現に指定訪問看護を受けている場合は「1 他(1)」を、他の2つから受けている場合は「1 他(1)」と「2 他(2)」を記載します(記載要領)。

この章の出典


10. よくある質問

Q1. 指定難病の受給者証を持っていれば、別表第七に該当しますか

該当するとは限りません。指定難病は348疾病、別表第七は20項目で、潰瘍性大腸炎やクローン病のように受給者証はあっても別表第七にない疾病が数多くあります。判定は指示書の主たる傷病名が20項目に当たるかどうかで行ってください(→8章)。

Q2. 傷病名が「視神経脊髄炎」の場合、別表第七に該当しますか

該当します。疑義解釈で多発性硬化症として扱ってよいと示されています。多巣性運動ニューロパチーも同様に慢性炎症性脱髄性多発神経炎として該当します(→3-3)。

Q3. 在宅酸素の利用者が要介護認定を受けました。医療保険に変わりますか

変わりません。在宅酸素療法指導管理は別表第八の第二号ですが、要介護者を医療保険にする3類型(特別訪問看護指示書・別表第七・精神科訪問看護基本療養費)に別表第八は入っていないため、訪問看護は介護保険のままです(→5章)。

Q4. 難治性の皮膚病変がある利用者は、令和8年6月から別表第八に該当しますか

病変があるだけでは該当しません。主治医の医療機関がC114在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料を現に算定している場合に限られます。疑義解釈が「当該管理料を算定せずに単に難治性の皮膚病変を有する利用者は該当しない」と明確に否定しています(→2-4)。

Q5. 特別管理加算に届出は必要ですか

医療保険は必要です。算定告示の注3が「届け出た訪問看護ステーションが」算定すると定めています。介護保険は届出が算定要件ではありませんが、老企第36号により情報として届け出させることとされています(→7-3)。

Q6. 月の途中で別表に該当しなくなったら、どの時点で保険が切り替わりますか

切替日を定めた通知は、留意事項通知・給付調整通知・疑義解釈・厚生局FAQの範囲では見当たりませんでした。月の途中から該当し始めた場合の特別管理加算の按分なども同様に、定めを確認できていません。実務は保険者・審査支払機関への確認になります(→確認しきれなかった点)。

Q7. 超重症児・準超重症児は別表第七・第八のどちらですか

どちらでもありません。基準告示第2の3(2)などが別表とは別枠で定めている区分で、レセプトのコードも91・92と独立しています。15歳未満の超重症児・準超重症児は長時間訪問看護加算を週3日まで算定できます(→6-1)。超重症児・準超重症児のスコア判定そのものは本記事では扱いません。

Q8. 点滴(第五号)が月をまたいだ場合、翌月もコード60を立てられますか

定めを確認できませんでした。在宅患者訪問点滴注射管理指導料は、医師の指示から7日間のうち3日以上看護師等が点滴を実施した場合に週単位で算定される指導料なので、月末に始まった指示が翌月に食い込むケースは構造的に発生します。指導料の算定が月の一部だけの月の該当性や特別管理加算の扱いを直接定めた通知・疑義解釈は見当たらなかったため、審査支払機関への照会事項です(→確認しきれなかった点)。

この章の出典


11. まとめ|チェックリストと、判定を仕組みにする話

最後に、この記事の内容をチェックリストに落とします。判定と点検はやる人もタイミングも違うので、2枚に分けました。

新規受入時・指示書更新時・状態変化時(主担当:管理者・看護師)

# 確認すること 見る資料
1 指示書の主たる傷病名が別表第七の20項目にあるか。「末期」の確認、パーキンソン病のステージと生活機能障害度、人工呼吸器の種類(CPAPは対象外)まで 訪問看護指示書(→3章
2 指示書の「装着・使用医療機器等」欄・褥瘡欄から別表第八の号を一次判定したか。コード57・60などは医療機関の算定を確認したか 指示書+医療機関への確認記録(→4-5
3 要介護認定のある利用者の保険の振り分けは3類型で判定したか。切り替え時はケアマネジャーに連絡したか 認定情報+指示書(→5章

月次請求前(主担当:事務)

# 確認すること 見る資料
4 別表第八該当者の特別管理加算は号に合った金額か。長時間訪問看護加算を第七だけで算定していないか レセプト(→6章
5 介護保険の特別管理加算を医療の別表第八の暗記で判定していないか 告示94号の対比表(→7章
6 「心身の状態」欄の有無区分とコードは、該当する全てを書いたか レセプト(→9章

別表の判定は、一度覚えれば終わりの知識ではなく、利用者の状態が動くたび・改定のたびにやり直しになる実務です。令和8年6月の在宅難治性皮膚疾患処置指導管理の追加のように、リストそのものが動くこともあります。

株式会社ainaruは、訪問看護ステーションのレセプト・加算算定を代行する介護BPOサービスを提供しています。指示書の写しと直近のレセプトがあれば、別表第七の該当判定と、コード記載・特別管理加算の号判定までは点検できます。別表第八の該当判定そのものは医療機関への算定確認が前提になるので、確認項目の整理と記録の型づくりからお手伝いします。判定を人の記憶ではなく仕組みにしたいステーションは、サービス案内をご覧ください。


この記事で確認しきれなかった点

正確さを担保するため、一次資料で確認できなかった点を開示します。

  • 令和8年厚生労働省告示第71号の改め文(別表第八の改正部分)の逐語。 告示PDFの取得が途中で打ち切られ、改正部分には到達できていません。ただし、改正が反映された現行の別表第八第二号は法令等データベース収録の特掲診療料の施設基準等で確認済みで、記事の結論には影響しません。
  • 月の途中で別表に該当しなくなった場合の保険切替日と、月の途中から該当し始めた場合の加算の按分。 留意事項通知・給付調整通知・疑義解釈(その1)・近畿厚生局FAQ(令和6年度版・令和8年度版)のいずれにも定めが見当たりませんでした。在宅患者訪問点滴注射管理指導料(第五号)が月をまたぐ場合も同様です。実務では保険者・審査支払機関に確認してください。
  • 「末期の悪性腫瘍」の「末期」の判定基準と、指示書の傷病名欄に「末期」と書く義務の有無。 定めた資料は確認できませんでした。主治医への確認と記録が現実的な対応です。
  • パーキンソン病のホーエン・ヤール重症度・生活機能障害度を、実務のどの書類で確認するか。 定めた通知は見当たりませんでした。指定難病の臨床調査個人票には記載欄がありますが、これを訪問看護の判定に用いる旨の定めも確認できていません。
  • 医療保険側の褥瘡の分類名基準(NPUAP・DESIGN-R)の位置づけ。 令和8年版の留意事項通知に分類名の定義はなく(第5の3(2)は基準告示の参照のみ)、基準の記載がある厚生局掲載の通知抜粋は年版を特定できていません。介護保険側は老企第36号に明文があります。

参考・出典一覧

厚生労働省(告示・法令等データベース)

厚生労働省(通知・事務連絡・資料)

厚生労働省(過年度の疑義解釈・関連通知)

地方厚生局・審査支払機関・様式