最終確認日:令和8年8月10日|主な出典:厚生労働省告示第67号(区分番号03)/告示第103号(第二の十・十一)/保発0305第19号/保医発0327第2号 別添3

訪問看護情報提供療養費とは、訪問看護ステーションが利用者の同意を得て、市町村や学校、主治医の医療機関に指定訪問看護の状況を文書で提供した場合に算定できる、医療保険の訪問看護療養費の項目です。提供先によって1・2・3の3つに分かれ、いずれも1回1,500円。届出は要りません。


先に結論

問い 答え
1・2・3は何で分かれるのか 提供先です。1=市町村等、2=学校等、3=主治医の医療機関(→3章
いくらか 1・2・3とも各1,500円。区分番号03です(→2章
届出は要るか 要りません。施設基準の届出が必要な項目ではありません(→11-1
何回算定できるか 1と3は月1回、2は各年度1回(ただし例外が3つあります)(→5-2
3は入院先の病院に出すのか 違います。出す相手は主治医のいる医療機関です。ここが最も間違えやすい点です(→6章
令和8年度改定で変わったか 変わっていません。ただし別表第八の見直しで対象者は実質的に広がりました(→7章
包括型訪問看護療養費と併算定できるか できます(→8章
レセプトのどこに書くか 「19 情報」欄の(5)情報提供に、<情報提供先>の見出しを立てて書きます(→10章

30秒判定|次の4つが揃えば算定の候補です。

  1. 利用者が対象者に当たる(1と2は疾病等の限定あり。3は限定なし)
  2. 1・2は、提供先からの求めがある(3に求めの要件はありません)(→4-1
  3. 利用者の同意を得ている
  4. 文書で情報提供した(1・2は条文上「文書を添えて」。3も提供した文書の写しの保存が求められます)

場面から探す場合は、こちらから。


1. この記事で使う一次資料

制度の記事は、どの資料の何年版を見て書いたかで中身が変わります。この記事で使う一次資料は次のとおりです。

資料 発出・番号 この記事で使う箇所
訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法 平成20年3月5日 厚生労働省告示第67号(令和8年3月5日 告示第74号で改正) 区分番号03(1・2・3の条文)
訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等 平成18年3月6日 厚生労働省告示第103号(令和8年3月5日 告示第75号で改正) 第二の十(1の対象者)・第二の十一(2の対象者)
実施上の留意事項について 令和8年3月5日 保発0305第19号(令和8年4月2日 一部訂正) 第6(情報提供療養費)・第1の1(費用の構成)
訪問看護療養費請求書等の記載要領 令和8年3月27日 保医発0327第2号 別添3 「19 情報」欄 (5)情報提供
令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】 厚生労働省保険局医療課 改定項目の一覧

先に書いておくべきことが2つあります。

ひとつは、この項目は令和8年度改定で見直されていないということです。改定の説明資料にも、訪問看護療養費マスターの変更点にも、情報提供療養費は出てきません(→7章)。それでも記事を書く価値があるのは、対象者の側が動いたからです。

もうひとつは、留意事項通知の第6について、原文を最後まで確認できていないことです。この通知は直前の第5(訪問看護管理療養費)が加算12項目を含んで長く、機械的な読み取りが第5で打ち切られます。第6のうち訪問看護記録書に関する部分は近畿厚生局が抜粋を公開しているため原文で確認できましたが、期限や様式番号を定めた項までは届いていません。確認できた部分と、できていない部分を分けて書きます(→9-3確認しきれなかった点)。

この章の出典


2. 訪問看護情報提供療養費とは|1・2・3で各1,500円

2-1. 区分番号03という位置づけ

訪問看護療養費は区分番号で整理されており、01が訪問看護基本療養費、02が訪問看護管理療養費、そして03が訪問看護情報提供療養費です。令和8年6月には04(包括型訪問看護療養費)・06(訪問看護遠隔診療補助料)・08(訪問看護物価対応料)が新設され、ターミナルケア療養費とベースアップ評価料の番号が繰り下がりました。

情報提供療養費は、訪問看護を提供したことに対する報酬ではありません。訪問看護で把握した利用者の状況を、外部の関係機関に文書で渡したことを評価する項目です。だから訪問の回数や時間とは無関係に、提供先ごとに数えます。

2-2. 3つに共通する構造

1・2・3のすべてに共通しているのは、利用者の同意を得ることと、同じ提供先について他の訪問看護ステーションが既に算定していれば算定しないことの2つです。文書の扱いは少し違い、1・2は条文自体が「指定訪問看護の状況を示す文書を添えて」提供することを要件にしていますが、3の条文でこの語がかかっているのは主治医の医療機関が紹介状を書く行為の側です(→6-1)。3についても提供した文書の写しの保存は求められるので、実務上は文書で出すことに変わりありません。

他ステーションとの重複は見落としやすいところです。1人の利用者に複数のステーションが入っている場合、同じ市町村に2か所から情報提供しても、算定できるのは1か所だけになります。判定は提供先が同じかどうかなので、提供先が別なら両方が算定できる読み方です。ただし、他のステーションが算定しているかどうかを確認する公的な仕組みはありません。依頼を受けた時点で、依頼元に他のステーションへも同じ依頼をしているかを確認し、その旨を記録に残しておくのが現実的です(これは規定ではなく運用の提案です)。

金額は1・2・3とも各1,500円で、区分による差はありません。

この章の出典


3. 1・2・3の違いが一目でわかる比較表

先に全体を置きます。細かい条文は4章以降で1つずつ見ます。

1 市町村等 2 学校等 3 保険医療機関等
金額 1,500円 1,500円 1,500円
提供先 居住地を管轄する市町村(特別区含む)・都道府県、指定特定相談支援事業者、指定障害児相談支援事業者 学校等(保育所又は学校教育法第1条の学校(大学を除く 当該利用者の診療を行っている保険医療機関(=主治医のいる医療機関)
対象者 別表第七/別表第八/精神障害を有する者又はその家族等/18歳未満の児童 18歳未満の超重症児・準超重症児/18歳未満で別表第七/18歳未満で別表第八 保険医療機関・介護老人保健施設・介護医療院に入院/入所する利用者(疾病等の限定なし)
頻度 月1回 各年度1回+例外3つ 月1回
期限 9-3 9-3 速やかに
他STとの重複 同一の提供先について他STが算定していれば算定しない 同左(当該学校等) 同左(当該保険医療機関)
対象者の根拠 告示103号 第二の十 告示103号 第二の十一 告示67号 区分番号03の注3

表で見ると、3だけ性格が違うことが分かります。1と2は「疾病等が重い利用者について、生活を支える機関に情報を渡す」もので、対象者に限定がかかります。3は「入院・入所という状態の変化が起きたときに、医療の連続性を保つために渡す」もので、疾病等の限定がありません。誰でも入院はするからです。

この章の出典


4. 情報提供療養費1の算定要件|市町村・都道府県・相談支援事業者へ

4-1. 条文

別に厚生労働大臣が定める疾病等の利用者について、訪問看護ステーションが、当該利用者の同意を得て、当該利用者の居住地を管轄する市町村(特別区を含む。)若しくは都道府県(以下「市町村等」という。)又は(略)指定特定相談支援事業者若しくは(略)指定障害児相談支援事業者(以下「指定特定相談支援事業者等」という。)に対して、当該市町村等又は当該指定特定相談支援事業者等からの求めに応じて、指定訪問看護の状況を示す文書を添えて、当該利用者に係る保健福祉サービスに必要な情報を提供した場合に、利用者1人につき月1回に限り算定する。

読みどころは「からの求めに応じて」です。条文は提供先から依頼があって出す形を前提にしており、こちらから一方的に送る形は書きぶりと合いません。記録に誰から・いつ依頼されたかを残すことになるのは、この一文があるからです(→9-1)。

ただし、条文が求めているのは「求めに応じて」提供したという事実であって、求めが生まれる経緯までは規定していません。担当者会議や市町村とのやり取りの中で情報提供の必要性を伝え、先方から依頼を受けた場合も、依頼者と依頼日の記録が残るなら条文の形に沿います。こちらから働きかけて依頼を引き出すことの可否を明示した通知・疑義解釈は見つかっていないため、断定はしません。

4-2. 対象者は4類型

「別に厚生労働大臣が定める疾病等の利用者」の中身は、基準告示の第二の十に定められています。

  1. 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者
  2. 特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者
  3. 精神障害を有する者又はその家族等
  4. 十八歳未満の児童

4つのどれかに当たれば対象です。(3)と(4)には疾病の限定がありません。精神障害を有する方、あるいは18歳未満というだけで対象になります。精神科訪問看護の対象者と基本療養費の建付けは精神科訪問看護基本療養費に、別表第七・第八の内容は訪問看護の別表7・別表8にまとめています。

ここで押さえておきたいのは、この(2)が令和8年6月から実質的に広がったということです。別表第八そのものが改定で見直されたためで、詳しくは7章で扱います。

4-3. 提供先の範囲

条文が挙げているのは、市町村(特別区を含む)、都道府県、指定特定相談支援事業者、指定障害児相談支援事業者です。居住地を管轄するという限定が市町村・都道府県にかかっています。

指定特定相談支援事業者は、障害福祉サービスの利用計画をつくる事業者で、介護保険でいうケアマネジャーの障害福祉版にあたります。障害側の相談支援専門員から求められた場合はこの1で算定できる形になりますが、介護保険のケアマネジャー(居宅介護支援事業者)は条文に挙がっていません。「障害側の相談支援は入る、介護側のケアマネは入らない」という対比で覚えると取り違えません。

この章の出典


5. 情報提供療養費2の算定要件|保育所・学校等へ

5-1. 18歳未満という限定

まず条文です。

別に厚生労働大臣が定める疾病等の利用者のうち、児童福祉法第39条第1項に規定する保育所又は学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(大学を除く。)等(以下「学校等」という。)へ通園又は通学する利用者について、訪問看護ステーションが、当該利用者の同意を得て、当該学校等からの求めに応じて、指定訪問看護の状況を示す文書を添えて必要な情報を提供した場合に、利用者1人につき各年度1回に限り算定する。

1と同じく「当該学校等からの求めに応じて」の形です。学校側からの依頼が起点になります。

対象者は、基準告示の第二の十一に定められています。

  1. 十八歳未満の超重症児又は準超重症児
  2. 十八歳未満の児童であって、特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者
  3. 十八歳未満の児童であって、特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者

3類型すべてに「十八歳未満」がかかります。1の対象者(第二の十)が4類型で、うち(1)(2)(3)には年齢の限定がなかったのと対照的です。同じ「厚生労働大臣が定める疾病等の利用者」という言葉でも、注1(=1)と注2(=2)で参照先の号が違うため、中身が別物になっています。なお超重症児・準超重症児は、人工呼吸器や吸引といった医療的ケアの内容を点数化した判定基準(スコア)で判定される状態区分です。

そのうえで、条文は学校等へ通園・通学していることを求めます。在宅で過ごしている児童には2は使えません。

5-2. 「各年度1回」と3つの例外

2の頻度は月単位ではなく年度単位です。ここが1・3と違います。そのうえで、条文は年度1回とは別に算定できる場面を置いています。

入園若しくは入学又は転園若しくは転学等により当該学校等に初めて在籍することとなる月については、当該学校等につき月1回に限り、当該利用者に対する医療的ケアの実施方法等を変更した月については、当該月に1回に限り、別に算定できる。

条文はこれをひとつの文で書いていますが、レセプトでは3つに書き分けます。「1 入園・入学」「2 転園・転学」「3 医療的ケアの変更」の3区分です(→10-1)。この記事で「例外3つ」と数えているのは、このレセプト記載の区分に合わせたものです。

つまり4月に小学校へ入学した児童について入学の月に1回出し、その年度の別の月に通常の年度1回分を出し、さらに秋に医療的ケアの方法が変わってもう1回出す、という積み上がり方があり得ます。

5-3. 「学校等」の範囲|大学は入らない、ただし「等」がある

条文の定義は「児童福祉法第39条第1項に規定する保育所又は学校教育法第1条に規定する学校(大学を除く。)(以下「学校等」という。)」です。読みどころは2つあります。

ひとつは「大学を除く」。第1条の学校には幼稚園から大学までが含まれますが、大学だけ括弧書きで外されています。対象者が18歳未満に限られるため、この除外が効く場面は限られます。

もうひとつは、除いた後ろに「等」が付いていることです。つまり「学校等」は保育所と第1条の学校に限定されず、それ以外の施設が「等」に含まれる余地があります。「等」の具体的な範囲は留意事項通知の側で定められているとみられますが、この記事では通知の該当箇所を原文で確認できていません(→確認しきれなかった点)。保育所・第1条の学校以外の施設(認定こども園など)への情報提供を検討する場合は、通知の原文か地方厚生局で範囲を確認してください。

この章の出典


6. 情報提供療養費3|提供先は「入院先」ではない

6-1. 条文の建付け

3は名前から受ける印象と実際の建付けが最もずれる項目です。条文はこうなっています。

保険医療機関、介護老人保健施設又は介護医療院(以下この注において「保険医療機関等」という。)に入院し、又は入所する利用者について、当該利用者の診療を行っている保険医療機関が入院し、又は入所する保険医療機関等に対して診療状況を示す文書を添えて紹介を行うに当たって、訪問看護ステーションが、当該利用者の同意を得て、当該保険医療機関に指定訪問看護に係る情報を提供した場合に、利用者1人につき月1回に限り算定する。

登場する医療機関が2つあるため、主語を分けて読む必要があります。入院・入所する先の施設(保険医療機関・介護老人保健施設・介護医療院)と、当該利用者の診療を行っている保険医療機関、つまり主治医のいる医療機関です。紹介状を書くのは主治医の医療機関で、その紹介先が入院・入所先にあたります。

そして訪問看護ステーションが情報を提供する相手は、条文の「当該保険医療機関に」が指すとおり、主治医のいる医療機関です。主治医が紹介状を書くにあたって訪問看護の側からも情報を渡す、という構図を評価しています。なお条文の「診療状況を示す文書を添えて」は、主治医の医療機関が紹介を行う側にかかる言葉で、ステーションの提供行為の要件ではありません。利用者が入院したと聞いて入院先の病院あてに情報提供書を送っても、条文の形とは合いません。出す相手は、いつもの主治医です。

もうひとつ混同しやすいのは、毎月主治医に送っている訪問看護報告書との関係です。3が評価しているのは、入院・入所という場面で主治医が紹介状を書くために行う情報提供であり、定期の報告とはタイミングも目的も別です。報告書を出しているからといって3が算定できるわけではなく、逆に3を算定したからといって報告書が不要になるわけでもありません。

6-2. 期限は「速やかに」

3については、留意事項通知の第6にこう書かれています。

訪問看護ステーションは、入院又は入所時に保険医療機関等が適切に情報を活用することができるよう、速やかに情報提供を行い、主治医に対して提供した文書については、その写しを訪問看護記録書に添付しておくこと。

日数ではなく「速やかに」です。理由も書かれていて、入院・入所の時点で相手が情報を使えるようにするためとされています。入院から日が経ってから出しても、この趣旨には合いません。

なお、この一文は「主治医に対して提供した」と書いており、6-1で読んだ条文の建付けと一致しています。

6-3. 対象者に疾病等の限定がない

3には別表第七・第八のような対象者の限定がありません。条文が求めるのは、入院または入所するという事実だけです。1・2の対象者要件を満たさない利用者でも、入院すれば3の対象になります。

この章の出典


7. 令和8年度改定で変わったか|項目は据え置き、対象者は実質拡大

7-1. 結論:改定項目に入っていない

令和8年6月の改定は、訪問看護にとって大きな改定でした。包括型訪問看護療養費が新設され、管理療養費が再編され、医療情報連携加算・遠隔診療補助料・物価対応料が加わっています。

そのなかで、情報提供療養費は改定の対象になっていません。3つの資料のいずれにも出てきません。

確認した資料 結果
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」 情報提供療養費の解説項目なし。費用構成の一覧に「03」が載るのみ
「令和8年度診療報酬改定に係る訪問看護療養費マスターの変更点等について」 新設・廃止コードの一覧に含まれない
令和8年厚生労働省告示第74号 1・2・3とも1,500円で従来どおり

金額も区分も提供先も、令和6年度から動いていません。令和6年度に書かれた解説記事の中身は、この項目に関しては今も成り立ちます。

7-2. ただし対象者は実質的に広がった

制度が動いていないのに、記事にする価値があるのはここからです。

情報提供療養費1の対象者(2)と、2の対象者(3)は、いずれも「特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者」を引いています(→4-25-1)。条文が別表を参照する形なので、別表の側が変われば、条文を一文字も変えずに対象者が変わります。

令和8年度改定では、その別表第八が見直されました。「在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている状態にある者」が追加されています。訪問看護の側では、この追加が特別管理加算の対象者を広げたことがよく知られていますが、同じ追加が情報提供療養費1・2の対象者にも波及します。

つまり令和8年6月以降、これまで別表第八に該当せず情報提供療養費の対象外だった利用者が、対象に入っている可能性があります。制度は変わっていないが、対象者名簿は変わったという状態です。別表第八の内容と判定の仕方は訪問看護の別表7・別表8、特別管理加算の側からの整理は訪問看護の特別管理加算にまとめています。

7-3. 古い解説を読むときに気をつけること

この項目は改定されていないため、過去の解説がそのまま通用する部分が多くあります。注意が要るのは2点だけです。

ひとつは根拠告示の番号。算定方法を定める告示は改定のたびに「一部を改正する件」が出るため、令和6年度の解説は告示第62号を、令和8年度は告示第74号を引きます。本体はいずれも平成20年厚生労働省告示第67号で、番号が違っても指している条文は同じです。もうひとつは対象者の範囲で、上に書いた別表第八の件です。令和6年度以前の対象者リストは、この追加分を含んでいません。

この章の出典


8. 包括型訪問看護療養費との関係

令和8年6月に新設された包括型訪問看護療養費(区分番号04)は、訪問看護管理療養費を内包した1日包括の評価です。包括と名が付く以上、何が包括されて何が別に算定できるのかが問題になります。

情報提供療養費は、包括型と併算定できます。根拠は留意事項通知の第1の1で、指定訪問看護の費用の額の構成として、包括型訪問看護療養費の額に訪問看護情報提供療養費・訪問看護ターミナルケア療養費・訪問看護遠隔診療補助料・訪問看護ベースアップ評価料・訪問看護物価対応料の額を加えた額の合計とする旨が書かれています。加える側に情報提供療養費が名指しで入っています。

包括型の区分や算定要件は包括型訪問看護療養費にまとめています。そちらでも同じ通知を根拠に、併算定できる項目の一覧を載せています。

包括型を算定している月でも、市町村から求めがあって情報提供をしたなら、その分は別に1,500円を算定する形になります。包括型に切り替えたことで情報提供療養費を落としてしまうと、そのまま算定漏れになります。

この章の出典


9. 記録と様式|何を残すか

9-1. 訪問看護記録書に残すもの

留意事項通知の第6は、1と2について同じ書き方で記録を求めています。

市町村等又は指定特定相談支援事業者等の情報提供の依頼者及び依頼日については、訪問看護記録書に記載するとともに、市町村等又は指定特定相談支援事業者等に対して提供した文書については、その写しを訪問看護記録書に添付しておくこと。

当該学校等の情報提供の依頼者及び依頼日については、訪問看護記録書に記載するとともに、当該学校等に対して提供した文書については、その写しを訪問看護記録書に添付しておくこと。

求められているのは2つです。依頼者と依頼日を記録書に書くこと。提供した文書の写しを記録書に添付すること。

依頼者と依頼日が求められているのは、条文が「求めに応じて」提供する形を取っているからです(→4-1)。誰からいつ頼まれたのかが記録に無いと、条文の要件を満たしたことを後から示せません。電話で口頭の依頼を受けた場合ほど、その場で書き留める必要があります。書く場所を事業所で決めておき、「◯月◯日、◯◯市◯◯課の◯◯氏から電話で依頼」の粒度で残しておけば足ります。

3についても写しの添付は同じで、「主治医に対して提供した文書については、その写しを訪問看護記録書に添付しておくこと」とされています(→6-2)。記録書の様式や書き分けは訪問看護記録書の書き方にまとめています。

9-2. 報告書にも欄がある

訪問看護報告書には「情報提供」の欄があります。訪問看護計画書等の記載要領(令和8年3月27日 保医発0327第10号)は、訪問看護情報提供療養費の算定に係る情報提供を行った場合は「その情報提供先と情報提供日を記入すること」としています。

記録書への写しの添付と、報告書への提供先・提供日の記入は別の作業です。片方だけで済ませると、もう片方が空欄のまま残ります。レセプトと報告書で情報提供日が食い違うと、突合されたときに説明が要ります。

9-4. 情報提供書は誰が書くか・様式はどれか

様式は留意事項通知の別紙様式によります。令和4年度版の通知では様式1・2が療養費1、様式3が2、様式4が3とされていましたが、令和8年度版での様式番号はこの記事では確認できていません(→確認しきれなかった点)。

作成主体について付け加えます。訪問看護計画書・報告書には「看護師等(准看護師を除く)が作成する」という主体規定がありますが、情報提供書について同様の主体規定があるかどうかは、この記事の調査では確認できていません。内容が利用者の状態評価を含む以上、看護職が本文を書く前提で考えるのが安全です。事務職ができるのは、様式の準備、基本情報の転記、期限と提出先の管理といった手前の工程です。この線引きの考え方は訪問看護の書類作成代行はどこまで可能かと同じです。

9-3. 期限について、確認できたことと確認できていないこと

ここは正直に書きます。

3の期限が「速やかに」であることは、留意事項通知の第6で原文を確認できました(→6-2)。

一方、1と2の期限については、この記事の調査では令和8年度の通知の原文に到達できていません。留意事項通知は直前の第5(訪問看護管理療養費)が加算12項目を含んで長く、機械的な読み取りが第5で止まってしまうためです。

期限の規定そのものは実在します。令和4年3月4日 保発0304第3号、つまり令和4年度の留意事項通知には、指定訪問看護を行った日から2週間以内に文書により情報提供した場合に算定できる旨の規定があることが、都道府県の訪問看護ステーション協議会の照会回答から確認できます。この項目は令和8年度改定の対象になっていないため(→7-1)、同じ規定が現行の通知にも置かれていると考えるのが自然です。ただし現行通知の第6でどう書かれているかを、この記事では原文で確認できていません。

運用としては、訪問日から2週間以内に出すことにしておけば、この論点は発生しません。期限の解釈で迷うより、依頼を受けたら2週間以内に出す業務フローにしてしまうほうが早く、記録の面でも一貫します。正確な期限を条文で確定させたい場合は、地方厚生局に照会してください。

この章の出典


10. レセプトの書き方

10-1. 「19 情報」欄の(5)情報提供

訪問看護療養費明細書では、「19 情報」欄の(5)情報提供に記載します。記載要領は1・2・3それぞれについて、見出しの立て方と選択肢の番号まで指定しています。原文は次のとおりです。

見出しとして<情報提供先 1市(区)町村等>を記載し、市町村等への情報提供に係る算定の場合は「1 市(区)町村等」、指定特定相談支援事業者への情報提供に係る算定の場合は「2 指定特定相談支援事業者」を記載すること。

見出しとして<情報提供先 2学校等>を記載し、「前回算定年月」として、当該療養費を算定した前回の年月を記載すること(ただし、初めて算定する場合を除く。)。また、各年度1回までの算定とは別に、入園又は入学に係る算定の場合は「1 入園・入学」、転園又は転学に係る算定の場合は「2 転園・転学」又は医療的ケアの実施方法の変更に係る算定の場合は「3 医療的ケアの変更」を記載すること。

見出しとして<情報提供先 3保険医療機関等>を記載し、利用者の診療を行っている保険医療機関の紹介先が、保険医療機関の場合は「1 保険医療機関」、介護老人保健施設の場合は「2 介護老人保健施設」又は介護医療院の場合は「3 介護医療院」を記載すること。

整理すると、書く内容は区分ごとに次のようになります。

区分 見出し 併せて書くもの
1 <情報提供先 1市(区)町村等> 「1 市(区)町村等」か「2 指定特定相談支援事業者」
2 <情報提供先 2学校等> 前回算定年月(初めての算定を除く)/年度1回とは別の算定なら「1 入園・入学」「2 転園・転学」「3 医療的ケアの変更」
3 <情報提供先 3保険医療機関等> 紹介先(=入院・入所先)の種別として「1 保険医療機関」「2 介護老人保健施設」「3 介護医療院」

2だけ書く量が多いのは、頻度が年度単位で例外が3つあるからです(→5-2)。前回いつ算定したかを書かせることで、年度1回の枠を使い切っているかどうかが分かる仕組みになっています。

10-2. 書き漏れやすいところ

条文と記載要領から導けるのは、次の3点です。

2の「前回算定年月」は、初めての算定を除いて必要です。書かずに出すと、年度1回の枠の判定材料が欠けます。2の事由の番号は、年度1回とは別に算定する場合に必要で、入学の月なら「1 入園・入学」を書きます。ここが空欄だと年度2回目の算定に見えます。3の紹介先の種別は、入所先が老健か介護医療院かで番号が変わります。

そして最も基本的なところで、対象者の要件を満たしているかです。1と2には対象者の限定があり(→4-25-1)、3にはありません(→6-3)。1を算定するなら、その利用者が4類型のどれに当たるかを言える状態にしておきます。

なお、算定件数の公的な統計は、確認できた範囲では見当たりません。NDBオープンデータは訪問看護療養費を集計対象に含んでおらず、訪問看護療養費実態調査の公表表にも情報提供療養費の表は見当たりませんでした。「全国平均でこれくらい算定されている」という数字は、この項目については出せません。

この章の出典


11. よくある質問

11-1. 届出は要りますか

要りません。施設基準の届出が必要な項目ではないため、要件を満たせばその月から算定できます。

11-2. 同じ月に1と3の両方を算定できますか

条文は1・2・3それぞれについて頻度と重複の制限を定めていますが、1と3を同じ月に算定することを禁じる規定は見当たりません。提供先が違えば別の行為だからです。ただし留意事項通知の第6を最後まで確認できていないため、制限が置かれていないことをこの記事で確定はしていません(→確認しきれなかった点)。

11-3. 利用者が入院しました。入院先の病院に情報提供書を送れば算定できますか

条文の形とは合いません。3が想定しているのは、主治医のいる医療機関に対して情報を提供することです。主治医がその情報も踏まえて入院先へ紹介状を書く、という流れを評価しています(→6-1)。

11-4. ケアマネジャーに情報提供した場合は算定できますか

1の提供先として条文が挙げているのは、市町村(特別区を含む)、都道府県、指定特定相談支援事業者、指定障害児相談支援事業者です。介護保険の居宅介護支援事業者は挙がっていません(→4-3)。

11-5. 高校生でも2を算定できますか

18歳未満で、対象者の3類型のいずれかに当たり、学校等へ通学しているなら対象になります。高等学校は学校教育法第1条の学校です。なお「十八歳未満」の判定時点(算定日か情報提供日か、誕生月の扱い)を明示した資料は確認できていないため、18歳到達が近い利用者については判定時点を提出先に確認してください(→5-1確認しきれなかった点)。

11-6. 令和8年6月以降、何か対応が要りますか

項目そのものは変わっていないので、算定の仕方を変える必要はありません。ただし別表第八に在宅難治性皮膚疾患処置指導管理が追加されたため、これまで対象外だった利用者が1・2の対象に入っていないかを一度見ておく価値があります(→7-2)。

11-7. 包括型を算定している月でも算定できますか

できます。留意事項通知の第1の1が、包括型訪問看護療養費に加える項目として情報提供療養費を名指ししています(→8章)。

11-8. 介護保険で訪問看護に入っている利用者にも算定できますか

訪問看護情報提供療養費は医療保険の訪問看護療養費の項目で、請求先も医療保険の訪問看護療養費明細書です。その月の訪問看護が介護保険で行われている利用者には、この療養費を載せる医療保険のレセプトそのものがありません。市町村や学校への情報提供という場面自体は介護保険の利用者でも起きますが、報酬の枠組みが別です。なお、要介護認定を受けていても医療保険の訪問看護になる場合(別表第七該当や特別訪問看護指示書の交付時など)は、医療保険のレセプトが立つため話が変わります。保険の切り替わりは訪問看護の別表7・別表8を参照してください。

この章の出典


12. どこから手をつけるか

情報提供療養費は届出が要らないため、始めようと思った月から算定できます。

まず、対象者の洗い出しです。1の対象者は別表第七・別表第八・精神障害を有する者又はその家族等・18歳未満の4類型、2は18歳未満の3類型です。令和8年6月に別表第八が広がっているので、以前に作った名簿があるなら作り直してください(→7-2)。

次に、依頼の受け方です。1と2は「求めに応じて」提供する形なので、依頼者と依頼日を記録に残します(→9-1)。市町村や相談支援事業者からの依頼は電話で来ることがあり、その場で書き留める習慣がないと後から追えません。

そのうえで記録、最後にレセプトです。提供した文書の写しを記録書に添付し、報告書の「情報提供」欄に提供先と提供日を書き(→9-2)、レセプトには<情報提供先>の見出しと選択肢の番号、2なら前回算定年月まで書きます(→10-1)。

3については、洗い出しよりも入院の情報が事務に届く経路を作るほうが実際的です。入院を知るのが月をまたいでからでは「速やかに」に間に合いません。加算の全体像は訪問看護の加算一覧・早見表、取りこぼしの探し方は訪問看護の加算算定漏れにまとめています。

株式会社ainaruは、訪問看護のレセプト請求と関連する事務を代行しています。情報提供書の本文は利用者の状態評価を含む文書なので、当社がお引き受けするのはその手前と後ろ、つまり対象者の洗い出し・様式と期限の管理・記録書・報告書・レセプトの3か所の整合の点検です(→9-4)。書類作成の代行がどこまで可能かは訪問看護の書類作成代行はどこまで可能かにまとめています。

情報提供療養費の算定についてのご相談はこちら

確認しきれなかった点

一次資料で確定できなかった項目です。算定できない、という意味ではありません。

項目 状況 この記事での扱い
留意事項通知 第6 の全文 通知PDFの直前の第5(管理療養費)が長大で、機械的な読み取りが第6に到達しない。記録書に関する部分は近畿厚生局の抜粋資料で原文確認済み 確認できた部分だけを引用し、到達していない部分は本文で明示した(→9-3
1と2の情報提供の期限 令和4年3月4日 保発0304第3号に「2週間以内」の規定があることは都道府県協議会の照会回答で確認。現行通知の該当箇所は未確認 規定の存在と出所を書いたうえで、2週間以内に出す運用を勧めた(→9-3
別紙様式の番号 令和4年度版では様式1・2が療養費1、様式3が2、様式4が3とされていた。令和8年度版での番号は未確認 様式番号を本文に書かず、通知の別紙様式による旨にとどめた
「特別の関係」にある提供先への情報提供の可否 制限があるとする二次情報があるが、現行通知の原文を確認できていない 記載していない
1・2・3相互の同月併算定 禁じる規定は条文に見当たらないが、通知第6を確認できていない 「確定していない」と明記した(→11-2
「学校等」の「等」の範囲 条文の定義は「保育所又は学校(大学を除く。)等」で、「等」の中身は通知側とみられるが原文未確認 「等」の存在と未確認である旨を明記した(→5-3
「十八歳未満」の判定時点 算定日か情報提供日か、誕生月の扱いを明示した資料が見当たらない 提出先への確認を勧めた(→11-5
情報提供書の作成主体の規定 計画書・報告書のような主体規定が情報提供書にあるかどうかを確認できていない 看護職が本文を書く前提を勧めるにとどめた(→9-4
算定件数の統計 NDBオープンデータは訪問看護療養費が対象外。訪問看護療養費実態調査の公表表にも該当表が見当たらない 「確認できた範囲では見当たらない」と記載した(→10-2

参考・出典一覧

告示

通知

改定資料

統計