最終確認日:令和8年8月12日|根拠告示:訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法(平成20年厚生労働省告示第67号/令和8年厚生労働省告示第74号による改正後・令和8年6月1日適用)/保発0305第19号(令和8年3月5日)

利用者が亡くなった月の請求で、25,000円と10,000円のどちらになるのかを迷う。あるいは、亡くなる直前に介護保険から医療保険に切り替わっていて、どちらで算定するのか分からない。この記事はその2つに答えます。

先に、いちばん誤解されている点から書きます。療養費1と2を分けるのは、在宅で亡くなったか施設で亡くなったかではありません。 特別養護老人ホーム等で亡くなった場合でも、施設側が看取り介護加算等を算定していなければ1(25,000円)です。告示の注1と注2を並べて読むと、そう書かれています。

先に結論

問い 答え
1と2はいくらか 1が25,000円、2が10,000円。令和8年度改定でも変わっていません(→2章)
1と2は何で分かれるのか 死亡場所ではなく、介護側で看取り介護加算等を算定しているかどうかです(→3章)
15日間に2回とは何を数えるのか 訪問看護基本療養費・精神科訪問看護基本療養費・退院支援指導加算の算定です(→4章)
介護と医療が混在した月は 最後に実施した訪問がどちらの給付だったかで決まります(→5章)
介護保険でも同じ要件か 違います。医療は「2回以上」、介護は「2日以上」。届出の要否も逆です(→6章)
包括型を算定していても取れるか 取れます。包括型の額に加算する療養費として条文に列挙されています(→7章)
記録に何を残すのか 死亡した場所及び死亡時刻等を訪問看護記録書に(→10章)

場面から探す場合は、こちらから。

1. 結論:1と2を分けるのは死亡場所ではない

訪問看護ターミナルケア療養費とは、死亡日およびその前14日以内に2回以上の訪問等を行い、看取りに対応したことを評価する療養費です。利用者の死亡につき1回算定します。区分は2つあり、額は25,000円と10,000円。2.5倍の差があります。

この2つを「1=在宅、2=施設」と整理すると、判定を誤ります。注2が対象を絞っている条件は死亡場所ではなく、介護保険の側で看取りに対する報酬が発生しているかどうかだからです(→3-1で条文を並べます)。

2は施設だから減るのではなく、二重の評価を避けるために調整された額、と読むのが条文に近い理解です。だから判定には、自ステーションの記録ではなく施設側に確認しないと分からない情報が要ります。ここが実務の急所です。

この記事では、額と改定の状況(2章)、1と2の判定(3章)、15日間の数え方(4章)、保険が混在した月の扱い(5章)、介護保険との要件差(6章)、令和8年6月に新設された包括型訪問看護療養費との関係(7章)を、告示と通知の原文で確認しながら見ていきます。

この章の出典

2. 【令和8年6月】額は据え置き。変わったのは適用日と周辺制度

2-1. 令和8年6月1日から適用される額

区分
訪問看護ターミナルケア療養費1 25,000円
訪問看護ターミナルケア療養費2 10,000円
遠隔死亡診断補助加算 1,500円

令和8年厚生労働省告示第74号で確認した額です。同告示の附則には、次のとおり書かれています。

令和八年六月一日から適用する。

診療報酬改定というと4月1日を思い浮かべますが、令和8年度改定の訪問看護療養費関係は6月1日適用です。適用日は推測ではなく、告示の附則で確認できます。改定を扱う記事で適用日を4月1日と書いているものがあれば、そこは附則と合っていません。

2-2. ターミナルケア療養費の額と要件は、今回の改定で動いていない

令和8年度改定は訪問看護療養費にとって大きな改定でした。基本療養費(Ⅱ)の人数区分の細分化、包括型訪問看護療養費の新設、管理療養費の見直し、訪問看護遠隔診療補助料の新設。ただしターミナルケア療養費については、額も注の要件も改正されていません。告示第74号の該当箇所を読んでも、25,000円・10,000円のままです。

「変わっていない」ことは、記事としては地味です。それでも書く価値があるのは、改定のたびに要件を確認し直す作業が現場で発生するからです。何が変わって何が変わっていないかを切り分けておけば、次の改定でも同じ場所を見に行けます。

なお、変わっていないのは医療保険側の話です。介護保険のターミナルケア加算は令和6年度改定で2,000単位から2,500単位に引き上げられており、令和8年度は介護報酬の通常改定年ではありません(→6章)。医療保険=令和8年度改定、介護保険=令和6年度改定が現行という状態が続いています。

この章の出典

3. 療養費1と2の分かれ目|看取り介護加算等を算定しているか

3-1. 告示の注1と注2を並べて読む

注1(療養費1)は、対象をこう定めています。

在宅で死亡した利用者(ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した者を含む。)又は老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の5に規定する特別養護老人ホームその他これに準ずる施設(以下「特別養護老人ホーム等」という。)で死亡した利用者(ターミナルケアを行った後、24時間以内に特別養護老人ホーム等以外で死亡した者を含み、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第21号)別表の1に規定する看取り介護加算その他これに相当する加算(以下「看取り介護加算等」という。)を算定している利用者を除く。)

注2(療養費2)は、こうです。

特別養護老人ホーム等で死亡した利用者(ターミナルケアを行った後、24時間以内に特別養護老人ホーム等以外で死亡した者を含み、看取り介護加算等を算定している利用者に限る。)

注1が「看取り介護加算等を算定している利用者を除く」、注2が「看取り介護加算等を算定している利用者に限る」。同じ「特別養護老人ホーム等で死亡した利用者」を、看取り介護加算等の算定の有無で振り分けている構造です。

3-2. 死亡場所別の判定

【図版1】1・2判定フロー|「在宅か特養等か」→(特養等なら)「施設が看取り介護加算等を算定しているか」→「ターミナルケア後24時間以内か」の3分岐で、25,000円/10,000円/算定不可に振り分けるフローチャート。

死亡した場所・状況 区分
在宅で死亡 1(25,000円)
在宅でターミナルケアを行い、24時間以内に在宅以外で死亡 1(25,000円)
特別養護老人ホーム等で死亡・看取り介護加算等の算定なし 1(25,000円)
特別養護老人ホーム等で死亡・看取り介護加算等の算定あり 2(10,000円)
特別養護老人ホーム等でターミナルケアを行い、24時間以内にそれ以外の場所で死亡 看取り介護加算等の算定の有無で1または2
ターミナルケアを行った後、24時間を超えてから在宅以外で死亡 算定不可

3-3. 24時間以内なら、病院で亡くなっても算定できる

注1・注2はいずれも「ターミナルケアを行った後、24時間以内に在宅以外で死亡した者を含む」と書いています。自宅で看取りの体制をとっていた利用者が急変して救急搬送され、搬送先の病院で亡くなった。この場合でも、ターミナルケアを行った後24時間以内であれば算定の対象です。

逆に、24時間を超えると対象から外れます。搬送された時刻ではなく、ターミナルケアを行った時点から死亡までの時間で見る書き方になっている点に注意してください。

3-4. 施設側への確認が要件の一部になっている

看取り介護加算等を算定しているかどうかは、訪問看護ステーションの記録には出てきません。施設に聞かないと分からない情報が、25,000円と10,000円の分かれ目になっています。

確認をとらずに1で請求し、後から施設側が看取り介護加算等を算定していたと判明すれば、差額15,000円の過大請求になります。看取りの直後は事業所側も落ち着かない時期ですが、施設で亡くなった利用者については、請求前に施設へ確認する手順を決めておくほうが後の処理が軽くなります。

この章の出典

4. 15日間の数え方|何を2回に数えるのか

4-1. 告示は「死亡日及び死亡日前14日以内に、2回以上」

注1・注2に共通する要件です。

その主治医の指示により、その死亡日及び死亡日前14日以内に、2回以上指定訪問看護(区分番号02の注7に規定する退院支援指導加算の算定に係る療養上必要な指導を含む。)を実施し、かつ、訪問看護におけるターミナルケアに係る支援体制について利用者及びその家族等に対して説明した上でターミナルケアを行った場合に算定する。

「死亡日及び死亡日前14日以内」なので、死亡日を含めて15日間です。死亡日当日の訪問も1回に数えます。

【図版2】15日間カレンダー|死亡日を最終日として15マスを並べ、訪問した日にマークを入れた3ケース(①死亡日+前日の2回で成立、②死亡日の訪問なし・14日以内に2回で成立、③1回のみで不成立)を横並びで示す図。

8月20日に亡くなった利用者で考えると、対象になるのは8月6日から8月20日までです。

ケース 訪問した日 判定
8月19日・8月20日(死亡日) 成立。死亡日の訪問も数えます
8月7日・8月18日 成立。死亡日に訪問していなくても構いません
8月20日(死亡日)のみ 不成立。15日間で1回しかありません
8月4日・8月20日 不成立。8月4日は15日間の外です
8月12日に退院支援指導、8月19日に訪問 成立。退院支援指導加算の算定も数えます(→4-2)

④のように、月初の訪問が対象期間から外れているケースは見落としやすいところです。数えはじめる日は月初ではなく、死亡日から14日さかのぼった日になります。

4-2. 退院支援指導加算に係る指導も数える

括弧書きに明記されているとおり、退院支援指導加算の算定に係る療養上必要な指導は、この2回のカウントに含みます。退院してすぐに亡くなったケースで、訪問看護としての訪問が1回しかなくても、退院日の指導を数えれば要件を満たす場合があります。

四国厚生局が留意事項通知の抜粋として示している文言は、カウントの対象をより明確に書いています。

死亡日及び死亡日前14日以内の計15日間に訪問看護基本療養費、精神科訪問看護基本療養費又は退院支援指導加算のいずれかを合わせて2回以上算定し

数えるのは「訪問した回数」ではなく「これらを算定した回数」という整理です。退院支援指導加算の要件と算定日については訪問看護の退院支援指導加算|算定日はいつか・8,400円の要件で扱っています。

4-3. 特別訪問看護指示書に基づく訪問も、医療保険の指定訪問看護

特別訪問看護指示書が交付されている期間の訪問は、医療保険の指定訪問看護として基本療養費を算定します。したがってカウントの対象です。要介護の利用者が末期の状態になり特別訪問看護指示書が出た、という経過をたどった場合、その期間の訪問は15日間の中に入ります。14日という指示期間の数え方は特別訪問看護指示書|14日の数え方と月2回・レセプト記載にまとめました。

4-4. 支援体制の説明も、要件として並んでいる

回数だけを見て安心しがちなところですが、告示は「2回以上……実施し、かつ、訪問看護におけるターミナルケアに係る支援体制について利用者及びその家族等に対して説明した上で」と書いています。回数と説明は並列の要件です。

説明したという事実が記録に残っていなければ、要件を満たしたことを後から示せません。何を残すかは10章で扱います。

この章の出典

5. 介護と医療が混在した15日間はどう判定するか

5-1. 実務でいちばん多い経過

要介護の認定を受けて介護保険で訪問看護に入っていた利用者が、末期の悪性腫瘍と診断される。別表第七に該当するため、そこから医療保険に移る。あるいは特別訪問看護指示書が交付されて14日間だけ医療保険になる。そして亡くなる。

この経過をたどると、死亡日前14日以内に介護保険の訪問と医療保険の訪問が混在します。どちらで算定するのか。

5-2. 最後に実施した訪問がどちらの給付か

四国厚生局が留意事項通知の抜粋として示している文言です。

1つの訪問看護ステーションにおいて、死亡日及び死亡日前14日以内に介護保険制度又は医療保険制度の給付の対象となる訪問看護をそれぞれ1日以上実施した場合は、最後に実施した指定訪問看護が医療保険制度の給付による場合に、訪問看護ターミナルケア療養費を算定する。

判定の基準は最後の訪問です。混在していても、最後が医療保険の給付なら医療保険のターミナルケア療養費を算定する、という整理になります。

ただしこの文言について、ひとつ開示しておきます。令和8年3月5日 保発0305第19号の本文でこの箇所を逐語確認できていません(厚労省のPDFが大部で、該当する第8の部分を取得できませんでした)。四国厚生局が通知の抜粋として示している資料には年度の表記がありません。運用としてこの整理を採る前に、管轄の厚生局に確認するか、通知の第8を直接あたってください。記事末の開示にも挙げています。

5-3. 介護保険でターミナルケア加算を算定したなら、医療の療養費は算定できない

こちらは近畿厚生局の資料に明記があります。

介護保険の訪問看護等においてターミナルケア加算(遠隔死亡診断補助加算を含む。)を算定した場合は、医療保険の訪問看護ターミナルケア療養費(遠隔死亡診断補助加算を含む。)は算定できません。

両方から取ることはできない、という当然の帰結ですが、明文で確認できます。5-2の判定と合わせると、最後の訪問がどちらの給付だったかで一方に寄せ、両取りはしないという設計になっています。

どちらの保険になるかの判定そのものは訪問看護の別表7・別表8|違いと令和8年6月改定の追加項目で扱っています。末期の悪性腫瘍は別表第七に含まれるため、要介護の認定を受けていても医療保険になります。

この章の出典

6. 医療の「2回以上」と介護の「2日以上」

6-1. 同じに見えて、数える単位が違う

介護保険にも訪問看護のターミナルケア加算があります。社会保障審議会の介護給付費分科会に提出された資料が、告示の文言を次のとおり引いています。

在宅で死亡した利用者に対して、別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事に対し、届け出を行った指定訪問看護事業所が死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアを行った場合に加算する。

医療保険は「2回以上」、介護保険は「2日以上」。同じ日に2回訪問した場合、医療保険では2回として要件を満たしうるのに対し、介護保険では1日としか数えません。 介護保険では別の日に2日、訪問が必要になります。

6-2. 対照表

論点 医療保険(ターミナルケア療養費) 介護保険(ターミナルケア加算)
1=25,000円/2=10,000円 2,500単位(死亡月)
回数の要件 死亡日及び死亡日前14日以内に2回以上 死亡日及び死亡日前14日以内に2日以上
同一日2回訪問の扱い 2回として数えうる 1日としか数えない
対象の死亡場所 在宅+特別養護老人ホーム等 告示の文言は「在宅で死亡した利用者」
届出 本体は不要(遠隔死亡診断補助加算のみ届出) 都道府県知事への届出が必要
算定のタイミング 死亡日 死亡月
額の地域差 なし(円建て) あり(単位数のため地域区分で換算額が変わる)
遠隔死亡診断補助加算 1,500円 150単位

届出の要否が逆になっている点は見落とされやすいところです。医療保険のターミナルケア療養費は本体に届出がありませんが、介護保険のターミナルケア加算は体制の届出が前提です。届出を出していなければ、要件を満たしても算定できません。

6-3. 介護保険側は令和6年度改定が現行

介護保険のターミナルケア加算は、令和6年度改定で2,000単位から2,500単位に引き上げられました。令和8年度は介護報酬の通常改定年ではないため、この単位数が現行です。2,000単位と書いている資料があれば、令和6年度改定より前の情報です。

算定の状況も公表されています。介護給付費分科会の資料によれば、令和7年4月審査分でターミナルケア加算を算定した事業所は1,487か所、算定事業所の割合は9%でした(介護保険総合データベースから抽出した各年4月審査分のデータ)。10か所に1か所という水準です。

この9%という数字は、別の加算のハードルにもなっています。介護保険の看護体制強化加算は、前12月間にターミナルケア加算を算定した利用者が(Ⅰ)なら5名以上、(Ⅱ)なら1名以上あることを要件にしています。 看護体制強化加算そのものの算定事業所割合も約10%で、ターミナルケア加算とほぼ同水準です。要件の全体像は看護体制強化加算の記事で扱っています。

6-4. 名前が似ている3つを取り違えない

看取りに関わる報酬は、名前が似たものが並びます。この記事で扱っているのはいちばん上の1つだけです。

名称 制度 算定するのは
訪問看護ターミナルケア療養費 医療保険 訪問看護ステーション
ターミナルケア加算 介護保険 訪問看護事業所
看取り介護加算 介護保険 特別養護老人ホーム等の施設

3章で出てきた看取り介護加算は、訪問看護ステーションが算定するものではありません。施設が算定するものであり、その算定の有無がこちらの療養費1と2を分ける、という関係です。

このほかに、医療機関が算定する別建ての加算もあります。資料を読むときは、金額の大小より先に「誰が算定するものか」を確かめてください。訪問看護ステーションが算定できる加算・療養費の全体像は訪問看護の加算一覧・早見表にまとめています。

この章の出典

7. 包括型訪問看護療養費を算定している利用者を看取った場合

令和8年6月に新設された包括型訪問看護療養費は、届出をした建物に居住している利用者について、訪問看護の費用を包括的に評価する区分です。包括される範囲が広いため、看取りをした場合にターミナルケア療養費が別に取れるのかが問題になります。

留意事項通知の第1の1に、費用の構成が書かれています。包括型訪問看護療養費を算定する場合の額は、

包括型訪問看護療養費の額に、訪問看護情報提供療養費、訪問看護ターミナルケア療養費、訪問看護遠隔診療補助料、訪問看護ベースアップ評価料及び訪問看護物価対応料の額を加えた額

とされています。訪問看護ターミナルケア療養費は、包括型の額に加える療養費として名指しで列挙されています。 包括型を算定している利用者を看取った場合でも、要件を満たせば別に算定できるという読み方になります。

包括型の算定要件・届出・記録書Ⅲの作成は包括型訪問看護療養費|算定要件・点数・届出にまとめました。

なお、看取りの件数は機能強化型訪問看護管理療養費の実績要件にも関わります。要件の詳細は機能強化型訪問看護管理療養費|4の新設と要件・届出で扱っています。

この章の出典

8. 遠隔死亡診断補助加算|1,500円と4つの条件

注4に定めがあります。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た訪問看護ステーションの情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修を受けた看護師が、医科点数表の区分番号C001の注8(区分番号C001-2の注6の規定により準用する場合を含む。)に規定する死亡診断加算を算定する利用者(別に厚生労働大臣が定める地域に居住する利用者に限る。)について、その主治医の指示に基づき、情報通信機器を用いて医師の死亡診断の補助を行った場合は、遠隔死亡診断補助加算として、1,500円を所定額に加算する。

条件を分解すると4つです。

条件 内容
届出 地方厚生局長等への届出が要る
実施者 情報通信機器を用いた在宅での看取りに係る研修を受けた看護師
対象の利用者 医科点数表C001注8の死亡診断加算を算定する利用者で、厚生労働大臣が定める地域に居住する者
指示 主治医の指示に基づく

対象が地域で限定されている点と、医療機関側で死亡診断加算が算定されることが前提になっている点が、他の加算と違うところです。届出の様式番号は国の通知で共通ですが、提出先・受付方法は管轄の厚生局によって案内が異なります。自事業所の管轄局のページで確認してください。

この章の出典

9. 算定できないケースと、重複の禁止

9-1. 他のステーションが算定していれば算定しない

注3です。

1及び2については、他の訪問看護ステーションにおいて訪問看護ターミナルケア療養費を算定している場合には、算定しない。

複数のステーションが関わっていた利用者では、どちらが算定するかを決める必要があります。なお、5-2で引いた「最後に実施した指定訪問看護」の文言は1つのステーション内で保険が混在した場合の整理であり、複数ステーション間でどちらが算定するかを定めた文言は、今回確認した範囲の一次資料には見当たりませんでした。看取りが近い利用者を複数ステーションで担当している場合は、亡くなる前に関係者間で決めておき、判断に迷うときは厚生局に照会してください。

9-2. 算定できない場面

場面 理由
15日間の訪問が1回だけ 注1・注2の「2回以上」を満たさない
主治医の指示によらずターミナルケアを行った 注1・注2の「その主治医の指示により」を満たさない
ターミナルケア後、24時間を超えてから在宅以外で死亡 注1・注2の括弧書きの範囲外
介護保険でターミナルケア加算を算定した 近畿厚生局の資料に算定できない旨の明記あり(→5-3)
他のステーションが算定している 注3
支援体制の説明をしていない・記録がない 注1・注2の「かつ」以下を満たさない
介護保険で体制の届出を出していない(介護側の算定) 告示が届出を要件にしている(→6-2)

9-3. 返戻・過誤への戻し方

請求後に1と2の取り違えや重複が判明した場合の戻し方は、医療保険と介護保険で経路が違います。手順は訪問看護のレセプト返戻|原因と再請求の手順・エラーコード早見表に整理しています。

この章の出典

10. 記録とレセプトに何を残すか

10-1. 死亡した場所及び死亡時刻等

近畿厚生局が、訪問看護記録書への記録が算定要件になっているものを抜き出した資料を公表しています。ターミナルケア療養費については、留意事項通知(令和8年3月5日 保発0305第19号)の第8の6を根拠として、次のとおり示されています。

死亡した場所及び死亡時刻等を訪問看護記録書に記録すること

記録書に書く、という指定です。報告書やレセプトではありません。記録書の様式と記載事項は訪問看護記録書の書き方|Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違いと記入例で扱っています。

10-2. 支援体制の説明も残す

4-4のとおり、支援体制の説明は回数と並ぶ要件です。説明した日、説明した相手、説明の内容(連絡担当者、連絡先、緊急時の対応など)を記録に残しておかないと、要件を満たしたことを示せません。

運営指導で見られるのは書類1枚の出来ではなく、記録どうしの整合です。この観点は訪問看護の運営指導対策|通知が来てからの準備と当日の流れにまとめました。

10-3. 請求前に確認する3点

看取りの直後は、事務作業を落ち着いて進めにくい時期です。請求前に見る箇所を決めておくと取りこぼしが減ります。

  1. 15日間に2回以上の算定があるか(退院支援指導加算を含めて数える)
  2. 特別養護老人ホーム等で亡くなった場合、施設が看取り介護加算等を算定しているか
  3. 死亡した場所と死亡時刻が記録書に書かれているか

10-4. 請求先はご遺族になる

事務の話としてもうひとつ。ターミナルケア療養費は訪問看護療養費の一部なので、利用者の負担割合に応じた一部負担金が生じます。死亡月の請求になるため、窓口はご遺族です。

25,000円という額に負担割合を掛けた金額が、通常の訪問分に上乗せされます。葬儀の直後に届く請求書になるので、金額の内訳と、いつ頃どこへ請求書を送るかを事前に伝えておくかどうかで、受け取り方が変わります。ターミナルケアの支援体制を説明する場面(→4-4)に、費用の説明を組み込んでいる事業所もあります。

看取りの月は、通常の請求作業に加えてこれらの確認が重なります。株式会社ainaruは訪問看護のレセプト請求と関連する事務を代行しています。算定要件を満たすかどうかの判断は貴事業所の看護師が行い、その前後の突合と請求事務をこちらが受けるという形です。外に出せる範囲と出せない範囲の線引きは訪問看護の事務外注|外注できる範囲とコスト比較・選び方で整理しています。

ターミナルケアの請求についてのご相談はこちら

この章の出典

11. よくある質問

死亡日に訪問できませんでした。算定できますか。

15日間のうちに2回以上の算定があれば、死亡日の訪問がなくても要件は満たします。告示は「死亡日及び死亡日前14日以内に、2回以上」であって、死亡日の訪問を必須とはしていません。

同じ日に2回訪問しました。2回に数えられますか。

医療保険では数えられます。介護保険のターミナルケア加算は「2日以上」なので、同一日の2回は1日としか数えません(→6-1)。

利用者が入院して病院で亡くなりました。

ターミナルケアを行った後24時間以内であれば算定できます。24時間を超えると対象外です(→3-3)。

特養で亡くなりました。自動的に2(10,000円)ですか。

いいえ。施設が看取り介護加算等を算定していなければ1(25,000円)です。施設に確認してください(→3章)。

同意書は必要ですか。

告示が求めているのは「支援体制について利用者及びその家族等に対して説明」することで、書面の様式や署名を要件とする文言は告示にありません。ただし説明した事実を後から示せる記録は要ります(→10-2)。

亡くなった後の訪問(エンゼルケアなど)は、15日間の2回に数えられますか。

数えられません。告示が数える対象としているのは「死亡日及び死亡日前14日以内」の実施分です。死亡後に行うケアは、この期間の外にあります。

包括型訪問看護療養費を算定していますが、別に取れますか。

取れます。包括型の額に加える療養費として条文に列挙されています(→7章)。

この章の出典

12. まとめ

判定に必要な情報は、自ステーションの記録の中だけには揃いません。特別養護老人ホーム等で亡くなった利用者では施設側の看取り介護加算等の算定状況が、保険が切り替わった利用者では最後の訪問がどちらの給付だったかが、額を分けます。

15日間に2回以上という要件は、退院支援指導加算を含めて数えます。介護保険側は「2日以上」で、同一日の2回は1日にしかなりません。届出の要否も逆です。

令和8年度改定でターミナルケア療養費の額と要件は動いていません。適用日が6月1日であることと、包括型訪問看護療養費に加算できる療養費として列挙されたことが、今回の改定に関わる変化です。

加算・療養費の全体像は訪問看護の加算一覧・早見表|医療と介護/令和8年6月改定対応にまとめています。

確認しきれなかった点

一次資料で確定できなかった項目です。やってはいけない、という意味ではありません。

項目 状況 照会がつくまでの運用
5-2の「最後に実施した指定訪問看護が医療保険制度の給付による場合に算定する」の現行性 四国厚生局が留意事項通知の抜粋として示している文言だが、同資料に年度の表記がなく、令和8年3月5日 保発0305第19号の第8の本文で逐語確認できていない(厚労省PDFの該当箇所を取得できず) 保険が混在した月の判定は、管轄の厚生局に確認してから運用を決める
4-2の「計15日間に……いずれかを合わせて2回以上算定し」の現行性 同上。ただし告示第74号の注1・注2に「2回以上指定訪問看護(退院支援指導加算の算定に係る療養上必要な指導を含む。)を実施し」とあり、趣旨は告示本文で確認できる 退院支援指導加算を数えることは告示で裏が取れるため、この範囲では問題ない
医療保険側のターミナルケア療養費1・2別の算定件数 厚生労働省「訪問看護療養費実態調査」の第12表・第13表に区分別の利用者数があることは確認したが、実数を取得していないため本記事には掲載していない e-Statから該当年度の表をダウンロードして確認する
介護保険のターミナルケア加算について、他事業所との重複を禁じる明文 医療保険側は告示の注3に明文があるが、介護保険側の対応する規定を確認できていない 複数事業所が関わる場合は保険者に確認する
「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を踏まえた対応が、訪問看護のターミナルケア加算(介護保険)の要件に含まれるか 民間の解説記事には要件として挙げるものがあるが、老企第36号の該当箇所を原文で確認できていない(通知が大部で取得できた範囲に訪問看護のターミナルケア加算の留意事項が含まれていなかった)。本記事ではこの点を要件として記載していない 介護保険側の算定にあたっては老企第36号の訪問看護費の留意事項を直接確認する
複数の訪問看護ステーションが関わっていた場合に、どちらが算定するかを定めた文言 医療保険側の注3は「他のステーションが算定していれば算定しない」という排他の規定であり、どちらが算定すべきかまでは定めていない。留意事項通知第8の全文を確認できていないため、規定の有無自体が未確認 関係者間で事前に決め、判断に迷う場合は厚生局に照会する

参考・出典一覧

厚生労働省(告示・通知)

地方厚生局