専門管理加算は、専門の研修を受けた看護師や特定行為研修を修了した看護師がいる訪問看護ステーションを評価する加算です。医療保険で月1回2,500円、介護保険で月1回250単位。

区分がイとロの2つあり、イは看護師と利用者の状態で決まり、ロはそこに「医師が手順書加算を算定していること」が加わります。ロの条件は告示の括弧書きに置かれているので、研修修了者がいるのに算定できない、ということが起こります。

30秒で判定する

まず保険の種別から。要介護認定を受けていて介護保険で訪問している利用者は9章へ。以下は医療保険(訪問看護療養費)の話です。

# 確認すること どこを見るか 結果
1 緩和ケア・褥瘡ケア・人工肛門ケア及び人工膀胱ケアの研修(600時間以上・修了証あり)を修了した看護師がいるか 修了証の課程名と、その教育機関が公表している総時間数(→4-1) いる → 2へ/いない → 3へ
2 その看護師が担当する利用者に、悪性腫瘍の鎮痛療法・化学療法/真皮を越える褥瘡/人工肛門・人工膀胱で管理が困難、のいずれかがあるか 訪問看護計画書・記録書(探し方は3-2) ある → イの候補
3 特定行為研修の修了者がいて、修了区分が7項目に当たるか 修了証の区分名 当たる → 4へ
4 その利用者について、医師が訪問看護指示料または精神科訪問看護指示料の手順書加算を算定しているか 主治医に確認する。手順書があるだけでは足りない(→5-2) 算定している → ロの候補
5 その看護師本人が、その利用者をその月に訪問しているか 訪問実績(→6章) していない月は算定できない
6 別紙様式7(受理番号 訪看32)を地方厚生局に届け出ているか 届出の控え 出していない → 出すまで算定できない(→7章)

1〜6がそろえば算定できます。同じ利用者について、同じ月にイとロの両方は取れません(別の利用者ならそれぞれ算定できます)。

届出とレセプトだけ知りたい方は7章・8章、算定を決めた後にやることは9章へ進んでください。


1. 医療保険と介護保険に同じ名前の別の加算がある

医療保険(訪問看護療養費) 介護保険(訪問看護費)
加算の位置 訪問看護管理療養費の注12 訪問看護費の加算
額 月1回 2,500円 月1回 250単位
新設 令和4年度診療報酬改定 令和6年度介護報酬改定
基準の告示 平成18年3月6日 厚生労働省告示第103号 第一の六の(8) 平成27年3月23日 厚生労働省告示第95号 七の二
届出の通知 保医発0305第9号 別添 届出基準7 指定権者の案内による
届出先 地方厚生(支)局長 指定権者(都道府県・指定都市・中核市)
様式 別紙様式7(受理番号 訪看32) 体制等状況一覧表ほか
支給限度額 (制度なし) 管理対象=枠内(→9-1)

新設の年が2年ずれています。医療保険版が先で令和4年度、介護保険版が令和6年度です。医療保険版を「令和6年度新設」と書いている解説もありますが、令和4年度改定の中医協資料に「専門性の高い看護師による訪問看護における専門的な管理の評価の新設」として掲載されており、そこが初出です。

要件の中身(3分野の研修・特定行為・月1回)は両者でほぼ同じに作られています。違うのは額と届出の経路、そして支給限度額の扱いです。この記事は医療保険を主軸に書き、介護保険との差は9章にまとめます。

医療機関(病院・診療所)が算定する在宅患者訪問看護・指導料にも同名の専門管理加算(250点)がありますが、これは医療機関側の加算で、訪問看護ステーションが算定するものとは別建てです。

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2. 専門管理加算の算定要件 — イとロの違いを1枚で

告示の注12は、イとロを並べて「月1回に限り、次に掲げる区分に従い、いずれかを所定額に加算する」と書いています。額は同じ2,500円です。

イ ロ
看護師の要件 緩和ケア・褥瘡ケア・人工肛門ケア及び人工膀胱ケアの専門の研修(600時間以上)を修了 特定行為研修を修了(訪問看護で専門の管理を必要とする7行為に限る)
利用者側の要件 悪性腫瘍の鎮痛療法・化学療法を行っている/真皮を越える褥瘡/人工肛門・人工膀胱を造設していて管理が困難 医師が手順書加算を算定している
額 2,500円/月1回 2,500円/月1回
共通 その看護師自身が訪問し、計画的な管理を行うこと。届出(別紙様式7)が必要 同左

同じ利用者について、同じ月にイとロの両方は取れません。「いずれかを」と書かれているためです。研修修了者と特定行為研修修了者が両方いる事業所でも、1人の利用者について1か月に加算されるのは2,500円が上限になります。

分かれ目は利用者側の条件です。イは利用者の状態で決まり、ロは医師が手順書加算を算定しているかで決まります。

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3. 専門管理加算イの対象者(緩和ケア・褥瘡・人工肛門)

告示の注12イは、括弧書きで対象を絞っています。

イ 緩和ケア、褥瘡ケア又は人工肛門ケア及び人工膀胱ケアに係る専門の研修を受けた看護師が計画的な管理を行った場合(悪性腫瘍の鎮痛療法若しくは化学療法を行っている利用者、真皮を越える褥瘡の状態にある利用者又は人工肛門若しくは人工膀胱を造設している者で管理が困難な利用者に対して行った場合に限る。) 2,500円

3つの状態です。3つ目の要件語は「管理が困難な」で、この「管理が困難」が何を指すかは告示ではなく留意事項通知が定義しています。

分野 告示の要件 通知による「管理が困難」の定義
緩和ケア 悪性腫瘍の鎮痛療法または化学療法を行っている ―
褥瘡ケア 真皮を越える褥瘡の状態にある ―
人工肛門・人工膀胱ケア 造設している者で管理が困難 周囲の皮膚にびらん等の皮膚障害が継続または反復して生じている状態、または人工肛門・人工膀胱のその他の合併症を有する

3行目に注意が要ります。告示は「管理が困難な」としか書いておらず、この語だけを見ると判断できません。通知の定義まで降りると、合併症だけでなく、周囲の皮膚障害が継続または反復している状態も含まれます。ストーマ周囲のスキントラブルを繰り返している利用者は対象になりえます。

なお、この定義は医科の在宅患者訪問看護・指導料(C005 注16)の留意事項通知で確認したものです。訪問看護療養費側の留意事項通知の逐語はこの記事では取得できていません(→確認しきれなかった点)。

3-1. 「真皮を越える褥瘡」とは

褥瘡ケアの対象は深さで決まります。医科点数表の留意事項通知では、真皮を越える褥瘡を次のように定義しています。

  • NPUAP分類のⅢ度またはⅣ度
  • DESIGN-R2020分類(日本褥瘡学会)のD3、D4またはD5

d2までの浅い褥瘡は対象になりません。訪問看護記録書に深さの評価(DESIGN-Rのスコア)を残しておくと、算定根拠として説明しやすくなります。記録の書き方は訪問看護記録書の書き方で扱っています。

3-2. 該当しそうな利用者の探し方

条文を読んでも自分の利用者は出てきません。名簿から引くほうが早いので、分野ごとの引き方を挙げます。

分野 どこを見るか
緩和ケア 訪問看護指示書の主傷病名が悪性腫瘍の利用者を抜く。そのうち鎮痛療法(医療用麻薬の管理)や化学療法を行っている人が候補
褥瘡ケア 計画書に褥瘡処置が入っている利用者を抜き、記録書のDESIGN-RでD3以上を拾う。真皮までのd2は対象外
人工肛門・人工膀胱ケア 計画書のケア内容に「ストーマ」「装具交換」がある利用者を抜き、周囲のスキントラブルを繰り返している人・合併症のある人を拾う

ロは順序が逆になります。手順書はステーションに交付されるので、手元に手順書がある利用者のリストが出発点です。そこから、手順書の特定行為が7項目に当たるか、担当できる修了者がいるかを見ます。

洗い出した名簿は、月次のレセプト点検の手元に置いてください。月1回の加算は、算定漏れに翌月では気づけません。点検の型は訪問看護の加算の算定漏れで整理しています。

【図版1】イの対象者の判定図(3分野それぞれの状態を並べ、褥瘡はDESIGN-RのD3〜D5が対象、人工肛門・人工膀胱は「管理が困難」の定義まで降りることを示す)

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4. 「専門の研修」は資格名ではなく600時間で決まる

イの看護師要件でよく誤解されるのが、認定看護師や専門看護師の資格が必要だという理解です。届出通知は資格名で要件を書いていません。

届出基準の7(専門管理加算に関する基準)は、3分野それぞれについて「600時間以上を要し、修了証が交付される研修」であることと、研修に含むべき内容を並べています。緩和ケアなら疼痛緩和ケア総論・症状緩和支援・コンサルテーション方法・実習など、褥瘡ケアならリスクアセスメントとケアの知識技術、人工肛門・人工膀胱ケアなら皮膚障害のアセスメントとケアの知識技術、といった具合です。

判定は3点です。600時間以上か、修了証が交付されるか、通知が挙げる内容を含むか。認定看護師教育課程がこの要件を満たすため、結果として認定看護師が該当することが多くなります。ただし資格があるから算定できるのではなく、判定の対象はその人が受けた研修そのものです。

4-1. 修了証だけでは判定できない

手元にあるのは修了証です。ところが修了証に総時間数が書かれていることはまずありません。書いてあるのは分野名・課程名・修了年月日・実施機関です。

600時間を確認する道筋は2つあります。修了証の課程名と実施機関を控えて、その機関が公表している課程概要・カリキュラム表の総時間数を見る。あるいは実施機関に問い合わせて、時間数の分かる書面をもらう。届出には研修を修了したことが確認できる文書を添付するので、どのみち書面は要ります。

あわせて確認したいのがA課程かB課程かです。B課程は特定行為研修を組み込んだ認定看護師教育課程なので、B課程の修了者は、分野によってはイの「専門の研修」とロの「特定行為研修」の両方に当たる可能性があります。届出の記載区分(→7章)を1〜3にするか4にするかがここで変わります。

専門看護師の大学院課程が届出基準7の要件に当たるかも、課程ごとの時間数と内容によります。資格名では判定しないという原則は認定看護師と同じで、大学院を修了しているから自動的に該当する、という読み方はできません。

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5. ロの2つの限定 — 特定行為7項目と、医師側の請求

ロの限定は2つ。特定行為の範囲と、医師側の請求です。

5-1. 対象となる特定行為は7つだけ

特定行為研修は38行為21区分ありますが、この加算で認められるのは、届出基準7が挙げる7つに限られます。以下の引用の「ア〜キ」はこの7つを数えるための記号で、加算の区分を表すイ・ロとは別の体系です。引用中の「イ」は胃ろうカテーテル等の交換を指します。

ア 気管カニューレの交換
イ 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
ウ 膀胱ろうカテーテルの交換
エ 褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
オ 創傷に対する陰圧閉鎖療法
カ 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
キ 脱水症状に対する輸液による補正

特定行為研修の修了者がいるだけでは足りません。修了したのがこの7つに係る研修かどうかで判定します。区分によっては該当しないので、届出の前に修了証の区分名を確認してください。

5-2. 医師が手順書加算を算定していることが要件

告示の注12ロは、対象をこう絞っています。

ロ 特定行為研修を修了した看護師が計画的な管理を行った場合(医科点数表の区分番号C007の注3又は区分番号I012―2の注3に規定する手順書加算を算定する利用者に対して行った場合に限る。) 2,500円

C007は訪問看護指示料、I012―2は精神科訪問看護指示料で、いずれもその注3が手順書加算(150点)です。精神科の利用者でも、医師が精神科訪問看護指示料の手順書加算を算定していればロの対象になります。

問題は、医師のレセプトはこちらから見えないことです。確認する方法は聞くしかありません。手順書を受け取った時点で、主治医または医療機関の事務にこう確認します。

特定行為研修を修了した看護師が◯◯(特定行為名)を担当します。当ステーションで専門管理加算を算定するには、先生側で訪問看護指示料の手順書加算(150点)を算定していただいていることが要件になります。今回、手順書加算での算定は可能でしょうか。

手順書だけ交付され、加算は算定していない、という状態がありえます。手順書がある=ロが取れる、ではありません。 断られた場合、ロは算定できないので、その利用者がイの対象に当たらないかを見ることになります。指示書まわりの実務は訪問看護指示書の記載事項と有効期間で整理しました。

手順書は交付されたら終わりでもありません。医師と共に、利用者の状態に応じて妥当性を定期的に検討することが求められます。レセプトには手順書の交付年月日と直近の見直し年月日を書く欄があるので(→8章)、見直しの記録は請求のためにも要ります。

【図版2】ロの成立条件の図(特定行為7項目の研修修了+医師の手順書交付+手順書加算の算定+その看護師の訪問、の4つが揃って初めて算定できることを示す)

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6. その看護師自身が訪問する

イ・ロに共通する要件です。加算の名前が「管理」なので書類上の管理でよいと読めますが、該当する看護師が実際に訪問する必要があります。

医科の在宅患者訪問看護・指導料の同名加算の留意事項通知は、「定期的(1月に1回以上)に訪問看護・指導を行うとともに、当該患者に係る訪問看護・指導の実施に関する計画的な管理を行った場合に、月1回に限り所定点数に加算する」と書いています。訪問看護療養費側も同じ建て付けと読めますが、療養費側の通知の逐語はこの記事では確認できていません(→確認しきれなかった点)。

いずれにせよ、その月に該当看護師が1度もその利用者を訪問していなければ算定の前提を欠きます。ほかのスタッフが訪問していても代わりにはなりません。

6-1. 基本療養費(Ⅰ)ハ・(Ⅱ)ハとは別の制度(イ・ロの続きではありません)

専門の研修を受けた看護師が関わる仕組みには、もう1つ別建てのものがあります。訪問看護基本療養費(Ⅰ)ハ・(Ⅱ)ハです。

専門管理加算 基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)のハ
位置 訪問看護管理療養費の加算 訪問看護基本療養費そのもの
額 2,500円/月1回 12,850円/月1回(令和8年6月時点の額は要確認)
内容 該当看護師が訪問して計画的な管理 悪性腫瘍の利用者に対する専門研修看護師による訪問。他のステーション等の看護師と共同して同一日に行うことが算定の条件
届出 別紙様式7(訪看32) 別紙様式4(訪看26)

この「ハ」は基本療養費の区分で、専門管理加算のイ・ロの続きではありません。額の桁が違うので、取り違えると影響が大きい項目です。 届出も別で、片方を出しているからもう片方も算定できる、という関係にはありません。

同じ利用者に同じ月に両方を算定できるかは、告示に排他規定が見当たらないため文理上は可能と読めますが、留意事項通知・疑義解釈で確認できていません。実際に両方を算定する前に地方厚生局へ照会してください(→確認しきれなかった点)。

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7. 専門管理加算の届出 — 別紙様式7と受理番号 訪看32

要件を満たしていても、届出をしていない期間は算定できません。

項目 内容
様式 別紙様式7(専門管理加算に係る届出書)
受理番号 訪看32
提出先 訪問看護ステーションの所在地を管轄する地方厚生(支)局長
記載区分 「1 緩和ケア/2 褥瘡ケア/3 人工肛門ケア及び人工膀胱ケア/4 特定行為」+該当看護師の氏名
添付書類 研修を修了したことが確認できる文書
該当看護師が複数いる場合 様式の氏名欄に該当者を記載する。分野が違えば分野ごとに記載する。届け出た看護師であれば誰が訪問しても対象になるが、1人の利用者について月1回・2,500円が上限であることは変わらない
届出後 受理通知を保管する。運営指導では、届出の控え・受理通知・修了を確認できる文書・該当看護師の訪問実績を突き合わせられます

算定を始められる時期は「受理」で決まります。各月の月末までに受理されたものは翌月から、月の最初の開庁日に受理された場合はその月の1日から算定できます。介護保険の15日ルールとは別の考え方なので、両方を扱う事業所は混同しないでください(介護側の届出時期は訪問看護ステーション開業時の届出と請求実務で整理しています)。

7-1. 該当看護師が辞めたら変更届

届出に記載した看護師が退職し、新たに同じ研修を修了した看護師を雇用した場合、変更の届出が必要です。令和4年度の疑義解釈が「専門管理加算の算定要件に影響する変更であるため、変更の届出が必要」と答えています。

届出の名簿と実際の在籍が食い違ったまま算定を続ければ、実態のない届出に基づく請求になります。研修修了者が辞めるときは、退職手続きの一覧に届出の点検を1行足しておいてください。

届出とレセプトの実務を外に出せます。 株式会社ainaruの事務代行は、届出の管理と月次のレセプト業務をまとめてお引き受けしています。

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8. レセプト記載方法 — 明細書の項目61と1〜4の選び方

この記事には記号が4体系出てきます。ここで一度そろえます。

告示の区分 何で決まるか 別紙様式7の記載区分 レセプト(項目61)
イ 緩和ケアの研修+悪性腫瘍の利用者 1 緩和ケア 1
イ 褥瘡ケアの研修+真皮を越える褥瘡 2 褥瘡ケア 2
イ 人工肛門・人工膀胱ケアの研修+管理が困難 3 人工肛門ケア及び人工膀胱ケア 3
ロ 特定行為研修(ア〜キの7項目)+手順書加算 4 特定行為 4(括弧内に特定行為の内容)

届出とレセプトは同じ1〜4です。 イ・ロという記号が出てくるのは告示だけで、様式にもレセプトにも登場しません。訪問看護基本療養費の「(Ⅰ)ハ」「(Ⅱ)ハ」のハは基本療養費の区分で、この表とは無関係です(→6-1)。

訪問看護療養費明細書では、訪問看護管理療養費の欄の項目61が専門管理加算です。

61 専門管理加算  1 緩和ケア 2 褥瘡ケア 3 人工肛門・人工膀胱ケア 4 特定行為(  )

ロを算定する場合は、あわせて手順書の交付年月日と直近の見直し年月日を記載する欄があります。5-2で触れた「医師と共に妥当性を検討する」という要件が、そのままレセプトの記載事項になっている形です。見直しをしていなければ書く日付がありません。

摘要欄の記載事項の詳細は記載要領の別表に定められていますが、この記事では専門管理加算の行の逐語を確認できていません(→確認しきれなかった点)。記載で迷ったら提出先の国保連または支払基金の手引きで確認してください。返戻になった場合の対応は訪問看護のレセプト返戻の原因と対応で扱っています。

8-1. 請求ソフトで設定するもの

届出が受理されたら、算定開始月の請求データを作る前に設定を入れます。触る場所はソフトによりますが、内容は共通です。

  • 医療保険 — 明細書の管理療養費欄で項目61を有効にし、利用者ごとに1〜4のどれを選ぶかを登録する。ロ(4)の利用者は、手順書の交付年月日と直近の見直し年月日の入力欄を埋める。日付が空だと出力されないか、返戻の対象になります
  • 介護保険 — 事業所情報の体制設定に専門管理加算を立て、利用者ごとの加算設定でイ・ロを選ぶ。体制設定だけでは請求に乗りません

算定開始月の1件目を作ったら、送信前に印刷して項目61と日付欄を目で見てください。月1回の加算は、間違えると気づくのが翌月以降になります。

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9. 介護保険の専門管理加算との違い

要介護の利用者に介護保険で訪問看護を提供している場合は、介護保険側の専門管理加算になります。

医療保険 介護保険
額 2,500円/月1回 250単位/月1回
区分 イ・ロ(同額) イ・ロ(同額)
基準の告示 告示第103号 第一の六の(8) 告示第95号 七の二
届出 別紙様式7・訪看32・地方厚生局 体制等状況一覧表ほか・指定権者
算定開始 月末までに受理→翌月/月の最初の開庁日に受理→当月1日 15日以前に受理→翌月/16日以降→翌々月
支給限度額 (制度なし) 管理対象=枠内

告示95号の七の二は「次のいずれかに該当するものであること」として、イに専門の研修を受けた看護師の配置、ロに特定行為研修修了者の配置を挙げています。医療保険側の告示103号 第一の六の(8)と同じ構造です。対象となる利用者の範囲も、令和6年度介護報酬改定の資料では医療保険側と同じ3類型+手順書加算として示されています。

数字の見た目は10倍違いますが、実際の額はほぼ同じです。250単位は1単位10円の地域で2,500円。地域区分によって上下はありますが、医療保険の2,500円とおおむね同じ水準に着地します。介護のほうが桁が小さい、と読まないでください。

介護保険の算定開始時期は、指定権者ごとに受理の考え方(到着日か消印か、開庁日の扱い)が異なる場合があります。提出先の案内で確認してください。

9-1. 介護保険では区分支給限度基準額の枠内に入る

医療保険にはない論点がここです。介護保険の専門管理加算250単位は、区分支給限度基準額の管理対象です。

訪問看護費の加算のうち限度額の枠外に置かれているのは、算定構造の注記によれば、特別地域訪問看護加算、中山間地域等における小規模事業所加算、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算、緊急時訪問看護加算、特別管理加算、ターミナルケア加算、サービス提供体制強化加算、介護職員等処遇改善加算の8つです。専門管理加算はここに入っていません。

特別管理加算が枠外なので同じ扱いと考えたくなりますが、別です。毎月250単位が限度額を消費します。すでに限度額いっぱいでサービスを組んでいる利用者では、この250単位が超過分になって全額自己負担に変わります。

算定を始める月の前月中に、担当ケアマネジャーへ連絡してください。 「◯月から専門管理加算250単位を算定します」と伝えれば、居宅サービス計画の調整が要るかどうかはケアマネジャー側で判断できます。事後に伝えると、利用者の負担が予定と変わってから発覚することになります。

利用者・家族への説明も同じタイミングです。医療保険なら月2,500円、負担割合が3割で月750円、1割で250円が支払いに乗ります。介護保険は250単位に地域単価を掛けた額の1〜3割です。明細に見慣れない項目が増えるので、初回の請求書が届く前に説明しておくほうが問い合わせは減ります。料金表を載せた重要事項説明書を使っている事業所は、加算欄の追記も要ります。

介護保険の加算全体の位置づけは訪問看護の加算一覧・早見表に、体制届まわりはサービス提供体制強化加算の勤続年数の数え方にまとめています。

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10. 他の加算との関係と、研修投資の判断

専門管理加算は訪問看護管理療養費の加算なので、管理療養費に乗る他の加算と並びます。

相手 併算定 補足
特別管理加算 できる 別の注に基づく加算で、排他規定はありません(特別管理加算の対象者と区分)
24時間対応体制加算 できる 同上(24時間対応体制加算の区分と届出)
機能強化型訪問看護管理療養費 できる 注12は「所定額に加算する」なので、機能強化型の額に上乗せします(機能強化型訪問看護管理療養費の施設基準)
専門管理加算のイとロ できない 同じ利用者・同じ月については「いずれかを」加算するため
基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)のハ 別制度 届出も額も別。同月併算定は要確認(→6-1)

包括型訪問看護療養費(令和8年6月新設)を算定する場合、告示の注8は、同一日に基本療養費・精神科基本療養費・管理療養費は算定できないとしたうえで、ただし書きで例外を列挙しています。列挙されているのは基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)のハ、緊急訪問看護加算、乳幼児加算、精神科緊急訪問看護加算、24時間対応体制加算で、末尾は「以外の加算については、この限りではない」です。専門管理加算は列挙外なので文理上は算定できると読めますが、留意事項通知・疑義解釈では確認できていません(→確認しきれなかった点)。包括型そのものは包括型訪問看護療養費の算定要件で扱っています。

10-1. この加算だけで研修費は回収できない

数字を置くと判断が早くなります。専門管理加算は1人の利用者につき月2,500円、年間3万円です。該当する利用者が常時3人いても年9万円。認定看護師教育課程は受講料に加えて、6か月から1年その看護師が現場から抜けます。この加算単体では合わない、というのが素直な計算です。

判断するなら、同じ研修修了者が効く先を並べます。訪問看護基本療養費(Ⅰ)ハ・(Ⅱ)ハは額の桁が違います。機能強化型訪問看護管理療養費1の施設基準には専門の研修を受けた看護師の配置が含まれます。そして専門管理加算。3つに同じ1人が効きます。

逆に言えば、この加算を単独の投資判断の材料にすると、必ず「合わない」という答えが出ます。機能強化型を取りに行く計画があるかどうかが、実際の分かれ目です。

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11. 令和8年度改定での扱い(変更なし)と算定の実態

令和8年6月の診療報酬改定で、訪問看護管理療養費そのものは大きく組み替わりました。管理療養費1・2の統合、月の初日の評価、訪問日数や同一建物居住者数による細分化などです。

そのなかで専門管理加算は動いていません。基準告示(告示第103号)は令和8年3月5日の改正を経て令和8年6月1日から適用されていますが、第一の六の(8)は「訪問看護管理療養費の注12に規定する専門管理加算の基準」として現行の要件をそのまま置いています。額の2,500円も改正告示で維持されており、厚生労働省の訪問看護ステーション向け改定説明資料にも専門管理加算は登場しません。介護保険側も、令和8年6月改定箇所を示した算定構造で250単位・月1回限度のままです。

算定の実態については、医療保険側の届出数・算定回数を集計した公的統計を確認できませんでした。参考になるのは介護保険側の数字です。厚生労働省が令和8年6月29日の介護給付費分科会に出した資料では、介護保険の専門管理加算の算定事業所は291か所・事業所ベースで1.7%(令和7年11月審査分)でした。

この1.7%が要件の重さを表しているのか、要件を満たしながら届け出ていない事業所を含んでいるのかは、資料からは分かりません。自分の事業所がどちらかは、修了証を並べれば30分で分かります。

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12. よくある質問

認定看護師でなければ算定できませんか

いいえ。資格名では判定しません。600時間以上で修了証が交付され、通知が挙げる内容を含む研修であればよく、結果として認定看護師教育課程が該当することが多いというだけです。専門看護師の大学院課程についても同じで、課程の時間数と内容で見ます(→4-1)。

特定行為研修を1区分だけ修了した看護師でもロを算定できますか

その区分が届出基準7の挙げる7つの特定行為に係るものなら該当します。7つに含まれない区分だけを修了している場合は該当しません。修了証の区分名で確認してください。

研修修了者はいるのに算定できないと言われました

ロで多いのは手順書加算の見落としです。医師が訪問看護指示料または精神科訪問看護指示料の手順書加算を算定している利用者でなければロは算定できません(→5-2)。イで多いのは、該当看護師自身がその月に訪問していないケースです(→6章)。

届出をしていない期間の分を遡って算定できますか

できません。届出前の期間は対象外です。

イとロの両方の看護師がいる場合、両方算定できますか

同じ利用者については、どちらか一方です。

同じ利用者に医療保険と介護保険をまたいで算定できますか

その月にどちらの保険で訪問看護を提供しているかによります。要介護の利用者でも、別表第七の疾病等に該当するなどの場合は医療保険の訪問看護になります。保険の切り分けは別表第七・別表第八の対象者で整理しました。

届け出た看護師が退職したらどうなりますか

変更の届出が必要です。同じ研修を修了した看護師を新たに雇用した場合も、算定要件に影響する変更として届け出ます(→7-1)。

機能強化型を届け出ていれば専門管理加算も算定できますか

別の届出です。機能強化型訪問看護管理療養費1の施設基準に専門研修看護師の配置が含まれますが、専門管理加算を算定するには別紙様式7を別に提出する必要があります。同じ看護師が両方の要件に効くという関係で、届出が兼ねられるわけではありません。

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まとめ

この加算でつまずく場所は決まっています。研修の判定を資格名でしてしまうこと、特定行為研修を修了していればロが取れると思うこと、そして該当看護師が訪問していない月にも算定してしまうこと。

要件を分解すると、看護師・利用者・訪問・届出の4つです。看護師は600時間の研修か7項目の特定行為研修。利用者は3つの状態か、医師が手順書加算を算定していること。訪問はその看護師自身が行う。届出は別紙様式7を地方厚生局へ。この4つが同じ月に揃った利用者だけが対象になります。

介護保険で算定するなら、もう1つ。250単位は区分支給限度基準額の枠内なので、算定を始める前月にケアマネジャーへ連絡します。特別管理加算が枠外だからといって同じ扱いにすると、限度額いっぱいの利用者で超過が出ます。

介護保険側の算定事業所は1.7%でした。要件が重いのは確かです。ただしその数字は、要件を満たしていない事業所と、満たしているが届け出ていない事業所を区別していません。まず修了証の課程名を並べ、次に該当しそうな利用者を数え、最後に届出の有無を見る。順番はそれで足ります。

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この章の出典


確認しきれなかった点

本文に書けるだけの一次資料を確認できなかった項目です。算定できない・要件が存在しないという意味ではありません。

項目 状況 照会がつくまでの運用
訪問看護療養費側の留意事項通知(保発0305第19号 第5)の専門管理加算の項の逐語 通知が大部で該当ページを取得できず。医科の在宅患者訪問看護・指導料(C005 注16)の留意事項で内容を代替確認した。「管理が困難」の定義と月1回以上の訪問はこちらに依拠している 医科側の定義に沿って運用し、判断が際どい事例は地方厚生局へ照会する
「真皮を越える褥瘡」の訪問看護療養費側の定義の逐語 医科の留意事項でNPUAP分類Ⅲ度・Ⅳ度/DESIGN-R2020のD3・D4・D5と確認したが、療養費側の逐語は未取得 DESIGN-Rのスコアを記録に残す
基本療養費(Ⅰ)ハ・(Ⅱ)ハの12,850円が令和8年6月以降も同額か 現行告示で12,850円を確認したが、令和8年3月5日告示第74号の区分番号01で改定の有無を確認できていない 額を根拠に判断する前に現行告示で確認する
別紙様式4・受理番号 訪看26の令和8年度版での維持 令和8年度の届出様式一覧で訪看32は確認したが、訪看26は未確認 地方厚生局の令和8年度届出様式ページで確認する
レセプト摘要欄の記載事項の逐語 記載要領の別表(Excel)の専門管理加算行を未確認。明細書様式の項目61と選択肢は確認済み 提出先の国保連・支払基金の手引きで確認する
基本療養費(Ⅰ)ハと専門管理加算の同月併算定 排他規定が見当たらず文理上は可能と読めるが、通知・疑義解釈で未確認 地方厚生局へ照会する
包括型訪問看護療養費(区分04)と専門管理加算の併算定 告示の注8のただし書きの列挙外であることは逐語で確認したが、通知・疑義解釈で未確認 地方厚生局へ照会する
認定看護師教育課程A課程・B課程の総時間数 課程ごとに教育機関が公表しているため、記事では数値を断定していない 修了証の課程名から教育機関の公表値を確認する
届出の添付書類の具体的な形式 「研修を修了したことが確認できる文書」が届出基準に書かれているが、一覧形式で足りるかを示した一次資料は未確認 提出先の地方厚生局に形式を確認する
医療保険版の届出数・算定回数の公的統計 中医協資料・社会医療診療行為別統計・訪問看護療養費実態調査を当たったが確認できず 介護保険側の1.7%を参考値として扱い、医療保険版の数値としては使わない

参考・出典一覧

告示

通知・疑義解釈

改定資料・審議会資料

地方厚生局