訪問看護物価対応料は、令和8年6月1日に新設された訪問看護療養費の区分番号08です。ガソリン代・光熱水費・医療材料費といった物件費の高騰に対応するための上乗せで、1日につき60円または20円。届出は要りません。要件を満たす請求をしていれば、6月1日から自動的に算定できています。

額は小さいものの、押さえる点が4つあります。「月1回」の定額ではなく1日につき積み上がること。物価対応料には1と2があり、どちらが付くかは算定している療養費で自動的に決まること。利用者負担にも乗ること。そして令和9年6月からの倍額が、すでに告示に書き込まれていることです。

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項目 内容
何か 物件費高騰への上乗せ。訪問看護療養費の区分番号08(→1章
届出 不要。施設基準もなし(→5章
いくら 1=月の最初の訪問日60円・2日目以降20円/2=20円。いずれも1日につき(→2章
どちらが付くか 訪問看護管理療養費を算定していれば1/包括型訪問看護療養費なら2(→3章
レセプト 明細書の項目74(物価対応料1)・項目75(物価対応料2)(→6章
利用者負担 乗ります。3割負担で月数十円の増(→7章
令和9年6月から 倍額(120円・40円・40円)。告示に明記済み(→10章
今やること 6月分以降のレセプトに項目74・75が載っているかを1件見るだけ(→5章

急ぎの方は5章(手続きの要否)と6章(レセプトの見方)だけで足ります。


1. 区分番号08 — 物件費の高騰に対する上乗せ

令和8年度の診療報酬改定は、賃上げと並んで「物価対応」を柱にしました。厚生労働省の改定説明資料は趣旨をこう書いています。

医療機関等が直面する人件費や、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等といった物件費の高騰を踏まえた対応

この対応は訪問看護だけのものではなく、医科・歯科・調剤にも同種の項目が新設されています。訪問看護療養費の区分番号は、令和8年6月から01(基本療養費)・01-2(精神科基本療養費)・02(管理療養費)・03(情報提供療養費)・04(包括型)・05(ターミナルケア療養費)・06(遠隔診療補助料)・07(ベースアップ評価料)・08(物価対応料)という並びになっています。医療保険の訪問看護の報酬全体の並びは訪問看護の加算一覧で整理しています。

改定率の面では、令和8年度改定+3.09%(2か年平均。年度別は令和8年度+2.41%・令和9年度+3.77%)のうち物価対応分が+0.76%と切り分けられ、2か年で設定されているため、物価対応料は令和9年6月に倍になる作りです(→10章)。

クリニックの「外来物価対応料」とは別の項目

主治医の医療機関の明細に載る「外来物価対応料」(初診時2点など)は、医科の点数表の項目で、訪問看護ステーションが算定するものではありません。名前が似ているため利用者から続けて聞かれることがありますが、別々に算定される別項目です。並べると次のとおりで、訪問看護だけが「円」なのは、訪問看護療養費がもともと点数ではなく円建てで定められているためです。

領域 項目名 令和8年度 令和9年6月以降
医科外来 外来物価対応料(初診時) 2点 4点
医科外来 外来物価対応料(再診時等) 2点 4点
医科外来 外来物価対応料(訪問診療時) 3点 6点
歯科 歯科外来物価対応料(初診時/再診時等) 3点/1点 6点/2点
調剤 調剤物価対応料(処方箋受付時・3月に1回まで) 1点 2点
訪問看護 訪問看護物価対応料1・2 60円・20円/20円 120円・40円/40円

この記事で扱うのは、この表のいちばん下、訪問看護物価対応料(円建て)だけです。

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2. 訪問看護物価対応料の額 — 月1回ではなく「1日につき」

告示(令和8年厚生労働省告示第74号による改正後の告示第67号)の区分番号08を逐語で引きます。

08 訪問看護物価対応料(1日につき)
1 訪問看護物価対応料1(1日につき)
 イ 月の初日の訪問の場合 60円
 ロ 月の2日目以降の訪問の場合 20円
2 訪問看護物価対応料2(1日につき) 20円

区分名にも各項目にも「1日につき」と書かれています。月1回の定額ではありません。訪問した日(正確には対応する療養費を算定する日)ごとに積み上がります。

ここでいう「月の初日」は暦の1日ではなく、その月に最初に管理療養費を算定した日、つまりその月の最初の訪問日を指す読み方です。物価対応料1の「月の初日60円・2日目以降20円」という刻みは、訪問看護管理療養費の「月の初日の訪問の場合」「月の2日目以降の訪問の場合」とまったく同じ文言・同じ構造で、月の途中から訪問が始まった利用者でも最初の訪問日が60円になります(この読みの逐語根拠は→確認しきれなかった点)。

月の訪問日数別の月額はこうなります(物価対応料1の場合。「60」はその月最初の訪問日の分)。

月の訪問日数 計算 月額(令和8年度) 月額(令和9年6月以降)
月4日 60+20×3 120円 240円
月8日 60+20×7 200円 400円
月12日 60+20×11 280円 560円

利用者1人では月数百円ですが、全利用者に自動で付くため、事業所単位の合計は別の桁になります(→5章)。

【図版1】1か月のカレンダー図(管理療養費が付く日に物価対応料1が連動して付くこと、その月最初の訪問日だけ60円で以降20円であることを示す)

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3. 物価対応料1・2の算定要件 — 管理療養費なら1、包括型なら2

1と2のどちらを算定するかは、その利用者にどの療養費を算定しているかで自動的に決まります。告示の注1・注2です。

注1 1については、訪問看護ステーションが、区分番号02の訪問看護管理療養費を算定している利用者1人につき、訪問看護物価対応料1として、区分に従い、それぞれ所定額を算定する。
注2 2については、訪問看護ステーションが、区分番号04の包括型訪問看護療養費を算定している利用者1人につき、訪問看護物価対応料2として、所定額を算定する。

利用者が算定している療養費 付くもの
訪問看護管理療養費(区分番号02) 物価対応料1(初日60円・2日目以降20円)
包括型訪問看護療養費(区分番号04) 物価対応料2(20円)

包括型を算定する利用者は同一日に管理療養費を算定しないので、1と2が同じ利用者に重なることはありません。管理療養費か包括型のどちらかを算定していれば、対応する側の物価対応料が付く、という排他の関係です。逆に、どちらも算定していない日(自費契約の日など)には付きません。

包括型(令和8年6月新設の1日包括評価)の対象や要件は包括型訪問看護療養費の算定要件で扱っています。機能強化型訪問看護管理療養費を算定している事業所も、管理療養費の系列なので付くのは1です(機能強化型訪問看護管理療養費の施設基準)。

【図版2】1と2の分かれ目フロー図(利用者→管理療養費なら1・包括型なら2・どちらも算定していなければ付かない、と分岐することを示す)

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4. 精神科訪問看護の利用者にも付く

見落とされやすい点です。注1の要件は「訪問看護管理療養費を算定している利用者」であって、基本療養費の種類を問いません。

精神科訪問看護基本療養費(区分番号01-2)の利用者も、管理療養費(区分番号02)は同じものを算定します。したがって精神科の利用者にも物価対応料1が付きます。精神科特化のステーションでも、この上乗せは全利用者分発生しています。

付くのは管理療養費を算定した日だけです。物価対応料は基本療養費ではなく管理療養費・包括型に紐づいているので、算定日数は管理療養費の算定日数と原則一致します。レセプト点検のときは、初日分を含めた項目74の日数の合計と管理療養費の日数がそろっているかを見れば足ります(→6章)。なお、利用者が複数のステーションを併用していて自分のステーションが管理療養費を算定しない場合の扱いは、明示した資料を確認できていません(→記事末の開示表に整理しています)。

精神科訪問看護の報酬の全体像は精神科訪問看護基本療養費の算定要件と自己負担へ。

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5. 訪問看護物価対応料に届出は不要 — 6月1日から自動算定

この点数に施設基準はなく、地方厚生局への届出も要りません。

根拠は2つの資料の「不在」です。届出手続の通知(令和8年3月5日 保医発0305第9号)が挙げる届出必要項目の一覧には、精神科訪問看護基本療養費・24時間対応体制加算・特別管理加算・機能強化型・専門管理加算・医療DX情報活用加算・包括型・遠隔診療補助料・ベースアップ評価料まで並んでいますが、物価対応料はありません。地方厚生局の令和8年度届出様式一覧にも物価対応料の様式は存在しません。届出が要る項目はすべて様式が用意されているなかで、物価対応料だけがない、という形で「届出不要」が確認できます。

つまり、何も手続きしていなくても、令和8年6月1日から算定できています。裏を返すと、算定していなければ単純な取りこぼしです。

開業したばかりのステーションも同じで、要件を満たせば初月のレセプトから載る項目です。初月請求そのものの流れは訪問看護の初月請求の記事で整理しています。

届出が不要でも、見ておくことは3つあります。

  1. マスター更新。 請求ソフトのマスターが令和8年6月版になっているか。更新後に自動で算定されるかどうかはソフトごとに違うので、次の2で実物を見て判断してください。
  2. レセプトへの反映。 ソフトのレセプトプレビューで6月分か7月分の明細書を1件開き、項目74(包括型なら75)の欄に額が入っているかを見ます。入っていればその事業所は対応済みです。
  3. 漏れていた場合の拾い方。 まるごと請求していない月の分は、月遅れ請求で出せます。一方、すでに提出したレセプトから物価対応料だけが漏れていた場合は月遅れ請求ではなく、審査支払機関にレセプトを取り下げて(返戻依頼をして)請求し直すか、増額の再審査等の請求をするか、のいずれかの手続きになります。増額方向の訂正は提出先の国保連・支払基金で運用が分かれることがあるため、実行前に提出先へ確認してください(→確認しきれなかった点)。手順の全体像は訪問看護の加算の算定漏れにまとめました。

事業所単位でいくらになるか

1人月200円でも、束になると形が変わります。医療保険の利用者50人・1人あたり月8日訪問の事業所で単純計算すると、月10,000円・年12万円。令和9年6月以降は月20,000円・年24万円です(告示の額からの自前の計算で、公的な試算ではありません)。この額は何かをして増やすものではなく、請求が正しければ自動的に入り、漏れていればそのまま消えるものです。算定実績の公的統計はまだなく、社会医療診療行為別統計に載るのは早くても令和9年調査分からです。

改定のたびに増える「見るだけの項目」は、1つずつは数分でも、積み重なると月次の請求業務を圧迫します。株式会社ainaruの訪問看護の事務外注(レセプト業務の代行)は、いまお使いの請求ソフトのまま、改定対応を含む月次のレセプト業務をお引き受けしています。お問い合わせフォームからご相談ください。

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6. レセプトの書き方 — 項目74と75

訪問看護療養費明細書には、令和8年6月から物価対応料の欄が2つ新設されています。

項目番号 名称 記入の構成
74 物価対応料1 円 + 円 × 日(月の初日分+2日目以降の単価×日数)
75 物価対応料2 円 × 日(単価×日数)

項目74は月の初日と2日目以降を分けて書く構成です。月8日訪問なら「60円+20円×7日」で200円になります。

訪問看護療養費マスターには3つのコードが新設されています。

コード 内容 金額
590005710 物価対応料1(月の初日の訪問の場合) 60円
590005810 物価対応料1(月の2日目以降の訪問の場合) 20円
590005910 物価対応料2 20円

点検のときは1点だけ注意してください。項目74の「×日」に立つ日数は2日目以降の分なので、管理療養費の算定日数と直接比べると必ず1日ずれて見えます。初日の1日と項目74の「×日」の日数を足した数が、管理療養費の算定日数と一致しているか(包括型なら項目75の日数と包括型の日数)を見ます。月8日訪問なら1+7=8日で管理療養費とそろいます。ずれていたら、どちらかの算定が漏れているか重複しています。記載要領は令和8年3月27日の改正通知(保医発0327第2号)で物価対応料に対応していますが、別添の記載例の逐語はこの記事では確認できていないので(→確認しきれなかった点)、細部で迷ったら提出先の審査支払機関の手引きを確認してください。返戻になった場合の対応は訪問看護のレセプト返戻の原因と対応で扱っています。

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7. 利用者負担に乗る

物価対応料は「指定訪問看護の費用の額」そのものに算入されます。留意事項通知の第1(通則)が、費用の額の構成をこう定めています。

指定訪問看護の費用の額は、訪問看護基本療養費又は精神科訪問看護基本療養費の額に、訪問看護管理療養費、訪問看護情報提供療養費、訪問看護ターミナルケア療養費、訪問看護遠隔診療補助料、訪問看護ベースアップ評価料及び訪問看護物価対応料の額を加えた額並びに包括型訪問看護療養費の額に、訪問看護情報提供療養費、訪問看護ターミナルケア療養費、訪問看護遠隔診療補助料、訪問看護ベースアップ評価料及び訪問看護物価対応料の額を加えた額の合計金額とすること。

費用の額に入る以上、基本利用料(1〜3割の定率負担)の計算基礎に含まれます。利用者の支払いは増えます。実額は小さく、月8日訪問の利用者で月200円の上乗せに対し、1割負担で20円、3割負担で60円です。令和9年6月以降はこの倍になります。

6月から明細の見た目は変わっています。「物価対応料」という見慣れない項目名について聞かれたら、物件費高騰に対応する国の制度改定で、全国の訪問看護で一律に算定されているものと説明すれば足ります。公費負担医療を併用している利用者については、費用の額に算入される以上、公費の対象に含まれるのが原則の読み方ですが、個別の公費ごとの運用を明示した資料は確認できておらず、保険者・公費の実施機関への確認事項として記事末の開示表に挙げています。

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8. ベースアップ評価料との違い — 賃上げと物価は別枠

令和8年度改定の上乗せには、名前も目的も違う2本があります。混同しやすいので並べます。

訪問看護ベースアップ評価料(区分番号07) 訪問看護物価対応料(区分番号08)
目的 賃上げ(職員の賃金改善の原資) 物価対応(物件費高騰の補填)
算定単位 月1回 1日につき
届出 必要(賃金改善計画・実績報告あり) 不要
使いみち 賃金改善に充てる縛りあり 縛りなし
改定率上の位置づけ 賃上げ分 +1.70% 物価対応分 +0.76%

ベースアップ評価料は「職員に配るためのお金」で、届出と実績報告が要ります。物価対応料は「事業所の経費を賄うためのお金」で、手続きも使途の縛りもありません。片方を算定しているからもう片方が不要、という関係ではなく、要件を満たせば両方付きます。

なお、介護保険側の賃上げは介護職員等処遇改善加算が担っています(加算そのものは令和6年度創設で、訪問看護費には令和8年6月から1.8%で適用)。医療のベースアップ評価料とは別制度です。

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9. 介護保険の訪問看護には同種のものがない

物価対応料は医療保険(訪問看護療養費)だけの制度です。令和8年6月の臨時介護報酬改定で介護保険の訪問看護に入ったのは介護職員等処遇改善加算で、物価対応に相当する加算は設けられていません。

実務で効いてくるのは保険の切り替わりです。同じ利用者でも、医療保険で訪問した月には物価対応料が付き、介護保険で訪問した月には付きません。要介護の利用者が別表第七の疾病等への該当や特別訪問看護指示書の交付で医療保険に切り替わる月は、物価対応料も動きます。月の途中で切り替わった月は、その月に最初に管理療養費を算定した日が60円、以降が20円になる読み方です(→2章)。判断を左右する額ではありませんが、月ごとの収入を突き合わせるとき、保険の振り分けでこの差が出ることは知っておいて損はありません。保険の切り分けそのものは別表第七・別表第八の対象者で確認できます。

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10. 令和9年6月から倍額になる — すでに告示に書いてある

告示の注3です。

注3 1及び2に規定する所定額については、令和9年6月以降は、当該所定額の100分の200に相当する額を算定する。

60円は120円に、20円は40円になります。改めて改定を待つ必要はなく、倍額はすでに現行の告示に条文として入っています。 令和8年度改定の改定率が2か年平均+3.09%(令和8年度+2.41%・令和9年度+3.77%)で設定されたことに対応した作りです。

ただし、無条件の倍額ではありません。大臣折衝の資料には、経済・物価の動向が見通しから大きく変動し、医療機関等の経営状況に支障が生じた場合には「令和9年度予算編成において加減算を含め更なる必要な調整を行う」とあり、条件付きながら上下双方向の調整余地が残されています。令和10年度以降の扱いを書いた資料は確認できていません。

事務の実務としては、令和9年6月に請求ソフトのマスター更新を確認する、が唯一のやることです。利用者向けの料金表を単価入りで作っている事業所は、そのタイミングで差し替えが要ります。

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11. よくある質問

何か届出や手続きは必要ですか

不要です。施設基準がなく、届出様式も存在しません。令和8年6月1日から自動的に算定対象です(→5章)。

月1回の算定ですか

いいえ、1日につきです。管理療養費(または包括型)を算定する日ごとに付きます。月8日訪問なら月200円です(→2章)。

同じ日に2回訪問した場合は2回分付きますか

付きません。告示の単位は「1日につき」なので、1日に複数回訪問しても物価対応料はその日1回分です(→2章)。

1と2の両方を算定できますか

同じ利用者には重なりません。管理療養費の利用者に1、包括型の利用者に2で、排他の関係です。

精神科訪問看護でも算定できますか

できます。精神科訪問看護基本療養費の利用者も管理療養費を算定するので、物価対応料1の対象です(→4章)。

主治医のクリニックの明細にある「外来物価対応料」と同じものですか

別の項目です。外来物価対応料は医科の点数表の項目で、訪問看護ステーションが算定する円建ての訪問看護物価対応料とは別々に算定されます(→1章)。

介護保険の利用者にも付きますか

付きません。医療保険の訪問看護療養費だけの制度です。介護保険側に同種の加算はありません。

労災や自賠責の訪問看護でも付きますか

この記事で確認した範囲では分かりませんでした。物価対応料は健康保険の訪問看護療養費の告示に基づく項目のため、労災・自賠責での扱いは各制度の定めを確認してください(→確認しきれなかった点)。

6月分の算定が漏れていました。遡って請求できますか

拾えますが、手続きは状況で変わります。その月をまるごと請求していなければ月遅れ請求、すでに提出したレセプトから物価対応料だけが漏れていたのであれば、取下げ(返戻依頼)のうえでの再請求か、増額の再審査等の請求です。増額方向の訂正の運用は提出先の審査支払機関に確認してください(→5章)。

利用者への説明義務や院内掲示のような義務はありますか

訪問看護の物価対応料について説明・掲示を義務づけた規定は、この記事で確認した告示・通知の範囲では見当たりませんでした。ただし利用者負担は実際に変わっているので、明細について聞かれたときに答えられる準備はしておいてください(→7章)。

ベースアップ評価料を算定していれば物価対応料は不要ですか

別枠です。ベースアップ評価料は賃上げ、物価対応料は物件費で、要件を満たせば両方算定します。

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まとめ

訪問看護物価対応料は、手続きが要らない代わりに、気づかないまま漏れることもある点数です。届出も計画書も実績報告もなく、管理者が判断することはありません。6月分以降のレセプトに項目74(包括型なら75)が載っているかを1件見て、載っていなければ請求し直す。未請求の月なら月遅れ請求、提出済みの分なら取下げ・再請求などの手続きです。ここまでで終わりです。

次に手が動くのは令和9年6月の倍額切り替えで、やることはソフトのマスター更新の確認と、単価入りの料金表を配っている事業所はその差し替えだけです。

物価対応料のように「届出は不要だが、漏れても誰も教えてくれない」項目は、改定のたびに増えていきます。月次のレセプト点検ごと任せたい場合は、株式会社ainaruの訪問看護のレセプト業務の代行をご検討ください。ご相談はお問い合わせフォームから受け付けています。

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確認しきれなかった点

本文に書けるだけの一次資料を確認できなかった項目です。算定できない・要件が存在しないという意味ではありません。

項目 状況 照会がつくまでの運用
「月の初日」=その月最初の訪問日という読みの逐語根拠 管理療養費の「月の初日の訪問の場合」の従来運用からの類推で、物価対応料について明示した通知・疑義解釈は未確認 管理療養費の初日と同じ日に60円が付いているかをレセプトで見て、ずれていたら審査支払機関に確認する
提出済みレセプトに算定漏れがあった場合の増額請求の方法 取下げ(返戻依頼)後の再請求か、増額の再審査等の請求かは、審査支払機関ごとに運用が分かれることがある 実行前に提出先の国保連・支払基金に確認する
記載要領の項目74・75の記載例の逐語 改正通知が保医発0327第2号(令和8年3月27日)であることは特定したが、別添の記載例の逐語は未取得 提出先の審査支払機関の手引きで確認する
複数の訪問看護ステーションを併用する利用者の扱い 管理療養費を算定しないステーションでは注1を満たさず物価対応料も算定できないと読めるが、明示した資料は未確認 地方厚生局へ照会する
労災保険・自賠責の訪問看護での扱い 健康保険の告示に基づく項目のため別制度での扱いは対象外だが、労災・自賠責側の資料は未確認 労災は労働局・自賠責は損害保険会社側の基準を確認する
公費負担医療を併用する場合の個別公費ごとの取扱い 費用の額に算入されるため公費の対象に含まれるのが原則の読み方だが、個別公費の運用を明示した通知は確認できず 保険者・自治体・公費の実施機関に確認する
疑義解釈その3以降における物価対応料の問答の有無 その1(令和8年3月24日)・その2(令和8年4月1日)に物価対応料の問答がないことは確認した 厚生労働省の疑義解釈の続報を確認する
令和10年度以降の扱い 令和9年6月の倍額は告示注3で確認したが、令和10年度以降に触れた資料は確認できず 令和10年度診療報酬改定の議論を待つ
訪問看護ベースアップ評価料の現行の金額・区分 この記事では比較表に金額を載せていない 算定する場合は現行告示で確認する

なお、留意事項通知(保発0305第19号)は全文を確認し、物価対応料について費用の額への算入(第1通則)以外に独立した節がないことを確認済みです。


参考・出典一覧

告示

通知

改定資料・審議会資料

地方厚生局