サービス提供体制強化加算は、勤続年数の長い職員がいる訪問看護ステーションを評価する介護保険の加算です。区分は2つ。勤続7年以上の職員が3割いれば(Ⅰ)で1回6単位、勤続3年以上が3割いれば(Ⅱ)で1回3単位が、訪問のたびに加算されます。

額は小さく見えますが、月400回訪問する事業所なら(Ⅰ)で月2,400単位。体制さえ満たしていれば毎回自動的に付く加算としては、届出1枚の割に効きます。それでも全国の算定率は(Ⅰ)10.3%・(Ⅱ)21.0%にとどまっています。

名前がまぎらわしい看護体制強化加算とはまったく別の加算です。この記事では、要件の逐語、勤続年数の数え方、30%の計算、届出、そして両加算の違いまでを一次資料で整理しました。

30秒で判定する

# 確認すること 結果
0 介護保険の訪問看護費を算定しているか いいえ → この加算はない(医療保険に同名の加算はない →1章
1 看護師等のうち勤続7年以上が常勤換算で30%以上 はい → (Ⅰ)6単位/回の候補(→3章4章
2 7年は届かないが、勤続3年以上30%以上 はい → (Ⅱ)3単位/回の候補(→3章4章
3 研修計画・定期的な会議・健康診断の3つを実施しているか 3つとも必要。1つでも欠けると算定できない(→2章

※看護師等=保健師・看護師・准看護師に、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を含めて数えます。事務職員は入りません(→3-3)。勤続年数は法人内の別事業所の分も通算できます(→3-1)。

割合は前年度(4月〜2月)の常勤換算の平均で判定します。届出は算定を始めたい月の前月15日までに受理が原則(締切は指定権者で異なります →5章)。看護体制強化加算との違いだけ知りたい方は7章へ進んでください。


1. 単位数と全体像 — 介護保険だけの加算

サービス提供体制強化加算は介護保険の訪問看護費・介護予防訪問看護費に置かれた加算で、医療保険の訪問看護療養費に同じ名前の加算はありません。医療保険側で体制を評価する仕組みは機能強化型訪問看護管理療養費などが担っており、建て付けが違います。

また、他のサービス(訪問介護・通所介護・施設など)の同名加算に出てくる介護福祉士の割合や勤続10年以上の区分は、訪問看護にはありません。訪問看護の要件は看護師等の勤続7年・3年の2区分だけです。検索で介護全般向けの解説に当たった方は、そちらの数字は忘れて読み進めてください。

区分 訪問看護費イ(ステーション)・ロ(病院・診療所)を算定している場合 定期巡回連携(ハ)を算定している場合 介護予防訪問看護
サービス提供体制強化加算(Ⅰ) 1回につき6単位 1月につき50単位 1回につき6単位
サービス提供体制強化加算(Ⅱ) 1回につき3単位 1月につき25単位 1回につき3単位

(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できません。報酬告示(平成12年厚生省告示第19号)の注に「次に掲げるいずれかの加算を算定している場合においては、次に掲げるその他の加算は算定しない」とあり、どちらか一方です。訪問看護ステーション・みなし指定の病院診療所(イ・ロ)は訪問1回ごと、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と連携して訪問看護費ハを算定している利用者については月額になります。介護予防に定期巡回連携の区分はありません。

要件は「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年3月23日 厚生労働省告示第95号)の第十号にあります(介護予防訪問看護は同告示第百五号が第十号を準用)。読むと分かるとおり、この加算は勤続年数の要件だけではありません。

この章の出典


2. 要件は勤続年数だけではない — 体制の3点セット

告示95号第十号が(Ⅰ)に求める要件は4つあります。枚方市が公開している告示抜粋から引きます。

(1)指定訪問看護事業所の全ての看護師等に対し、看護師等ごとに研修計画を作成し、当該計画に従い、研修(外部における研修を含む。)を実施又は実施を予定していること。
(2)利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は当該指定訪問看護事業所における看護師等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催すること。
(3)全ての看護師等に対し、健康診断等を定期的に実施すること。
(4)当該指定訪問看護事業所の看護師等の総数のうち、勤続年数七年以上の者の占める割合が百分の三十以上であること。

(Ⅱ)は(1)〜(3)が同じで、(4)が「勤続年数三年以上の者の占める割合が百分の三十以上」に変わります。

つまり勤続年数の割合は4要件のうちの1つです。割合を満たしていても、看護師等ごとの研修計画がない、会議を開いていない、健康診断を実施していない状態では算定できません。ここは運営指導でも見られる部分で、割合の計算根拠と合わせて、研修計画・会議録・健診の実施記録を残しておく必要があります。

3つの体制要件は、日常の運営でやっていることと地続きです。会議はおおむね月1回以上の開催が目安とされ、テレビ電話等での開催も認められています。研修計画だけは注意が要ります。「全ての看護師等に対し、看護師等ごとに」なので、事業所共通の年間計画1枚では足りず、個別の計画が必要です。

この章の出典


3. 勤続年数の数え方

この加算の実務は、結局この数え方に尽きます。基準日・通算・職種の3点を順に見ます。数え方のルールは解釈通知(老企第36号)にあり、指定権者が届出案内で書き下しています。宮城県の提出書類案内から引きます。

勤続年数とは、各月の前月の末日時点における勤務年数をいう。

基準日は「各月の前月末日」です。 4月に算定するなら3月31日時点、10月なら9月30日時点の勤続年数で数えます。「前年度の3月31日で固定」ではありません。

3-1. 同一法人なら通算できる

同一法人であれば、異なるサービスの事業所での勤続年数や異なる職種(直接処遇を行う職種に限る。)における勤続年数については通算することができる。

3つのことが読み取れます。

同一法人内なら、別の事業所・別のサービスでの勤務期間を足せます。法人内の病院や特養で看護師として働いていた期間も、訪問看護ステーションに異動してきた時点で通算されます。訪問看護での勤続が1年でも、法人内で7年働いていれば「勤続7年以上」です。

通算できるのは直接処遇の職種に限られます。法人内で総務や経理をしていた期間は足せません。職種が違っても、直接処遇なら通算できます。法人内の特養で介護職員として働いた後に看護師資格を取って異動してきた職員なら、介護職員としての期間も足せます。

逆に、法人が違えば通算できません。グループ会社でも別法人なら別カウントです。中途採用の職員は、前職がどれだけ長くても自事業所の法人での勤続から数え直しになります。なお、法人の合併や事業譲渡で法人格が変わった場合については、通算できるとする指定権者の解説があります(新座市の届出案内)。該当する事業所は、自社のケースを提出先に確認してください。

3-2. 産休・育休の期間は通算できる

産前産後休業・育児休業・介護休業の期間は、雇用関係が続いているので勤続年数に通算できます(新座市の届出案内ほか、指定権者の解説で確認できます)。休業で現場を離れていた期間を差し引く必要はありません。病気休職の扱いを明示した資料には到達できていないため、該当者がいる場合は指定権者に確認してください(→確認しきれなかった点)。

【図版1】勤続年数の数え方のタイムライン図(法人内の病院勤務→ステーション異動→産休育休→現在、を1本の線で示し、通算される区間を塗り分ける)

3-3. 誰の勤続年数を数えるか

分母・分子になるのは「当該指定訪問看護事業所の看護師等の総数」です。この「看護師等」は人員基準の省令(平成11年厚生省令第37号)第60条が定義していて、「看護師その他の指定訪問看護の提供に当たる従業者」を指します。同条は看護職員(保健師・看護師・准看護師)と理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を看護師等として並べているので、リハビリ職も分母・分子の両方に入ります。勤続の長いリハビリ職がいる事業所は分子が増える方向に働きます。事務職員は入りません。 指定訪問看護の提供に当たる従業者ではないからです。

この章の出典


4. 30%の計算方法

割合の計算ルールも宮城県の案内が書き下しています。

職員の割合の算出は、常勤換算方法により算出した前年度の実績の平均(4月〜2月)に基づき計算する。

条文は短いですが、実務で誤りやすい点が3か所埋まっています。

実人数ではなく常勤換算です。 常勤の基準は事業所の就業規則で定める勤務時間で、これが週32時間を下回る場合は32時間として扱います。週40時間が常勤の事業所なら、週20時間のパート職員は0.5人です。頭数で「7人中3人だから42%」と計算してはいけません。なお、育児・介護休業法の短時間勤務制度を使っている職員は、週30時間以上の勤務で常勤1.0人として扱えます。時短中のベテランがいる事業所は、この特例で分子が立つことがあります(32時間・30時間の根拠通知の逐語は未取得です。→確認しきれなかった点)。

前年度の平均です。 届出時点や直近月のスナップショットではなく、前年度の各月の常勤換算を平均します。

「4月〜2月」で、3月が入りません。 前年度といっても3月を含めない11か月の平均です。年度末の退職で3月だけ割合が落ちても、翌年度の判定には響かない作りになっています。

4-1. 計算例

看護職員とリハビリ職あわせて常勤換算6.0人の事業所を考えます。前年度(4月〜2月)の平均で、勤続7年以上が常勤換算1.5人なら 1.5÷6.0=25%で(Ⅰ)は届きません。勤続3年以上が2.4人なら 2.4÷6.0=40%で(Ⅱ)を満たします。月の訪問が400回なら、(Ⅱ)3単位×400回=月1,200単位、年間14,400単位。地域区分にもよりますが年15万円前後です。

(Ⅰ)が取れれば倍の6単位。勤続7年以上の職員が辞めずに残っているかどうかが、そのまま報酬の差になります。

注意したいのは、採用でも割合が動くことです。常勤換算6.0人・勤続7年以上1.8人(ちょうど30%)の事業所が、10月に常勤の新人を1人採用したとします。前年度平均の分母は4月〜9月が6.0人、10月〜2月が7.0人で、11か月平均は約6.45人。分子は1.8人のままなので約27.9%となり、翌年度の(Ⅰ)は算定できません。増員の判断を曲げる必要はありませんが、採用した年は翌年度の届出区分が変わりうることを、採用を決めた時点で織り込んでおいてください。

4-2. 新規開設の事業所は「前3月」で入る

前年度の実績が6月に満たない事業所については、届出月の属する前3月について計算する。

前年度実績が6か月に満たない場合(新規開設・再開を含む)は、届出月の前3か月の常勤換算で計算します。つまり開設から3か月の実績ができれば、4か月目以降に届出できます。

ただし条件が付きます。

前3月の実績により計算した場合は、届出以降、毎月継続的に所定の割合を維持しなければならない。割合を下回った場合、加算の取り下げが必要となる。

前3月方式で入った事業所は、毎月30%を維持し続ける義務を負います。毎月割合を記録し、下回ったら速やかに取り下げの届出です。前年度平均方式(年1回の判定)とはここが違います。

【図版2】判定方式の対比図(前年度4月〜2月平均で年1回判定のルートと、前3月+毎月維持のルートを並べる)

この章の出典


5. 届出 — 様式と15日ルール

この加算は届出をして初めて算定できます。体制要件を満たしているだけでは1単位も付きません。

提出先は指定権者(都道府県・指定都市・中核市。窓口は自治体により委託先のことがあります)。出すものは、介護給付費算定に係る体制等に関する届出書、体制等状況一覧表、そして加算別の添付書類(「サービス提供体制強化加算に関する届出書」。勤続年数の計算書を求める指定権者もあります)です。体制等状況一覧表では訪問看護の行の「サービス提供体制強化加算」欄で「Ⅰ」または「Ⅱ」を選びます。

期限は15日ルールです。 居宅サービスの加算の届出は、月の15日以前に受理されれば翌月から、16日以降なら翌々月からの算定になります(老企第36号 第一の1⑹。令和6年3月15日改正版で原文を確認しています。届出まわりの全体像は開業時の届出の記事で整理しています)。東京都のように「適用月の前月15日必着」と案内する指定権者もあるので、締切は提出先の案内で確かめてください。令和8年4月以降は電子申請届出システム経由を原則とする指定権者が増えています。

一度届け出た後、翌年度も要件を満たし続けている場合に毎年度の再届出が要るかどうかは、指定権者によって運用が分かれます。再届出不要(ただし毎年度の要件確認記録は保管)とする自治体もあれば、毎年度の提出を求める自治体もあります。ここは全国共通のルールとして書けないので、提出先の案内に従ってください。

5-1. 受理されたら、算定開始月までにやること

届出が受理されたら、算定開始月が始まる前に3つ済ませます。

担当ケアマネジャーへの連絡。 訪問のたびに単位数が乗るので、サービス提供票・利用票別表の単位数と利用者負担額が変わります。この加算は区分支給限度基準額の算定対象に含めない扱いとされているので、限度額ぎりぎりの利用者でもサービス量を削る必要はないはずですが、根拠通知の逐語は未確認です(→FAQ)。給付管理側の扱いはケアマネジャーと合わせて確認してください。

重要事項説明書の料金表の更新。 利用料に直結する変更なので、料金表を差し替えて利用者・家族に説明します。

請求ソフトの体制設定。 事業所情報の加算体制を(Ⅰ)または(Ⅱ)に切り替え、適用開始年月を合わせます。届出だけ出してソフトの設定を忘れると、算定開始月の請求から漏れます。

この章の出典


6. 割合を下回ったとき — 取下げと過誤

要件は取ったら終わりではありません。割合が30%を割った場合の義務が2通りあります。

前3月方式で届け出た事業所は、4-2で見たとおり毎月の維持義務があり、下回った月に速やかに取下げの届出です。前年度平均方式の事業所は年1回の判定なので月々の変動では動きませんが、翌年度の判定で30%を割っていれば、4月からは算定できません。3月中に取下げ(変更)の届出をして、請求ソフトの体制設定も切り替えます。

危ないのは、割合が落ちたことに気づかず算定を続けた場合です。届出内容と実態が合っていない算定は、運営指導で確認されれば過誤調整(返還)の対象になります。1回6単位でも、全訪問×数か月分となれば額はまとまります。運営指導で何をどう見られるかは運営指導対策の記事で、過誤申立の手順は加算の算定漏れの記事で整理しています。

逆のパターンもあります。要件を満たしているのに届出をしておらず、算定できたはずの期間を逃しているケースです。体制届が出ていない期間は遡って算定できません。 気づいた時点で届け出て、翌月(または翌々月)からのスタートになります。

この章の出典


7. サービス提供体制強化加算と看護体制強化加算の違い

検索でもっとも混同されているのがこの2つです。並べると別物であることが分かります。この章でも、単に(Ⅰ)(Ⅱ)と書くときはサービス提供体制強化加算の区分を指します。看護体制強化加算にも(Ⅰ)(Ⅱ)がありますが、別の区分です。

サービス提供体制強化加算 看護体制強化加算
評価しているもの 職員の定着(勤続年数) 重度者への対応体制(緊急時・特別管理・ターミナルの実績)
単位数 (Ⅰ)6単位・(Ⅱ)3単位/1回につき (Ⅰ)550単位・(Ⅱ)200単位/1月につき(介護予防は100単位)
主な要件 勤続7年(Ⅰ)・3年(Ⅱ)以上が30%+研修・会議・健診 緊急時訪問看護加算の算定割合50%以上、特別管理加算20%以上、看護職員6割以上。ターミナルケア加算の実績は看護体制強化加算(Ⅰ)のみの要件
要件の性格 職員構成で決まる 利用者への算定実績で決まる
判定期間 前年度4月〜2月の平均(原則) 算定日が属する月の前6月間・前12月間

サービス提供体制強化加算は職員側、看護体制強化加算は利用者側の実績です。要件が交差しないので、両方の基準を満たせば両方算定できます(報酬告示の注が禁じているのは(Ⅰ)と(Ⅱ)の重複だけで、看護体制強化加算との併算定を妨げる規定は置かれていません)。

看護体制強化加算の要件の詳細は看護体制強化加算の記事で扱っています。あちらは看護職員6割以上という職員構成の要件を含むため、リハビリ職の多い事業所では、こちらのサービス提供体制強化加算だけが現実的な選択肢になることがあります。その場合も、リハビリ職の訪問割合によっては理学療法士等の8単位減算が同時に発動している可能性があるので、加算と減算をセットで棚卸ししてください。

この章の出典


8. 全国でどれだけ算定されているか

厚生労働省が令和8年6月29日の介護給付費分科会に出した資料に、加算別の算定状況があります(令和7年11月審査分)。

加算 算定事業所数 算定率(事業所ベース)
サービス提供体制強化加算(Ⅰ) 1,794か所 10.3%
サービス提供体制強化加算(Ⅱ) 3,668か所 21.0%

あわせても3割です。裏を返せば、7割の事業所はこの加算を算定していません。要件を満たさないのか、満たしているのに届け出ていないのかは統計からは分かりませんが、勤続3年以上30%という(Ⅱ)の水準は、開設から数年経った事業所なら届いていることが珍しくない要件です。自事業所の常勤換算表で一度計算してみる価値はあります。

計算はこの記事の3章4章の手順どおりです。前年度の勤務実績データ(常勤換算表)と職員名簿(入職日)があれば、1時間かからず判定できます。名簿の入職日は、事業所への配属日ではなく法人に入った日で作ってください。3-1の通算があるため、配属日で数えると分子を取りこぼし、実際には取れる加算を「取れない」と誤判定します。

この章の出典


9. 改定の経緯 — 令和3年に2区分化、その後は据え置き

この加算の現在の形は令和3年度改定でできました。勤続7年以上を評価する(Ⅰ)が新設され、従来の勤続3年要件が(Ⅱ)になった2区分制です。

その後の改定では動いていません。令和6年度改定では単位数・要件とも変更なし。令和8年6月の臨時改定でも変更はありません(この改定で訪問看護に入ったのは介護職員等処遇改善加算の新設で、既存の加算の単位数は据え置きです)。

体制まわりで近年動いたのは、むしろ減算の側です。令和6年度改定で業務継続計画未策定減算・高齢者虐待防止措置未実施減算理学療法士等の訪問に係る8単位減算が入りました。体制届の点検をするなら、この加算の届出と合わせて減算側の要件も同じタイミングで見るのが効率的です。訪問看護の加算の全体像は加算一覧の記事にまとめています。

この章の出典


10. よくある質問

准看護師も勤続年数の計算に入りますか

入ります。省令37号第60条は保健師・看護師・准看護師を「看護職員」として看護師等に含めており、准看護師も分母・分子の両方に数えます。准看護師の訪問に係る100分の90の減算(報酬側)とは別の話です。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は入りますか

入ります。3-3のとおり、省令37号第60条の「看護師等」は指定訪問看護の提供に当たる従業者を指し、リハビリ職も分母・分子の両方に数えます。

事務職員は入りますか

入りません。数えるのは看護師等(直接処遇の職種)です。同一法人内の通算でも、直接処遇以外の職種として働いた期間は足せません。

医療保険の訪問看護にもこの加算はありますか

ありません。介護保険(訪問看護費・介護予防訪問看護費)だけの加算です。医療保険の訪問だけの利用者には付きません。

看護体制強化加算と両方取れますか

取れます。告示のただし書きが禁じているのは(Ⅰ)と(Ⅱ)の重複だけで、看護体制強化加算との併算定を妨げる規定はありません。要件が交差しないので、両方満たす事業所はそれぞれ届け出て算定できます。

利用者の負担や支給限度額には影響しますか

利用者の1〜3割負担には他の加算と同じく反映されます。区分支給限度基準額については、この加算は算定対象に含めない扱いとされていますが、その根拠通知の逐語をこの記事では確認できていません(→確認しきれなかった点)。ケアマネジャーへの説明時は給付管理上の扱いを合わせて確認してください。

年度の途中で職員が辞めて30%を割ったら、すぐ取り下げですか

前年度平均で届け出ている場合、年度途中の変動で直ちに取下げにはなりません。判定は前年度4月〜2月の平均だからです。ただし翌年度の判定には効いてくるので、3月の時点で翌年度分を計算し、割っていれば取下げの届出をします。前3月方式(新規開設)の場合だけは毎月維持が条件なので、下回った時点で速やかに取下げです。

みなし指定の病院・診療所でも算定できますか

できます。対象は訪問看護費イ・ロを算定する事業所で、みなし指定の病院・診療所(ロ)も訪問1回につき6単位(Ⅰ)・3単位(Ⅱ)です。勤続年数は同一法人内の通算なので、病院で看護師として勤務してきた期間はそのまま数えられます。訪問看護部門を立ち上げたばかりでも、勤続の長い看護師が兼務していれば初年度から届く可能性があります。

産休・育休中の職員は30%の計算に入りますか

勤続年数には通算されます(→3-2)。一方、割合の計算は常勤換算(勤務実績ベース)なので、休業して勤務時間がゼロの月は分母にも分子にも立たないと考えられますが、この点を明示した資料は確認できていません(→確認しきれなかった点)。復帰後に短時間勤務制度を使う場合は、週30時間以上で常勤扱いにできる特例があります(→4章)。

この章の出典


11. まとめ — 3月に1時間、計算する日を決める

この加算で覚えることは4つに絞れます。要件は勤続年数の割合+体制の3点セットであること。勤続年数は前月末日時点で数え、同一法人・直接処遇職種なら通算できること。割合は常勤換算の前年度4月〜2月平均で判定すること。そして届出しなければ1単位も付かないこと。

判定が年1回で済む作りなので、実務としては3月に翌年度分を計算する日を決めておくのがすべてです。常勤換算表と入職日の一覧から30%を判定し、取れるなら3月15日までに届出、割ったなら取下げ。理学療法士等の減算の前年度集計(あちらも3月末締め)と同じ日にやれば、体制まわりの年次点検が1日で終わります。

年1回の作業は、担当者が代わった年に抜けます。株式会社ainaruの事務代行は、いまお使いの請求ソフトのまま、月次の請求業務と体制届の年次管理をまとめてお引き受けしています。お問い合わせフォームからご相談ください。

この章の出典


確認しきれなかった点

本文に書けるだけの一次資料を確認できなかった項目です。算定できない・要件が存在しないという意味ではありません。

項目 状況 照会がつくまでの運用
老企第36号における勤続年数・割合算出の該当項番の逐語 数え方のルール自体は宮城県・新座市など複数の指定権者資料で一致確認済みだが、通知本文の該当項番(訪問入浴介護の項の準用構造)は大部のため未取得 指定権者の届出案内の記載に従って運用する
常勤換算の32時間下限・育児介護短時間勤務の30時間特例の逐語 実務解説で一致しているが、根拠通知(老企第25号 第2の2(3)とみられる)の逐語は未取得 就業規則の常勤時間と照らし、判定が際どい場合は指定権者へ照会する
病気休職期間の通算可否 産休・育休・介護休業は通算可と確認できたが、病休を明示した資料に到達できず 該当者がいる場合は指定権者へ照会する
休業中の職員の常勤換算上の扱い 勤務時間ゼロの月は分母にも分子にも立たないと考えられるが、明示した資料に到達できず 該当者がいる年度は計算書に注記し、指定権者へ照会する
区分支給限度基準額の対象外であることの通知逐語 対象外とする扱いが実務上定着しているが、根拠通知の該当箇所を未確認 給付管理上の扱いはケアマネジャー・国保連の資料で確認する
毎年度の再届出の要否 指定権者により運用が分かれることを確認(再届出不要・要件確認記録の保管を求める例と、毎年度提出を求める例がある) 全国共通ルールとして扱わず、提出先の案内に従う
体制等状況一覧表の選択肢表記 「なし/Ⅰ/Ⅱ」の選択式であることは確認したが、最新様式の番号表記(「1.なし」等)は未確認 お使いの様式の現物で確認する
会議「おおむね月1回以上」の出典項番 実務解説で一致しているが、通知の該当箇所の逐語は未取得 月1回以上を目安に開催し、議事録を残す

参考・出典一覧

告示・省令

通知

審議会資料

自治体(指定権者の案内)