最終確認日:令和8年8月11日|根拠法令:指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年厚生省令第80号)第17条/個人情報保護委員会「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」
「レセプト業務は外に出せると聞いたが、計画書や報告書はどうなのか」「事務職を1人雇うのと外注、どちらが得なのか」——この2つの問いに、数字と条文で答える記事です。
訪問看護の事務外注を検索すると、代行会社の比較記事とサービス紹介ページが並びます。この記事はそのどちらでもありません。①法令上どこまでが外注可能な事務で、どこからが看護師の判断領域なのか、②雇用と外注のコストをどう比べるか、③外注先ごとに何が違うのか、④外注してもなお事業所に残る責任は何か。この4点を、条文と統計の原文で確認しながら整理します。
先に結論
| 問い | 答え |
|---|---|
| レセプト業務は外注できるか | できます。作成主体の限定がある書類ではありません(→2章) |
| 計画書・報告書の作成は外注できるか | 内容の決定はできません。看護師等(准看護師を除く)の専権です(→2章) |
| 加算の算定可否は誰が判断するのか | 明文の規定はありませんが、療養状況の評価が前提になる判断は看護職側に残すのが安全です(→2章) |
| 事務職を雇うのと外注、どちらが安いか | 公的な統計での比較はできません。固定費と変動費の要素を並べて自事業所の実額で試算します(→4章) |
| 外注している事業所はどれくらいあるか | 全国調査で17.2%。事務職を直接雇用している事業所(70.9%)のほうが多数派です(→4章) |
| 外注しても事業所に残る責任は何か | 委託先の選定と定期監督の義務です。個人情報保護委員会のガイダンスに明記されています(→5章) |
場面から探す場合は、こちらから。
- 何が外注できるか先に知りたい → 2章 外注できる範囲とできない範囲
- 業者を選ぶ基準が欲しい → 3章 外注先の種類と選び方
- コストで判断したい → 4章 事務職を1人雇う vs 外注に出す
- 失敗事例を先に知りたい → 5章 外注の失敗パターンと事業所に残る責任
1. 結論:外注できるのは「事務」まで。「看護の判断」は外に出せない
訪問看護ステーションの事務は、性格の異なる作業が1つの業務にまとまっています。レセプトのデータ入力、計画書・報告書の清書、保険資格の確認、指示書の期限管理。ここまでは事務作業です。一方、療養上の課題をどう設定するか、加算の算定要件を満たしているかどうかの判断。ここは看護職の仕事です。
この2つが同じ「事務」という言葉でひとくくりにされるため、「外注できるかどうか」の検討が止まりがちです。答えは「業務ごとに違う」であり、その境界線を引いているのが、計画書・報告書の作成主体を看護師等(准看護師を除く)に限定した省令の規定です。
この記事では、この境界線をもとに外注できる範囲とできない範囲を整理したうえで、外注先の選び方、コストの比較の仕方、外注してもなお事業所に残る責任を、一次資料で確認しながら見ていきます。
この章の出典
2. 外注できる範囲とできない範囲|作成主体規定に基づく線引き
2-1. 計画書・報告書は「看護師等(准看護師を除く)」が作成する
指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年厚生省令第80号)第17条第1項は、次のとおり定めています。
看護師等(准看護師を除く。以下この条において同じ。)は、利用者の希望、主治の医師の指示及び心身の状況等を踏まえて、療養上の目標、当該目標を達成するための具体的な指定訪問看護の内容等を記載した訪問看護計画書を作成しなければならない。
介護保険側の指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第70条第1項も、同じ括弧書きを持っています。
作成主体が限定されているのは、この条の中に規定されている業務、つまり計画書・報告書に限られます。レセプトのデータ作成や指示書の期限管理には、この限定がかかりません。ここが線引きの起点です。
2-2. 業務ごとの線引き
条文の限定がどこまで及ぶかを、実務上よく外注が検討される業務ごとに整理すると、次のようになります。
【図版1】業務範囲マトリクス|縦軸に「判断/清書・入力/提出・管理/保管」の4工程、横軸に「レセプト・計画書報告書・加算算定・給与税務」の業務区分を置き、外注可否をアイコンで示す図。2-4の工程表と対応させる。
| 業務 | 外注できるか | 理由 |
|---|---|---|
| レセプトのデータ入力・伝送前チェック | できる | 作成主体の限定がある業務ではありません |
| 保険資格の確認、指示書の期限管理 | できる | 事務的な確認・管理であり、看護判断を伴いません |
| 返戻対応(原因調査・再請求データ作成) | 事務的な原因は対応できる。算定根拠に関わる返戻は看護職の確認が必要 | 資格情報の誤りなど事務的な返戻と、算定要件の解釈に起因する返戻が混在するため |
| 計画書・報告書の清書・印刷・郵送 | できる | 様式への転記・発送は作成そのものではありません |
| 記録書の内容を報告書へ集約する作業 | できる | 転記・集約は事務作業です。記録の中身を書くのは訪問した看護師等です |
| 計画書・報告書の記載内容の決定 | できない | 第17条第1項の作成主体規定の対象そのものです |
| 加算の算定要件を満たすかどうかの判断 | 看護職の判断領域として残すのが安全 | 療養状況の評価を前提とする判断のため(→2-3) |
| 加算算定が決まった後の入力・確定処理 | できる | 判断が済んだ内容の事務処理です |
| 給与計算・記帳・税務申告 | できる(ただし業際に注意) | 看護業務と無関係の一般管理業務です(→3章) |
「療養上の課題・支援内容」欄と、加算算定の可否判断は、境界線が特に混同されやすいところです。清書や入力そのものは事務でもできますが、そこに何を書くかを決める作業は看護師等(准看護師を除く)の役割から動きません。
2-3. 加算の算定判断について、明文の規定はない
正直に書きます。「加算の算定可否は看護師が判断しなければならない」と直接定めた条文は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。
ただし、加算の算定要件には、利用者の心身の状態や訪問内容の医学的な評価を前提にするものがあります。計画書・報告書の作成主体が看護師等に限定されている趣旨(療養上の判断は看護職が担う)から考えると、加算算定の可否判断もこの延長線上にあると整理するのが妥当です。
実際、訪問看護向けの外注サービスの中には、加算算定に関するメニューを「算定支援」「確認支援」という形でスポット対応にとどめ、最終的な算定の決定は事業所側に残す設計を取っているものがあります。外注先に判断を委ねられる業務ではない、という位置づけが実務側にも表れています。
2-4. 業務を4つの工程に分けて考える
外注の検討では、1つの業務を丸ごと「外に出す/出さない」で考えるより、工程で分けたほうが線引きが明確になります。
| 工程 | 中身 | 誰がやるか |
|---|---|---|
| 判断 | 療養上の課題の設定、加算算定要件の充足判断 | 看護師等(准看護師を除く)。外に出せません |
| 清書・入力 | 様式への転記、レセプトデータの作成、判断済み内容の確定処理 | 事務でも可 |
| 提出・管理 | 主治医への送付、指示書の期限管理、督促 | 事務でも可 |
| 保管 | 2年間の保存、突合できる状態の維持 | 事務でも可 |
外に出せないのは1行目だけです。この整理は、既存記事「訪問看護計画書・報告書の書き方」でも使っている枠組みで、外注の検討でもそのまま使えます。
この章の出典
- 厚生労働省「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」(平成12年厚生省令第80号)第17条
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)第70条
3. 外注先の種類と選び方|訪問看護専門BPO・汎用医療事務代行・税理士/社労士の業際
3-1. 外注先は守備範囲が違う
「事務を外注する」といっても、依頼先の種類によって対応できる業務が異なります。
| 外注先の種類 | 主な守備範囲 | 選ぶときに見るところ |
|---|---|---|
| 訪問看護専門のレセプト代行・BPO | レセプトデータ作成、指示書・保険証の期限管理、返戻・過誤対応、入金管理、加算算定の確認支援まで | 医療保険・介護保険の両方に精通しているか。訪問看護特有の実務(同一建物の数え方、指示書との突合等)への習熟度 |
| 汎用の医療事務アウトソーシング | カルテチェック、返戻対応、電話応対、書類作成代行 | 訪問看護(医療・介護保険併用、訪問看護指示書運用)の実績があるか |
| 税理士・税理士法人 | 税務代理・税務書類の作成・税務相談(独占業務)と、付随業務としての記帳代行・決算書類の作成 | 税務申告に関わる部分は税理士以外に依頼できません。記帳代行そのものは独占業務ではありません(→3-2) |
| 社会保険労務士・社労士事務所 | 給与計算、社会保険・労働保険の手続き、就業規則整備、法定帳簿の作成 | 労働社会保険諸法令に基づく手続きは社労士法上の独占業務です(→3-2) |
| 汎用の記帳代行 | 一般的な経理入力・記帳 | 医療・介護報酬特有の会計処理(未収金管理、保険別売上管理等)への対応力 |
3-2. 税理士・社労士には「業際」がある
給与計算や記帳を外注する際、見落とされやすいのが税理士と社会保険労務士の業務の切り分けです。
税理士法第2条は、税理士の業務を税務代理・税務書類の作成・税務相談と定義しており、同法第52条はこう定めています。
税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。
一方、社会保険労務士法第27条は、次のとおりです。
社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。
「第二条第一項第一号から第二号」とは、労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成・提出手続きの代行・事務代理、同法令に基づく帳簿書類の作成などです。つまり、給与計算そのものは資格がなくても行えますが、そこから派生する社会保険・労働保険の手続き代行や法定帳簿の作成は社労士の独占業務、税務申告書など税務書類の作成は税理士の独占業務にあたります。逆に、記帳代行は税理士法第2条第2項が「税理士業務に付随して」行える業務として挙げているもので、税理士の独占業務ではありません。汎用の記帳代行サービスが成立しているのはこのためです。
税理士・社労士のどちらでもない事業者に「給与計算から社会保険手続きまで一括で」と依頼すると、この業際に触れる可能性があります。委託前に、その事業者が何の資格に基づいてどの業務を行っているかを確認してください。
この章の出典
4. 事務職を1人雇う vs 外注に出す|コストの定量比較の手順
4-1. 公的な賃金統計での比較はできない
先に限界からお伝えします。訪問看護ステーションの事務職員に特化した公的な賃金統計は、今回の調査では確認できませんでした。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」は職種別のデータを公表していますが、「訪問看護ステーション事務員」という区分での集計は見当たりません。
「事務職員1人あたり月額◯万円」のような数字をこの記事で示すことはしません。示すと、実態とずれた数字が独り歩きします。代わりに、比較のための要素の並べ方を示します。
4-2. 比較する費目
【図版2】コスト比較フレーム図|左に「事務職雇用の固定費要素」(給与・賞与・法定福利費・採用コスト・教育コスト)、右に「外注の変動費要素」(月額基本料または件数単価×処理件数)を並べ、下段に「業務量が1人分あるか/属人化リスク/ノウハウ蓄積の要否」の3つの判断軸を置く図。
| 比べる項目 | 事務職を雇う | 外注に出す |
|---|---|---|
| 費用の性質 | 固定費(業務量が減っても発生) | 変動費になりやすい(契約による) |
| 人件費以外にかかるもの | 採用コスト、社会保険料、教育の時間 | 委託費、社内の窓口担当の時間 |
| 立ち上がり | 採用〜教育で数か月 | 比較的短いことが多い(引き継ぎは要る) |
| 繁閑への対応 | 忙しい月も暇な月も同じ費用 | 業務量に連動させやすい |
| 辞めるリスク | あり。辞めると振り出しに戻る | 委託先の変更で対応(引き継ぎコストは発生) |
| ノウハウの蓄積 | 社内に残る | 社内に残りにくい |
| 最終責任 | 事業所 | 事業所(委託しても請求内容の責任は残る。→5章) |
金額はあえて書きません。読者の自事業所の実額で埋める前提の表です。
判断のポイントは3つです。業務量が1人分あるか(週に数時間の事務のために常勤を雇うと固定費が過剰になります)。その人が辞めたら請求を誰が締めるのか(事務が1人に集中している事業所ほど、退職の影響が大きくなります。年1回しか動かない業務継続計画や虐待防止の研修・委員会は、担当者の退職でとくに抜けやすく、抜けた月から利用者全員の所定単位数が1%下がります。→BCP未策定減算・虐待防止減算の記事)。そして、ノウハウを社内に残す必要があるか(請求業務の知識を社内に蓄積したいなら雇用、業務を回すこと自体が目的なら外注、という分け方ができます)。
外注の料金体系は、月額固定制、処理件数に応じた従量課金制、基本料と従量課金を組み合わせたハイブリッド型に大別されます。具体的な単価は事業者ごとに幅があるため、複数の見積りを取って自事業所の処理件数に当てはめて比較してください。
4-3. 事務の外注は、まだ少数派
全国訪問看護事業協会が公表した令和6年度調査研究事業報告書(配布8,543事業所・有効回答3,504事業所・回答率41.0%、実施時期2024年9月4日〜10月18日)の「業務の効率化・生産性向上の取組状況」を見ると、対照的な数字が並んでいます。
| 項目 | 導入済み | 検討中 |
|---|---|---|
| 事務職雇用による看護職員の事務負担軽減 | 70.9% | 6.6% |
| 経理や総務を外注(アウトソーシング) | 17.2% | 4.1% |
事務職を直接雇用して負担を軽減している事業所が70.9%であるのに対し、経理・総務の外注は17.2%にとどまります。訪問看護事業所は、外部委託よりも人員配置(直接雇用)による対応を優先する傾向がはっきり出ています。
この設問は「経理や総務」の外注についてのもので、レセプト業務の外注に絞った統計項目は同報告書内には見当たりませんでした。レセプト代行に特化した導入率の統計は、今回の調査では確認できていません。
この章の出典
5. 外注の失敗パターンと事業所に残る責任
5-1. 委託しても、監督義務は事業所に残る
個人情報保護委員会「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」は、委託を行う事業者の責任について、次のとおり定めています。
本ガイダンスの趣旨を理解し、本ガイダンスに沿った対応を行う事業者を委託先として選定するとともに、委託先事業者における個人情報の取扱いについて定期的に確認を行い、適切な運用が行われていることを確認する等の措置を講ずる必要がある。
ここで求められているのは2つです。ガイダンスに沿った対応ができる事業者を選ぶこと、そして委託した後も定期的に確認を行うこと。委託した時点で終わりではなく、契約期間中ずっと事業所側に監督義務が続きます。「外に出したから責任もなくなる」という関係ではありません。
これは2章で見た計画書・報告書の作成主体規定とも一貫しています。加算算定の正当性や記載内容の妥当性についての最終責任は、外注してもなお事業所・看護職側に残ります。
5-2. 起きやすい失敗パターン
契約前に確認すべき事項を怠ると、次のような形で問題が表面化します。
- 部分委託の可否を確認せず、全面委託前提の契約で柔軟性を失う。 レセプトのみ、点検のみといった段階的な委託ができるかどうかは事業者によって異なります。
- 訪問看護特化ではない汎用の医療事務代行に依頼し、介護保険の給付管理票との突合など訪問看護特有の実務に対応できない。 医療・介護保険が併存する訪問看護特有の事情に不慣れな事業者では、突合作業でつまずくことがあります。
- 「加算算定は外注先が最終判断してくれる」と誤認し、算定漏れ・過誤請求が発生する。 2-3で見たとおり、判断の責任は看護職側に残ります。
- 返戻対応の切り分け(外注側が担当する事務的ミス対応と、事業所側が担当すべき算定要件確認)を契約時に明確化していない。 どこまでが外注先の対応範囲かを、契約書上で具体的に書いておく必要があります。
- 委託先の定期監督を怠り、委託先での情報管理の不備が発覚した際に事業所側の監督責任が問われる。 5-1のガイダンスが求めている定期確認を、契約後に実施していないケースです。
- 夜間の電話一次対応まで外部に丸ごと委託できると誤解する。 24時間対応体制加算は、連絡相談を担う「職員」の勤務体制を届け出る構造になっており、外部のコールセンター等への丸投げは想定されていません。外注できる事務の範囲と、この加算がらみで外に出せない業務の違いは24時間対応体制加算の記事で扱っています。
5-3. 契約前に確認すべき事項
外注先を選ぶ際に、事前に確認しておくと後のトラブルを避けやすい項目です。
- 対応可能な業務範囲(部分委託の可否)
- 医療保険・介護保険の両方への対応実績
- 返戻・査定対応の体制(原因分析から再請求までの範囲)
- 料金体系と繁閑期の費用変動
- セキュリティ認証(プライバシーマーク、ISO27001等)の有無
- 電子カルテ・訪問看護記録システムとの連携可否
- 契約解除時のデータ返却・引き継ぎ方法
外注範囲の切り分けについてのご相談はこちら
この章の出典
6. 導入までの流れ
外注を検討してから稼働するまでの一般的な流れです。標準的な期間を定めた公的な基準はないため、あくまで進め方の目安として示します。
- 現状の事務量を測る。 どの業務にどれくらいの時間がかかっているかを可視化しないと、雇用・外注どちらのコスト比較もできません。
- 外に出せる業務と出せない業務を切り分ける。 2章の工程表を使い、判断が要る業務と事務作業を分けます。
- 外注先の候補に見積りを依頼する。 対応範囲・料金体系・訪問看護の実績を複数社で比較します。
- 契約内容を確認する。 5-3のチェック項目を、契約書の文言として確認します。
- 一部業務から試行する。 レセプトの点検のみなど、範囲を絞って対応品質を確かめ、問題がなければ広げます。最初から全面委託にすると、合わなかったときの引き戻しが大きくなります。
- 引き継ぎ後も定期的に確認する。 5-1の監督義務は、契約後も続きます。
この章の出典
7. よくある質問
外注と、業務委託契約での雇用は違うのですか。
違います。この記事で扱っている「外注」は、事務作業を外部の事業者に委託することです。一方、求人でよく見る「業務委託」は、個人と事業所が業務委託契約を結んで働く雇用形態に近い契約です。検索すると求人情報が混ざって出てくることがありますが、この記事のテーマとは別の話です。
レセプト代行だけを外注し、計画書・報告書の清書は自事業所で行うことはできますか。
できます。3章で見たとおり、外注先ごとに対応範囲が異なるため、部分委託を前提に依頼先を探すことになります。
事務職を雇いながら、一部だけ外注することはできますか。
制度上の制約はありません。繁忙期だけ外注する、特定の業務(返戻対応など)だけ外注するといった組み合わせ方も実務では行われています。
外注先とのやり取りに、看護師の時間はどれくらい必要になりますか。
業務範囲と委託先の実務理解度によって変わります。訪問看護特有の実務に不慣れな委託先だと、確認・修正のやり取りが増える傾向があります(→3-1)。
この章の出典
8. まとめ
事務の外注は「できるかできないか」の二択ではありません。作成主体規定に基づいて、外に出せる工程と看護職の判断が要る工程を分けること。雇用と外注のコストを、公的統計に頼らず自事業所の実額で比較すること。外注先の守備範囲と業際を確認すること。そして、委託した後も監督義務が事業所に残ることを踏まえて契約すること。この4つが揃って、初めて外注の検討ができます。
計画書・報告書の作成主体という同じ規定は、書類作成の代行の可否にも関わります。あわせて訪問看護の書類作成代行|頼めるもの・頼めないものをご覧ください。人手不足そのものへの対応の選択肢は、訪問看護の人手不足対策|採用の前にできる3つのことで整理しています。
株式会社ainaruは、訪問看護のレセプト請求と関連する事務を代行しています。この記事の線引きでいえば、2-4の表の2行目から4行目(清書・入力、提出・管理、保管)が対応範囲です。判断の工程は貴事業所の看護師が行い、その前後をこちらが受けるという形です。
事務の外注についてのご相談はこちら
確認しきれなかった点
一次資料で確定できなかった項目です。やってはいけない、という意味ではありません。
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 加算算定可否の最終判断が看護職に属することを直接定めた条文・通知 | 作成主体規定(第17条第1項)の趣旨からの整理であり、加算算定そのものを名指しした規定は確認できていません |
| レセプト業務の外注導入率に特化した公的統計 | 全国訪問看護事業協会の令和6年度報告書は「経理や総務」の外注についての設問のみで、レセプト業務単体の統計は同報告書内で確認できていません |
| 訪問看護ステーション事務職員に特化した賃金統計 | 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に該当する職種区分は今回の調査では確認できませんでした |
参考・出典一覧
厚生労働省(法令)
- 「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」(平成12年厚生省令第80号)第17条
- 「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)第70条
- 「賃金構造基本統計調査」
法令(税理士・社会保険労務士)
個人情報保護委員会
団体