最終確認日:令和8年8月10日|主な出典:厚生労働省告示第67号(注14)/告示第103号(基準)/保発0305第19号/保医発0305第9号/保医発0327第2号 別添3/近畿厚生局 別紙様式9

訪問看護医療情報連携加算とは、医師・歯科医師・薬剤師・ケアマネジャーなどの多職種がICTに記録した利用者の診療情報等を活用して、指定訪問看護の計画的な管理を行った場合に、月1回1,000円を算定できる訪問看護管理療養費の加算です。令和8年6月1日の新設で、地方厚生局への届出が要ります。


先に結論

問い答え
いくらの加算か1,000円・月1回。訪問看護管理療養費の注14です(→2章
医療DX情報活用加算と何が違うのかあちらは50円で、オンライン資格確認の「体制」の加算。こちらは連携の実体が要ります。届出も別です(→3章
届出は要るか要ります。別紙様式9(受理番号:訪看35)。連携機関を名称・種類・住所で書く欄が9枠あります(→7章
連携機関は何か所要るか5以上。ただし「特別の関係にあるもの」を除きます。同一法人内の事業所は数えられません(→4章
毎月何を満たすのか過去90日以内に記録された利用者の情報をICTで1つ以上取得していること。自ステーション自身と、特別の関係にある機関の記録は数えません(→10章
急ぎの期限はあるかウェブサイト掲載の経過措置が令和8年9月30日までです(→6章
併算定できない加算はあるか在宅患者連携指導加算(3,000円)と同月併算定できません(→2-3
月いくらになるか1,000円×算定できる利用者数。30人なら月30,000円・年36万円です(→12章

30秒判定|次の3つが揃えば届出の候補です。

  1. ICT連携ツール上で利用者の情報を共有している外部の機関(特別の関係にあるものを除く)が5以上ある
  2. そのツールが医療介護専用の連携基盤(一元管理サーバー型)である
  3. 事業所内に掲示ができる。自社サイトがある場合はウェブ掲載もできる

足りないものがどれかで、読む章が変わります。①は4章、②は5章、③は6章へ。

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1. この記事で使う一次資料

制度の記事は、どの資料の何年版を見て書いたかで中身が変わります。

資料発出・番号この記事で使う箇所
訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法平成20年3月5日 厚生労働省告示第67号区分番号02 注14(本体)・注13(DX加算)・注8(在宅患者連携指導加算)
訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準等平成18年3月6日 厚生労働省告示第103号訪問看護医療情報連携加算の基準(イ〜ニ)
実施上の留意事項について令和8年3月5日 保発0305第19号(令和8年4月2日 一部訂正)第5の12(本加算)・第5の11(DX加算)・第5の6(在宅患者連携指導加算)
訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて令和8年3月5日 保医発0305第9号別添「届出基準」の10(施設基準の細目:ICT要件・連携機関5以上・掲示)
令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】厚生労働省保険局医療課スライド33(施設基準の概要・経過措置
訪問看護療養費請求書等の記載要領令和8年3月27日 保医発0327第2号 別添3摘要欄・○63欄への記載方法
届出様式近畿厚生局・令和8年度別紙様式9(訪看35・新規)と別紙様式10(訪看34)

先に書いておくべきことがひとつあります。令和8年度改定の疑義解釈は、その1(3月23日)からその11(7月30日)まで11本出ていますが、この加算の問答は1件もありません。「医療情報連携」「医療DX情報活用」の語は全11本を通してゼロです。つまり通知と様式以外に解釈の手がかりがない状態で、細部は各厚生局への照会になります。この記事では、原文で確認できたことと確認できなかったことを分けて書きます。

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2. 訪問看護医療情報連携加算とは|1,000円・月1回

2-1. 条文

令和8年6月1日に新設された、訪問看護管理療養費の加算です。告示の注14。

別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く。)が、在宅で療養を行っている利用者であって通院が困難なものの同意を得て、当該訪問看護ステーションと連携する保険医療機関の保険医、歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師、管理栄養士、介護支援専門員又は相談支援専門員等であって当該利用者に関わる者が、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法を用いて記録した当該利用者に係る診療情報等を活用した上で、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合は、訪問看護医療情報連携加算として、月1回に限り、1,000円を所定額に加算する。ただし、注8に規定する在宅患者連携指導加算を算定している場合は、算定しない。

長い条文ですが、分解すると要素は5つです。届出をしていること。准看護師を除く看護師等が管理を行うこと。利用者が通院困難な在宅療養者で、同意を得ていること。他職種がICTで記録した診療情報等を活用すること。そのうえで計画的な管理を行うこと。

2-2. 誰の情報を活用するのか

条文に列挙されている「情報を記録する側」は、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、介護支援専門員、相談支援専門員「等」です。医療職に限られていません。ケアマネジャーの記録も、相談支援専門員の記録も、この加算の材料になります。多職種がICT上に書き込んだ情報を訪問看護が読み、計画的な管理に活かす。それがこの加算の評価対象です。

逆に、准看護師が管理を行った場合は算定できません。注14の括弧書きで明示的に除かれています。

2-3. 在宅患者連携指導加算とは同月に併算定できません

注14のただし書きが、在宅患者連携指導加算(注8・3,000円)を算定している場合は算定しないと定めています。留意事項通知は逆方向からも書いています。在宅患者連携指導加算の項(第5の6)です。

(7) 同一月に訪問看護医療情報連携加算を算定した場合は、当該加算は算定できない。

双方向に排他です。在宅患者連携指導加算は文書等での情報共有と指導を月1回3,000円で評価するもので、ICTでの連携を月1回1,000円で評価する本加算とは、同じ「多職種連携」の評価が重ならないよう設計されています。両方の要件を満たす月は、金額の大きい在宅患者連携指導加算を選ぶ判断になりますが、在宅患者連携指導加算には「主治医との間のみの共有では算定できない」(第5の6(5))などの別の要件があるので、成立する月がどちらなのかを個別に見る必要があります。

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3. 名前の似た3つを切り分ける|50円・1,000円・100点

3-1. 対照表

「医療」「情報」「連携」「DX」の組み合わせでできた似た名前が3つあり、金額も対象もばらばらです。最初に切り分けます。

訪問看護医療DX情報活用加算訪問看護医療情報連携加算(医科)在宅医療情報連携加算
誰が算定するか訪問看護ステーション訪問看護ステーション保険医療機関(在宅時医学総合管理料等の加算)
金額50円・月1回1,000円・月1回100点・月1回
何の評価かオンライン資格確認で利用者の診療情報・薬剤情報等を取得できる体制と活用多職種がICTに記録した情報を活用した連携の実体医師が多職種のICT記録を活用した計画的な医学管理
根拠告示67号 注13告示67号 注14医科点数表(令和6年度新設)
届出別紙様式10(訪看34)別紙様式9(訪看35)医科側の様式
新設時期令和6年度令和8年6月令和6年度

3-2. DX情報活用加算は「体制」、医療情報連携加算は「実体」

50円のDX情報活用加算の要件は、オンライン請求を行っていること、居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムの体制があること、ウェブサイト掲載をしていることの3つで、届出様式10もこの3項目にチェックを入れる構造です。留意事項通知は釘を刺しています。

単に健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認を行う体制を有していることのみをもって算定することはできない。

取得した薬剤情報や特定健診等情報を計画的な管理に活用することまでが要件ですが、連携相手は要りません。オンライン資格確認等システムという全国共通の仕組みから情報を引く加算だからです。

1,000円の医療情報連携加算は逆で、特定の連携機関と、一元的に管理されたICT上で、利用者ごとの情報を日常的にやり取りしている実体が要ります。連携機関の数、サーバーの管理方式、こちらからの記録義務まで問われます。金額が20倍違うのは、求められているものが20倍重いからです。

なお、この2つを同じ月に両方算定できるかを明示した規定は見つかりませんでした。排他規定はどちらの注にもありませんが、明示的に認めた資料もありません(→確認しきれなかった点)。

3-3. 「医療機関は算定できないのか」という混乱

医科側には令和6年度から「在宅医療情報連携加算」(100点)があります。これは在宅時医学総合管理料などに乗る医師側の加算です。さらに令和8年度改定の説明資料には、訪問看護医療情報連携加算の新設について「在宅患者訪問看護・指導料及び同一建物居住者訪問看護・指導料についても同様」と注記されています。病院・診療所が行う訪問看護(医科点数表側)にも同様の加算が置かれたということです。

つまり、訪問看護ステーションは「訪問看護医療情報連携加算」を、医療機関の訪問看護部門は医科点数表側の同様の加算を、医師は「在宅医療情報連携加算」を、それぞれ自分の報酬体系で算定します。名前が近いだけで別の点数です。医科の在宅医療情報連携加算は令和8年度改定で、後述するICT要件の明確化が同じ内容で入りました(→5章)。

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4. 施設基準①|連携機関5以上、ただし身内は数えない

4-1. 5以上の中身

この加算の施設基準は、基準告示が4本柱(常時確認できる体制・十分な体制・掲示・ウェブサイト掲載。全文は→5-1)で定め、その細目を届出手続きの通知(令和8年3月5日 保医発0305第9号)の別添「届出基準」の10が(1)〜(6)として定めています。連携機関の数を定めるのは(3)です。

(3) 当該訪問看護ステーションと利用者の診療情報等を共有している連携機関(特別の関係にあるものを除く。)の数が、5以上であること。

読みどころは2つあります。ひとつめは括弧書き。特別の関係、つまり開設者が同じ・代表者が同じといった身内の機関は、数に入りません。同一法人でクリニック・薬局・居宅介護支援事業所を持っている法人ほど、連携ツール上の顔ぶれは賑やかでも、数えてみると外部が足りないということが起きます。

ふたつめは「共有している」という現在形です。連携の合意がある機関ではなく、利用者の診療情報等を実際に共有している機関を数える書きぶりになっています。ICTに招待しただけで一度も情報が動いていない機関を5の中に入れるのは、この文言との整合が苦しくなります。

数えられる連携機関の種類は、届出様式9の記載上の注意に列挙されています。

連携機関の種類については、保険医療機関、保険薬局、介護保険法に定める居宅サービス事業者、地域密着型サービス事業者、居宅介護支援事業者若しくは施設サービス事業者、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定特定相談支援事業者若しくは児童福祉法に基づく指定障害児相談支援事業者、市町村等の行政機関又は地域包括支援センター又はその他のいずれかを記載すること。

医療機関と薬局だけでなく、居宅介護支援事業者、相談支援事業者、行政機関、地域包括支援センターも連携機関に数えられます。5という数字は、医師・歯科・薬局・ケアマネ・包括、と職種をまたいで数えていけば、地域で日常的に連携している事業所なら届く水準です。逆に、特定の1病院との2者連携だけでICTを回している場合は届きません。

4-2. 数える前の棚卸し

届出の前に、表を1枚作ることを勧めます。列は4つで足ります。機関名、種類(上の分類のどれか)、特別の関係の有無、ICT上で直近90日に記録があるか。

最後の列は施設基準ではなく算定要件(→10章)の話ですが、届出時に一緒に見ておく価値があります。体制としては連携していても、記録が動いていない機関は、毎月の算定を支えてくれないからです。5以上を形式的に満たすことと、算定が続く連携先を持つことは、同じ表の上で確認できます。

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5. 施設基準②|ICTの要件ア〜キ、専用の連携基盤が前提です

5-1. 基準告示の4項目

基準告示は、この加算の基準をこう定めています。

イ 在宅での療養を行っている利用者であって通院が困難なものの診療情報等について、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法を用いて常時確認できる体制を有し、関係機関と平時からの連携体制を構築していること。 ロ 診療情報等を活用した上で指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行うにつき十分な体制が整備されていること。 ハ イに規定する連携体制を構築している訪問看護ステーションであることについて、当該訪問看護ステーションの見やすい場所に掲示していること。 ニ ハの掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。

常時確認できる体制、平時からの連携、掲示、ウェブサイト掲載の4本柱です。

5-2. ICTの技術要件|届出基準のア〜キ

ICTの技術要件は、同じ届出基準10の(2)に、ア〜キの7項目で定められています。

ア 記録された利用者の診療情報等については、連携機関間の協議に基づき、一元的に管理されたサーバーで保管されていること。 イ 診療情報等の共有について、利用者、その家族又は連携機関(以下「参加者」という。)のうち、利用者が同意した者のみにおいて、保管された当該情報の共有がICTを用いて行われるものであること。 ウ 参加者の範囲を随時設定することが可能であること。なお、情報の内容に応じて、参加者のうち情報共有される者の範囲を任意に設定できるICTを用いることが望ましい。 エ 参加者が、保管された当該情報について、常時、閲覧・取得を行うことが可能であること。なお、保管された当該情報が、利用者ごとに、時系列で速やかに表示されるICTを用いること。 オ 参加者が、常時、必要な診療情報等を共有できること。なお、文字情報の共有だけではなく、画像・映像の共有等の機能を有するICTを用いることが望ましい。 カ 体制の整備にあたっては、一般社団法人保健医療福祉情報安全管理適合性評価協会(HISPRO)が公表している「医療情報連携において、SNSを利用する際に気を付けるべき事項」におけるプライベートSNSに係る事項を参考とすること。 キ 安全な通信環境を確保するために、厚生労働省の定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を参考とすること。

義務と「望ましい」が混ざっている点に注意してください。一元管理サーバー(ア)、同意した参加者のみの共有(イ)、参加者範囲の随時設定(ウ本文)、常時閲覧・時系列表示(エ)、常時共有(オ本文)は義務。情報の内容に応じた範囲設定、画像・映像の共有機能は「望ましい」です。

この要件は、無料のメッセージアプリを念頭に置いた牽制と読めます。個人アカウントのチャットは、一元管理されたサーバーでも、参加範囲を利用者単位で設定できる仕組みでもありません。医療介護専用のSNS・情報連携基盤を前提にした書きぶりです。いま使っているツールがア〜キを満たすかを、ベンダーに文書で確認してください。届出様式には「情報共有に使用するサービスの名称」を書く欄があり(→7章)、審査側はサービス名から要件充足を見ます。

具体的なサービス名で整理しておきます。個々のツールの適合を決めるのは最終的にはベンダーの文書回答と厚生局の判断ですが、類型としてはこう見えます。

ツールの類型ア〜キとの関係
医療介護専用SNS・多職種連携基盤メディカルケアステーション(MCS)、バイタルリンク など候補になります。一元管理サーバー・利用者単位の参加者設定・時系列表示を備える設計です。適合はベンダーに文書で確認を
ビジネスチャットLINE WORKS、Chatwork など利用者ごとの時系列表示(エ)と参加者範囲の随時設定(ウ)の説明が難しく、使うなら厚生局に事前照会を
個人向け無料チャットLINE など対象外と考えてください(→11-3

同じ内容のICT要件明確化が、医科の在宅医療情報連携加算にも令和8年度改定で入りました。制度側がツールの質を揃えにきている、という流れの中の要件です。

もうひとつ、(4)に見落としやすい義務があります。

(4) 地域において、連携機関以外の保険医療機関等が、当該ICTを用いた情報を共有する連携体制への参加を希望した場合には、当該体制を運営する関係者の間で定めた取り決めに基づき、連携体制を構築すること。なお、連携体制が煩雑なものとならないよう、地域で同一の連携体制を構築することが望ましい。

参加を希望した機関を、取り決めに基づいて受け入れる義務です。閉じたグループで固めるのではなく、地域に開かれた連携体制であることが求められています。

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6. 施設基準③|掲示とウェブサイト掲載、経過措置は令和8年9月30日まで

6-1. 何を掲示するのか

基準告示のハ・ニは、連携体制を構築しているステーションであることの事業所内掲示と、その掲示事項のウェブサイト掲載を求めています。掲示の中身は、届出基準の(5)がはっきり定めています。

(5) (1)に規定する連携体制を構築していること及び実際に利用者の情報を共有している実績のある連携機関の名称等について、当該訪問看護ステーションの見やすい場所に掲示していること。

引用中の(1)は、ICTでの常時確認体制と平時からの連携体制を定めた項です(→4-1)。読み流せない一文です。掲示する内容には、体制の説明だけでなく「実際に利用者の情報を共有している実績のある連携機関の名称等」が含まれます。届出様式9には、その掲載先の「ホームページのURL等」を書く欄もあります。「当ステーションはICTを用いた連携体制を構築しています」という1行を貼るだけでは、この書きぶりに応えたことになりません。連携機関名を並べた掲示物を作り、同じ内容をウェブサイトに載せ、そのURLを様式9に書く。この3点セットで揃います。

事業所内の掲示義務はほかの制度にもあり、運営指導で見られる定番項目です。掲示物の整備は訪問看護の運営指導対策とあわせて確認してください。

6-2. 経過措置の期限が近い

経過措置は、基準告示の第五(令和8年3月5日 厚生労働省告示第75号による改正)に定められています。

一 令和八年五月三十一日において現に指定訪問看護事業者が、当該指定に係る訪問看護事業を行う事業所については、令和八年九月三十日までの間に限り、第一の六の(10)のニの基準に該当するものとみなす。

対象は「第一の六の(10)のニ」、つまりウェブサイト掲載の基準だけです。そして主語に限定が付いています。猶予されるのは、令和8年5月31日時点ですでに指定を受けていた事業所です。令和8年6月1日以降に開設した事業所には経過措置がなく、自社サイトを持つなら届出時からウェブサイト掲載が要ります。

既存の事業所は、令和8年9月30日まではウェブサイト掲載がなくても基準を満たすとみなされますが、10月1日以降はみなされません。この記事の確認日(令和8年8月10日)から残り約7週間です。すでに届出を済ませて算定を始めている事業所で、ウェブ掲載だけ後回しにしているところは、ここが次の宿題になります。

ひとつ、救いがあります。届出基準の(6)です。

(6) (5)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。

自社のホームページを持っていない事業所は、ウェブサイト掲載義務の対象外です。この加算のためにサイトを新設する必要はありません。経過措置の期限が効いてくるのは、サイトを持っているのに掲載していない事業所です。

経過措置が切れた後にウェブサイト掲載がない場合の扱い(届出の効力がどうなるか)を明示した資料は見つかりませんでした。基準を満たさない状態で算定を続ければ自主返還の議論になり得る構図なので、期限内に揃えるのが唯一の安全策です。

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7. 届出|別紙様式9(訪看35)の書き方

7-1. 様式の構造

届出は別紙様式9、受理番号は訪看35です。令和8年度の様式一覧で「新規」と表示されています。書く内容は4ブロックです。

ブロック内容
1. ICTを用いて情報共有をできる体制4項目(一元管理サーバー/参加者範囲の随時設定/常時閲覧・時系列表示/必要な診療情報等の常時共有)に該当の○
情報共有に使用するサービスの名称主なものを記載
連携機関名称・種類・住所を9枠。種類は4章の分類から選ぶ
2. 安全管理及び掲示に関する体制4項目(HISPROのプライベートSNSに係る事項/医療情報システムの安全管理に関するガイドライン/掲示/ウェブサイト掲載のURL等)に該当の○

枠は9つありますが、9つ埋める必要はありません。特別の関係を除いて5以上が基準なので、確実に数えられる機関を5〜9書きます。種類の分類に迷う機関(例:医療法人が開設する居宅介護支援事業所)は、その機関の指定の種別で書きます。

DX情報活用加算の様式10(訪看34)とは別の届出です。様式10を出していても様式9を出したことにはなりません。逆も同じです。

7-2. 出す前のチェック

確認見る場所
連携機関が特別の関係を除いて5以上あるか4-2の棚卸し表
使用サービスがICT技術要件を満たすか(ベンダーの文書回答)5-2
同意書の文面が「取得・活用」と「記録・共有」の両方を含むか8章
掲示物に実績のある連携機関名が入っているか6-1
ウェブサイト掲載とそのURL(既存事業所は経過措置内なら猶予)6-2

この表の上3行は体制づくり、下2行は書類仕事です。連携機関の棚卸しから様式9の記載までは、ainaruが実務としてお手伝いできます。届出書類の作成についてのご相談はこちら

7-3. レセプトのどこに書くか

記載要領(保医発0327第2号 別添3)に明記されています。

電子レセプトは摘要欄です。

(サ) 訪問看護医療情報連携加算を算定した場合は、「区分」に 50 及び 63、「名称」、「金額(円)」に該当する金額を記載すること。

紙の様式では、○63「訪問看護医療情報連携加算」欄の「円」の項に金額を記載します。DX情報活用加算は「区分」50及び62・○62欄で、隣に並んでいます。管理療養費の加算群(区分50)の中の62番と63番、と覚えれば取り違えません。

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8. 算定要件①|同意は「もらう」と「渡す」の両方

利用者から同意を得る内容を、留意事項通知(第5の12(2))は2つ並べています。

ア 当該訪問看護ステーションにおいて、医療関係職種等によりICTを用いて記録された利用者の医療・ケアに関わる情報を取得及び活用した上で、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行うこと。 イ 看護師等が指定訪問看護を行った際の指定訪問看護に係る情報についてICTを用いて記録し、医療関係職種等に共有すること。

アは他職種の情報をもらうことへの同意、イはこちらの訪問看護の情報を渡すことへの同意です。情報をもらうことだけ同意を取って、渡す側の同意が抜けているという形が、この要件の落とし穴になります。ICT連携ツールの利用同意書をすでに取っている事業所でも、その文面が「取得・活用」と「記録・共有」の両方を含んでいるかを確認してください。片方しか書かれていなければ、取り直しです。

同意の様式は定められていません。書面での確認が望ましいという運営基準通知の一般的な考え方(重要事項説明の同意についての規定)に準じて、書面かそれに準ずる形で残すのが安全です。

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9. 算定要件②|ICTに記録する4つのこと

同意を取ったあと、毎月の算定を支えるのは記録です。留意事項通知の(3)〜(5)が、訪問看護側がICTに書き込むべきものを定めています。

何を記録するかいつ条件
次回の指定訪問看護の予定日と、訪問看護計画の変更の有無指定訪問看護を行った日必要に応じて
計画を変更する場合は、その変更の概要同上変更の有無を記録する場合
利用者のケアを行う際の留意点同上共有が必要と判断した場合
人生の最終段階における医療・ケア及び病状の急変時の治療方針等についての利用者・家族の希望取得した場合共有について利用者又は家族等の同意を得たうえで

条文の書きぶりに注意してください。「必要に応じて」「必要と判断した場合」と条件が付いているので、毎回全部を書く義務ではありません。ただし、加算の名目は「情報をもらって活用した」ことではなく、双方向の連携です。もらうだけで一度も書き込んでいない運用は、(3)〜(5)を満たしているとは説明しにくくなります。

記録のタイミングは「指定訪問看護を行った日」です。訪問から数日後にまとめて書く運用だと、この文言との整合が問われます。訪問当日にICTへ書き込む動線を、記録業務の中に組み込んでおくことが実務上の要点です。訪問看護記録書そのものの書き方は訪問看護記録書の書き方|Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違いと記入例にまとめました。

4つめのACP(人生の最終段階の希望)には続きがあります。

なお、医療関係職種等が当該情報を取得した場合も同様に記録することを促すよう努めること。

他職種が利用者から希望を聞いた場合にも記録を促す努力義務です。連携体制の中で訪問看護が声かけ役を担う想定になっています。

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10. 算定要件③|過去90日以内の情報を1つ以上

毎月の算定でいちばん確認が要るのがここです。留意事項通知の(6)。

指定訪問看護を行う場合に、過去90日以内に記録された利用者の医療・ケアに関する情報(当該訪問看護ステーション及び当該訪問看護ステーションと特別の関係にある保険医療機関等が記録した情報を除く。)をICTを用いて取得した数が1つ以上であること。なお、当該情報は当該訪問看護ステーションにおいて常に確認できる状態であること。

分解します。過去90日以内に記録された情報であること。自分のステーションが書いた情報は数えないこと。自分と特別の関係にある保険医療機関等が書いた情報も数えないこと。それをICTで取得した数が1つ以上であること。常に確認できる状態であること。

括弧書きが効いています。同一法人の診療所が書き込んだ記録は、この「1つ以上」に数えられません。連携ツール上に情報が並んでいても、書き手が身内ばかりなら要件を満たさないということです。他職種側の書き込みが90日以上止まっている利用者も外れます。連携相手が実際に記録を続けているかどうかが、毎月の算定可否を左右します。

これは施設基準ではなく算定要件です。届出が通っていても、その利用者・その月にこの条件を満たしていなければ算定できません。利用者ごとに「直近の他職種の書き込みはいつか、誰か」を月次で見る欄を、レセプト前の点検に加えてください。

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11. よくある質問

11-1. 医療DX情報活用加算と両方算定できますか

注13にも注14にも、互いを排除する規定はありません。ただし両方の算定を明示的に認めた通知・疑義解釈も見つかっておらず、確たることは書けません。疑義解釈はその11までこの加算の問答がゼロです。届出を両方行う予定なら、地方厚生局に確認してください(→3-2)。

11-2. 准看護師が訪問している利用者でも算定できますか

計画的な管理を行うのが准看護師でなければ算定できます。注14が除いているのは「計画的な管理」を行う看護師等から准看護師を除く、という趣旨の書きぶりです。ただし管理者・計画作成側の看護師が管理を行っている実態を記録で示せることが前提です(→2章)。

11-3. LINEなどの無料チャットで連携していますが、対象になりますか

厳しいと考えてください。届出基準のICT要件(ア〜キ)は、一元的に管理されたサーバーでの保管、参加者範囲の随時設定、利用者ごとの時系列表示を求め、HISPROの「プライベートSNSに係る事項」を参考とするよう明記しています。個人アカウントの無料チャットはこの構造を持ちません。メディカルケアステーション(MCS)やバイタルリンクのような、医療介護専用の情報連携サービスが前提です(→5-2)。

11-4. 連携機関の5には、ケアマネや地域包括も入りますか

入ります。様式9の記載上の注意が、居宅介護支援事業者、指定特定相談支援事業者、市町村等の行政機関、地域包括支援センターを連携機関の種類として列挙しています。入らないのは、特別の関係にある機関、つまり同一法人内などの身内です(→4章)。

11-5. 9月30日までに何をすればいいですか

ウェブサイト掲載です。経過措置で猶予されているのはウェブ掲載だけ(令和8年5月31日時点で指定済みの事業所が対象)で、事業所内の掲示は最初から必要です。掲載内容には、連携体制の説明と、実際に利用者の情報を共有している実績のある連携機関の名称等を含めます。なお、自ら管理するホームページ等を持たない事業所は、ウェブサイト掲載義務の対象外です(届出基準10(6))。この加算のためにサイトを作る必要はありません(→6章)。

11-6. 届出は通りました。毎月何を確認すればいいですか

2つです。その利用者について、過去90日以内に他職種(自ステーションと特別の関係にある機関を除く)がICTに記録した情報を1つ以上取得しているか。そして、同月に在宅患者連携指導加算を算定していないか。前者は利用者ごとに毎月動く条件なので、レセプト前の点検項目に入れてください(→10章2-3)。

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12. どこから手をつけるか

この加算は、体制を作ってから届出、届出が通ってから毎月の要件、という3段階で動きます。順番に並べます。

第1に、連携機関の棚卸し。機関名・種類・特別の関係の有無・直近90日のICT記録の有無を1枚の表にします。特別の関係を除いて5に届くかが、この加算に取り組むかどうかの入口です(→4-2)。

第2に、ICTツールの要件確認。一元管理サーバー・参加者範囲の随時設定・時系列表示・常時閲覧の4点を、使用中のサービスのベンダーに文書で確認します。満たさないなら、届出の前にツールの選定からです(→5-2)。

第3に、同意書の文面点検。「取得・活用」と「記録・共有」の両方が入っているか。片方なら取り直しです(→8章)。

第4に、掲示物とウェブサイト掲載。実績のある連携機関名を含めて作り、URLを控えます。ウェブ掲載の経過措置は令和8年9月30日までです(→6章)。

第5に、別紙様式9の届出。そして算定開始後は、利用者ごとの「90日以内・1つ以上」と在宅患者連携指導加算との排他を月次で点検します(→10章2-3)。

金額はこうなります。

算定できる利用者数
10人10,000円12万円
30人30,000円36万円
50人50,000円60万円

一方のコストは、初期が届出書1枚・掲示物1枚・同意書の文面改訂、毎月が利用者ごとの90日要件の点検(レセプト点検に1列足す程度)です。専用のICTツールをすでに運用している事業所なら、新しい月額費用は発生しません。逆に、この加算のために新しくツールを契約するなら、その利用料と上の表を見比べてください。すでに医療介護専用SNSで日常的に連携している事業所にとっては、いま算定していない理由がない加算です。加算の全体像は訪問看護の加算一覧・早見表、算定漏れの探し方は訪問看護の加算算定漏れ|見つけ方と月次の点検手順にまとめています。

株式会社ainaruは、訪問看護のレセプト請求と関連する事務を代行しています。この加算については、連携機関の棚卸しと届出書類の作成支援、算定開始後の月次点検(90日要件・併算定の排他)をお引き受けできます。

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確認しきれなかった点

一次資料で確定できなかった項目です。やってはいけない、という意味ではありません。

項目状況この記事での扱い
医療DX情報活用加算との同月併算定排他規定は注13・注14のどちらにもないが、併算定を明示的に認めた資料もない。疑義解釈その1〜その11に問答なし「確たることは書けません」と書き、照会を勧めた(→11-1
令和8年9月30日を過ぎてウェブサイト掲載がない場合の届出の効力明示した資料が見当たらない期限内に揃えることを勧めるにとどめた(→6-2
「計画的な管理」の具体的な水準何をもって計画的な管理と認めるかの細目は通知にない記録で示せることが前提、という書き方にとどめた
医科点数表側(在宅患者訪問看護・指導料)の同様の加算の点数改定説明資料の注記で存在は確認したが、点数まで確認していない存在のみ記載した(→3-3

参考・出典一覧

告示

通知

改定資料

届出様式